Unique Tale Online ~竜人少女(?)の珍道中~   作:姫河ハヅキ

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第二十六話 戦で巫女な新装備

 リオンからの制裁(乳)は、アルフとユリアがボクが戻ってこないことを不思議に思って部屋に来るまで続いた。

 

「お嬢様、何かありまし······っ!?」

 

「スノウ、どうかし······あら?」

 

 顔を真っ赤にし、両腕で胸を庇っているボクと、気のせいか肌がツヤツヤして、やりきった表情のリオンを見たユリアは、状況を把握しきれずに困惑している。アルフは、ボクのたわわな胸が服から出そうになっているのを見たのか、顔を赤くしてそっぽを向いている。まあ、今はブラジャーを着けていて、胸は一部しか見えないから大丈夫なんだけどね。

 

「······これどういう状況?」

 

「えっとねー·········」

 

 少ししてユリアが状況説明を求め、リオンの説明を聞いたユリアとアルフが一言。ちなみに、アルフはまだそっぽを向いている。

 

「「(スノウ)(お嬢様)が悪い(わね)(ですね)」」

 

「なんで!?」

 

 ボクの言葉に怒ったんだとしても、逆襲が過剰じゃない?

 

「種族に関わらず、こういう発言はタブーって相場が決まってるのよ」

 

「女性の胸をそんな風に言うと怒るというのは、私でもさすがに知ってますよ······。そのうえ、お嬢様くらい胸が大きい人が言うと、嫌味にしかなりませんよ。·········あと、早く服を直してください」

 

 二人は呆れながらボクを責める。二人が言ってることも分かるけど、リオンが怒り過ぎじゃないかなぁ?

 そんな不満は胸中に留めておき、アルフに言われた通り服を整える。整えるといっても、ボクの無駄に大きい胸が邪魔して、今にも再びはだけそうだが。

 

「それで、リオンが渡そうとしてた物って何?」

 

「それはねー、これ!」

 

 リオンが鞄から取り出したのは、一枚の黒い細長い布。············なんぞこれ?

 

「何それ?」

 

「え?サラシ」

 

 サラシってなんだっけ······あ、胸を隠すやつだ。言うなれば、和風ブラジャー?まあ、本来は漂白された布を指す言葉だけど。

 

「これを胸に巻くの?ブラジャーと変わらなそうだけど」

 

「とりあえず見てみなよー。確か異界人は、装備品の付与効果をある程度見抜けるんでしょ?アタシ達の場合、そういうのは魔術師や職人じゃないと無理だけど」

 

 そんな情報どこで入手したの······?このゲームのサービス開始から一ヶ月も経ってないよね?

 それはさておき、サラシをリオンから受け取って効果を確認っと。

 

魔法のサラシ

古代文明の遺跡から発掘された、巨乳にコンプレックスを持つ人御用達の一品。古代の謎な技術を用いて、胸部を小さくする効果を持つ。そのうえ胸部の成長も阻害するので、まだ胸を育てたい人が間違って着用すると、惨事が起きる。

AGI+40 

付与スキル:胸部調整、胸部成長阻害

 

 おお!胸を小さくしたいボクにとっては、垂涎の装備じゃん!!胸を小さくできるし、AGIも上がるし、良いことばっかりじゃん!!!

 ······アバターの胸が成長するのかどうかは置いといて。

 

「ありがとう!」

 

「なんでだろーね、お礼を言われてるはずなのに、怒りが治まらないよー·········」

 

「気持ちはわかるけど、落ち着きなさい」

 

 満面の笑みを浮かべているボクを見て、肩を震わせているリオンをユリアが宥めている。

 それボクは悪くないよね?まあリオンはほっといて早速サラシをステータスの装備欄に移動させて、適用ボタンをぽちっ。

 

「······もう少し小さくなってもよかったんだけどなぁ」

 

 ボクの胸は確かに小さくなった、なったんだけど·········まだ大きい。爆乳から巨乳になっただけ。巫女風道着には収まるようになったから、良しとしよっか。

 

「なんで?アタシが間違えて着けた時はもっと減ったのに·········」

 

