Unique Tale Online ~竜人少女(?)の珍道中~   作:姫河ハヅキ

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第七話 街への帰還と新たな出会い

 無事に空の旅を終え、〔アインス〕の門の近く、というか門番の目の前に着地。急に空から現れたボク達を見て、門番さん達は少しの間口を開けて呆けていたが、すぐに冷静さを取り戻してボク達に槍を向けて詰問する。

 

「何事だ!」

 

 警戒心マックスの門番さんに驚いてボクがどう返答しようか迷っていたら、先にエメロアが口を開いた。

 

「うむ、すまんの。後ろのスノウに頼んで空の旅を楽しんでいた所じゃ」

 

「エメロア様!?いや、何も無いならいいんですよ」

 

 門番さんはエメロアを見た瞬間即座に態度を一変させ、ボク達をあっさり通してくれた。マジで?今、ボク達事情聴取されそうだったよ?

 

「え、エメロアって偉い人?」

 

「ただの冒険者じゃ」

 

 門番に様付けで呼ばれている時点でただの冒険者ではないと思う······。

 

「どうしても気になるなら明日教えてやるわい」

 

「ボクそんなこと言ってないのになんで解ったの?」

 

「スノウは顔に出やすいからの」

 

 マジかー······ポーカーフェイス鍛えようかな?

 

「無理じゃろ」

 

 あなたエスパーか何か!?

 

「おぬしが分かりやすぎるのじゃ」

 

 解せぬ。

 

「そういえば、地竜の素材はどう分けるの?」

 

 現地人と異界人が一緒にモンスターを倒した場合、異界人のインベントリに全部入っちゃうんだよね。

 

「うむん?スノウが全部持って良い。そのくらいの素材は山程持っておるからの。いっそ金を払って引き取ってもらいたいぐらいじゃ」

 

「え?」

 

「そうじゃ。明日スノウに装備品をやろう。では、またの」

 

 エメロアは言いたいことだけ言って何処かに行っちゃった。あんまり話を聞かないなあの人。

 

 

 ボクはあの後屋台が多くある所をぶらぶらと散歩している。商店街的な場所。

 もう夕方だし、何か食べてからログアウトしようかな?それに何か飲まないと。満腹度と給水度が半分を下回ったからね。

 そう考えていると、だいぶ前方でシユ姉とティノアが誰かを探しているみたいだったので二人に向かって手を振ってみる。時間はまだ大丈夫なので二人の人探しを手伝ってあげよう。

 ん?二人ともボクに気付いて物凄い勢いでこっちに走ってくるんだけど?ステータスに差があるのか、シユ姉を置いてティノアが先に来た。

 

「ティノアただいま〜」

 

「今まで何をしてたの」

 

 鬼気迫る表情なんだけど、何かあったのかな?あ、後から来たシユ姉も同じような表情だ。

 

「二人共何かあった?特にティノアがそんなに感情を昂ぶらせるのは稀だけど」

 

「「アンタ(スノウ)を探しに行こうとしてたん(だ)よ!?」」

 

「そうなの?」

 

「街にいたらティノアが急いで走ってきてアンタとのフレンド通信がいきなり切れたって言ったから焦ったんよ。その後もアンタからの反応があらへんし、もしかしたら地竜と会ったんちゃうかって二人で話しとった」

 

 ボクが聞き返すとすぐさまシユ姉に怒られた。間髪入れずにティノアもボクに文句を言ってくる。

 

「ゲームだけど、この世界のモンスターはかなりリアル。ベータテストの時は酷い殺され方をして途中でやめたプレイヤーもいるほど。私たちはスノウと冒険したかったから、スノウにトラウマが植え付けられてゲームを引退なんて事態は絶対に避けたかった」

 

 文句というか説教っぽい?

