もし未来悟飯がシャーレの先生だったら 作:ひーくんmark2
小説書くのって大変ですね…思った以上に時間がかかってしまいました。
とりあえず今は、一週間に一話ずつくらいの投稿ペースでやっていこうと思っています。
それでは、どうぞお楽しみください。
自己紹介が済んだ後、悟飯はリンから、キヴォトスについての説明を受けた。数千もの学園からなる、学園都市で、それぞれの学園には数多くの生徒がいる。かつては、連邦生徒会によっての統治がある程度行われていたのだが、数日前に、その会長が失踪。結果として、現在のキヴォトスは混乱状態にあるということ、更には、銃の携帯が当たり前であること…などなど、色々なことを聞いた。
悟飯「…なるほど。説明ありがとうね、リン。」
説明を受け、悟飯は何となく理解した。ここは、あの世でもなければ、自分がいた世界でもない。原因は分からないが、自分は死んだ後、あの世でなく、異世界に辿り着いてしまったのだと理解した。
悟飯(参ったな…。信じられない状況下だけど、まさか自分が異世界に来てしまうなんて…。)
困惑が隠せない悟飯を見て、リンが声をかける。
リン「いきなりこんな事を聞かされても、困惑しますよね。…ですが、今は一刻を争います。とにかく、先生をシャーレの部室の方に案内させていただきますね。」
その後、エレベーターに乗り、悟飯とリンは階下に降りる。その間も、悟飯は状況を整理しようと、脳を回し続けていた。
リン「先生。到着しました。まず最初は――
ユウカ「あ!やっと来たわね!」
リン「…面倒くさい人達に絡まれましたね。」
悟飯は、リンに真っ先に声をかけた青髪の生徒を見て驚いた。リンと同じく、頭の上に輪っかのようなものがあったからだ。
悟飯「…もしかして、リン達って宇宙人だったりする?」
リン「…ヘイローのこと、ご存じないんですか?私も、あの人も、宇宙人ではないですよ。ちゃんとこの星で生まれて、この星で育ってます。」
そこにいたのは、青髪の気が強そうな生徒と、赤い眼鏡をかけた真面目そうな生徒、頭に小さめの白い翼が生えている生徒、大きな黒い翼の生えた、黒い長髪の生徒の四人がいた。
ユウカ「面倒臭いって何よ!それより、今すぐ説明を…って、その人はいったい誰?」
悟飯「えっと…七神さん、この人達は?」
リン「この人たちは各学園の要人たちで、連邦生徒会の管理していたサンクトゥムタワーの制御が……いえ、ここで話すには時間が惜しいです。先生、早くシャーレへ向かいましょう」
ユウカ「ちょっと!質問に答えなさい!その人は誰なの!?」
リン「はぁ…こちらは、連邦生徒会長の推薦によってキヴォトスに来てくださった、連邦捜査部『シャーレ』の顧問。私達にとっての先生です。」
ユウカ「シャーレの…先生?」
悟飯「…俺は、孫悟飯だ。よろしくな。」
ユウカ「よ、よろしくお願いします…。」
その後、後ろにいた生徒たちも、悟飯と挨拶を交わした。そして、リンが、一度大きめなため息をついた後、再び話し始める。
リン「こんにちは、各学園から態々ここまで訪問してくださった生徒会、風紀委員会、その他時間を持て余している皆さん。こんな暇そ…いえ、大事な方々が此処を訪ねてきた理由はよく分かっています。今、学園都市に起きている混乱の責任を問うために…でしょう?」
ユウカ「そこまで分かっていてなんで何も説明がないのよ!?もういいわ、連邦生徒会長を呼び出して頂戴!代行の主席行政官じゃまるで話にならないわ!」
リン「…連邦生徒会長は、今は席におりません。端的に言うと、現在行方不明になっています。」
ユウカ&ハスミ&スズミ&チナツ「「「「!!?!?」」」」
リン「連邦生徒会長の失踪により、サンクトゥムタワーの最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。認証を迂回できる方法を探していましたが……先ほどまで、その様な方法は見つかっていませんでした。」
