もし未来悟飯がシャーレの先生だったら 作:ひーくんmark2
カタカタヘルメット団に連れ去られたセリカの救出回です。
悟飯とアビドスの生徒たちは、セリカを救出できるのでしょうか。
それでは、第九話、お楽しみください。
―――そして、更に数時間後。
アヤネは、セリカに電話をかけ、バイトが終わったのかを聞こうとしたのだが、セリカは、何故か電話に出なかった。疑問に思い、セリカの家を訪ねたが、これまたセリカの姿は見当たらなかった。
柴大将にも連絡したが、セリカは既にバイトを終え、既に帰ったのだという。普段のセリカなら、この時間には帰ってきているはずだ。しかし、セリカの姿は影も形もなかった。
嫌な予感が頭によぎったアヤネは、アビドスの皆と悟飯に連絡し、セリカを探すのに協力することをお願いした…
アヤネ「…電話はしてみたんですが、数時間前から電源が付いてないみたいで…。」
ノノミ「…今まで、こんな遅くまで帰らないなんてこと、無かったですよね…。」
シロコ「…とりあえず、今ホシノ先輩と先生が調べてくれているから、今は進展を待つしかなさそうだね。」
三人は、セリカの無事を心配そうに俯いていた。
ガチャッ
ホシノ「皆―。おまたせー。…セリカちゃんの居場所、分かったよ。」
アヤネ「ホントですか!?ホシノ先輩!」
ホシノ「うん。先生の気を探る技術で、セリカちゃんの位置を特定してもらったんだ。…ただ…。」
悟飯「セリカの気が、明らかに弱っているんだ。気絶しているのか、眠っているのかまでは、分からないけど。」
そう言った後、悟飯の表情が少し深刻になる。
悟飯「…なのに、セリカの気は、アビドスから離れた場所に高速で移動している。そして、その側には、五人ほどの気を感じたんだ。その気をよく探ってみたら、この前のカタカタヘルメット団から感じた気だった。」
悟飯「…つまり、セリカは、車か何かで、カタカタヘルメット団に、どこかに連れ去られようとしている。」
悟飯がそう言った直後、アビドスの生徒たちは、ゾッとした。
セリカが連れ去られたということにも恐怖したが、それ以上に怖かったのは、目の前にいる悟飯から感じられた、怒りの気配だった。
この数日間、いつも穏やかな表情を浮かべていた悟飯から出ているとは思えないほどの、異様な気配だった。
悟飯「…セリカを、助けに行かないと。」
すると、悟飯は、アヤネのスマホに、現在のセリカの位置情報を送った。
悟飯「皆はそれを見て、その位置に向かっていてくれ。俺は先に行って、足止めをしておく。」
ガララッ
悟飯は窓を開け、そこから出ようとする。
アヤネ「…!?ちょっと待ってください!先生!ここは二階ですよ!?それに、この位置は、ここから何十㎞も離れた場所で、幾ら先生の身体能力が高いからと言って、ここから歩いていくのは、余りにも…!」
しかし、その後、アビドスの生徒たちは衝撃の光景を目にする。
アヤネ「…え?」
なんと、窓の外にいる悟飯が、地面に落ちることなく、宙に浮いているのだ。しかし、悟飯は、それが当たり前かのように、平然としている。
悟飯「それじゃ、皆。頼んだよ。」
キュン
悟飯は、凄まじいスピードで、そのまま飛んで行ってしまった。
アビドスの生徒たち「「「「……。」」」」
教室に残された四人は、ただ唖然とするしかなかった。
シロコ「…先生。空、飛んでたね。」
アヤネ「…夢を見てるんですかね、私たち。」
ノノミ「…大丈夫ですよ。私も、ちゃんと見ましたから。」
ホシノ「…先生って、やっぱり普通の人じゃないんだね。」
―――一方、アビドス旧市街地にて。
ガタン…ガタン…
セリカ「う、うーん…。」
不規則に揺れ動くトラックの中で、セリカは少しづつ目を開ける。
セリカ「…はっ!ここは!?私、攫われた!?」
まだズキズキと鳴り響く頭の痛みを何とか堪えながら、セリカは周りの状況を確認する。
セリカ「…ここは。トラックの荷台…?ヘルメット団め、私をどこに連れていくつもりなの…。」
僅かに見える隙間から、外の様子を確認する。すると、トラックは線路の上を走っているようだった。セリカは、自分がアビドス郊外の砂漠にいることが分かった。ここの地区は、電波がほとんど通っていないので、連絡も取れない。万が一脱出できても、ここからアビドス高校までは、何十㎞も離れている。
セリカ「そ、そんな…。どうすれば…。銃は…ダメ、弾が抜かれてる。…食べ物とか、飲み物は…持ってない。」
何もできることが無いと悟り、セリカはその場にペタン、と座り込んだ。
セリカ「…どうしよう。皆、心配してるだろうな。」
