その周波数は「響き渡る」のか?   作:つヴぁるnet

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第8話

 

 

 

「ワタルくん、いつもありがとうね!」

 

「いえいえ、こちらこそ。これからもご贔屓してくれると助かります。ね?宇田海さぁん!」

 

「え、え、え、ぼ、僕ですか…??えと、依頼は自体は天地さんからですから、僕はあまり関係ないかと思いますが…」

 

「ええー、俺は宇田海さんに会えるの楽しみにしてるのになー」

 

「な、なんでですかぁ!?」

 

「いつも飲み物買ってきてくれるし。優しいし」

 

「ぅえええ、そういうことぉぉ!?」

 

「はっはっは!僕としては二人が仲良くてとても嬉しいよ!」

 

 

高笑いする天地さんと、狼狽える宇田海に手を振りながら仕事用の手荷物を持って天地研究所を後にする。

 

ウィルスバスティングシステムの2ヶ月毎の定期更新。

 

秋原町から出張してるのでいつもよりも仕事している気分になる。さて…

 

 

「次は、オクダマスタジオだっけか?」

 

 

午前の仕事は天地研究所。

 

そして午後の仕事はオクダマスタジオ。

 

しかも今回の新しい顧客だ。

 

やはり電波ウィルスの増加により過去のウィルスバスティングシステムが機能せず、新しく導入することを考えて俺の方に依頼が届いた。

 

大手の会社とかじゃなく、こんな個人会社に頼んでくれはとは、とても誇らしく思う。

 

新たな顧客を獲得すべく、午後も頑張る。

 

 

「その前にお昼ご飯だけど、今日はコンビニ飯でいいかな。新規先でどの程度仕事量が必要になるかわからないし、手軽に済ませよう」

 

 

バスを降りてコンビニに寄り、おにぎりを幾つか購入後、乗り換えのバスを待ちながらモグモグとおにぎりを頬張る。その間に仕事用のノートパソコンを開いてデータを確認していると…

 

 

「む、君は?」

 

「はい?…えっ……ああっ!?」

 

 

声を掛けられて横を振り向き、その人に驚く。

 

使い込まれた外套に、現場を駆け回る故にところどころ外装が傷ついている腕のトランサー。

 

それから頭の上に建てられている小型のアンテナはウィルスや、異質な電波(またZ波)を感じ取るとピカピカと光ったりと、ある意味この人のトレードマークでもある。

 

 

そして胸元のバッジはサテラポリスの証。

 

そう、この方は…

 

 

「もしかして、五陽田さん!?」

 

「おお、やはりか響くんか。久しぶりだな」

 

「は、はい!どうも!お久しぶりです!ええと…今日はどうしたんですか…?」

 

「いやなに、懐かしの顔を見たモノでな。少し挨拶と声を掛けたまでだ。妹さんはお元気かな?」

 

「あ、はい。妹は元気ですよ。今年で小学5年生になりました。見守る兄としても安心するくらいにモリモリ成長中ですよ」

 

「そうか、それは良かった」

 

 

この人は改め、五陽田ヘイジさん。

 

俺がまだサテラポリスの研修生だった頃、何度かお世話になった人だ。

 

主に現場体験としてサテラポリス隊員と共に出動する時に一緒になり、ウィルスバスティング用の兵器の使い方を教えてくれた。

 

今思えば本格的だったな…

 

研修生とか関係なく周りのサテラポリス隊員と同じようにおもいっきりウィルスとやりあったぞ。

 

まぁだから今の仕事にも繋がってる訳で。

 

 

「しかし、君が退役してから、もう既に2年が経っているのか。時の流れは早いもんだな」

 

「そうですね。あの場所を…サテラポリスを去ってもうそれだけの時間が経ったんですね」

 

 

確かサテラポリスを退役したのは15歳。

 

今は17歳だから、つまり2年前になる。

 

そうか。もうそれだけの時間が経ったのか。

 

 