 ボクのちょっと縮小した胸を見たリオンが打ちひしがれている。多分、素の胸の大きさが違うのが原因なんだろうけど、これ以上地雷を踏む気はないので、黙っておく。

 って、あ。ユリアに聞きたいことがあるの忘れてた。

 

「ユリア、一つ質問いい?」

 

「構わないわよ」

 

「ユリアさ、アルフと戦った時に、【古代魔法·時空】の『加速(アクセル)』を使ってたよね」

 

「ええ、そうよ」

 

「全属性に加え、古代魔法まで?お嬢様は一体何者なんですか······」

 

「スノウはスノウでいいんじゃない?結構非常識だしさー」

 

 二人が何か言っているけど無視で。あーあー聞こえなーい。非常識とか聞こえなーい。

 

「【古代魔法·時空】はボクが持ってるよね?なんでユリアが使えるの?」

 

「それは、私の持つ【魔力制御】によるものね。このスキルは【魔力操作】の上位互換で、魔力をより精密に操作できるようになるのよ。それに加え、契約とかで魔力の繋がりがある相手の魔法を使うこともできるのよ」

 

「【魔力操作】の上位互換なのかぁ。いつかボクも覚えたいね」

 

「え、精霊って元から【魔力制御】ありましたっけ?私の知り合いの精霊術士からは、そんなことができるとは聞いたことがありませんが」

 

「確か、それなりに高位の精霊じゃないと【魔力制御】は無いはずだけどなー」

 

 さっきは断片的に聞こえたけど、今度は二人が小声で話してるから、何言ってるか分かんない。またボクが非常識だとかを言ってる気がする。多分正解だね。

 

「それで、今度の装備は露出が少ないのね。がっかりだわ」

 

「がっかりしないで!?」

 

 ユリアはボクに何を求めてるのかな!?ボクはうっふんあっはんなお色気キャラじゃないからね!?

 

「別に露出が高くなくていいじゃん!」

 

「私の目の保養になったのに······」

 

 ユリアがとても残念そうに肩を落としている。ユリアってさ、見た目は可愛らしくて小さな女の子だけど、中身がエロ親父なんだよねぇ·········。ボクと契約するまで人との関わりは無かったはずなのに、なんでこうなったんだろうね?

 ユリアをこんな性格にした犯人を見つけたら、少し問い詰めないとなぁ。

 

「まあ、露出が少ないのは上半身だけなんだけどね」

 

 今ボクが装備している巫女服風道着は、上半身の露出はほとんどないけど、下半身は割と出てる。袴がとてもミニで、足の大部分は隠されていない。冬は寒そう。ていうか、本来の巫女服の袴はロングのはずだよね?なんでだろう?

 見た目は一旦置いといて、ステータスの装備欄から、巫女服を選んで詳細をポチり。

 

戦巫女(バーサクメイデン)·羽織

道着というより、巫女服と呼んだ方がふさわしい装備品。一見、戦闘には向かなさそうだが、その見た目に反してとても動きやすい。

INT+150 VIT+200

付与スキル:自動修復、サイズ自動調整、武技の消費魔力減少、霊力操作補助

 

 ·········道着じゃないじゃん。巫女服じゃん。見た目も説明文も巫女服で、道着要素がどこにもないよ?

 ステータスの上昇効果については、前のバトルドレスと違ってAGIは上昇しないけど、INTが+150もされる。

 そして、見るからに金属は使われていなさそうなのに、ミスリルと魔絹(マナシルク)のバトルドレスよりVITの値が高いのが不思議だね。使われている布の名称は表記されてないけど、魔絹(マナシルク)より上質な素材だったりするのかな?