セリカ「…このまま、どこかに埋められちゃうのかな。誰にも気づかれないように。」
セリカ「連絡も途絶えて…。私も、他の子たちみたいに、街を離れたって思われちゃうのかな。…裏切ったって、思われちゃうのかな。」
セリカ「…誤解が解けないまま、皆に会えずに、死んじゃうのかな。」
セリカの目から、ぽろぽろと涙が流れる。
セリカ「そんなの…。ヤダよ…。」
セリカ「…誰か、助けて…。」
不安に駆られ、セリカが絶望しきろうとした瞬間だった。
カタカタヘルメット団員M「のわああああああ!!!!!????」
カタカタヘルメット団員の驚愕の叫びが、荷台にも響く声で聞こえてきた。
カタカタヘルメット団員M「な、何だこりゃああ!?ト、トラックが、浮いてる!?」
カタカタヘルメット団が乗っているトラックの運転席から見えるのは、上空から数㎞は離れた位置に見える、先ほどまで走っていた道路だった。
トラック全体が、何らかの力によって浮いているのだ。
そして、数分後、ようやくトラックはゆっくりと地上に下ろされた。
カタカタヘルメット団員M「あ、あが、あががが…。」
団員の一人は、恐怖で腰が抜けて動けなくなっていた。
カタカタヘルメット団員L「な、何ボサッとしてんだ!急いで外に出るぞ!早く!」
動けなくなった団員の首根っこを引っ張りながら、カタカタヘルメット団は外に飛び出す。
カタカタヘルメット団員L「…は!?」
その団員は、自分がアビドス高校のすぐ近くの砂漠にいることに気が付いた。
カタカタヘルメット団員L「なんで…!?ここからアビドス郊外の砂漠までは、数十㎞は離れてるんだぞ!?…まさか…。浮いてるうちに、運ばれたっていうのか!?」
その後、トラックの荷台のドアが開き、セリカは、急な光に目が眩んだ。
アヤネ「セリカちゃん、発見!生存確認しました!」
セリカ「あっ…!アヤネちゃん!」
シロコ「…こちらシロコ。半泣きのセリカを確認した。」
セリカ「!?」
ホシノ「何だと―!?うちの可愛いセリカちゃんが泣いてただとー!?そんなに寂しかったの?ごめんね、ママが悪かったわー!」
セリカ「わ、わあああ!!泣いてない!泣いてないってば!」
ノノミ「嘘はいけませんよ、セリカちゃん!さあ、その涙を拭き取ってあげますから!」
セリカ「だーーっもう!うるさーーい!!違うったら違うの!」
悟飯「…よかった。無事だったか。」
セリカ「…!?せ、先生!?どうやってここまで…。」
シロコ「…セリカ。実を言うとね、アビドス高校の近くまで、先生が飛んでトラックを運んできたの。」
セリカ「……はあ!?」
ホシノ「いやー。トラックを片腕で持ち上げて、ここまで運んできた姿を見たときは、まるでスーパーマンかと思ったよ。」
セリカ「ちょっ、えぇ…。」
悟飯「取り敢えず、セリカが無事でよかった。…さて、今度は、こっちを何とかしないとね。」
悟飯が振り向くと、そこにはビビり散らかしたカタカタヘルメット団がいた。
シロコ「…新しくなった私たちの力、試すにはちょうどいい。」
ノノミ「うんうん。気の開放で、どれくらい戦闘が楽になるのか、楽しみですね~。」
ホシノ「うへ~。それじゃ、いっちょやりますか。」
グゴゴゴゴゴゴゴ…。
三人の気が、どんどんと膨れ上がっていく。
シロコ「…んんんん…!」
ノノミ「ふうううう……!」
ホシノ「へあああ……!」
砂埃が舞い上がり、三人の気だけで、嵐が生まれそうだった。
シロコ・ノノミ・ホシノ「「「はあっ!!!」」」
ブワッ
シュウゥゥ…
三人の気の膨張が収まり、気の柱が立っているように感じるほどの、凄まじい力が解き放たれていた。
セリカ「な、何よあれ…先輩たち、もうあんなに強く…。」
悟飯「アヤネはセリカのことを頼んだ。俺は皆の援護に回る。」
アヤネ「了解です!先生もお気をつけて!」
悟飯は、シロコとノノミとホシノの後ろに立ち、シッテムの箱を起動する。
悟飯「よし、皆!行くぞ!」
シロコ「ん!」
ノノミ「了解です!」
ホシノ「気張っていこ~。」
しかし、カタカタヘルメット団も、負けじと包囲網を整え、迎え撃つ準備をする。
カタカタヘルメット団員L「ひ、怯むんじゃねえ!かかれー!」
ギュンッ
シロコが、真っ先に相手に突っ込んでいく。
ダダダダ…!
四方八方から銃弾を撃ち込まれるが、シロコは止まる気配が無かった。
カタカタヘルメット団員O「はあ!?どうなってんだ!?ダメージどころか、服にすら傷がついてねえぞ!?」
ボッ
シロコが投げた気弾が、豪速球の様にカタカタヘルメット団に向けて飛んでいく。
ドッカーン!
