【完結済】機動戦士ガンダム ブライト・ノア「このおにぎりを作ったのは誰だあっ!」 美味しんぼ 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
U.C.0093年2月。ロンデニオン港、東西新聞支局。
創刊1000周年特別企画、最終回の配信日。支局には、これまでの取材で関わった、ほぼ全員が集まっていた。ブライト・ノア、ファ・ユイリィ、エル・ビアンノ、リィナ・アーシタ、パラヤ・ソウマ、屋台の親父さん、そして、名前を取り戻した少年。
私、キッカ・コバヤシは、最終回の原稿を、何度も読み返していた。
「至高でも究極でもない。ただ、うまいものはうまいと叫んでいい」
これは、私たちがこの港で、半年近くかけて辿り着いた、たった一つの結論だった。塩むすびから始まり、塩の横流し事件、あらいの事故、ラーメン三銃士、東西グラフとの合流、覆面評論家との対決、停電の夜の究極のスープ、ブライトの過去、リィナの決算書、そして、少年が自分の名前を取り戻した日。その全てが、この最終回に、静かに束ねられていく。
「配信、押します」
リィナが、いつも通り冷静に告げた。だが、その指先は、いつもより少しだけ、震えていた。
配信ボタンが押された瞬間、支局の全員が、固唾を飲んで画面を見つめた。反応は、これまでのどの記事よりも、地球圏全域から、静かに、しかし確かに広がっていった。
エルが真っ先に、涙ぐみながら叫んだ。
「見て見て、地球のコメント欄!! みんな『続きが読みたい』って書いてくれてる!!」
「続報の企画会議は、明日でいいですね」
リィナが涙をこらえるように、あえて事務的な口調でそう言った。その声が、わずかに震えていることに、私は気づかないふりをした。
ブライトが、感慨深げに呟いた。
「至高の鬼と呼ばれた私が、こんな結末を迎えるとはな」
「究極の私たちも、同じですよ」
エルが笑いながら返すと、パラヤが横から茶々を入れた。
「結局、至高も究極も、最後はただの仲間になっちゃったわね」
ファ・ユイリィが、静かに微笑みながら、少年の肩に手を置いた。
「あなたの名前、記事の最後に、載せてもいい?」
少年は、少し照れながらも、はっきりと頷いた。
その日の記事の最後、少年の名前は確かに記された。けれど、ここで私がその名前をもう一度書く必要はない。名前を知ることと、名前を消費することは、違うからだ。代わりに、私はこう締めくくった。
「一年戦争がもたらした喪失の中で、名前を失った一人の少年がいた。彼は今、この港で、自分の名前と、自分の得意な一皿を持っている。至高でも究極でもない。ただ、うまいものを、誰かのために作れる人間に、彼はなった。それこそが、この長い連載の、本当の結末である」
私は手帳を閉じた。次の取材は、また明日から始まる。そう思っていた矢先、ラー・カイラムに緊急の出航準備がかかった。ブライトは厨房を出る前に、ただ一言、「続きは帰ってからだ」と言った。至高と究極の物語に、本当の終わりはない。ただ、うまいものを追い続ける限り、この港の日々は、これからも続いていく。
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