Unique Tale Online ~竜人少女(?)の珍道中~   作:姫河ハヅキ

52 / 53
第四十七話 ·····················これって本当にメイド服?

「スノウちゃ〜ん。私が渡した服は〜?」

 

「······バレたか」

 

「逆になんでバレないと思ったのかしら〜?」

 

 お風呂から上がって現在は船のデッキ。お腹を空かせたリル達やおじさんなど、全員分の昼食を作ろうとしている所だ。

 エメロアがポーチから出した調理セット(キッチン)を展開し、調理を開始しようとした時にアルマさんに指摘された。

 なぜ、メイド服(ビキニ型)を着ないのか、と。 

 メイド服に着替えずにしれっといつもの巫女服に着替えていたボクはため息を吐く。

 

「はぁ、着ればいいんでしょ。着れば」

 

「そうよ〜。あ、これ報酬の250万ゴルドね〜」

 

「·········おぉ」

 

 アルマさんの着せ替え人形になるバイトは、金策としては最上級と思われる。·········撮影無し、外出無しの条件なら、積極的に受けてもいいかもしれない。余程露出が多い時は報酬額を思いっきり釣り上げる予定だが。

 お金をストレージに収納し、代わりにメイド服を取り出したボクは、メイド服の性能を見て固まる。

 

究極のメイド服

メイド服の頂点にして極致。

神衣には届かないが、デミゴッズクラスの装備品。

全ステータス+3110(メイド)

付与スキル:メイドの嗜み、メイド式歩法、熱変動完全耐性、自動修復、メイド式暗器術、変形

 

 ·····················これって本当にメイド服?

 ステータス補正高すぎない!?語呂合わせなんてネタ装備的な数字なのに高すぎない!?あと、スキルがメイドらしくないんだけど!? 

 前四つはともかく、後ろ二つはメイド服には必要ない機能だよね?

 一旦落ち着いて全スキルをチェック。

 

メイドの嗜み

メイド服からストレージ内のアイテムを取り出すスキル。「家事に関係する」と装備者が認識しているアイテムでないと取り出せないが、ストレージ使用不能空間、魔法無効化空間でもこのスキルには影響を及ぼさない。

詠唱文『備えあれば(こんなことも)憂いなし(あろうかと)

 

 ······マジか。取り出すことのできるアイテムが限られてるけど、どこでも取り出せるのは強い。ボクが『家事に関係している』って思ってれば武器とかでも取り出せるのか、一度試しておこう。

 

メイド式歩法

メイドならば、可能な限り、静かにかつ高速で動くことができなければならない。この歩法を極めた者は、無音で音速を超えることもできるだろう。

 

 なんでっ!?メイドさんにそこまでの隠密性と速度はいらないよ!?いや、うるさくていいって言ってるんじゃないけどさ!?

 

熱変動完全耐性

このメイド服を着ていれば、夏でも冬でも、火山でも氷山でも、いつでもどこでも快適。

 

 あ、これは素直に嬉しい。

 

自動修復

どれだけ破損しようと、使用者や空気中の魔力を吸収して修復する。それに加え、破損前より耐久度が上がり、新たな機能が発生することも。

 

 ······新たな機能が発生って、何?これメイド服じゃなくて服の姿をした生物とか言わないよね?

 ツッコミ所がいくつもあるが、一個一個にツッコんでるとキリがないので次の【メイド式暗器術】へ。

 

メイド式暗器術

メイド服の各所に暗器や薬品、装備品などを収納しておくスキル。質量保存の法則?あいつは死んだんだ、いいな?

 

 なんでちょっと喋ってる感じの説明文なの!?誰に対して言ってるのそれ!?というかもうメイドから完全に離れたよね!?

 これメイドが持つべきスキルじゃないから!暗殺者が持つスキルだから!

 最後は【変形】をチェック。

 

変形

文字通り変形するスキル

 ヴィクトリアンスタイル

 フレンチスタイル

▶ビキニスタイル(設定中)

 

 迷わずビキニスタイルからヴィクトリアンスタイルに変形させて装備。

 

「あら〜、気付いちゃったのね〜」

 

「·········ねぇ、アルマさん。これってどういう方向を目指してる服なの?」

 

「利便性と〜、可愛さかしら〜」

 

「暗器術と変形機能って利便性に入るの!?」

 

 そこまでの利便性求めるならもうメイド服である必要は無いと思うんだけど!?

