機動戦士ガンダム ブライト・ノア「このおにぎりを作ったのは誰だあっ!」 美味しんぼ   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

23 / 23
至高と究極、同じ卓を囲む日

U.C.0093年2月。ロンデニオン港、特設会場。

 

特別企画の最終回に向け、東西新聞文化部と美食倶楽部、双方の合同炊き出しが企画された。至高側と究極側が、初めて同じ厨房に立つ日だった。

 

「至高と究極が、同じ鍋で料理を作るなど、前代未聞だ」

 

ブライト・ノアがそう言いつつも、その表情には、これまでにない柔らかさがあった。

 

エル・ビアンノとパラヤ・ソウマが、食材の仕分けを一緒に行う。かつては敵対する陣営の記者だった2人が、今では軽口を叩き合う仲になっていた。

 

「パラヤさん、こっちの野菜、切り方雑すぎます」

 

「うるさいわね、味に影響ないから大丈夫よ」

 

「影響あります!! リィナさんが計算した通りに切らないと、火の通り方が変わります!!」

 

リィナ・アーシタが、その様子を見て、珍しく小さく笑った。

 

「至高側にも、こういう掛け合いができる人がいるとは、思いませんでした」

 

「リィナさんだって、最初は帝都新聞を目の敵にしてたじゃないですか」

 

パラヤに切り返され、リィナは珍しく言葉に詰まった。

 

「……否定はしません。ですが、正確な仕事をする相手には、敬意を払うべきだと、考えを改めました」

 

「素直じゃないところも含めて、あなたらしいわね」

 

パラヤの言葉に、リィナはわずかに頬を赤らめながら、伝票の束に視線を戻した。

 

厨房の中央では、ブライトとファ・ユイリィが、並んで大鍋をかき混ぜていた。

 

「ファ、お前が最初に、口で言うより手で見せろと言った日を、覚えているか」

 

「もちろん覚えてる。あの日から、あなたは少しずつ、変わったと思うわ」

 

「至高の鬼と呼ばれた私が、こうして誰かと並んで鍋を振るう日が来るとはな」

 

「鬼でも、うまいものの前では、みんな同じよ」

 

名前を取り戻した少年も、この日は堂々と厨房に立ち、自分の得意なトンカツを揚げる担当を任されていた。彼の周りには、自然と、これまで出会ってきた全ての人々が集まっていた。塩の事件を起こした元倉庫管理人も、冷凍設備の修理担当者も、屋台の親父さんも、みんなが、同じ会場に集っていた。

 

完成した料理が、一つの長い卓に並べられた。至高側の一皿、究極側の一皿、そして両者が合作した新しい一皿。

 

「至高でも究極でもない、ただ、うまいものを、みんなで食べる日」

 

私は、その光景を見ながら、静かにそう記事の見出しを決めた。

 

会場に響く、笑い声と、食器の触れ合う音。私はその音を、これまでのどの記事よりも、丁寧に、長く、手帳に書き留め続けた。




お気に入り登録や評価で応援していただけると大変励みになります!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

(魔界の)神様(に)転生!そして伝説へ…(作者:ぶーく・ぶくぶく)(原作:ダイの大冒険)

※本作は作者が読みたい原作改変を自給自足する趣味作です。感想や考察はありがたく拝見しますが、展開は作者の予定と趣味を優先して進めます。▼ 大魔王バーンに転生した男は、魔界の惨状を見て理解した。▼ この世界には救いが必要だ。▼ ただし、地上を消し飛ばす必要はない。▼ 地上と魔界を繋ぐギアガの大穴。▼ 魔界を潤す水と光。▼ ロモス統治、ハドラー育成、バラン一家保…


総合評価:12224/評価:7.68/完結:30話/更新日時:2026年07月24日(金) 19:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>