ユウカ「その言い草からすると、もう既に方法があると? 主席行政官。」
リン「ええ、本日付けで連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの顧問に就任した……こちらの孫悟飯先生が、調停役となってくれるでしょう……多分。」
ユウカ「多分って何!?なんで曖昧なのよ!?」
リン「私だって断言したいんです……ですが現段階では、連邦生徒会長が彼を先生に選んだ理由すら判然とせず…。」
目の前で繰り広げられる、知らない事のオンパレードに、悟飯は呆然とするしかなかった。とはいえ、黙ってるわけにもいかず、悟飯は口を開いた。
悟飯「ええっと…。言い合いになってるところ、悪いんだけど、まずは自己紹介してくれないかな。君たちを何て呼べばいいのか、俺はまだ分からないし。」
そうお願いする悟飯を見て、リンもユウカも、少し冷静になり、その場の雰囲気が少し和らいだ。
ユウカ「私は、ミレニアムサイエンススクール・生徒会セミナー所属の早瀬ユウカです。」
チナツ「ゲヘナ学園・風紀委員会所属、火宮チナツです。よろしくお願いしますね、先生」
ハスミ「トリニティ総合学園・正義実現委員会所属、羽川ハスミです」
スズミ「同じく、トリニティの自警団の守月スズミです。先生、よろしくお願いします。」
悟飯「自己紹介ありがとう。よろしくね、皆。…あと、俺も今何が起きてるかは把握しきれてないけど、リンの方も突然の状況に混乱してるんだ。今はひとまず落ち着いて――
そう言いかけた時、リンの通信機から声が聞こえた。
モモカ≪もしもし、聞こえてる?今、シャーレとかいう場所の近くが大騒ぎになってるよ。矯正局を脱走した生徒が騒ぎを起こしてる。今は部室周りが戦場だよ≫
悟飯「!」
戦場、という言葉を聞いて、悟飯は思わず警戒する。もしかしたら、人造人間のような存在がいるのか?という思考が浮かび上がり、しっかりとその通信に耳を傾ける。
モモカ≪なんか連邦生徒会に恨みを抱いた生徒が、会長への仕返しを目的に暴れてるんだってさ。どこから引っ張ってきたのか分からないけど、巡航戦車まで手に入れてきたんだって。それで、連邦生徒会の建物であるシャーレを占拠しようとしてて……あ、お昼のデリバリー来た! じゃ、お昼先もらうね〜……あ、念のため言っとくけど今は激戦地区にヘリは出せないからね〜。ま、あんなとこには誰も用はないしいっか。また連絡するね〜≫
現在の、シャーレという場所の状況だけを伝え、一方的に通信が切れる。リンの顔が、驚くほど曇ってきていた。
悟飯「七神さん、何かあったのかい?さっき、シャーレがどうとか聞こえたけど。」
リン「…も、問題ありません。確かに、予想外のことではありますが…何とかなります。それに…丁度、暇そうな人達もいますしね。」
ユウカ「…え?」
――数分後、シャーレのビルの前にて。
悟飯「早瀬さん!右から攻撃がくるぞ!」
ユウカ「!」
リンからの話を聞き終えた悟飯は、完全に自分が戦うつもりでいたが、生徒たちに慌てて止められてしまった。キヴォトスの住民ならともかく、銃弾が頭に当たろうものなら、普通の人間なら一撃で死んでしまう、と念を押され続けた。そのため、前線で戦うのではなく、後方で指揮を取ることになった。だが、悟飯は戦闘の指南はしたことはあっても、指揮などはした事がなかったので、正直、不安ではあったのだが…。
悟飯(…皆、いい動きをしてるな。俺の慣れてない指揮でも、狙い通りに動いてくれる。)
ただ、生徒の優秀さ以上に、悟飯の指揮はハイレベルなものだった。今までの戦闘経験から、気の扱いには当然慣れている事に加え、長年の間、気がよめない人造人間と戦い続けたこともあり、気を感じずとも、大抵の者の動きは読める。気が分かるならなおさらだった。後は、不良生徒たちの動きを読んで、タイミングよく撃てるよう、ユウカ達に指示をしてあげるだけでよかった。
