もし未来悟飯がシャーレの先生だったら   作:ひーくんmark2

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というわけで、第四話です。

遂にアロナと会合して、本格的にブルーアーカイブとしての物語が始まった感じがしてきましたね。

思い返すと俺がブルアカに出会ったのは二年前か…懐かしいな…
昔の俺は、こうして小説を書いているなんて、夢にも思わないでしょうね。

また長々と話してしまいましたが、第四話、お楽しみください。


第四話「ようこそ!先生!」

―――ワカモが逃げ出した後、シャーレの地下室にて。

 

シャーレの地下室に、一人残された悟飯は、ワカモが突然逃げてしまった事に対し、ずっと疑問を浮かべていた。

 

悟飯「…ちょっと、驚かせちゃったかな。またどこかで会ったら、謝っておこう。」

 

そう独り言を呟いた後、リンが地下室に入ってきた。

 

リン「先生。設備の確認が完了しました。どれも問題なく動かせるはずです。」

 

悟飯「え?ああ、そっか。ありがとうね、リン。」

 

リン「…少し動揺している様子ですが、何かありましたか?」

 

悟飯「…何でもないよ。ちょっと、考え事をしてただけだよ。」

 

リン「…そうですか。ここに、連邦生徒会長の残したものが保管されています。」

 

そう言った後、リンは、タブレットのようなものを取り出し、悟飯に手渡した。

 

リン「…こちらを、受け取ってください。」

 

悟飯「これは…?」

 

リン「連邦生徒会長が、先生に残した物。『シッテムの箱』です。」

 

悟飯「…シッテムの、箱…。」

 

どこか聞いたことのある名前に、悟飯は少し首をかしげる。

 

リン「普通のタブレットの様に見えますが、実は正体の分からない物です。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みの全てが不明。」

 

リン「連邦生徒会長は、この『シッテムの箱』は先生の物で、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました。…私たちでは起動すらできなかった物ですが、先生ならこれを起動させられるのでしょうか、それとも…。」

 

悟飯「……うーん。」

 

連邦生徒会長が残した多くの謎に頭を悩ませ、二人は黙って考えこんでしまった。

 

リン「…では、私はここまでです。ここから先は、全て先生にかかっています。邪魔にならないよう、離れています。」

 

悟飯「…ああ。分かった。やってみせるよ。」

 

…とは言ったはいいが、肝心のパスワードも知らないし、そもそも使い方も分からない。とは言っても、起動しなければ、何も始まらないので、体にシッテムの箱を押し当てながら、どうにか片腕で電源ボタンを起動する。すると、電源が付き、水色の背景が液晶に浮かんだ。すると、

 

――――――

 

…Connecting To Crete of Shittim...

 

システム接続パスワードをご入力ください。

 

――――――

 

と表示された。

 

悟飯「…パスワード…か。」

 

結局、分からずじまいで起動したので、悟飯は、何を入力するか悩みあぐねていた。それもそのはずである。

 

そもそも、これが何なのか、悟飯には分かっていないし、連邦生徒会長、という人にだって、会った覚えがない。だから、分からないのは当然である。

 

このまま、ずっと考え込むしかないのか…と半ば諦めかけていると、悟飯の脳裏に、一つの文章が浮かんだ。何故かは分からないが、それがパスワードだという、妙な確信があった。

 

悟飯は、思いついた言葉を、そのままディスプレイ上に表示されたキーボードで入力していく。

 

”……我々は望む、七つの嘆きを。

 

……我々は覚えている、ジェリコの古則を。”

 

なぜこんな文章が浮かんだのかは、悟飯自身にも分からなかった。その文章は、どこか宗教的な古文書に乗っているような、普段では使わない言葉で作られていて、そこはかとない異質さが感じられた。

 

――――――

……。

 

接続パスワード承認。

 

現在の接続者情報は孫悟飯、確認できました。

 