 

「お前もメイド服か?」

 

「『お前も』ってことは·········」

 

 ······父さんは和風メイド服かぁ············。

 

「そういえばさ、父さんは躊躇いなくそのメイド服着てたよね?抵抗とか無かったの?」

 

「·········学生の頃に、何度メイド服を着たことか···············」

 

 ······そういうことか。

 

「······クラスメイトに着せられたんだね?」

 

「なんでアイツら、撮影無しで見るだけなのに、一人あたり1万円以上も出すんだろうな·········」

 

 父さんの見た目ならしょうがないのかも。ラノベでもあんまりいない見た目だからねぇ。

 

「白髪赤眼の美少女のメイド姿が見たかったんじゃない?父さんは珍しいからねぇ」

 

 父さんは先天性色素欠乏症、いわゆるアルビノの人間だ。生まれる確率は確か1/20000くらいだったかな?ちなみに、アバターのカラーリングの理由を聞いてみると、金髪の理由が「外国人っぽくて一回やってみたくてリアルでやろうとしたが、晴夏に止められた」、黒目の理由が「日本人っぽくて憧れてたけど、カラコンが怖い」らしい。

 アラフォーでアルビノの男の娘って中々に属性盛ってるよねぇ。

 

「お前も結構珍しいよな?」

 

「ボクは大体1/10000だから、父さんよりは珍しくないよ」

 

「お前の虹彩異色症(ヘテロクロミア)、片目が紫になってるのはかなり珍しいだろ?」

 

「······マジ?」

 

「マジ」

 

虹彩異色症(ヘテロクロミア)の知り合いは何人かいるけど、紫の目をしてる子は見た記憶は無いわね」

 

 今の会話から分かる通り、ボクは虹彩異色症(ヘテロクロミア)だ。

 ボクは元々色素が薄く、肌は白人くらいには白くて髪の毛は栗色だ。それらと同じように目も色素が薄いのか、微妙に赤が入っている·····はず、とのこと。虹彩異色症(ヘテロクロミア)で本来青色の目になる所に赤が入って紫になったのではないか、というのが医者の親戚である圭さんの推測だ。

 紫色なのは片目だけで、もう片方の目は榛色(ヘーゼル)だ。ボクは普段は紫色の目は前髪で隠し、榛色の目だけ周りの人に見えるようにしているので、案外他人にはバレていない。知っているのは家族と親戚、あとは桔梗と漣くらいである。

 

「······ところで嬢ちゃん。ソレはどうした?」

 

「あぁ、コレ?覗かれてたからとっちめた」

 

 おじさんがズタボロになったリュミナを指差してボクに聞くので、リュミナを持ち上げながらそう答える。

 

「いや、とっちめたのはなんとなく分かったんだが······なんで股を抑えて泡吹いてんだ?」

 

 普通人間って泡吹かないのにねぇ。なんでだろう?

 

「泡を吹いてる理由は知らないけど、股を抑えてる理由なら分かるよ。ボクが本気のパンチぶち込んだし」 

 

 【古代魔法·時空】の『魔纏』で空間歪曲効果付きのパンチ打ち込んだらあっさり倒れた。やっぱり男の急所ってち○ちんなんだね。

 あ、ちゃんと手は洗ってます。

 

「嬢ちゃん、容赦がねぇな」

 

 変態に情けかけてもメリット無いし。

 

「ねーおかーさん。お腹空いたー」

 

「···早く」

 

「いっぱい魚釣ったのです!たくさん料理してほしいのです!」

 

「おお!三人共たくさん釣ったんだね!」

 

 三人がそれぞれ持っているバケツには、どれにも結構な量の魚が。······この量、この人数じゃなかったら消費に結構時間かかったな。あと、ボク一人じゃ手が足りない。星宮家もう一人の料理担当に手伝ってもらおう。

 

「父さん、人も食材も多いから手伝って」

 

「おう、元からそのつもりだ」

 

 星宮家ではボクと父さんが料理担当だ。というより、女性陣は料理がからっきしなのでなし崩しでボク達がやることになっている。母さんも柊和姉も雫乃も、全くできない訳ではないのだが······この三人にやらせると、結構な量の食材がロスするのでボクと父さんの二人でやった方が断然いい。

 さて、今回は海鮮系の食材がたっぷりだし、海鮮料理尽くしといきますか!······その前に醤油と酢があるか確認しとかないと。

 

            〜調理中〜

 

「二人でこれはすげぇな!」

 

「そうかな?」

 

「そうか?」

 

「むぐむぐ······うん、ウメェ!」

 

「美味しいです···!」

 

「おいしーの!」

 

「···美味」

 

「めちゃくちゃ美味しいのです!」

 

「それは良かった」

 

「二人共、いいお嫁さんになれるよー」

 

「ならないよ。まず、俺はもう結婚してるし」

 

「アイリスちゃんが料理上手くてホント助かってるのよー!」

 

「羨ましいわね〜」

 

 調理を終えて皆で昼食。

 献立は、色んな魚の刺し身やお寿司、海鮮丼と、それにリオンが素潜りで捕ってきた貝類を網での直火焼きと、海鮮パーティだ。ちょっと魚が多すぎるかな?と思ってたけど、皆はそこまで気にしてないみたい。

 

「スノウー!降ろすのじゃ!」

 

 ······エメロア、まだ触手に捕まってたんだ。十二英傑の一人なんだし、簡単に抜け出せるんじゃないの?というか、なんでボク?

 

「さっきから、エメロアは何してるの?」

 

「おぬしに縛られてるのじゃ!おぬしが魔力も霊力も奪うから、拘束を解くこともできないのじゃが!」

 

 ·········あ、いつの間にかMPとAPが最大値突破してる············。まず、ボクっていつ【淫靡なる触手(テンタクル)】起動したっけ?

