~グランセル城・大広間
そこに集められたのは6人。全てが逃走中で脱落した者達だ。その6人とは、まず最初にミュラーに引っ張られて行ったオリビエ、クローゼとカシウスに捕らえられたエステルにシェラザード。カシウスに東街区で捕まったグラッツ。ギルドでリースが捕まえたケビン。そのしばらく後、クローゼに捕まったアネラスだ。もっとも、アネラスの場合は自業自得とも言えるが。
集められて何をするかというと、敗者復活戦らしい。
「残念ながら敗退してしまった諸君。ここで一度だけ、復活のチャンスを与えよう。ただし、1人のみだ。」
どこからかブルブランが現われ、そんなことを言った。
「それって……全体のたった1人しか復活できないってこと?」
「その通り。復活のチャンスを与えられたことを感謝するがいい。内容は……。」
「「「「「「……内容は?」」」」」」
6人が全員同時に聞いた。
「――コレだ!」
と言ってブルブランが出したのは、トランプだった。
「トラン……プ?」
「これから君たちにはポーカーをしてもらう。その勝者が復活できる。」
その瞬間、エステル、アネラス、グラッツ以外の3人の目がキラーンと怪しく光った。
「エステル、ごめんなさい☆ここは、あたしが勝たせてもらうわ!」
「いや、ここはボクがだね――」
「残念、オレが勝つで~。」
3人はフフフフフ……とかなり怪しく笑った。
「わ~、この人達には勝てないな~。はあ……。」
アネラスはため息をつき、
「な、何よ!あたしにだって勝機はある……はずよ!」
エステルは強がりを言い、
「どうどう。」
グラッツは宥め役に回った。
そうこうしているうちに、ブルブランがトランプを配り始めた。
「勝負は3戦先取としようか。それでは……。」
ブルブランが配ると、6人はカードを見た。シェラザード、ケビンはポーカーフェイスを保ち、オリビエはあからさまに余裕そうな顔、エステル、アネラスは微妙なのがきた~と言わんばかりの顔、グラッツは酷いのがきちまったぜ……と言いたい顔だった。
「それでは、最初はトレードなしといこう。」
6人はカードを見せた。まず、微妙そうな顔をしていたエステルのカードは、ハートとダイヤの8に、クラブとハートの10、そしてスペードの7だった。
「確かに、微妙なカードね。」
「むう…。」
次に見せたのは、アネラス。ハートとクラブのエースに、ダイヤのジャック、クラブの7、ハートの4だった。
「一部はいいのがあったのに……。」
次はグラッツ。ハートの3、クラブの4、5、スペードの6、クラブのジャックだった。エステルがツーペア、アネラスがワンペア、グラッツがブタだ。
「うわ……。」
「何、その酷いカード。」
次はオリビエ。随分余裕そうな顔をしていたので、逆に酷いカードがきたものと全員が予想していたが。
「ダイヤの5、6、7、8、9。ストレートフラッシュさ。」
「だ、騙された……。」
全員が呆気にとられた。
「よっしゃ、次はオレか。」
ケビンがカードを開く。カードは、ハート、クラブ、ダイヤのエースに、クラブのキング、ジョーカーだ。フルハウスだった。
「ジョーカーが入ってラッキーやったな。」
「それじゃあ、最後はあたしね。」
シェラザードが開いた。スペードの10、ジャック、クイーン、キング、エース――初っ端から最強のロイヤルストレートだ。
「ということは……1回目はシェラザードだな。」
~数十分後
戦績…エステル、シェラザード、アネラス、ケビン、オリビエ2勝、グラッツ0勝
ブルブランがカードを配るとシェラザードが目を一瞬輝かせ、それから何事もなかったかのように自分のカードに目を戻した。誰もシェラザードの行動に気付かなかったが、実はエステルの持っている1枚のカードと自分のカードを取り替えたのだ。
「(よかった、鈍ってない……えっ、嘘でしょ!?)」
シェラザードは無表情の下で動揺していた。
「さて、カードを開いてもらおうか。」
ブルブランの一言で、全員がカードを開いた。アネラスはダイヤ、ハート、クラブの3にスペードの6、クラブの9でスリーカード、グラッツはダイヤとスペードの8、ダイヤとスペードのジャック、ハートの5でツーペア、オリビエはハート、ダイヤ、クラブ、スペードの7、ジョーカーでファイブカード、シェラザードはハートとクラブの8、クラブの9、10、ジャックでワンペア、そしてエステルが――。
「ハートの10、ジャック、クイーン、キング、エース――ロイヤルストレートフラッシュよ!」
勝者はエステルとなり、エステルはヤッホーと言いながらグランセル城を出て行った。
「ところでシェラくん。先ほど――」
「(それ以上言ったら、アイナと酒比べしてもらうわよ…?)」
「ハッハッハ、何でもない!」
「「「????」」」