 

「そういえば、二人はパーティーの人たちと狩りをしてたんじゃなかったの?」

 

「パーティーメンバーには事情を話して街まで戻ってきて、今から探しに行こうとしてた。パーティーメンバーもスノウの探索に協力しようとしてくれた」

 

「ティノア、メンバーにはウチからスノウを見つけたって連絡しといたし、場所も教えたからこっちに来るみたいやで。あ、スノウ。アンタと顔合わせしたいらしいからここに残ってや」

 

「は〜い」

 

 顔合わせくらいなら構わないよ。シユ姉達のクランの人たち、どんなプレイヤーかな?

 さっき二人と話していた近くにある噴水のベンチに座って少し待っていると、向こうの方から四人のプレイヤーが歩いてきた。シユ姉が「こっちやで〜」って言ってるし、あの人たちだね。

 

「この娘が例の竜人ちゃん?すっごい可愛いね〜」

 

 籠手を装着し、武道家のような軽装をした狼の獣人女性がボクの頭をいきなり撫で回してくる。

 

「······子供扱いされる歳ではないのですが」

 

 さすがにこの歳でそれをされるのは少し恥ずかしい···。

 

「いや、でも小さいじゃん。あ、それはシユもか。というかこの娘よりシユの方がちっちゃい」

 

「お、やんのか?ウチは売られた喧嘩は買う主義やで?」

 

「遠距離職が近距離で武道家に勝てると思う?」

 

「二人ともやめなさい。シユは短気すぎだし、ラナもシユをいじらないで」

 

 今度は魔女みたいな服装をしていて、四人の中では比較的高身長なお姉さんっぽい人が二人を諌めた。褐色の肌に尖った耳、ダークエルフかな?この状況を見るに、あの人がこのパーティーのまとめ役みたいだね。そしてどことは言わないけど、すごくデカい······。

 

「私はジーク。君がゲーム初日に森に行ったのか。二人もかなり心配してたんだし、あまり無謀なことはしない方がいいよ。どうしても行きたいなら私が護衛するから遠慮なく言ってね」

 

 ······性別どっち?服装的に女性だろうけど、顔とか言動がとてもイケメン。素でこれだと、リアルで同性から告白されてそう。種族は人間。

 

「はじめまして、ボクはスノウです。ところで、ジークって竜殺しのジークフリートから取ったんですか?」

 

「そうだよ。恥ずかしながら、私はああいう英雄に憧れていてね」

 

 ジークさんははにかみながらそう答える。こういう時の表情もかっこいいんだね。男らしくて羨ましいなぁ。

 

「えっと、ぼ、僕はカナデです。よろしくお願いしみゃしゅ!」

 

「カナデ、いくら緊張しているからといっても、噛みすぎだ」

 

 ······また性別不詳者が出た。ジークさんと同様に服装でしか判別ができない。しかもドジっ娘属性とみた。男だけど女の子にしか見えなくて、リアルのボクと同じ状況にありそう。そしてまたもや尖った耳。肌は白いしエルフだね。

 

「小競り合いが終わりそうにないから私の方から紹介しておくね。あの武道家がラナ。リアルでの知り合いだから知ってるとは思うけど、鬼人がティノア、狐獣人がシユ。ラナとシユを止めてるのがディアナ。このパーティーの苦労人だよ。よろしくね」

 

「こちらこそよろしくお願いします」

 

「カナデ、スノウは噛んでないよ。君も頑張ったらどうだい?」

 

「もう終わったことを蒸し返さないでくだしゃいっ!」

 

「ほら、まただ」

 

「うう··········」

 

 何この男の娘可愛い。

 

「こちらこそよろしくお願いします」

 

「あ、せっかく会ったんだし、フレンド登録しておくべき。これから一緒に狩りをすることもあるかもしれない」

 

「···いいんですか?」

 

 フレンドを増やして損は特にないのでできる時にしておきたい。今はティノアとシユ姉の二人だけだからね。

 

「喜んで。君みたいな可愛い女の子フレンドになれるのはとても幸運なことだからね。敬語もいらないよ」

 

 一歩間違えばボクでも惚れちゃいそうな女たらしだね。

 ジークやカナデとフレンド登録をしていると、シユ姉とラナの喧嘩を放置してディアナがこっちに来た。

 

「スノウちゃん、私ともフレンド登録してくれない?」

 

「構いませんよ」

 

 これであとフレンド登録してないのはラナだけ。あの二人はいつ終わるのかな?

