機動戦士ガンダム ブライト・ノア「このおにぎりを作ったのは誰だあっ!」 美味しんぼ 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
U.C.0093年2月。ロンデニオン港、特設会場。
特別企画の最終回に向け、東西新聞文化部と美食倶楽部、双方の合同炊き出しが企画された。至高側と究極側が、初めて同じ厨房に立つ日だった。
「至高と究極が、同じ鍋で料理を作るなど、前代未聞だ」
ブライト・ノアがそう言いつつも、その表情には、これまでにない柔らかさがあった。
エル・ビアンノとパラヤ・ソウマが、食材の仕分けを一緒に行う。かつては敵対する陣営の記者だった2人が、今では軽口を叩き合う仲になっていた。
「パラヤさん、こっちの野菜、切り方雑すぎます」
「うるさいわね、味に影響ないから大丈夫よ」
「影響あります!! リィナさんが計算した通りに切らないと、火の通り方が変わります!!」
リィナ・アーシタが、その様子を見て、珍しく小さく笑った。
「至高側にも、こういう掛け合いができる人がいるとは、思いませんでした」
「リィナさんだって、最初は帝都新聞を目の敵にしてたじゃないですか」
パラヤに切り返され、リィナは珍しく言葉に詰まった。
「……否定はしません。ですが、正確な仕事をする相手には、敬意を払うべきだと、考えを改めました」
「素直じゃないところも含めて、あなたらしいわね」
パラヤの言葉に、リィナはわずかに頬を赤らめながら、伝票の束に視線を戻した。
厨房の中央では、ブライトとファ・ユイリィが、並んで大鍋をかき混ぜていた。
「ファ、お前が最初に、口で言うより手で見せろと言った日を、覚えているか」
「もちろん覚えてる。あの日から、あなたは少しずつ、変わったと思うわ」
「至高の鬼と呼ばれた私が、こうして誰かと並んで鍋を振るう日が来るとはな」
「鬼でも、うまいものの前では、みんな同じよ」
名前を取り戻した少年も、この日は堂々と厨房に立ち、自分の得意なトンカツを揚げる担当を任されていた。彼の周りには、自然と、これまで出会ってきた全ての人々が集まっていた。塩の事件を起こした元倉庫管理人も、冷凍設備の修理担当者も、屋台の親父さんも、みんなが、同じ会場に集っていた。
完成した料理が、一つの長い卓に並べられた。至高側の一皿、究極側の一皿、そして両者が合作した新しい一皿。
「至高でも究極でもない、ただ、うまいものを、みんなで食べる日」
私は、その光景を見ながら、静かにそう記事の見出しを決めた。
会場に響く、笑い声と、食器の触れ合う音。私はその音を、これまでのどの記事よりも、丁寧に、長く、手帳に書き留め続けた。
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