Unique Tale Online ~竜人少女(?)の珍道中~   作:姫河ハヅキ

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第二十四話 「何これえええええええええ!?」

◇◆◇◆◇◆◇

 

「それで、ラスト。何か最期に言い残したいことは?」

 

「誠に申し訳ございませんでしたぁっ!」

 

 場所は変わって■■の住処。人化した■■が、同じく人化している『色欲の淫靡竜(ラスト·アスモデウス)』、通称ラストの頭を踏みつけ、遺言を聞いている。

 

「なぁ?ワタシは娘を助ける為にお前を送り込んだんだぞ?媚薬の原液じみた物を瓶一本丸々ぶち込んだ度数がべらぼうに高い酒を娘に飲ましたら、泥酔を通り越して廃人になりそうだったから、こういうのに耐性があるお前を送り込んだんだぞ?なのになんで惨事が起こりかけるんだ!」

 

「その場のテンションでついやっちまいましたぁ!」

 

 ······どうやら、エメロアがスノウに飲ませたブツはそれ程に危険な代物のようだ。泥酔を通り越して廃人になる媚薬入りの酒など、なぜ作ったのだろうか。

 というか、黒雪暴走事件の真相はパンツァーの予想がまさかのドンピシャだった。少し詳しく説明すると、ラストには高い酒精や媚薬、毒への耐性があり、エメロアがスノウに飲ませようとした、淫乱薬を通り越した廃人製造アイテムを飲んでもほぼ影響がない。ただ、ほんの少し無効化できなかった成分がラストを酩酊させ、あのような事態になったというわけだ。

 ちなみに、黒雪の時、人格はラストのものだが、肉体の方はスノウのものだ。本来のラストなら夜の営みなどの桃色の知識は網羅しているが、スノウに悪影響を及ぼさないように憑依はあまり深く行ってないので、口調や記憶はスノウの面が強く表れた。そのため、【色欲】の名を冠するラストが憑依していながら、その手の知識が欠落していたというわけだ。

 

「数千年振りに会えたワタシの娘の純潔を散らせかけたお前に、どんな罰を与えようか······」

 

 スノウが持つ称号の効果によるものだろうか、■■はスノウのことを娘だと思っており、絶賛親馬鹿発動中である。

 

「(······どうせ、()()生身の身体じゃないのは分かってたし、いいじゃないですかぁ)」

 

「何か言ったか?」

 

「いいえ何も」

 

 ラストはわざわざいらん事を呟いて、■■に睨まれている。全く懲りていない様子だ。

 

「そういえば、娘に妙なスキルが生えているようだが?」

 

「ぎっくん!」

 

 今度は、■■の詰問にこれでもかと言う程にわざとらしい驚き方をするラスト。意外と余裕がありそう。

 

「理由······ワタシに教えてくれるよな?」

 

 ■■の顔は笑っているが、目は笑っていない。とても恐ろしい笑顔だ。それどころか、目が『理由を喋らないと殺す』と言わんばかりの目である。

 

「いや〜、最後にあの()()の男性を誘惑しようとした時に、私の能力を使い過ぎたみたいで、娘さんにある程度定着しちゃったんですよねぇ〜」

 

 ラストのその言葉を聞いた瞬間、■■の膨大な魔力が辺りに吹き荒れる。魔術を使ってもいないのに、衝撃波などが出ている程で、ラストが今にも吹き飛ばされそうである。

 

「ほう······お前は命が惜しくないようだな」

 

「いやめっちゃ惜しいです殺さないでください」

 

 ラストは土下座を続けているが、■■には許す気は無さそうだ。

 

「娘には、お前の技能だけは修得しないでほしかったのに·········」

 

「隠蔽施しとくんで許してください」

 

「お前の隠蔽じゃ、あのエルフには見破られるだろ?」

 

「あー······あの眼が相手だとちょっと厳しいですね」

 

「だから、ワタシがやっておこう。ワタシが施した隠蔽なら、大抵の相手には通用するだろ」

 

「それなら安心ですね。これで一件落着といったところでしょうか。じゃあ私はこれd」

 

ガシッ

 

 そそくさと逃げようとしたラストの肩を、■■が掴んでいる。

 

「逃がすと······思うか?」

 

「·········ダメですかね?」

 

 ラストは、微かな希望を抱いて問い掛けるが、

 

「ダメだ♪」

 

 死神のような笑顔がその希望を完全に打ち砕く。そしてその笑顔は般若に変わりーーー

 

「歯ぁ食い縛れええええええ!」

 

「ちょマジでやめギャァァァァアアアアアアアアア!?」

 

 しばらくすると、ボロ雑巾のようになって、血溜まりの中に沈んでいるラストの姿があったという。

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

「う、ううん·········」

 

「おう、目覚めたか嬢ちゃん」

 

「あれ、おじさん?」

 

 ボク、いつの間に気を失ってたの?エメロアにお酒を飲まされてから記憶が無いから、何があったのかわかんないんだけど。

 

「嬢ちゃんは、エメロアに酒を飲まされて意識を失っちまったんだ」

 

「そうだったっけ?」

 

「何も覚えてねぇのか?」

 

「うん、何も」

 

 そのボクの言葉を聞いたおじさんは、心底安心した様子を見せる。なんでだろ?

 

「そうか、それならいいんだ」

 

 ボクの記憶が無いことにホッとしてるよね······?まさか、酔ったボクが何かやらかした!?