悟飯「羽川さん。右斜め前方から三人ほど来てるぞ。守月さんは、車の裏にいる三人の相手を頼む。火宮さんは、後ろから来てる四人の相手を頼む。」
ドドドド…
悟飯の指揮の元の応戦の結果、不良生徒たちも段々と後ずさりしていく。
その結果、飛ぶ鳥を落とす勢いで、悟飯達は、目的地であるシャーレオフィスのあるD.U.外縁地区へと進んでいた。
ユウカ「なんだか、戦闘がいつもよりやりすかった気がします…。」
ハスミ「はい。先生の指揮の正確さはすさまじいものでした。手慣れている、と言っていいほどに。」
チナツ「…それと、私の勘違いじゃなければ、先生の位置からは絶対に見えない位置の不良生徒たちも、探知してませんでしたか?」
スズミ「私も、先生の指示でようやく気付けた時がありました。…まるで、戦況を把握しきってるように感じました。」
生徒たちから感嘆の言葉を向けられ、悟飯は、ハハ、とごまかすように笑う。
悟飯「そう凄いことじゃないさ。俺はただ、相手の移動した位置を読んで、皆にそこに撃つように言っただけだからね。むしろ、凄いのは俺の指示通りに動いてくれる皆の方だよ。」
ユウカ「むしろ、そっちの方が難しい気がするんですけど…。」
そんな風に話していると、向こうから大きな音が聞こえてきた。何か、大きな物がこちらに走ってくる音だった。
悟飯「…皆、戦闘の準備をしてくれ。何か来る。」
悟飯の言葉で、生徒達は身構えた。
ブロロロロロロ…
そして、次の瞬間、悟飯達の耳に入ってきたのは、戦車のキャタピラが動く大きな音だった。更に、音からして、一台だけでなく、何十台も押し寄せてきていた。
ユウカ「ちょ、ちょっと! こんなの聞いてないわよ!?」
生徒たちの動揺が隠せない様子を見て、悟飯も今が窮地であることをすぐに理解した。この人数では、いくら銃が使えるからと言って、全滅は免れない。悟飯は、一度呼吸を落ち着け、生徒たちに指示を出す。
悟飯「皆。俺がどうにかして、戦車の中にいる人たちを追い出すから、皆はあの戦車群の後ろから回り込んでほしいんだ。」
ユウカ「…!?何言ってるんですか!?それに、戦車の中から追い出すって、どういう…!」
悟飯「頼んだよ、皆。」
ギュンッ
言い終えると、悟飯は戦車群に向かって、残像が残るほどのスピードで走り出していた。
ハスミ「…なっ!いつの間に…!?」
地を走り抜け、悟飯は戦車群の前に立つ。その顔立ちは、戦士としての風格を思わせるものがあった。
悟飯が前方に立っているのを見て、戦車群の動きが止まる。そして、悟飯は、腹から声を出して呼びかける。
悟飯「俺は、ついさっきキヴォトスにやって来た孫悟飯だ!単刀直入に言う!君たちが道を空けるなら、俺たちはこれ以上何もしない!だから、大人しく引き下がってはくれないか!」
悟飯のその宣言を聞いて、一番先頭にある戦車のハッチが開いた。そして、ヘルメットを被ったセーラー服の少女が顔を出した。
不良生徒B「悪いが、お前らを通すなって命令だ!お前らこそ、金目の物を置いて、大人しく引き下がるんだったら、私らもそれ以上何もしないぜ?」
どうやら、引き下がるつもりは毛頭ないようだった。それでも、悟飯は食い下がる。
悟飯「出来れば、俺も穏便に済ませたいんだ!…もし引き下がる気がないなら、こっちも手荒な手段を使うしかない。」
そんな悟飯の訴えを、不良生徒たちは一蹴する。
不良生徒B「うるせえぞ!さっきから偉そうに言いやがって!お前の選択肢は二つ!金目の物を置いて、さっさと去るか!それとも…
ジャキン、と、戦車の主砲が悟飯の方に向けられる。
不良生徒B「…このまま砲弾を受けて、痛い目にあった後で金目の物を奪われるかだ!もしそれ以上お前が近づいても、もちろん砲弾をぶっ飛ばす!」
ユウカ「…!先生、危な…!