「サテラポリスの研修生として優秀な成績を収め続け、いずれはサテラポリスの遊撃部隊を率いる若きエースだと思っていたが、運命はそう優しくないらしい。仕方ない事とはいえ、悔やまれるな」

 

「なんか、その、申し訳ありません…」

 

「いや謝る必要はない。私が勝手に思っているだけだ。むしろすまないな。未練がましく」

 

「いえ。五陽田さん以外にも惜しんでくれた方は沢山いましたから。むしろそれほどに高く買って頂けて嬉しいですよ」

 

「そうか……さすが、(アイツ)の子だな」

 

「!」

 

「もちろん()()()のことだよ。アイツはいつも自慢の息子がいるから家族は大丈夫__と、そう言って毎度現場に身を投じていた。だから君がサテラポリスを選んで入ってきた時は何かの運命かと思った」

 

「運命にしては3年間だけの務めでしたけど」

 

「それでも立派にサテラポリスの一員として尽くしてた。私はそれを知っている。もちろん今君が手を付けている仕事もな」

 

「はい。サテラポリスの。あの頃の経験を活かして電波ウィルスと向き合う仕事をしています」

 

「君は賢く優秀だ。問題ないだろう。っと、昔話が過ぎたな。私はそろそろ行く。妹と共にこれからも息災でな」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 

そう言って五陽田さんはバス停を後にして姿を消す。俺はビニール袋から水を取り出して乾いた口を潤しながら、五陽田との久方ぶりの再会によってサテラポリス時代を思い出す。

 

 

「……運命力、か」

 

 

もし母が今も生きていれば俺はシドウと共にサテラポリスの特殊隊員として活動し、ヨイリー博士の引率元にアシッドエース計画を進めていたんだろう。でもそうはならなかった。

 

俺はサテラポリスをやめてミソラの側にいることを選んだ。

 

彼女が一人自立できるその時まで親代わりとして、たった一人の兄として妹のためにこの産まれた理由を使う。

 

俺はこの運命力の中でそう決めたんだ。

 

 

 

「っと、バスが来たか。さ、午後の仕事だ」

 

 

気持ちを切り替えて仕事モードに。

 

行先は___オクダマスタジオだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドラマでも利用される場所なのかスタジオの駐車場はかなり広く、なんなら端の方にはぶっ壊れたハイエースが飾られている。

 

スタントカーってヤツかな?

恐らくアレもドラマとかで使われるのだろう。

 

 

 

「こんにちは、受付はここで合っていますか?」

 

「はい。本日はどのような要件で?」

 

「自分は響ワタルと申します。10日前にオクダマスタジオの方からウィルスバスティングシステムの件でご依頼を受けまして、本日は予定日ということでお伺いに来ました」

 

「あ、あなたが!なるほど、畏まりました。それにしては随分とお若いですね?」

 

「あはは、よく言われますよ」

 

「あ、そうなんですね!…あ、ご依頼主と繋がりました。担当の者が受付の方まで来ますのでしばしこの場でお待ちください」

 

 

待っている間にしばらく受付の人と談笑しながら仕事内容を軽く説明してあげると、廊下の奥から今回のご依頼主と思わしき人がコチラまでやって来た。

 

 

「こんにちは。依頼した裏方マモロウだ。君が響ワタル…くんか?」

 

「はい。響ワタルです。自分で合ってます」

 

「なるほど。思ったよりも若いな」

 

「そうですね。よく言われます。あ、もしかして心配なさってます?」

 

「さて。これから次第って、ところかな」

 

「大きなスタジオですからね。しっかり調査して型に嵌めますよ。とりあえず今日は電波状況の調査と合わせて見積もりも行います。なので本格的なシステム搭載は明日になりますね」

 

「今日中じゃないんだな?」

 

「適当に仕事は出来ないので。この建物の規模に合わせてちゃんと調整します。任せてください」

 

「……君になら問題なく、任せられそうだな」

 

「その前に見積もりを確認してからでお願い致しますよ?100%納得した上で御依頼を受けてください」

 