 

「もしかして、ボクが何かしちゃった?」

 

 そう問い掛けると、おじさんは慌てて否定する。なぜか焦っていて、少し気になる。

 

「い、いや。()()()()()何もしてねぇ」

 

 どこか引っかかる言い方だなぁ。()()()何もしてない、と。······やらかしたのはエメロアかな?

 

「エメロアが何かやったの?」

 

「·········そのことなんだが、嬢ちゃんの今の技能を確認してくれねぇか?確か異界人は自分の技能を確認できるんだよな?」

 

「別にいいけ······ど·········」

 

「どうした?」

 

 突然黙り込んだボクを心配して、おじさんが声をかけてきたけど、ボクは目の前に開いたステータス画面の一部を見て固まってしまっている。

 ボクが見た部分はこれだ。

 

エクストラスキル

真·竜魔法

精霊交信

世界樹の加護

淫乱竜(バビロン)(NEW!)

 

「何これえええええええええ!?」

 

 マジでなんであるのこんなエクストラスキル!?心当たりとか全く無いんだけど!?ボクは何もしてないのに、【淫乱竜(バビロン)】だなんて失礼極まりないよ!?

 あと(NEW!)で自己主張なんかしてんじゃないよ今までエクストラスキル習得した時はそんな表示してなかったのに!

 使う機会はおそらく永遠に来ないだろうけど、念の為に効果を把握しようと詳細を見る。

 

淫乱竜(バビロン)

淫魔系統の種族の技能を持つ竜種だけが持つ希少なスキル。淫魔系統の技能を統合し、新しい能力も得ている。あるカーススキルを習得すれば、統合進化し、カラミティスキルとして猛威を振るう······かもしれない。

 ■■により、今は隠蔽術式が施されているため、他人にはこのスキルの所持を感知されない。

保有スキル 

アクティブスキル:魅了、誘惑、快感操作、魔力吸収、霊力吸収、淫靡なる触手(テンタクル)

パッシブスキル:魅力強化、美肌、美髪、美声。

 

 ······何これ。色々盛り込まれすぎて、どこから反応すればいいのかわかんない·········。

 まずは説明文。······ボクは淫魔系統の技能とか一つたりとも習得した覚え無いんですけど?何がどうしてこうなったの?しかも、カラミティスキルとかいう思わせぶりな一文もあって、得体が知れない。

 あ、それはそれとして、名もまだ知らない■■さん、このスキル隠してくれてありがとう。こんな不名誉なスキルを持ってることをシユ姉やティノアにバレたら、絶対にイジられてたよ。

 次は保有スキル。これまた見覚えも習得した覚えの無いスキルがずらり。そしてこれから使う予定も無い。······いや、魔力吸収と霊力吸収は使うかもしんない。かなり便利そうだからね。ボクの戦い方はMPを結構使うから、こういうスキルはあって損はない。ただ、魅了やら誘惑やら快感操作やら淫靡なる触手やらはいらないかなぁ。

 あと、四つあるパッシブスキルが気になる。ゲーム内のアバターなのに、美肌とか美髪とか美声とかあるの?マイナス効果は無さそうだからいいけどさ。

 

「······どうだった、嬢ちゃん?」

 

 いや、さっきのボクの悲鳴を聞いてたんだから、言わないでもわかるよね?

 大きなため息を吐きながら、おじさんに習得したスキルを伝える。

 

「【淫乱竜(バビロン)】っていうエクストラスキルがあったよ············」

 

「············」

 

 気まずそうに思いっきり顔を逸らすおじさん。······なんか心当たりありそうな表情をしている。

 

「······おじさん、何か知ってるよね?」

 

「······知らねぇな」

 

「············(ジー)」

 

「············(黙って目を逸らす)」

 

 ボクは無言でジッとおじさんを見つめる。

 おじさんは黙って目を逸らしていたが、数分後、ついに白状した。

 

「実はな、エメがやりやがったんだよ」

 

「エメロアが?」

 

「嬢ちゃんがエメに酒を飲まされて、嬢ちゃんがすぐに酔ったんだよ。酔っ払った嬢ちゃんはなんつーか······エロくてな。それを見たエメが遊び半分でいくつかの技能書を嬢ちゃんに渡して、俺やリオンが止める前に嬢ちゃんがその技能書を使っちまったんだ。多分、そのいくつかの技能が統合されて、そうなったんじゃねぇか?」

 

「······エロかったんだ」

 

「ああ。それで、酔っ払った嬢ちゃんが技能を使おうとしたから慌てて止めたんだ。少し力ずくになっちまったが、痛い所はねぇか?」

 

「大丈夫。どこも痛くないよ」

 

 うわー·········マジか。ボクが気を失った後、そんなことがあったんだ······。おじさん達にかなりの迷惑をかけちゃったみたい。

 

「かなり迷惑をかけちゃったみたいだね。ごめんなさい」

 

「嬢ちゃんが謝ることでもねぇ、発端はエメだからな。こっちこそすまん」

 

「おじさんのせいじゃないよ。だから謝らないで?」

 

「あー···互いに謝ってばっかで終わりそうにねぇな。よし、気分転換に今から嬢ちゃんの祝勝会をすっか!行くぞ嬢ちゃん!」

 

「え、いきなり!?」

 

「元々その予定だったじゃねぇか。エメがトラブル起こしたせいで、少し遅くなっちまったが」

 

「そういえばそっか。じゃあ行こうか」

 

 ボクはそう言ってベッドから降り、おじさんと一緒に、リオンやエメロア達が待っているリビングに向かった。

 

 

 

 

 

 

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