「シッテムの箱」へようこそ、悟飯先生。

 

――――――

 

そう表示され、悟飯は面食らってしまった。どうやら、自分の情報は、既に登録済みなようだった。

 

――――――

 

生体認証及び認証書生成のため、メインオペレートシステムA.R.O.N.Aに変換します。

 

――――――

 

そう表示された直後、辺りが光に包まれるような感覚がして、悟飯は思わず目を閉じた。

 

そして、目を開けると、驚くような光景が広がっていた。いつの間にか、悟飯はシャーレの地下ではなく、天井や壁に穴が開き、その先には、爽やかさを感じさせる青空と、海の広がる教室に立っていたのだ。

 

悟飯は、一瞬動揺し、警戒したが、すぐにおおよその状況を理解した。今の状況は、小さい頃に、ナメック星に向かった時に、宇宙船の中でクリリンとやっていたイメージトレーニングとよく似ていた。

 

それなら、警戒する必要はない。恐らく、現実世界では、自分は普通に目を瞑って立っているだけなのだろう。

 

そう思い直し、安心すると、目の前に、机にうつ伏せで、寝息を立てている少女がいたことに気付いた。

 

???「くううぅぅ…Zzzz」

 

本当に寝ているようで、目の前に悟飯がいるのに、気が付いていないようだった。

 

???「むにゃ、カステラにはぁ……いちごミルクより……バナナミルクのほうが……」

 

???「えへっ……まだたくさんありますよぉ……。」

 

気持ちよさそうに寝ているのを見て、起こすのを躊躇ったが、今はそうも言ってられない。その少女の肩をそっと持ち、何度か揺り動かしてみる。熟睡しているのか、起きる気配が無かったが、その後も揺らし続けて、ようやく起きた。

 

???「むにゃ……。んもう。ありゃ……?」

 

???「え?あれ?あれれ?せ、先生!?」

 

???「この空間に入って来たっていうことは、ま、ま、まさか孫悟飯先生……?!」

 

悟飯「…やっと起きてくれたたか。おはよう。確かに俺は、孫悟飯だ。…ところで、君は?」

 

???「う、うわああ!?そ、そうですね⁉もうこんな時間!?」

 

言葉の節々から、目の前の少女が焦っているのが伝わってくる。しばらくして、何とか落ち着いたのか、笑顔を見せ、自己紹介を始める。

 

アロナ「私はアロナ!この『シッテムの箱』に常駐しているシステム管理者であり、メインOS、そしてこれから先生をアシストする秘書です!」

 

どうやら、このアロナという少女は、このシッテムの箱の管理者らしい。そうは見えないが、なにか凄いことができる…のかもしれない。そんな風に悟飯が思っていると、アロナはにっこりと笑って、悟飯の方に近づいた。

 

アロナ「やっと会うことが出来ました! 私はここで先生をずっと、ずーっと待っていました!」

 

悟飯「…俺を?君がかい?」

 

アロナ「はい!」

 

そういえば、この少女は、悟飯が自分の名前を言う前から、悟飯のことを知っていたようだった。そこで、悟飯は、いくつか気になることがあった。

 

悟飯「…もしかして、俺のことを、前から知ってたのかい?」

 

アロナ「はい!もちろんです!先生のことなら、大体のことは答えられますよ!」

 

悟飯「…俺のお父さんの名前は?」

 

アロナ「もちろん知ってますよ!孫悟空さんですよね!サイヤ人と言われてる種族で、凄く強い人だったと聞いてます!」

 

悟飯「…父さんの得意技と言えば?」

 

アロナ「それはもちろん、かめはめ波ですよね!師匠の武天老師さんから受け継いだ、気を溜めて放つ必殺技ですよね!悟飯先生も使えることも知ってます!」

 

どうやら、本当におおよそのことは知っているようだった。自信たっぷりな顔で質問に答えてくれるアロナを見て、悟飯はそう思った。そして、悟飯は、もしかしたらと思い、もう一度質問をした。

