逃走中@グランセル   作:紅波

7 / 13
ここからは完全に未掲載の話になります。


section5

~北街区:残り時間85分

 

 敗者復活戦を見事勝ち抜いたエステルは、城を出て北街区から南街区へと向かっていた。鼻歌を歌ってはいるが、ちゃんと周りの警戒は怠っていない。……いないはずだ。

 

 南街区に入ろうとしたところで、見覚えのある少女と遭遇した。

 

「あれ、ノーテンキ女じゃん。復活戦はポーカーだって聞いたけど、勝ったんだ?」

 

「誰がノーテンキよ!っていうか、あたしが勝ち抜いたのが意外とでも!?」

 

「まあまあ、エステルさん――」

 

 その時、エステルの後ろからも聞き覚えのある声が聞こえた。そこにいたのは、クローゼ。どうやら、ジョゼットと2人で挟み撃ちを仕掛けたようだ。

 

「ナイス、クローゼ!……さて、もっかい捕まえてやろうかな…♪」

 

「エステルさん、申し訳ありません。」

 

 ジョゼットもクローゼも満面の笑みで告げた。

 

「ふ、2人とも怖いんですけど………。」

 

 クローゼがゆっくりとオーブメントに手をかける。ジョゼットは導力銃をエステルに向ける。絶体絶命のピンチと思われたその時。

 

「エステル!避けて!」

 

「ヨシュア!?」

 

 エステルが見たのは、ヨシュアとリシャールの姿だった。

 

「僕はもう逃げない……はあっ!秘技・幻影奇襲(ファントムレイド)!」

 

「散り行くは群雲、咲き乱れるは桜花。今宵、散華する武士がため、せめてもの手向けとさせてもらおう!はああっ!秘技・桜花残月!」

 

 エステルが飛びのくと、そこに来たヨシュアとリシャールがそれぞれのSクラフトを使い、ジョゼットとクローゼを攻撃する。

 

「くっ……」

 

 ジョゼットとクローゼは膝をついた。

 

「エステル!最初に捕まったって聞いたから心配してたんだ……(ジト目)」

 

「うっ……ごめんなさい、油断しました……。」

 

「……私のこと忘れてないか…?」

 

 リシャールが呆れて言う。

 

「「も、もちろん忘れてません!」」

 

「ならいいが……殿下には悪いが、今のうちに退散させてもらおう。」

 

「そうは行きませんわ、閣下。」

 

 そこに更に現われたのは――。

 

 

 

 

 

~東街区:残り時間70分

 

 グラッツ捕獲……もとい確保後、ジン、キリカ、カルナの3人はエーデル百貨店に潜んでいた。途中でドルンやらブルブランやらと遭遇したが、なんとかやり過ごしている。

 

「しかし、ここも広い店だな。まさか4階まであるとは思わなかった。」

 

「そうね。だからこそこんな隠れ処があるのだけど。」

 

「しかし……わざわざこんなところに隠れる必要もないんじゃないのかい?」

 

「売り場だと、ハンターは確実に探すと思うぞ。」

 

 そんな会話をしている彼らがいるのは、3階の紳士服売り場のストックルームだ。

 

「――誰か来たわ。」

 

 ジンとカルナは黙って耳を澄ませた。かすかに売り場の方からカツンカツンと足音が聞こえる。

 

「……(音を立てないように散ろう)」

 

 3人はそれぞれ動き出した。足音の主がいなくなってから4階のストックルームに集合すると決めて。

 

 

 

 

 

side:Zin

 

「やれやれ、なんてこった。」

 

 ジンの数アージュ前には、リースの姿があった。幸い、リースはジンに気付いていないようではあるが、離れた方がいいのは自明の理。しかし、そこで音を立てれば見つかる。どうしたものかとジンが考えていると、リースが後ろを振り向いた。

 

「「…………あ。」」

 

  見つめ合うこと数秒。先に動いたのはジンだった。

 

「――はあああっ!」

 

 竜神功で身体能力を上げると、ジンはその場を走り去る。リースも法剣(テンプルソード)を自在に操りジンを牽制しようと試みる。しかし竜神功の威力はなかなかのもので、ジンは捕まらなかった。

 

「よし、これならなんとか――」

 

「天の眷属たる女神のしもべよ……」

 

「ちょっと待てええ!店が壊れるぞ!」

 

 リースはSクラフト・ヘヴンスフィアの詠唱を始めたのだ。

 

「昏き大地を清める光、今こそ来たれ……其は光にして意思、七耀の守護者なり。今こそ我らに力を――ヘヴンスフィア!シューーート!」

 

 百貨店にいたジン、カルナ、キリカが確保され、店の修理代はケビンが出すことになったとかならなかったとか。アリシア女王が代わりに出したとか出さなかったとか。そこら辺は謎である。

 

 

 

――ジン・ヴァセック、キリカ・ロウラン、カルナ、アウト――

 

「あたしの苗字がないのはどういうことだい……?」

 

「大人の事情というヤツだろう。」

 

「お腹すいた……かな?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。