 さらに、付与されているスキルは四つもある。ミスリルと魔絹(マナシルク)のバトルドレスのスキル数はゼロだったのにすごい進歩である。どれも効果は文字通りだろう。

 今回の新装備は、羽織と袴の二つ·········あ、三つだ。あれ?リオンに渡されたのは、羽織と袴だと思ったんだけどなぁ。いつ手甲と足甲も渡されてたの?······まあいっか。害は無いし。ちなみに、手甲と足甲は二つでワンセットの扱いだって。

 今度は袴の方の詳細をポチり。

 

戦巫女(バーサクメイデン)·袴

道着というより、巫女服と呼んだ方がふさわしい装備品。純正の巫女以外はロングの袴を着てはダメだという、製作者の謎の信念が込められている。だからといってミニ袴なのは、製作者の趣味だったりする。

AGI+160 VIT+180 

付与スキル:自動修復、サイズ自動調整、神速通

 

 これも布なのにVIT補正が高い。羽織と袴を合わせるとVIT+380。ボクは他の防具を見たことないけど、布装備でここまでVITがあるのってどうなんだろう?もしかしたら、金属の全身鎧より高かったり?······さすがに無いか。布装備ならともかく、金属製の全身鎧よりVITが高かったら、タンクの人達が泣いちゃうよ。

 スキルに関しては、自動修復とサイズ自動調整は羽織と同じ。だけど三つ目の【神速通】って何?

 確か、六神通っていう、仏教における六種の超人的な能力の一つだったような気がするんだよねぇ。一回本で読んだことがあるだけで、神速通や他心通、それに天眼通以外は何があるか覚えてないし、神速通だってどういうものか覚えていない。リオンに聞けば分かるかな?

 というか、袴がミニなのは製作者の趣味なのか·········。

 【神速通】の内容も気になるけど、まだ装備品はあるので後回しで。最後に手甲と足甲の詳細をポチり。

 

戦巫女(バーサクメイデン)·甲

 本来は巫女が使う物ではないが、見た目だけ和風にして、巫女服に合うようにした装備品。魔法や気闘術をレジストできる付与スキルが、唯一と言っていい巫女要素。

STR+250 INT+130

付与スキル:自動修復、サイズ自動調整、祓魔(アンチグラム)

 

 消去法で、【祓魔(アンチグラム)】が魔法をレジストできる付与スキルかな? 

 ·········そしてまさかのSTR+250。巫女の名にあるまじき数値。装備の名前が戦巫女(バーサクメイデン)なのも頷ける。巫女なのは見た目と名前だけで、ステータス補正と付与スキルは、ガチガチの前衛だよね。

 この三つの装備とサラシを合わせると、ステータス補正はSTR+250、INT+280、AGI+200、VIT+380。

 結論から言おう·········色々上がり過ぎじゃない!?バトルドレスからランクアップしすぎだよ!?

 ボクなんかがこんなすごい装備を貰っちゃっていいのか、と思う程の性能なんだけど······欲を言えば、DEX補正が欲しかった。ボクは生産職志望なのになぁ。STRやINTの補正が、プレイヤー間に出回っている装備の中でどれくらい高いのかは分からないけど、布製でここまでVITが上がる装備は無いような気がするから、迂闊に他プレイヤーに装備は見せられないね。

 ·········称号やエクストラスキルに加え、他プレイヤーに見せられない所が段々と増えている。ログイン時から、シユ姉やティノア達とその知り合いとしか会ってないので、この装備の性能が広まる可能性が、ボクが口を滑らせない限りはゼロなのが幸いだね。

 うん、今度シユ姉達に会ったら、トッププレイヤーの装備がどれくらいのステータス補正があるのか聞いておこう。

 

「どうだったー?」

 

 ステータス欄を閉じる動作をしたボクを見て、装備の確認が終わったと思ったのか、リオンが感想を聞いてくる。

 それに対し、ボクの感想は、

 

「袴がミニな点以外は、文句なしだよ。これ程の装備をボクが貰っていいのかと思っちゃうくらい」

 

「付与された機能は便利だけど、能力値への補正が全然だからねー。アタシ達はもう使わないし、遠慮しないでねー」

 

 STR、INT、AGI、VITのどれもが、200以上アップするのに「全然」かぁ······。リオン達の底が知れない。

 

「付与された機能の使い方が分かんないんだけど、リオンは分かる?」

 

「武具に魔力を流せば使えるよー。袴の方は、魔力で足場を作って色んな所で歩いたり走ったり跳んだりが可能になって、手甲と足甲の方は、魔力を消費して魔術をレジストできるからねー」

 

 ふむ······前者が【神速通】、後者が【祓魔(アンチグラム)】の効果か。シンプルで強いスキルだね。

 

「それじゃあ、技能と武技を教えてあげる!修練場に行こっかー」

 

「おっけ〜」

 

「私もついて行くわ!」

 

「はいはい」

 

 別について来ちゃいけない理由なんて無いんだから、わざわざ言わなくても大丈夫だよ?