「わかったわかった。それだけ言うなら100%の提供で頼むよ。あ、入館パスは受付から貰ってトランサーの表画面に登録してくれ。それで自動ドアも反応して開くし、あと自販機も従業員価格で購入できる。是非利用してくれ」

 

「ありがとうございます」

 

 

受付から入館パスを受信し、トランサーの画面に表示される。これを見せれば調査のために現場を歩き回れるだろう。

 

 

「さーて、やるぞーぉ」

 

 

軽く伸びをした後、俺はノートパソコンを開いてケーブルを伸ばし、受付横にあるコンセントから建物に繋げる。

 

トランサーにもそのまま繋げるとノートパソコンと併用させることでウィルスの追跡状況を即座に調べ、幾つかの出現パターンを検出しながらウィルスバスティングのためのバトルカードを次々と半自動で選出し、それを横目に確認しながらノートパソコンを片手でカタカタとタイピングする。

 

 

 

「メットリオが46%で、飛行種が28%を占めていて、残りがええと…いや、これはレアケースだからあまりグレネードタイプによる広範囲殲滅は的確じゃないな。無属性のタイプが多いからミサイルでの高火力撃破が現実的か…」

 

 

トランサーの画面をスライドさせ、保有してあるバトルカードを選び、同時にノートパソコンに入れてある独自で開発したバトルカードを選択し、それでいて出来るだけシステム容量を軽くしよう調整する。

 

 

「受付さん、このノートパソコンこのままにしておくので触らないようにお願いします」

 

「あ、はい。わかりました」

 

 

ノートパソコン越しの情報収集をあらかた済ませたので、次は現場に赴いて確認する。

 

と、言っても独自の周波数を合わせて眼で確認し周るだけどね。

 

しかしこれが結構大事なんだよな。

 

 

 

「話によると最近、オクダマスタジオの建物を改修したんだよな。ただ同時に電波状況も整理したことにより、元々搭載されていたウィルスバスティングシステムとの相互性が下がってしまった流れな訳で…あ、やはりか。よく視るとこの辺りが落ちてるな」

 

 

ウェーブロードを確認するとめちゃくちゃ狭くなっている通路がある。ウィルスを撃退するための空間が狭まっているため通すための有効打が限られている。メットリオを怯ませる程度の豆鉄砲しか通らんな。こうなるとデリートまで遠くなるし、この位置をウィルスに嗅ぎつけられると一気に崩壊するだろう。

 

 

「さて、どうしようかなー」

 

 

本来なら、こういうのは電波回線を改善させる専門業者に頼むのが一番なんだけど…

 

 

__俺はコレをなんとかする手段がある。

 

しかも結構簡単に改善させられる。

 

実際に試したことあるし、なんならその前でも経験がある。

 

 

直接やればいいのだ。文字通りに。

 

さて…

 

 

 

「ま、初めての顧客だからな。この辺りは初回サービスとするか」

 

 

本来はちゃんとした専門家に任せるべきだ。

 

しかし、そのための……まぁ、なんだ。

 

正直に言うと手続きがやや面倒なんだ。

 

それで連携しながらやると時間が掛かる。

 

 

 

「ま、個人に任せたんだ。なら俺のやり方でやらせてもらおう」

 

 

その後も幾つかのチェックを済ませ、ウィルスの出現先を炙り出し、的確なバスティングパターンを書き殴り、あとは家に持ち帰って再度組み直すだけ。

 

なので本格的なシステムの搭載は明日になる。

 

でも大丈夫だ。明日で確実に終わる。

 

 

 

「飲み物何にしようかなー」

 

 

従業員価格で購入できると聞いたのでちょっとだけワクワクしながら自販機を選んでいると…

 

 

「あ、あれ、なんで?なんでトランサーが自販機に反応しないんだろう?あれ?」

 

 

と、先客がいた。

 

しかし何やら困っている状況。

 

後よく見るとミソラと同じくらいの女の子だ。

 

てか、この子何処かで見たような…??