 

悟飯「…じゃあ、俺が死んだ後、トランクスがどうなったかとかは…。分かるかい?」

 

そう質問され、アロナの表情が硬くなる。そう言った後、少し悲しんだような表情で、その質問に答える。

 

アロナ「…すいません、先生。私が知ってるのは、先生があの世界で、人造人間に殺された後の、その直後のこと位までだけです。…だから、今、トランクスさんがどうしているかまでは、分かりません。」

 

アロナ「…でも、一つ知っていることがあります。トランクスさんは、向こうの世界で、悟飯先生の死を知って…超サイヤ人に、なれました。」

 

悟飯「…!」

 

悟飯は、それを聞いて、心の底から安堵した。トランクスなら、これからもっと強くなってくれるだろう。そして、いつか必ず、人造人間を倒してくれる。あの世界に生きる人々の、希望になってくれるはずだ。

 

だが、それと同時に、トランクスの成長を、すぐ近くで見てやれないのも、孤独に人造人間に挑み続けるトランクスを助けてあげられないことへの後悔もあった。

 

悟飯「…そうか。よかった…。」

 

しかしそれでも、トランクスが強くなったことへの嬉しさが大きかった。

 

アロナ「…トランクスさんは、きっと、人造人間を倒すために、奮闘し続けているのだと思います。悟飯先生は、トランクスさんを強くする役割を立派に果たせたんです。」

 

アロナは、優しく諭すような声で、続けた。

 

アロナ「だから、先生は気に病みすぎないてください。…これからは、困っている生徒さん達や、他の人たちを助けていきましょう!心配せずとも、先生には、この私が付いてますから!」

 

ドヤ顔でそう話すアロナを見て、悟飯はどこか安心した。

 

悟飯「…ははっ。そうだな。」

 

悟飯(…そうだ。どうしてそうなったかは分からないけど、俺は、先生になったんだ。この、キヴォトスと言う場所で。)

 

元居た世界のことや、母さんや、人造人間のこと、トランクスのことなど、気になることは多くあるが、今はそうも言ってられない。今度は、先生として、皆を助けていこう。悟飯はそう決心した。

 

悟飯「…そう言えば、俺が来た時、何かしようとしてなかったかい?」

 

悟飯にそう言われて、アロナはハッとしたように思い出した。

 

アロナ「…あっ!そうでした!悟飯先生の生体認証をしないといけないんでした!」

 

再び慌てた表情を見せるが、すぐに落ち着き、その後、少し恥ずかしそうな表情になる。

 

アロナ「…ちょっと恥ずかしいですが、こちらの方まで来てください。」

 

そう言われて、悟飯はアロナの方へ近づく。

 

アロナ「さあ、この私の指に、先生の指を当ててください。」

 

そう言われて、悟飯は差し出されたアロナの人差し指に、自分の人差し指の腹で軽めに触れる。

 

アロナ「うふふ、まるで指切りして約束するみたいでしょう?」

 

悟飯「そうだね。昔のことを思い出すな、こういうの。」

 

悟飯は、母であるチチとの約束事の時は、いつも指切りげんまんで約束していた。父である悟空とは、拳を突き合わせて約束をしたっけな、と昔のことを思い返していた。今となっては、どれも懐かしい思い出である。

 

アロナ「実は、これで生体情報の指紋を確認するんです! 画面に残った指紋を目視で確認するのですが……すぐ終わります! こう見えて目は良いので。」

 

そう言って、アロナは指紋の確認を始めた。ただ、あまりよく見えないのか、よく目を凝らせて、そこそこ長い間、じーっと確認していた。

 

アロナ「……はい! 確認終わりました♪」

 

悟飯は、やけに時間がかかってたな、とは思ったが、それは心の中にしまっておくことにした。そして、やるべきことは一通り終わったらしいので、今のシャーレの状況、アロナにやってほしいことなどを、色々と話した。