 

「今解除するよ」

 

 触手が消え、デッキに降りたエメロアは皆より少し遅れて食卓につく。

 

「うむ、やっと昼餉が食えるのう」

 

「そうなったのはお前の自業自得だぞ?」

 

「うむん······。分かっておるわい。不用意に酔ってるスノウに手を出すのは自殺行為じゃと学んだからのう」

 

 え?ボクは未成年だからフィルターがかかってお酒は呑めないはずじゃ?それに、呑んだ記憶も無いんだけど?

 

「ボクってお酒呑んだっけ?」

 

「さっき俺らの宴会に(物理的に)突っ込んだ時に酒を被って酔ってたなぁ」

 

 言われてみれば······そこの短時間だけ記憶が曖昧だ。酔ってたのか。

 

「あのせいでオレ達が呑もうとしてた酒がダメになっちまったんだが」

 

「ごめんね。でも、ボクだけのせいじゃないと思うんだ?」

 

「あ、アタシ?」

 

 リオンの手がすっぽ抜けてなければ、普通にあのでっかい鮪を釣り上げただけで終わったと思う。

 

「リオンはむしろそれが通常運転だからな。あんま気にしてねぇ」

 

「アタシってそんな風に思われてたの!?」

 

 リオンはさも意外そうに驚いてるけど、普段の様子を見てる感じだと、あんまりしっかりしてるとは思えないなぁ。

 

「そんな訳でそこのメイド、酌を頼む」

 

「自分で注いだら?ボクとイスファの席、結構離れてるんだけど」

 

「ボソッ(······あの酒、一本500万はするんだがな)」

 

 なぬ!?ボクの背中やらお尻やらで割ったいくつもの酒瓶の一つがそんな値段を!?

 

「ボソッ(酌でもしてくれたら、弁償は無しにしてやろうと思ったんだがな)」

 

 ぐぬぬ·········ん?よく考えずとも、そこまで酷い要求はされてないような?お酒をイスファのコップに注ぐだけか。

 

「で、どうするんだ?」

 

「注がせていただきます」

 

 ボクに拒否権なんて無かった。

 酒瓶を持ってイスファの場所へ移動し、彼女が持っている盃にお酒を注·········っ!?

 

「きゃぁっ!」

 

「へっ?」

 

 ボクのお尻に誰かの右手が触れたと同時に尻尾を誰かの腕に絡ませ、捻るようにして床へと倒し、即座に腕拉ぎ十字固めをかける。

 リアルで電車に乗ると99%の確率で痴漢さんが現れるから、柔道に合気道、その他諸々を父さんから護身術として教わってるんだよっ!······って、あれ?イスファ?

 

「ギブ!ギブギブ!マジで折れる!」

 

 イスファが必死に床をパンパンタップするので、少し緩める。

 

「離してはくれねぇの!?」

 

 だって······お尻触られたし·········。

 

「顔を赤らめながら腕拉ぎ十字固めするツンデレヒロインっているかな?」

 

「さすがにいないでしょ」

 

「何を言ってるのかイマイチ分かんねぇが······あの寝技はアイリスが教えたのか?」

 

「良く分かったな。俺もスノウも異界(あっち)では筋力が全然無いから、相手の力を利用する、もしくは筋力が関係ない武術を少し教えてるんだよ」

 

「······アレが少しなの?」

 

「大は小を兼ねるって言うしな!」

 

「さ、さすがに、大きすぎじゃないですか?」

 

「誰か助けてくんねぇ!?」

 

「うるさいわね!」

 

「うるさいのー」

 

「···食事中は静かに」

 

「行儀が悪い人にはお仕置きなのです!」

 

「げぼはぁ!?」

 

 突如ユリアと三人娘の方から光、風、土、氷の槍が飛んできてイスファに当たって砕け散る。

 ······素肌の部分に直撃したのに、槍が砕け散ってイスファは無傷かぁ。

 

「召喚獣、召喚精霊は召喚主に似るって言うけど、容赦の無さまでスノウに似ちゃうのはどうかと」

 

 え?これボクのせい?

 

 

◇◆◇おまけ◇◆◇

 

「父さんの和風メイド服の性能ってどんな感じ?」

 

「えっと······あ、これだ」

 

和風戦闘用メイド服

メイド服の形をした戦闘服のようなもの。

見た目にも気をつけながら、動きやすさを第一に製作されたこの服を着るのは召使いではない。一人の戦士である。

全ステータス+2493(女中さん)

付与スキル:武芸百般、瞬間装備、クールタイム短縮、成長加速

 

武芸百般

数多の武術をある程度扱えるようになるスキル。ただし、「ある程度」なのでそれ以上を望むなら真面目に鍛錬を積むべし。

 

瞬間装備

ストレージに入ってある武具を瞬時に装備するスキル。装備したい武具を明確にイメージしないと失敗するので注意されたし。

 

クールタイム短縮

大抵のスキルのクールタイムを短縮する。

 

成長加速

レベル、スキルレベルの上昇速度がアップ。

 

「すっごい戦闘特化だねぇ」

 

「まあ、戦闘用メイド服だからな」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。