 

 

「こんにちは、どうかしたのかな?」

 

「あ、すみません!順番待ってますよね?でもごめんなさい。ちょっとなんか反応しなくて……え?あっ、ああ!!」

 

「?」

 

「も、もしかして…!」

 

 

大きなサイドテールを揺らしながらこちらにガバッと勢いよく振り向く女の子。

 

横顔で少しわからなかったが、こうして正面から彼女の顔を見れると思い出す。

 

そう、たしか…

 

 

「もしかしてスズカちゃん…?」

「ノートちゃんのお兄さん!!」

 

 

と、互いに認識し合ったその名前で言い合う。

 

 

 

「ノートちゃん……ああ、妹の」

 

「お兄さんですよね?あのコラボ配信の!」

 

「コラボというか、まぁ…特別ゲスト的な?」

 

「はい!あっ、わたしノートちゃんのファンでして!あ、もしくはリスナーさんです!」

 

「知ってるよ。ミソ…じゃなくて、ノートがスズカちゃんはリスナーさんと教えてくれたな。それも登録者数が2桁時代の古参リスナーさんだって言ってた」

 

「本当に!?覚えててくれたんだ…えへへ。なんだか嬉しいな」

 

「いつもありがとうな。妹の配信見てくれて」

 

「ううん。お礼を言うのはわたし。ノートちゃんが頑張ってるのを見てね、わたしも頑張ろうって思えたの。だからノートには感謝しているんだよ!」

 

「そうなんだね。兄としてとても嬉しいよ。妹にもスズカちゃんの事をを伝えておくね」

 

「うん!……あ、あと…!」

 

「?」

 

「そのぉ…ええと、お兄さんは…私のことを覚えていたりしませんか…?」

 

「え??」

 

 

覚えている?

 

知っている、じゃなくて?

 

このニュアンス的にはリアルで出会ったどうかの話になるのかな?だとしたら…

 

 

「いや、覚えてないな…」

 

「そ、そうですよね…!突然、すみません…」

 

「いや、良いんだけど…でも俺たち何処かで会ったりしたのかな?申し訳ないけど、記憶に無いんだよね…」

 

「い、いえ!お気になさらずに!それほど特段深い出会いでも無い…ので!大丈夫です!」

 

「そうか。それ、で…自販機がどうしたんだ?」

 

「あっ!そうだった!」

 

 

スズカちゃんはバッと自販機に振り向き、もう一度トランサーを近づけるか反応しない。

 

キャッシュレス画面は開いているのに支払いのキャッシュ音ひとつしないのだ。

 

 

「一度俺の試してみるか」

 

「え?」

 

 

スズカちゃんの代わりに俺のトランサーを自販機に近づけ、そのままキャッシュレス画面を展開して反応を待つと、ピピッ!と音が鳴る。

 

支払いが完了した音だ。

 

その音にスズカちゃんは「あっ!」と驚き、それと同時に先約して選ばれていたスポーツドリンクが自販機からガコンと転がって落ちてきた。

 

購入できたということは自販機に自体には問題無いらしい。と、なると…

 

 

「動いた…!え、でも、なんで?」

 

「もしかしたらトランサーのアップデートとかを済ませてないからじゃないのか?」

 

「え?」

 

「トランサーは個人情報の塊だ。悪用されないように定期的なアップデートが施される。それに合わせて本人確認とか済ませるんだ。ただアップデートに対して何もしなかったらトランサーが本人確認出来なかったとしてキャッシュレスを無効化するんだよ」

 

「ええと…それなら昨日しましたよ?ちゃんと本人確認済ませました」

 

「そうなのか?それなら…あっ、もしかして上限額に引っ掛かってるとかか?」

 

「え?上限額?」

 

「スズカちゃん。自分のデータベースの設定開ける?深くまでは潜らないから大丈夫。ちょいと本体設定を確認するだけだ。それで答え合わせする」

 

「あ、はい!」

 

