もし未来悟飯がシャーレの先生だったら 作:ひーくんmark2
未来悟飯って、ビーデルに会うこともなく死んじゃってるんですよね…。
現代の悟飯が結婚して、娘であるパンが生まれている年齢では、
未来悟飯は死んでしまっているという…
そう思うと、あの世界の過酷さを、ひしひしと感じますね…
せめて、この世界では幸せになってほしい…
長々と話しましたが、第三話、お楽しみください。
その後、悟飯は生徒たちと共にシャーレへと向かい続け、暫くして、シャーレに辿り着けた。
悟飯「…ふう。何とか着いたね。皆、ここまでありがとうね。」
ハスミ「礼には及びません。先ほどの約束を、果たしたまでです。」
ユウカ「まあ、これで後は問題なさそうね。」
リン「これにて、…シャーレの部室、奪還完了。」
リン「先生。申し訳ありませんが、先に地下室へ向かっていてください。私はシャーレの設備に破損がないか、調べる必要がありますから。」
悟飯「分かった。それじゃ、また後でね。」
そうして、悟飯は生徒たちと別れ、シャーレの地下室へと向かった。
悟飯「…ん?」
すると、悟飯は何か妙な気を感じた。それは、キヴォトスに来てから感じた気の中で、一番大きな気だった。
悟飯(…誰か、先に連邦生徒会の子がいるのかな?…一応、気配を消して近づいていくか。)
そう警戒しながら、地下室への階段を降りていく。すると、先ほどの気の持ち主がそこにいた。
ワカモ「うーん……これが一体何なのか、全くわかりませんね。これでは壊そうにも……」
悟飯の目に入ったのは、黒を基調とし、花の柄が描かれた着物のような服を着ていて、キツネの面を被ったキツネ耳の少女だった。持っている銃をよく見ると、なんと、銃なのに刀のようなものまでついている。恐らく、戦闘をする機会が多いのだろう。
悟飯「…えっと、初めまして、だよね?」
ワカモ「…ッ!?」
バッ
今まで悟飯の気配に気づいていなかったワカモは、驚いたように悟飯の方を向くと、一歩引きさがり、銃を構えようとする。しかし…
ワカモ「…あら?」
動きを止め、悟飯の方をお面越しにじっと見つめる。
悟飯「…俺は、孫悟飯。シャーレの先生…って言ったらいいのかな。…ところで、君は?」
ワカモ「……。」
ワカモは、悟飯の質問に答えず、ただじっと悟飯の方を見つめる。周りに、少し気まずい空気が流れる。悟飯の方も、ワカモがお面をつけているので、表情が見えず、何を考えているのか分からずにいた。
悟飯「…どうかしたのかい?」
そう言って、悟飯がワカモに近づこうとした瞬間だった。
ワカモ「あ、ああ……。」
ワカモはプルプルと震えだし、何か言おうとする。
ワカモ「し、し……。」
悟飯「…し?」
ワカモ「失礼いたしましたー!!」
ビューン!
途轍もない速さで、ワカモはその場から逃げ出した。そして、気づいたころには遠くまで行ってしまい、見えなくなってしまった。
悟飯「……何だったんだ?」
悟飯の頭の中には、疑問だけが渦巻いていた。
―――その後、シャーレから離れた場所にて。
タッタッタッタッ…
ワカモは、訳も分からず走っていた。自分を捕まえた、憎むべき連邦生徒会…並びに、シャーレの襲撃という目的を忘れ、自分でもよくわからないが、何かから逃げていた。
ワカモ「…ここまでくれば、問題ないでしょう。」
人気のない路地裏に着いたワカモは、走りを止め、頭を抱え、考えを巡らせようとする。しかし、
ドッドッドッドッ…
心臓が跳ねる音が脳内に響き続け、思考を邪魔していた。少し前に矯正局に収監された時ですら、ここまで動揺することはなかった。もちろん、この胸の高鳴りは、ここまで走ったからでもなかった。
ワカモ「…ああ。私はいったい、どうしてしまったのでしょうか。」
未だに跳ね続ける心臓から、何とか気をそらし、悟飯と会った時を再び思い返す。
ワカモは、シャーレに入り込むことに成功した後は、片っ端から全てを壊そうと考えていた。しかし、偶然見つけたタブレットと謎の石板を見て、これは何なのか、と疑問に思っていると、突然、後ろから声をかけられ、すぐに臨戦態勢に入ろうとした。
矯正局から脱獄してからは、じっと気配を無くすように心がけていて、かつ、自分の周りにいる者の気配にも敏感なつもりだった。そんな自分が、気づかれずに背後を取られていたのだ。少なくても、只者ではない。そう思い、すぐにでも撃ってしまおうと、銃を構え、相手を確認したが…
ワカモの全身を、衝撃が駆け抜けた。これまで感じたことのない、全く新しい感情だった。
服越しでも分かる、鍛え上げられた筋肉で構成された、美しい体。
優しさを醸し出す優しい瞳の奥にある、只ならぬ戦士としての覚悟と、どこか儚い寂しさ。
キリリとした眉毛、整った顔立ち、その頬にある、歴戦の証であろう傷跡。
既に失われている左腕からも、今までの戦いの激しさを、心で感じ取れた。
そして、その全てに似合っている、山吹色の道着。
そんな風に、挙げだせばキリがないが、ワカモの目に映る悟飯の全てが、心を揺り動かしたのだ。
今後、どんな大人に会ったとしても、こんな気持ちを感じることはあり得ない、と感じた。
あの瞳に見つめられれば、どれほど幸せだろうか。あの手で頭を撫でられれば、どれほど嬉しいだろうか。あの御方と共に一生を生きていられるなら、全てを投げ出しても構わない。そう思えた。
ワカモ「…ああ。ああ!私、どうにかなってしまいそうです…!」
ワカモは、頭を抱え、全身を震わせていた。そして、囁くように、
ワカモ「…孫悟飯。孫悟飯。それが、あの御方の名前…。」
といった後、また嬉しそうに笑った。お面の下の表情は、きっとワカモ自身でも想像できないほど、いい笑顔をしているのだろう。
ワカモ「…貴方様♡」
ワカモの心は、一つに決まった。何をしてでも、もう一度あの人に会いたい。こんな形ではなく、ちゃんとした形で。そして、先ほど言いそびれた、自分の名前を告げよう。そう固く決心した。
ワカモ「…うふふ♡であれば、やらなければならないことが、山ほどありありますね。」
そう言った後、ワカモは歩き出した。その足取りは、嬉しさが溢れ出すかのような、軽やかな足取りだった。
ワカモ「…お待ちしていてください、貴方様。このワカモ、貴方様を失望させるようなことは、決してありませんので。」
そうして、ワカモは歩みを進める。いつか訪れる、悟飯との再会を夢見て。
?????「“恋はいつでもハリケーン”なのじゃ!!!」