ハスミ「ダメです!止まってください!早瀬さん!いま私たちが止めに入れば、かえって先生が危険にさらされます!」
ユウカ「…っ!じゃあ、どうすれば…!」
悟飯に対し、不安を抱く生徒達を見て、悟飯はただ頷いた。それは、「さっきの指示通りに動いてほしい」という、無言の指示でもあった。
ハスミ「…先生の指示通り、私たちは裏側から回りましょう。ここで何もせずに突っ立ってるよりは、その方がいいはずです。」
ハスミがそう言った直後、悟飯はより戦車群に近づいて行った。
悟飯「お願いだ!あまり乱暴な手は取りたくない!」
その様子を見て、不良生徒はニヤリ、と笑う。
不良生徒「…近づいたな?私は心優しいから、お前みたいなバカでも分かるように忠告してやったんだぜ?それを無視するとはな…そんなに大怪我したいんならさせてやるよ!」
ドオン!
凄まじい音ともに、砲弾が発射され、悟飯に向かう。
思わず生徒たちが目を覆った…次の瞬間。
悟飯「…はっ!」
ボオン
不良生徒B「……は?」
戦車から放たれた砲弾は、悟飯に当たるどころか、塵になっていた。悟飯の手から放たれた気弾が当たり、相殺されたのだ。
悟飯「…そっちがその気なら、仕方ないな。」
不良生徒B「ひ、怯むんじゃねえ!お前ら!さっきのはマグレだ!こうなりゃ、全弾撃ち込んでやれ!」
次の瞬間、主砲が全て悟飯の方に向けられ、すぐさま砲弾が放たれる。今度こそ絶体絶命…と思われたが。
悟飯「だりゃりゃりゃ!」
ボボボボボン
またしても、砲弾が悟飯に届くことはなかった。何十発と撃ったはずの砲弾は、すべて塵になっている。
不良生徒C「…どうなってやがんだよ。まさか、アイツは…!」
不良生徒たちが混乱の渦に揉まれる中、悟飯はリンに話しかける。
悟飯「リン!戦車は全部壊しても構わないのかい?」
不良生徒たちと同じく、リンは目の前で起こった出来事に驚きを隠せないままでいたが、悟飯の質問で我に返り、答える。
リン「あ、後処理が面倒なので、出来れば壊さない方がいいですが…」
悟飯「…よし、分かった!」
悟飯は、急いで戦車群の方へ駆け出した。そして、戦車の横に立ったかと思うと…
悟飯「…そりゃ!」
ドガン!
なんと、戦車を持ち上げ、そのまま横に倒してしまった。
不良生徒C「な、なんだなんだ!?何が起こって…!!」
その後も、次々と戦車が横に倒されていく。あまりにも恐ろしい状況に、不良生徒たちは、何とかコックピットから脱出し、急いで逃げようとする。
不良生徒B「…何なんだ、あの大人!いや、それよりも…何で外から来た奴が、『気』を使えるんだよ!」
悟飯「…!?」
聞きなれた単語の登場に、思わず動揺してしまう。その隙に、生徒たちは逃げようとしたが…
ユウカ「…このまま逃がすと思う?」
不良生徒B「なっ!?」
先ほどの悟飯の指示通り、後ろから回ってきていたユウカ達は、既に戦意を喪失した不良生徒たちを、全員捕まえた。
その様子を見て、悟飯は我に返り、生徒たちに声をかける。
悟飯「お疲れさま、皆。凄い凄いじゃないか!」
ユウカ「そんなこと言ってる場合ですかぁ!?」
というわけで、この世界にも『気』が存在することが分かりましたね。
こっから先は、ただの戦いではなく、気を織り交ぜた戦いが繰り広げられるので、どうか、楽しんでいただけると幸いです。