 ユリアが修練場について来ようとしたのは、ボクの練習風景を見る為かと思ったら、いきなりこんなことを言った。

 

「私もスノウに教えたい技能があるからね」

 

 ······え、マジで?リオンから技能と武技を一つずつ教えてもらう予定なんだけど、そこにさらに追加?もう夕方なのに、今日だけで覚えられるかどうか不安だ·········。

 

「それはいいけど、アタシが教え終わってからだからねー」

 

「了解よ」

 

「そんな訳でアルフ君、パンツァーとエメロアとアルマに伝言お願いねー」

 

「承知しました」

 

 今のリオンの言葉でやっと気付いたんだけど、おじさんとエメロアとアルマさんがいないね。どこ行ったんだろう。

 

「そういえば、三人はどこにいるの?」

 

 ボクの疑問に答えたのはアルフ。

 

「お三方は、先程からお嬢様の祝勝会の準備をしに行かれました」

 

 何度も敬語はやめてって言ってるのに、いつまでたってもアルフは敬語のままだよね。なんだかむず痒いなぁ。

 

「はいはい、早く行くよー」

 

「うわ、引っ張らないでよ!」

 

 引っ張られなくても、ちゃんと自分で行くから!

 

 

 場所は変わって修練場。リオンがパネルのようなものを弄ると、地面から的が飛び出した。

 ファンタジー世界なのに、ちょっと機械っぽいね。

 

「スノウは【魔力操作】と【霊力操作】の両方ともあるでしょ?どっちも知覚はできるよね?」

 

「霊力は使ったことないから、やってみないと分かんないなぁ······」

 

「とりあえず一回やってみてよー」

 

 リオンにそう言われて、【霊力操作】を使うように強く念じると、体の奥に暖かさを感じる。

 

「······これが霊力かな?」

 

「確認する為にちょっと触るねー」

 

 リオンがボクの体に触れ、数秒目を瞑る。

 

「あ、うん、これ霊力だねー」

 

 どこか釈然としなさそうな感じでリオンが教えてくれる。

 

「······なんか言い方が変じゃない?」

 

「いや、天才肌にちょっと嫉妬しただけー。スノウはこういう娘なんだなって改めて思ったよ」

 

「こういうって?」

 

「【霊力操作】を持ってたって、すぐに霊力を感じられる人なんて、ほとんどいないんだよー?アタシも【霊力操作】を元から持ってたけど、ここまですぐには知覚できなかったからさー」

 

「え、でもボクはすぐに分かったよ?」

 

「ま、つまづく人が多いこの段階を一発で終わらせたのは大きいねー。ここからが本番だから、気合入れて行くよー!」

 

「いや、そんな気合入れなくてもいいから、お手柔らかにお願い······」

 

「断る!」

 

「なんでさ!?」

 

「そうよ!私が【精霊術】を教える時間も必要なんだから、モタモタしてられないわよ!」

 

「武技を一つ、技能を二つも覚えるのは厳しそうなんだけど、今日は一つだけにはならない?」

 

「「ならない」」

 

「嘘だっ!」

 

 なんで二人はこんなにスパルタなのかな!?

 

 こんな感じでスパルタに始まった、ボクへの技能(スキル)武技(アーツ)の伝授。今日だけじゃ終わらないと思ってたけど、どれも十回もせずに習得。あとは発動スピードだけが課題。

 合計で一時間もかからずに全て習得したボク。リオンとユリアには、何かおかしい物を見るような目で見られた。

 教えたのは二人なのにね···········。

 発動スピードを高めようと練習していたら、エメロア達が『祝勝会の準備ができた』と来たので、そこで練習は終了。祝勝会が始まった。

 祝勝会ではたくさんのお肉と果物を食べれて大満足♪すごく美味しかったよ〜。

 

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