 

アロナ「なるほど……先生の事情は大体わかりました。連邦生徒会長が行方不明になって、そのせいでキヴォトスのタワーを制御する手段がなくなった……。」

 

悟飯「連邦生徒会長、って人について、アロナは何か知ってるか?」

 

アロナは、申し訳なさそうに首を横に振った。

 

アロナ「私はキヴォトスの情報の多くを知ってはいますが……連邦生徒会長についてはほとんど知りません。彼女が何者なのか、どうしていなくなったのかも……。」

 

悟飯「…そうか。うーん…。」

 

悟飯に先生という役割を任せ、シッテムの箱を残していったことを考えると、自分は相当に連邦生徒会長に信頼されているらしい。だが、どこで知り合ったのか、どうにも思い出せない。

 

アロナ「お役に立てず、すみません。……ですが、サンクトゥムタワーの問題は私が何とか解決出来そうです。」

 

悟飯「本当かい?それじゃ、お願いできるかな。」

 

アロナ「はい! 分かりました。それでは、サンクトゥムタワーのアクセス権を修復します!」

 

暫くすると、現実世界では、ウィィィィィン―――と音が鳴り、シャーレの地下室に電気がともった。そして、サンクトゥムタワーは、アロナの統制下になったことも伝えられた。

 

アロナ「今のキヴォトスは、先生の支配下にあるも同然です!」

 

それを聞いて、悟飯は少し戸惑った。ただでさえキヴォトスについて、そもそも先生という仕事について、分からないことが多すぎる自分にとって、それはあまりにも荷が重すぎる。少し強いからと言って、片腕となっている自分に、まともに管理が出来る気もしない。悟飯は、そう思った。

 

悟飯「…アロナ。サンクトゥムタワーの制御権を、連邦生徒会に移すことは出来るかい?」

 

アロナ「え?確かに、先生の承認があれば、連邦生徒会に制御権を移管することはできますが…でも、大丈夫ですか?連邦生徒会に制御権を渡しても…。」

 

悟飯「ああ。構わないよ。彼女らの方が、俺よりずっとうまくやってくれるだろうからね。」

 

アロナ「分かりました。これよりサンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管します!」

 

その後、暫くしてから、悟飯の意識は現実世界に戻った。すると、リンが悟飯に話しかけた。

 

リン「孫先生、サンクトゥムタワーの制御権の確保が確認できました。これからは連邦生徒会長がいた頃と同じように、行政管理を進められますね。」

 

悟飯「よかった。それじゃ、これで一件落着、って所かな。」

 

リン「はい。お疲れ様でした先生。キヴォトスの混乱を防いでくれたことに、連邦生徒会を代表して深く感謝いたします。」

 

悟飯「役に立てたのなら、何よりだよ。」

 

リン「それでは『シッテムの箱』は渡しましたし、私の役目は終わったようですね。私はこれで―――

 

そう言いかけた時、リンは何かを思い出したように立ち止まった。

 

悟飯「…リン?どうかしたのかい?」

 

リン「…大事なことを、失念していました。シャーレにある施設の紹介がまだでしたね。」

 

そう言うと、リンは地下室の階段の方へ向かっていき、悟飯の方を振り向く。

 

リン「着いてきてください、先生。連邦捜査部『シャーレ』をご紹介します。」

 

目下の悩みの種が無くなったからか、リンは、とても穏やかな表情をしていた。




ドラゴンボールZ KAKAROTのDLCをやった人なら分かると思うんですが、未来のトランクスがずっと可哀そうでしかないんですよね…

誰かに希望を託され、そしてその託したものは死んでいく。だから、たった一人で戦い続けるしかない…という、ただただ悲しい結末…更に言うと、その先に待っているのが…と考えると、切実にトランクスには幸せになってほしいものですね。
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