機動戦士ガンダム ブライト・ノア「このおにぎりを作ったのは誰だあっ!」 美味しんぼ 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
U.C.0092年11月。ロンデニオン港、東西新聞支局。
帝都新聞ロンデニオン支局から、正式な書状が届いた。差出人は、美食倶楽部の後見人を務める本社の重役だった。
「至高のメニューと究極のメニュー、両企画の決着をつけるべく、公開対決の実施を提案する。日時は3月、審査員は両紙の外部有識者。敗れた側は、以後1年間、相手陣営の企画に一切異議を唱えないものとする」
支局中がざわめいた。エル・ビアンノが真っ先に声を上げる。
「1年間、異議を唱えられないって、それ、実質的に敗北宣言じゃないですか!」
「落ち着いてください。これは向こうの揺さぶりです」
リィナ・アーシタが冷静に条件を分析していく。
「向こうの狙いは、私たちを焦らせて、拙速な対応をさせることです。受けて立つにしても、条件はこちらで詰め直すべきです」
ブライト・ノアは、この書状を前に、意外なほど落ち着いていた。
「面白い。受けよう。ただし条件を1つ追加する。審査員には、有識者だけでなく、実際に配給を受ける住民の代表も加えること」
「それは……」
「至高も究極も、机上の議論で決まるものではない。食べる側の声が、最終判断であるべきだ」
私はその提案を、そのまま記事にした。「至高vs究極、公開対決へ。審査員には住民代表も」。反響は大きかった。地球の読者からも、サイド1の住民からも、この対決を見守りたいという声が、電子稿の掲示板に殺到した。
エル・ビアンノは、対決の噂を聞きつけるなり、目を輝かせて叫んだ。
「これ、優勝賞品ってあるんですか!? まさか賞品は帝都新聞側のまかない食べ放題とか!?」
「エル、賞品の話をする前に、審査基準の草案を確認してください」
リィナがすかさず釘を刺す。それでもエルは意に介さず、ノートに架空の対戦カードを書き殴り始めた。至高の塩むすびvs究極のスープ、至高の太麺ラーメンvs究極の細麺ラーメン。その落書きは、後日そのまま企画書の付録として支局内で回覧されることになる。
ファ・ユイリィは、この一連の動きを静かに見守りながら、私にこう言った。
「勝ち負けじゃなくて、結局、みんなが食に真剣になってくれること自体が、私にとっての本当の勝利なのよ」
その言葉を、私はそのまま手帳の最後のページに書き写した。
一方で、名もなき、いや今は名前を取り戻した少年は、この対決の噂を聞いて、屋台通りの親父さんにこう尋ねたという。
「僕も、食べていいの?」
「当たり前だ。至高だろうが究極だろうが、坊主が食って笑うのが、1番の目的だろうが」
親父さんの答えに、少年は嬉しそうに頷いた。私はその会話を伝え聞いて、この長い対立の本当の意味を、改めて噛みしめた。
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