機動戦士ガンダム ブライト・ノア「このおにぎりを作ったのは誰だあっ!」 美味しんぼ 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
U.C.0093年1月。ロンデニオン港、東西新聞支局。
東西新聞本社から、正式な辞令が届いた。「究極のメニュー、サイド1篇」を、創刊1000周年記念連載の目玉企画として、地球圏全域に配信するというのだ。
「私たちの記事が、地球圏全域に……!?」
エル・ビアンノが声を裏返らせた。リィナ・アーシタでさえ、珍しく手を止めて、辞令の文面を何度も読み返していた。
「これは、名誉であると同時に、責任です。地球圏中の読者が、この港の記事を読むということです」
支局長からの追伸には、こう書かれていた。「これまで通りの取材姿勢を貫け。飾らず、誇張せず、しかし手も抜かず」。
私はその言葉を、深く胸に刻んだ。これまで積み重ねてきた、塩の横流し事件、あらいの事故、停電の夜のスープ、名もなき少年の成長。そのどれもが、地球圏の読者に届くことになる。
ブライト・ノアも、この報せを聞いて、美食倶楽部として正式な祝辞を送ってきた。
「至高の名において、東西新聞文化部の躍進を祝う。ライバルの活躍は、至高にとっても誇りだ」
パラヤ・ソウマも、帝都新聞の立場から、こんな寄稿を寄せてくれた。
「東西の連載、1000周年に相応しい仕事だと思う。悔しいけど、認めざるを得ない」
エルはその寄稿文を何度も読み返し、感極まった様子で言った。
「パラヤさんに、こんなこと言わせるなんて……私たち、頑張ったんだね」
「感傷に浸るのは配信後にしてください。今は特集の構成案を仕上げる方が先です」
リィナの一喝に、エルは慌てて姿勢を正した。それでも、その顔には、隠しきれない誇らしさが浮かんでいた。
私たちは、全6回となる特別企画の初回配信に向けて、これまでの取材を一つの大きな物語として編み直す作業に取りかかった。ファ・ユイリィが料理面の監修を、エルが実食レポートを、リィナが数字とデータの裏付けを、そして私が全体の筆をまとめる。
「これは、私たち4人だけの成果じゃない」
リィナが、編集会議の最後にぽつりと言った。
「塩の事件を起こした元倉庫管理人も、冷凍設備の修理担当者も、屋台の親父さんも、名前を取り戻した少年も、みんなの記録の積み重ねが、この連載を作った」
私はその言葉に頷きながら、こう記事の冒頭に書いた。
「東西新聞、創刊1000周年特別企画。究極のメニュー、サイド1篇。これは、一人の記者の物語ではない。ロンデニオン港に生きる、全ての人の物語である」
特別企画第1回の配信ボタンを押す瞬間、支局の全員が、固唾を飲んで見守った。反応は、これまでのどの記事よりも、静かに、そして深く、地球圏全域に広がっていった。
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