~東街区:残り時間45分
逃走者:エステル、ヨシュア、リシャール、アガット、レーヴェ、レン、ルシオラの計7名
ハンター:クローゼ、ジョゼット、ユリア、モルガン、ミュラー、リース、ブルブラン、クルツの計8名
「えっ……!?」
「あれは……!」
王立競技場を出た7人は、目の前にある、いや、あったはずの百貨店エーデルを見て驚いた。競技場に来る前にも視界には入っていたが、よく見てはいなかったようだ。
「だ、誰がやったんだぁ!?」
もちろん、リースが容赦なくヘヴンスフィアをかまして行ったせいである。しかし、エステル達はそのことを知る由もなかった……。
~side:Estelle,Joshua and Richard
それから逃走者たちは、競技場に来る前の3チームに分かれて解散した。
エステル、ヨシュア、リシャールは、共和国大使館の前を通りかかった。そこに、見覚えのある遊撃士の姿があった。
「――方術・儚きこと夢幻の如し!」
「「「!」」」
リベール王国のA級遊撃士、クルツだった。
「きゃっ!」
エステルは避け切れなかった。
「クルツさん……!今まで空気だったからって…容赦ないですね!」
「よ、ヨシュア君!それを言ってはダメだ!」
クルツの目がギラリと尋常でない輝きを放つ。
「……ヨシュア君……よく言ってくれたな……!」
「ヨシュア!何言ってくれるのよ!」
エステルにも怒られるヨシュアである。
「僕!?」
「「当たり前よ(だ)!」」
「とにかく、逃げるわよ!」
エステルの言葉をきっかけに、3人は南街区の方へ走り出した。クルツが3人を追う。しかし、尋常でない速さである。
「ちょっと、なんでこんなに速いの!?」
そのうちに、西街区との境界まで追い詰められた。西街区は既に立ち入り禁止区画となっている。
「ど、どうすれば……。」
「エステル!掴まって!」
「えっ!?」
ヨシュアはエステルを抱き上げると、そのまま高くジャンプし、民家の屋根に降り立った。
「「「ええええっ!?」」」
「すみません、リシャールさん!」
「嘘だ!?」
リシャールはクルツを相手にして戦うハメになった。
「《剣聖》の剣技を引き継いだリシャールさん……貴方とは一度戦ってみたかったのだよ!」
もはや普段のクルツではなかった。
「くっ……その挑戦、受けて立とう!」
リシャールの刀と、クルツの槍が交わる。金属と木が打ち合う鈍い音がする。さらに、何合も打ち合う。
「やるな……。」
「そちらこそ……!」
クルツはバックステップで1歩下がり、改めて槍を構え直した。
「だが、これはどうです……?……来たれ雷神――空と海の狭間より!」
クルツは雷を伴った槍の一撃をリシャールにお見舞いする。リシャールは防ぎきれず思わず一歩下がった。その時、リシャールのビーコンが鳴った。
「何だ……?…あ。」
リシャールは自分の足元を見て、既に立ち入り禁止区画となった西街区に片足が入っていることに気付いた。
「リシャールさん、アウトです。」
「「……リシャール大佐、ごめんなさい……。」」
「だからもう大佐では……はあ、もういい(泣)」
~side:Agate and Lowe
さて、その頃アガットとレーヴェの2人は東街区から国際空港に向かっていた。途中ジョゼットに見つかり追いかけられるが、難なくあしらった。
「ここまで来れば大丈夫か。」
「いや…そうでもなさそうだぞ?」
レーヴェの言葉に、アルセイユのある方向を向くと、
「……気付いていたか。」
「さすがは剣帝と言うべきか。」
アルセイユの陰からハンターが2人――ユリアとミュラーが現われた。
「見逃しては、くれないのだろうな。」
「「何当たり前のことを……はっ!」」
ユリアとミュラーは同時に発言していることに気付き、はっとする。
「や、あの、少佐、すみませんっ!」
「……そんなに慌てなくても……。」
