Unique Tale Online ~竜人少女(?)の珍道中~   作:姫河ハヅキ

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第十一話 ゲーム二日目

 翌日。朝ご飯と勉強を終え、再びログイン。おじさんの屋敷の一部屋にある天蓋付きのベッドで目を覚ます。

 昨日は気にしてなかったけど、内装とか家具がすっごい豪華なんだよねぇ。この部屋は使ってないって言ってたのに、立派な家具が揃ってる。おじさんはどれだけお金持ちなのかな?

 そういえば、地竜との戦いでレベル上がったのにLP使ってなかったよ。ステータス画面を開いてさっさと振っておこう。

 ······うん?地竜で上がったのは3レベだけだったはずなのにそこからさらに2アップしてるのはなんで?しかも、SPが足りなかったせいでまだ習得してない【魔力操作】がいつの間にかスキル画面にあるよ?

 心当たりはおじさんとの腕試ししかないんだけど、戦闘訓練はモンスター討伐より得られる経験値は格段に少ないはずなんだよね。······おじさんのレベルってどれだけ高いんだろう。多少の誤差はあるけど

 地竜の幼体を倒した経験値=ステータスが十分の一以下になったおじさんと数分の模擬戦をした経験値

 だからね。万全のステータスで本気出されたら一瞬で殺される。いや、ボクはこのゲーム始めたばっかりだから瞬殺されるのは当然のことなんだけど。

 それにしても、おじさんやエメロアの声が全く聞こえないね。もしかして、まだ寝てる?いや、もう十時過ぎてるからさすがに起きてるよね。

 ふと横を見ると、机には書き置きが。

 

『多分寝てるから起こしてくれ。基本的に俺が起きるのは正午すぎだ。 パンツァー

ワシも頼む。そしてご飯も作ってほしいのじゃ。食材や調理器具の使用はワシが許可する。厨房は一階の、階段を向いて左側の一番手前じゃ。 エメロア』

 

 ·········あ、はい。

 寝ていた部屋から出て階段を降り、一階の厨房に向かう。そこにあった冷蔵庫のような見た目をした機械を開けてみると、中には様々な食材があった。

 ボクの【料理】スキルはまだLv1だから料理の出来が不安だなぁ···。現実での腕前を加味してくれることを祈ろう。というか、何を作ろうか。今のスキルレベルの低さを考えるとあまり複雑な料理は作らない方がよさそうだね。無難に目玉焼きとベーコンでいこう。

 って、あ。二人を起こすの忘れてた。二人の部屋に行ってから朝ごはんを作らないと。時間的には昼ごはんだけど。

 ······そうは言っても、ボクは二人が寝てる部屋を知らない。ここは広いから、手当たり次第に開けていくしかないよね。

 ちなみにこの屋敷の構造を説明すると、扉を開けると玄関のすぐ先に大きな階段があり、一階も二階もその階段を境に左右に部屋があるといった感じだ。ボクが泊まらせてもらったのは、二階の左側一番手前の部屋。エメロアには二階はほぼ丸々空いてると聞いたので適当な部屋を使わせてもらった。

 それでは二人の捜索開始。

 まずは右側の一部屋目。そこにあったのは大量の武器や防具。ここは武具庫だね。短杖や長杖、ローブとかはエメロアので、大剣や鎧はおじさんのかな。二人は居なかったので次の部屋にgo。

 二部屋目。大釜やたくさんの瓶詰めされた薬。ここは調合室かな?何に使うのかよくわからない機械もあるけど、それより薬の色が気になるなぁ···。青色とか緑色なら他のゲームでも見たことあるし、特に違和感は無いんだけど······煙を出している紫色のと、泡立っているピンクのと、ドス黒いのは危険な匂いしかしない·········あれらは何かな?とりあえず事件が起きる前に退散しておこう。

 三部屋目。今度は数えきれない程の本がある図書室。蔵書数もすごそうだけど、部屋の広さがおかしいことになっている。明らかにこの屋敷と同じくらいかそれ以上の広さがあるよ·········。空間魔法でも使っているのかなぁ?さすがファンタジー世界。現実でできないことを平然とやってのける。そこに痺れる憧れるぅ!なんちて。

 四部屋目。中心には大きな炉と金床があり、棚には金属のインゴットが所狭しと置かれている。ここは鍛冶場だね。エメロアは体格的に向いてなさそうだからこの場所を使うのはおじさんかな?

 五部屋目。やっとエメロアを見つけた。なんでこんな奥にあるのかな?まあ、手前の部屋に住む必要もないけどね。

「ほら、起きてエメロア。朝だよ〜」

 

「むにゃむにゃ······うみゅん·········」

 

 起きそうな気配が全くしない。もう少し起こし方を工夫した方が良さそう。

 

「起きないとごはん作ってあげないよ」

 

「なんじゃとぉ!?」

 

 あ、起きた。柊和姉や雫乃と同じ起こし方でいけるのね。

 

「うむん?目の前に何やら二つの山があるのう」

 

 むにゅん。

 

「ひにゃあ!?」

 

「スノウ······おぬし本当に男かの?あげる悲鳴が女と同じそれじゃぞ?」

 

「まず人の胸を揉まないで!?」

 

 人は驚いた時には何かしら悲鳴をあげちゃう生き物だよ!?

