機動戦士ガンダム ブライト・ノア「このおにぎりを作ったのは誰だあっ!」 美味しんぼ 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
U.C.0092年12月。ロンデニオン港、美食倶楽部。
公開審査の後、覆面評論家「舌聖」が、正体を明かして支局を訪れた。素顔を見せたその人物は、意外にも、まだ若い女性だった。
「初めまして。舌聖の中身は、私です」
彼女の名は、パラヤ・ソウマ。帝都新聞本社の若手評論家で、匿名での辛口評論を武器に頭角を現してきた人物だという。
「なんで正体を明かしたんですか」
エル・ビアンノが率直に尋ねると、パラヤは少し照れたように答えた。
「あの公開審査、あなたたちの究極のスープを食べて、匿名の陰から評論するのが、急に恥ずかしくなったの。顔を見せて、正々堂々、次の勝負を挑みたくなった」
リィナ・アーシタが冷静に、パラヤの過去の評論記事を確認していく。
「あなたの評論、感情論に見えて、実は数字の裏付けがしっかりしています。原価計算、廃棄率、栄養価。ただの毒舌ではないですね」
「見抜かれたわね。私、帝都新聞に入る前は、補給部隊の物資管理をしていたの。数字を無視した美食論が、大嫌いだったのよ」
「補給部隊、ですか。じゃあ、あの塩の横流し事件の記事も、専門知識があったから、あんなに鋭かったんですね」
私が納得すると、パラヤは少し得意げに頷いた。
「当たり前でしょう。数字を軽んじる評論家なんて、ただの感想文書きよ。私は、味と数字、両方で殴れる評論家になりたいの」
エルがその言葉に、目を輝かせた。
「かっこいい……パラヤさん、弟子入りしたいくらいです」
「弟子は取らないけど、ライバルなら歓迎するわ」
その経歴に、ブライト・ノアが興味を示した。
「補給部隊出身か。至高の補給線が決壊した時の記事、あれもお前が書いたのか」
「ええ。あの記事、正直、悔しかったわ。私が書く前に、東西のキッカさんに先を越されたから」
私はその言葉に、少し誇らしい気持ちになった。同時に、彼女の視点の鋭さに、身が引き締まる思いもした。
「これから、あなたとは、良きライバルとして付き合わせてもらいたいわ」
パラヤの申し出に、ファ・ユイリィが静かに微笑んだ。
「至高と究極、そして帝都と東西。立場は違っても、目指す先は同じよ。おいしいと思える瞬間を、1つでも多くの人に届けること」
その言葉に、パラヤは深く頷いた。
以降、パラヤは覆面ではなく、実名でロンデニオン港の取材に加わるようになった。彼女の辛口評論は、東西新聞文化部にとって、時に耳の痛い、しかし確かな成長の糧になっていった。
私は記事の結びに、こう書いた。「帝都の刺客、正体は、私たちと同じ、うまいものを本気で追う仲間だった」。
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