カタカタヘルメット団員O「ぎゃあああ!?」
シロコが投げた気弾で、何人かのカタカタヘルメット団員が吹っ飛ぶ。
ノノミ「そおれっ☆」
バキッ
ノノミの一撃で、カタカタヘルメット団員の銃が、へし折られてしまった。
カタカタヘルメット団員P「私の銃がああ!?」
ボゴオ
そのままリトルマシンガンで殴られ、ぶっ飛ばされてしまった。
カタカタヘルメット団員P「ぎゃふっ!?」
ホシノ「そらそら~。」
ブバババババッ
ホシノは、玉入れの様な勢いで、次々に気弾を連射していく。当然、カタカタヘルメット団は、それに太刀打ちできるはずもなかった。
カタカタヘルメット団Q「いやあああ!?」
ドッ ズドドッ
次々に着弾した気弾は、容赦なくカタカタヘルメット団の体力を削っていく。
カタカタヘルメット団員L「く、くそっ!こうなったら…。」
ブロロロロ…
暫くして、向こうから戦車に乗って、カタカタヘルメット団員の一人がやって来た。
カタカタヘルメット団員L「はっはっは!どうだ!この特別製の戦車なら、ちょっとやそっとの気弾じゃ、壊れはしな…」
バチバチバチ…!
カタカタヘルメット団員L「…え?」
気弾にも耐えれる、特別製の戦車に乗ったカタカタヘルメット団員が見たのは、信じられないほどの気を溜め切った、孫悟飯の姿だった。
悟飯「…魔閃光!」
ズオッ
ギャウウッ
気の塊が光線となり、戦車に向かっていき…
ボオオオオン…!
そのまま、戦車は大爆発を起こした。
セリカ「……。」
目の前で繰り広げられた、超人的な戦いに、セリカは言葉を失っていた。そして、戦車を吹っ飛ばした悟飯の後姿が…とても、頼もしく見えた。
カタカタヘルメット団員L「…あ、あり得ねえだろ…。こ、こんな、こと…。」
すると、カタカタヘルメット団員Lの目の前に、悟飯が立った。
悟飯「…これに懲りたら、二度と、悪さするんじゃないぞ。分かったか。」
その場にいた団員たちは、悟飯のそのセリフを聞いて、背筋がゾクゾクと震えた。
カタカタヘルメット団「「「「ひ、ひいいい!!も、もう二度としません!」」」」
そうやって必死に謝りながら、カタカタヘルメット団は、どこかへと走り去っていった。少なくても、彼女らがアビドスに手を出すことは、今後絶対にないだろう。
悟飯「…行ったか。」
アヤネ「これで、当分はカタカタヘルメット団は来ないでしょうね。」
シロコ「ん。もしまた来たら、返り討ちにする。」
ノノミ「うんうん。この力があれば、お茶の子さいさいです~。」
ホシノ「これにて、一件落着、って所だね~。」
セリカ「……。」
セリカは、少し俯きながら、悟飯と皆の方へ近づいていく。
セリカ「…あの。先生。」
悟飯「ん?どうかしたのかい?」
セリカ「…その。先生のこと、疑って…いやな態度取っちゃって…ごめんなさい。」
すると、悟飯は、セリカに目線を合わせ、ニッコリと微笑む。
悟飯「謝らなくていいさ。前も言ったろ。俺はいつだって、君たちアビドス廃校対策委員会の味方だって。」
セリカ「…!」
セリカは、悟飯にそう言われ、嬉しさの他にも、様々な感情が巻き起こり、泣きそうになる。しかし、それをグッとこらえる。
セリカ「…っ!皆!」
セリカ「…ありがとう。助けに来てくれて。」
セリカは、精いっぱいの勇気を出して、皆に向けてそう言った。悟飯含めた五人は、そのお礼を聞いて、何を言うでもなく、温かい目を向けながら微笑んだ。
セリカ「…な、何!?みんなどうして黙るのよ!?」
ホシノ「別に~?何でもないよ~。」
セリカ「いや、何もないわけないでしょ!何か言ってよ!」
シロコ「…もしかして、照れてるの?セリカ。」
セリカ「は、はあ?別に照れてないし!」
ノノミ「いやいや、それは完全に照れてる表情ですって~。」
セリカ「だーーっ!違うから----!!!」
悟飯「……ふふ。」
いつもの元気を取り戻したセリカを、悟飯は静かに笑いながら、見守るのだった。
この話を書いてると、自分がブルアカを始めた日のことを思い出します。
あの時は、臨戦ホシノを入手して、序盤のステージを無双していったな、とか、
なんか水着ハナコがバカみたいに強いな、とか、思い返すだけで懐かしいです。
さて、遂に次回では、みんな大好き、あのアウトローが登場。
いったい、何者なのか…次回をお楽しみに。
セリカ、誕生日おめでとう。