 

そう言ってスズカちゃんのデータベースを開き、そこから設定画面を展開させる。

 

すると気になった部分を見つけたし、なんなら思った通りの設定になっている。

 

 

「あー、なるほど。やはりか」

 

「何か分かったんですか?」

 

「ああ。これアップデートを重ねる毎に膨れ上がる容量が一定ラインを超えた場合、使用上限額を自動的に抑えるように設定されてるな。簡単に言うと見守り機能やつだよ。多分親御さんが設定したな」

 

「親御さん…あ、そういえば。昨日お父さんが誤って使いすぎないために設定してたような」

 

「それ自体は正しい。ただ内部設定を確認する限りだと、どうやら日毎じゃなて月毎で設定されてしまってるな。つまり1日1000ゼニーじゃなくて1ヶ月で1000ゼニーの誤った設定だ。スズカちゃんは交通手段はバスだったりするかな?」

 

「あ、はい。オクダマスタジオまでバスを使っています」

 

「じゃあそれで設定された満額になってしまったんだろう。もしその設定を変えなかったら今日の帰りは徒歩だったな。もしくは知らずがままバスに乗ってしまい、降りる際にバス料金を支払えなくて無賃乗車のお巡りさん案件だったかもな」

 

「えええー!?」

 

 

と、サイドテールをブンッと揺らして驚く。

 

最悪なケースに少しだけで青い顔にもなる。

 

 

「でも大丈夫。設定し直したから。でも帰ったらちゃんともう一度親御さんと確認してね?」

 

「あ、はい!ありがとうございます!えへへ…お兄さんってあの時と変わらず、親切ですね…

 

「?……まぁいいや。とりあえずそのドリンクはスズカちゃんにあげるよ」

 

「ありがとうございます!…やった」

 

 

それからお茶を選び、自販機から飲み物を回収するとベンチに座って一口飲む。スズカちゃんもちょこんと横に座るとスポーツドリンクをゴクゴクと喉に流し込む。

 

 

「ところでお兄さんは今日どうしたんですか?」

 

「オクダマスタジオから依頼を受けてな。ノートを通して俺のことを知ってるならウィルスバスティングシステムをこの施設に搭載するために来たってわけだ」

 

「あ、今日はお仕事なんですね!そ、そっか…そうなんだ。じゃあ裏方さんはお兄さんに頼んだんだ」

 

「?」

 

「あ、ええとね!実はわたしが裏方さんにお兄さんを紹介したんですよ。それで裏方さんが考えておくって言ってたんですけど、まさか本当にノートちゃんのお兄さんにお願いするなんて思わなかったので…」

 

「おお、そうなのか。つまりスズカちゃんのお陰で俺はまた新たな顧客を手に入れることが出来たわけだな。これは感謝だな。ふむふむ。これもコラボ配信の恩恵ってやつか?」

 

「そ、そうですね。正直ノートちゃんの配信からお兄さんのお仕事知ったので。それでちょっと言ってみたと言いますか…えへへ」

 

「助かるよ。個人営業としては仕事はあるだけありがたい。紹介してくれてありがとうな」

 

「はい!どういたしまして!」

 

 

ご機嫌にスポーツドリンクを飲むスズカちゃんの様子に、妹のミソラと姿が重なるものだから俺も思わず見守るように笑みんでしまう。因みにスズカちゃんの方がミソラより一つ年上の小学生6年生だとか。確かにスズカちゃん雰囲気的にはミソラよりもほんのりと大人びてるように見えるな。

 

 

「さてと…とりあえず今日は情報を家に持ち帰って、オクダマスタジオ専用のセキュリティーを組んだらまた明日持って来て、それで搭載したら仕事完了って流れになるな…」

 

「えと…もしかしてお兄さん?明日もオクダマスタジオに来るんですか?」

 

「え?まぁ、そうだな。この規模だから今日だけで済ませて良い内容では無いからね。明日まで時間を掛けるつもりだけど…」

 

「!、!!」

 

 

俺の予定にスズカちゃんは目を見開く。するとスポーツドリンクをゴクゴクと半分近くまで飲み干すと何処か興奮気味にコチラに振り向いて話しかけてきた。どうしたんだ?