 

「結局、何のモンスターと遭遇してたの?」

 

「そうね。私もそれは気になるわね」

 

「結構な時間連絡が取れなかったって二人が言ってたからかなりの強さを持つモンスターのはずだけど」

 

「見た感じ、死に戻りしてないようなのであまり強くなかったのでは?」

 

 ティノア、ディアナ、ジーク、カナデの順にボクに質問してくる。いや、あとの二人は予想たててる。

 

「ん?ジークさんの予想が的中してますよ」

 

「「「「え?」」」」

 

「ボクが遭遇したのは、ボスモンスターの地竜です。強かったなぁ······」

 

 四人共呆然としつつも、最初にティノアが再起動してボクに質問してくる。

 

「『強かった』ってことは逃げずに戦ったの?」

 

「うん」

 

「何分でやられたの?」

 

 そうティノアに聞かれたボクは首を傾げる。

 

 負けたって決めつけられてるよね?そんなに弱いと思われてるなんて心外だよ。

 まぁボスっぽいし妥当な評価かもだけど。

 

「聞いて驚け、勝ったよ」

 

「「「「はぁ!?」」」」

 

 あ、他の人も再起動した。

 

「え、本当に勝ったの?あの地竜に?レベルたったの12で?しかもソロで?」

 

 ティノアが詰め寄ってくる。よほど気が動転しているのか、いつもの無口キャラが崩れている。ティノアは素で無口だが、驚いた時はその素が崩れていつもより饒舌になるのだ。

 

「いや、二人だよ。凄腕の魔法使いの女の子に助けてもらったの。あの娘の支援魔法と妨害魔法が無かったら負けてたね」

 

「二人でもおかしいよ!?」

 

 今度はさっきから会話に遅れてたジークも参加。ディアナとカナデはすごい勢いで首を縦に振ってる。

 

「あ、ちなみにこれが証拠です。ってちょ、うわぁ!?」

 

 そう言いながらインベントリから地竜の鱗を取り出すと、四人が急いでボクを細い路地に連れ込む。

 

「いきなり何?」

 

「スノウちゃん、なんであんな人通りのある場所で地竜の鱗を出してるの!?」

 

 ディアナが厳しい顔をして詰め寄ってくる。いきなりはびっくりするんだけど。

 

「まだサービス開始から一週間しか経っていないから初日組でもまだ地竜を倒すにはレベルが足りない。そんな今の状況で初めて一日目のスノウが倒したなんて聞かれたら大騒ぎ。多分色んなクランから引っ張りだこで生産する暇は無い。それでもいいの?」

 

 ティノアのセリフにボクの背筋が凍りつく。

 

「嫌!」

 

 そんなのはごめんだね!!

 

「なら、しばらくは秘密にして。自分専用のアイテムを作る分は構わないから」

 

「了解」

 

「ん、分かったならいい。あ、スノウはもうログアウトする?」

 

「少し街の中を散歩しようと思ってるよ」

 

「何かあったらすぐに連絡して。私たちも街の中にいるから」

 

「そうだよ、君はとても可愛いんだから」

 

「そうです!ナンパには気をつけてください!」

 

 カナデ、それは君もだよ?それにしても、皆心配症だなぁ。

 

「分かったよ。まあ、そんな事態にはならないだろうけどね。ボクは普通の初心者だよ?」

 

「「「「ゲーム初日でエリアボス倒してる奴は普通じゃない」」」」

 

 あ、やっぱり?まぁほとんどエメロアのおかげだけど。

 

「あと、夜になったら宿屋とかじゃないとログアウトできない。夜までにログアウトするか宿屋を取っておくことをおすすめする」

 

 ティノアのその言葉に歩きだそうとしていたボクの足が止まる。

 え、マジで?ボクこのままだったら夜、ログアウトできずに困り果てる可能性もあったよね!?そういうことは早く言ってほしかった······。

 

 

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