 

「よし、エメロアは起きたから今度はおじさんを起こしに行かないと。エメロアはおじさんがどの部屋で寝てるか知ってる?」

 

「左側の奥から二番目じゃ。あと、あやつはちょっとやそっとじゃ起きぬぞ?」

 

「じゃあどうやって起こせばいいの?」

 

「スノウにはその立派な胸があるじゃろう?」

 

 まさか··········

 

 

 場所は変わっておじさんの部屋。ボクは今、可憐な顔をゲスい表情へと変えた悪魔(幼女)の脅迫に屈しようとしていた。

 

「ほれほれ、早くやるのじゃ」

 

「や、やっぱり恥ずかしいよ······」

 

「肉体操作の魔術でそれより激しいことをしてやろうか?」

 

「うっ······」

 

 エメロアには『その立派な乳房でパンツァーの顔を埋めて起こしてやるのじゃ。拒否するようならワシがおぬしの肉体を魔術で操作してやるぞ?かなり淫らな感じでの』と脅しを受けている。あのゲスいニヤケ顔がすっごいムカつく!

 はぁ······被害を抑えるにはやるしかないんだよね。

 ボクは嫌々ながらもおじさんへと近寄り、頭のすぐ側まで辿り着いた。

 

「ごめんなさい。おじさん」

 

 どさっ

 胸でおじさんの顔を埋めて、呼吸をできなくする。

 

「むっ、むぐ·······」

 

 そろそろ起きるかな?ボクも恥ずかしいから早く起きてほしい。

 

「············ぶはぁっ!」

 

「ひゃあっ」

 

 おじさんがいきなり体を起き上がらせたせいでボクはコケてしまう。

 

「今のはなんだ?呼吸できなかったぞ!?」

 

「ふっふっふ」

 

 笑っているエメロアと倒れているボクを見て、状況を把握したおじさんは、鋭い目をエメロアに向ける。

 

「エメ······てめぇ、嬢ちゃんに何をやらせた?」

 

「大したことはしておらんよ。スノウの胸でおぬしの鼻を塞いで起こしただけじゃ」

 

「大したことしてんじゃねぇかよ!?それに嬢ちゃんも、なんでそんなことに加担したんだよ?」

 

「やらなかったら肉体操作の魔術を使うって言われたから······ごめんなさい」

 

「ほう?」

 

 ボクの言葉を聞いたおじさんは先程よりさらに鋭い目をエメロアに向ける。

 

「おいエメ。お前が俺に悪戯するのは別に構わねぇけどよ、他人を巻き込むんじゃねぇ。しかも、異界とこっちの世界で性別が違うせいで戸惑っている嬢ちゃんをだ。今度したら本気でぶっ飛ばすぞ?」

 

「す、すまぬ······」

 

「謝る相手は俺じゃねぇ。嬢ちゃんだ」

 

「すまぬ、スノウ」

 

「いいよ。謝ってくれたし」

 

「嬢ちゃんはもっと怒っていいんだぞ?」

 

「恥ずかしかったけど、そこまで怒ってないよ」

 

「嬢ちゃんは優しいな······。エメ、今日渡す装備に()()を入れるぞ」

 

「なぬ!?()()は二度と手に入らぬ貴重品じゃぞ!?」

 

「嬢ちゃんに対する詫びだ。お前、謝っただけで罪を償えたと思うなよ?」

 

 罪って少し言い過ぎじゃないかな?

 

◆◆◆◆◆◆

 

「はい、どうぞ」

 

「すまんな嬢ちゃん。あんな迷惑をかけちまった上に飯まで作ってもらってよ」

 

「このぐらいなら手間じゃないよ」

 

 小一時間の説教を終え、おじさんとエメロアは食卓に付き、昼ごはん中。

 

「エメ、これ食い終わったら倉庫いくぞ。嬢ちゃんにあげる装備と魔導書(グリモワール)技能書(スクロール)を見繕う。いや、嬢ちゃんに来て貰った方がいいか?」

 

「装備だけでもありがたいのに、魔導書と技能書は貰い過ぎだよ」

 

「俺の家の倉庫には同じ魔導書と技能書がしこたまあってだな、『そんなに余ってるなら誰かにあげて。』って知り合いにも言われてるからな。在庫を少しでも処分するにはいい機会だ」

 

 どんだけ持ってんの·········?

 

 ちなみに、魔導書、技能書というのは魔法やスキルをSP消費無しで習得できる希少な代物だ。この屋敷にはたっぷりあるみたいだけどもう一度言おう、希少である。

 

「ワシらの初めての弟子じゃからの。出来る限りバックアップするのじゃ」

 

 まあ、貰えるなら喜んで貰っちゃおうかな。

 

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