 

 

「あ、あ、あのっ!お、おにいぃひゃん!」

 

「はい?」

 

 

なんかいきなり噛んだし、スズカちゃ自身もそれに気づいたのか顔を赤くしてしまうが、それでも勢い殺さずズイッと近づいて尋ねて来た。

 

 

 

「も、も、もしっ!もしよろしければ…!お兄さんの明日のお仕事が終わったらっ…!わ、わたしと一緒に出かけませんか…!!?」

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

へ……??????

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って、ことがありまして、それで明日の仕事が終わったらそのままスズカちゃんと出掛けることになりまして…」

 

「ずるーーい!」

 

「最後まで聞けい!」

 

「ぶふぅえ!」

 

 

両手を広げてそのままミソラの両頬をパーンッ!と挟んで落ち着かせる。

 

ノリ良くリアクションをしてくれる妹様。

 

今日も兄とスキンシップし、戯れてくれる妹に感謝しつつ、本題を最後まで聞けと続ける。

 

 

「俺一人で未成年のスズカちゃんを連れてしまうと色々と社会的に危ういので、その緩衝材として妹のミソラもお出掛けに連れて行こうという算段でございますが、我が妹様や、いかがいたしましょうか?」

 

「よろしい!我も連れて行くが良いぞ!」

 

 

と、腰に両手を当てながら「苦しゅうないぞ」と王様ムーブ。いつぞやの骸骨として現れたジョルジョワーヌを思い出す。そういやあの老戦士から授かった三つの神器とやら、実はまだ家にあるんだよなぁ。ビニール袋を二重にして強く縛ったままクローゼットの中に仕舞っている。引っ越しの時に処分しようと思ったけど、燃えるゴミなのか燃えないゴミなのか分からなくて結局今も持ち込んだままである。

 

 

「じゃあ一緒に行くってことね?なら何処かで集合して向かうことになりそうだな」

 

「うーん、集合も良いけど。わたし的にはお兄ちゃんのお仕事に着いていって、そのままお出かけするのが良いかなー、とか思ったりしちゃって…?」

 

「あー、なるほど…?」

 

「どうかな?それとも…仕事柄難しい感じ?」

 

 

仕事場に連れて行く……なるほど。

 

もちろんミソラは仕事の邪魔はせず大人しく待っているだろうし、仮に連れて行ったとして館内だからミソラを待たせる場所も用意できる。

 

なのでオクダマスタジオまで連れ歩くことに関しては別に不可能ではない。

 

ただし、オクダマスタジオに向かうのは仕事のためであることを第一として考えたら…

 

 

 

「それなりの建前が必要になるな」

 

「?」

 

 

首を傾げるミソラ。

 

俺は明日の仕事の流れを考える。

 

そして…

 

 

 

「よし、ミソラにも仕事を手伝ってもらう」

 

「え?」

 

「そしたら合法的に付いて来て良い」

 

「おおー」

 

「ついでに手伝ってくれたらお小遣い(お給料)をやる」

 

「おおー!!」

 

 

 

 

 

 

明日の流れが決まった。

 

 

 

 

 

つづく






この世界線ではミソラが業界に居ないので原作よりも知名度が高くなっているスズカちゃんなんですね。

あとオクダマスタジオのBGM結構好き。
プレイ後しばらく脳内で再生されてたわ。


【五陽田ヘイジ】
原作同様にサテラポリスの一員で、またワタルがサテラポリスの研修期に何度か現場で教育してくれたヒトであり、未来の若きエースとして期待を寄せていた。またワタルが待ち合わせる独自の周波数を察知している数少ない人物でもある。……昔、ある人とタッグを組んで奔走していたらしいが、それはワタルに似ていたとか。


じゃぁな!
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