焦るユリアを見て、ミュラーもまた落ち着かなげになる。その様子はウブなカップルに見え……なくもない。
「……さて、俺達邪魔者は退散し「「そうはいかないぞ!」」だからハモって……。」
ユリアとミュラー、さらっとハモった。2人は一瞬たじたじするが、はっと思い直してアガットとレーヴェに向き直る。
「こほん。……というわけで、君たちを止めさせてもらう!」
ユリアは
「――遅いっ!」
縦長の渦が現われ、ユリアに向かう。ユリアは避けられなかった。駆動が解除されてしまった。
「くっ……。」
一方ミュラーは、自らと同じ大剣使いであるアガットに攻撃していた。
「行くぞっ!はあああああっ!」
大剣を持っているとは思えないほどのスピードで大剣を操り、何度も斬撃を繰り出した。彼のクラフトの1つ、ブレードダンサーだ。アガットは大剣で防ぐが、押され気味だった。
「ロストメビウス!」
ピンチになっていたところに、更にユリアのロストメビウスという追い討ちがかかった。しかしただダメージを受けたわけではなかった。
「シルバーソーン!」
レーヴェが唱えたのは、90%混乱という、凶悪な効果を持つアーツ、シルバーソーン。2人ともダメージは受けたものの、混乱した様子はない。アガットは2人の首元を見て、納得した。
「…リリーネックレスか!」
それは、混乱を防ぐ効果のあるアクセサリーだった。レーヴェは再びアーツの詠唱を始めるが、
「させんっ!」
ミュラーのミラージュエッジで解除された。が、しかし。
「……何故笑っている?」
レーヴェの顔に浮かんでいたのは、自信ありげな微笑。何か勝機でもあるのだろうか。
「アガット、準備は出来たか?」
「――!アレか!?」
「「??」」
アガットとレーヴェは何か話しているが、ユリアとミュラーには何のことかさっぱり分からない。2人が不審がっている間に、レーヴェは剣を改めて構え直している。
「燃え盛る業火であろうと砕き散らすのみ……。」
ユリアとミュラーはレーヴェがSクラフト――おそらくは、冥皇剣を放つものと思い意識をレーヴェに集中した。しかし、構えたのはレーヴェだけではなかった。
「これで決める!」
そう言って高く跳んだのは、アガット。
「なっ!?」
ユリアとミュラーは思わず上を見上げた。
「「シルヴァリオンダイブ!」」
上を見上げた隙にレーヴェが2人に斬り込み、氷の棺が現われ2人を閉じ込める。そこに、アガットが炎の竜を纏って飛び込んでくる。ユリアもミュラーも耐え切れずに倒れた。
「フッ……。」
2人が何をしたのかというと、連携を生かしたクラフト――コンビクラフトというらしい――である。
時は逃走中が始まってから30分――残り時間90分頃に戻る。
~地下水路
アドルとドギを戦闘不能にしたアガットとレーヴェは周りの雑魚を倒しながら出口を目指していた。
「――アガット・クロスナー。」
「何だ、後鬱陶しいからフルネームはやめろ。」
「そうか。」
レーヴェが提案したのは、コンビクラフトと言われる連携技。この2人はまだ知らないが、エステルとヨシュアが使っているアレだ。
「短時間で出来るのか?」
「周りを見ろ、練習相手が山のようにいるぞ。」
「そうかよ。で、どう使うんだよ。」
レーヴェとアガットはしばらく打ち合わせした後、周りの雑魚相手に使い始めた。雑魚を探すためにまた迷子になったのは内緒の話というヤツだ。
そんなわけで、アガットとレーヴェはハンターをまた2人戦闘不能にしたのだった…。そして2人は、空港を出て東街区に向かった。しかし、
「やあ、レーヴェに……。……誰だ?」
「おい!」
空港の出入り口には、ブルブランがいた。
投稿速度は落ちるかと思いますが、今年も何卒、よろしくお願いいたします!
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