~東街区・歴史博物館前
「それで、これからどうするんだい?」
歴史博物館の前を、発着場で行き会ったキリカとカルナが話しながら通りかかる。ゆっくり歩いていていいのかと思うだろうが、今のところこの近くにはハンターはいない。それにこの2人、話しながら導力砲と偃月輪で周囲を警戒している。
「ちょっと待ちなさい。誰か来るわ。」
そう言ってキリカが見たのは、エーデル百貨店のある方向だった。しばらく見ていると、ジンとグラッツがやってきた。
「おお、キリカじゃねえか。」
「あら、ジン。いたの?」
「いたの?はねえだろ……。」
「おーい、俺のこと忘れてないか?」
グラッツが自分を指して言った。3人は思い出したようにグラッツを見るが、背後にいる者を見て後ずさった。
「うわ……。」
「ちょ……。」
「ジン、カルナ。逃げるわよ。」
「え、3人とも何――ぎゃあああああああ!」
グラッツの後ろにいたのは、カシウスだった。グラッツは逃げようとするが、棒を引っ掛けられてこけた。
――グラッツ、アウト――
「グラッツ、あんたのことは1分くらいは忘れないよ……。」
~西街区・住宅地
港を出たアガットとレーヴェはビーコンでハンターや逃走者の位置を確認しつつ移動していた。
「ハンターは西街区には今のところいないか……。」
「そこのコーヒーハウスに、レンとルシオラがいるみたいだぞ。」
アガットはレーヴェに言う。
「それくらい気付いていないとでも?」
「………………」
感謝も何もないレーヴェの返事に、アガットはジト目になった。
その時、ビーコンがピロンピロンと鳴った。ディスプレイには、こう出ている。
《怪盗Bからの第一ミッション:女神の像を探せ!》
「……ブルブランか。」
「しかも、ネーミングセンスがねえな。」
レーヴェはその続きを読んだ。曰く、怪盗Bことブルブランがどこかから盗んだ女神の像を隠したので、それを探せばハンターを1人減らすらしい。ただし、制限時間内に見つけられなければハンターが6人増えるそうだ。
第一のヒントは、『老将が庵のもの言わず時を刻む者の背中』。
「『時を刻む』ということは……時計か?」
「俺にはさっぱりだ。」
早速投げ出したアガットを、今度はレーヴェがジト目で見た。
「少しは考えたらどうだ、鳥頭。」
「誰が鳥頭だ!」
「バンダナで上げた前髪がとさかみたいだからだろう。」
「とさかじゃねえ!……それで、どこに行けばいいんだ?」
アガットはレーヴェに聞く。レーヴェは盛大にため息をついた。
「はあ……おそらく、どこかの家にある時計の後ろだろう。しかし、この『老将』が分からない。」
「あ。……モルガン将軍じゃねえか?」
「なるほど。それで、将軍の家はどこにあるんだ?」
「確か……。」
アガットはすぐ目の前を指した。そこには確かにモルガン将軍の家があるが、指した先にはミュラーがいた。アガットとレーヴェは慌ててバックステップで下がり、アガットはスパイラルエッジでミュラーの行動を遅らせ、レーヴェはシルバーソーンを使い、ミュラーを混乱させた。ミュラーはフラフラとどこかに行ってしまった。シルバーソーン、とても便利である。ミュラーが去ったのを確認すると、2人はモルガン将軍の家に入った。
まず1階を探したが、それらしき時計はなかった。2階に上がると、大きな時計があった。その後ろを調べると、第二のヒントがあった。
『常に1歩先を見よ、そこに真実はあり。 FTHKC 2E』
「「…………意味が分からない。」」
2人は同時にそう言った。
~グランセル・アリーナ
ピロンピロンと、ヨシュア、アネラス、リシャール大佐「だから大佐では…」おっと失礼、リシャールのビーコンが鳴った。
《第一ミッションの2つ目のヒント:常に1歩先を見よ、そこに真実はあり。 FTHKC 2E》
「そういえばさっきも通信機が鳴ったけど……誰か解答し…あ、書いてあった。」
第二のヒントの下に第一ヒントの解答者が書いてあった。それによると、アガットとレーヴェが解答したらしい。
「意外な組み合わせですね……。」
「意外すぎだよ……。」
「意外すぎだな……。」
解答者を見た3人の反応は同じものだった。
「まあ、それはおいておこう。それで、これはどういう意味なんだ?」
「これ……たぶん、僕分かりました。」
ヨシュアの発言にアネラスとリシャールが驚いた。
「この、『常に1歩先を見よ』っていうのは、アルファベット順、番号順に1個進めろってことだと思うんです。」
「ってことは、FがG、TがU、HがI、KがL、CがD、2が3、EがFになるから……。」
「『GUILD 3F』……ギルドの3階か。」
「へえ~……ヨシュア君、すごいね!じゃあ、早速ギルドに行こう!」
3人はギルドに向かった。
~遊撃士協会・グランセル支部
ヨシュア達がギルドに入ると、なぜか紅茶やら菓子やらが散らかっていた。どうやら、誰かが戦った後のようだ。
「もう、こんなもったいないことしたのは誰~!?」
「あ、アネラス君……。」
リシャールは、アネラスに若干引いたようだ。食べ物の方が大事なのかよ、と。
「これだけ散らかっているということは……ハンターと逃走者がやりあった?」
「それより、3階を見ておいた方がよいのでは?」
リシャールの提案で、3人は3階に上がった。テーブルの下や本棚などを探すと、なんと本に挟まっていた。
「見つかりにくいところに隠してくれたな……。」
「いったい誰が……って、ブルブランか。」
「こんなところにいたんですね。」
その時、扉の方から声がした。
「「クローゼ(殿下)!?」」
ヨシュアとリシャールは同時に言う。
「ふふ、ごめんなさい。――ジーク、お願い!」
クローゼは白ハヤブサのジークを呼ぶと、ヨシュアに向かって放った。しかし、ヨシュアはリシャールと窓から飛び降り、ジークは出遅れたアネラスを襲った。
「きゃああああ!あ、でもこの子可愛い!なんていう名前?」
そしてアネラスはジークと戯れ始めた。
――アネラス・エルフィード、アウト――
「………………」
「………………」
「「言葉に~できな~い♪」」
「あんたら誰だよ!」
「アネラスさん、あなたのことは忘れません。」
ギルドの3階から飛び降りたヨシュアとリシャールは、裏手の茂みの中に隠れていた。
「逃げ切れたのはいいが、第三のヒントが分からないな……。」
「それなら、取ってきたので大丈夫ですよ。」
「いつの間に!?」
「さっきです。」
「それはそうだが……。」
リシャールは追究するのを諦めた。そして、ヨシュアがかすめてきたヒントを見る。
『釣り師達の誇りを見よ、さすれば汝、女神に近付かん。』
とあった。
「釣り師が関係しそうなのは、釣公師団か。」
「誇り、とは何でしょうか。エステルならすぐ分かったのに……。」
2人はとりあえず釣公師団の建物に向かった。