逃走中@グランセル   作:紅波

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section2

 続いて鎖を引っ張ったのは、アガット。

 

「………こいつか?」

 

 彼は、頭に巻いているバンダナと同じような色の鎖を引っ張った。結果は……。

 

「っしゃ!」

 

 彼も、檻を開放することはなかった。グランセル城を出て、どこかに向かった。

 続いては、ジン。彼は、茶色の鎖を選ぶ。これもまた、セーフ。

 

「じゃあ、先に行くぜ。」

 

 その次に、オリビエ。彼が選んだのは、金色の鎖。

 

「な…なんか、イヤな予感しかしないんですけど……。」

 

 そう呟いたエステルの予感は果たして……。

 

 

 

 ガシャーン!

 

 

 

 ついに、ハンターの檻が開放されてしまった。オリビエ以外の6人は、その前にエステルの呟きを聞いていて走る準備をしていたからすぐに逃げられたが、ハンターのすぐそばにいたオリビエは、真っ先に、しかもミュラーに捕まった。導力銃を使うヒマもなく、だ。

 

「あ~れ~、そんなご無体な!」

 

 ミュラーは日頃の恨みつらみをこめて全力でオリビエを引きずっていった。その間、まずレーヴェがアースガード改で完全防御しなおかつ分け身を使って走り出し、シェラザードはアーツを使って、エステルはスタッフでハンターからの攻撃を流しながら、カルナは導力砲を遠慮なくぶっぱなし、グラッツは全力で走り出し、レンはちゃっかりパテル=マテルを呼び出しそれに乗って逃走した。レンがずるいといわれたのは、言うまでもない。

 

 逃げる最中に、レーヴェが思い出したようにハンター達にシルバーソーンをかけていった。カシウスとブルブラン以外の全員が混乱対策をしていなかったため、ハンター同士で攻撃し始めた。

 

 混乱を免れたカシウス、ブルブランの2人は、混乱したハンター達の攻撃を避けながらそれぞれ大技を使ってきた。

 

「雷光撃!」

 

「君にふさわしい最期を!さあ、美しく散るがいい。ははははは、さらばだ!」

 

 ちょうどそこにいたエステルとシェラザードが2人の攻撃に巻き込まれ、エステルはクローゼに、シェラザードはカシウスに捕まった。

 

 

 

 

 

――エステル・ブライト、シェラザード・ハーヴェイ、アウト――

 

 それだけの文字が、参加者全員に配られたビーコンと呼ばれる導力器(オーブメント)に表示された。この導力器はもともとは位置情報を示すだけの導力器だったが、改良が重なり、通信機としての機能も持つようになり、こうして文字の情報を送ることも可能になった。

 

「嘘、エステルちゃんにシェラ先輩が!?」

 

「え、エステル……。」

 

「あーあ。」

 

「でも、敗者復活戦があったから残念がることはないわ、レン。」

 

 先に逃げた者、オリビエが扉を開けた後残った者はそれぞれ思ったことを言った。

 

「あら、ルシオラ。」

 

 パテル=マテルで上空を浮遊していたレンは、地上から声をかけてきたルシオラの存在に驚いた。

 

「無事に逃げ切れたようでよかったじゃない。」

 

「当たり前よ、レンにはパテル=マテルがいるんだもの。ところで、ルシオラはどうしてここに?」

 

「あたし達、協力すれば勝ち残れると思うのよね。」

 

 レンはルシオラの言葉を聞いて、いたずらっぽく笑った。

 

「フフフ、そんなことしたら、他の人がかわいそうよ。でも、ルシオラとなら組んであげるわ。」

 

 ここに1つ、協力関係が生まれた。ルシオラもパテル=マテルの手のひらに乗り、更に幻術でパテル=マテルとレン、ルシオラの姿を隠して地上に降りた。その後、パテル=マテルの幻術だけ解除し、自分たちとは逆の方向に飛ばせた。ハンター達がパテル=マテルを追うのを尻目に、2人はコーヒーハウス《バラル》に向かって立てこもった。

 

 

 

 

 

「さてと、ここならそれなりに広いから安全だよね。」

 

 一番乗りで城を出たアネラスは、グランセル・アリーナに来た。そうして隠れ場所を探している間に、思わぬ人に会った。自分の次に出てきたヨシュアだ。

 

「あれ、ヨシュアくん。」

 

「アネラスさん。こんなところで何しているんですか?」

 

 アネラスは、ひとまずここに隠れようと思っていたことを話した。

 

「確かに、ここなら更衣室に立てこもるという手も使えますし、それなりに広いので、ビーコンでも気付かれにくいですし。……誰か来ますよ。」

 

 ヨシュアは双剣を、アネラスは刀を構えて待っていると、これまた逃走者だった。

 

「「リシャール大佐。」」

 

「もう大佐ではないんだが……。」

 

 恒例のやり取りをした後、リシャールが自分もとりあえずはここに隠れようと思っていたことを話した。それからしばらくあーだこーだと話し合い、結果3人で協力することになった。

 

 

 

 

 

「……あら、ここの発着場、意外に見通しがいいわね。選択ミスかしら?」

 

「うわ、意外に見通しいいな……あれ、キリカさん?」

 

「あなたは、カルナだったかしら?」

 

 

 

「この店、1Fだけじゃなかったのか……。」

 

「うひゃー、エーデル百貨店って色々あるんだn……ジンさん!?」

 

「グラッツか?」

 

 

 

「あっ、お前……!」

 

「まさかお前と鉢合わせするとはな……アガット・クロスナー。」

 

 協力関係がいくつも生まれた一方、港で鉢合わせしたアガットとレーヴェは若干険悪な雰囲気をかもし出している。

 

「へっ……やろうってのか?」

 

「と言いたいところだが、そうも言っていられないようだ。」

 

 その時、2人の前にはブルブランが現われた。

 

「あっ、えーっと、あいつだ!《変態紳士》!」

 

「《怪盗紳士》だ!間違えるなこの鳥頭が!」

 

「ぁあ!?誰が鳥頭だ!」

 

 キレたアガットは、大剣を振りかぶってブルブランを叩き斬ろうとする。が、姿を眩ませるように避け、彼の後ろに立つ。がそれは、レーヴェに背を向けることになるわけで――。

 

「ふんっ!」

 

 レーヴェの一撃で沈んでしまった。

 

「どういう風の吹き回しだ?」

 

「お前と協力するのも、面白そうだと思ってな。」

 

「はっ、そうかよ。」

 

 多少、いやかなりつんけんしているが、ここにもまた同盟が生まれた。

 

 

 

 

 

「ここなら安全か?」

 

 ケビンは、遊撃士協会に逃げ込んだ。腹が減っていたので、遠慮なく棚をあさり、紅茶をいれたり菓子を探してきてくつろいでいた。

 

 ちょうどその時、窓の外には影が潜んでいたが、完全にくつろぎモードに入ったケビンは気付かなかった。

 

「………………。」

 

 人の気配を感じてふと顔を上げると、そこにはリースがいた。どうやら、菓子の匂いに釣られたようだ。

 

「うわあああああああ!?」

 

「往け、インフィニティ・スパロウ!」

 

 

 

 

 

――ケビン・グラハム、アウト――

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