~北街区:残り時間80分
「そうはいきませんわ、閣下。」
そのセリフとともに現われたのは、リシャールが経営しているR&Aリサーチの助手にして元情報部のカノーネだった。
「カノーネ君!?」
「あーっ!年増雌ギツネ!」
「とっ……なんですってぇ!?」
「あーあー、そんなに怒ると小ジワが……。」
ジョゼットとカノーネ、徹底的に相性が悪いようである。ジョゼットからしてみれば、騙されたようなものだから、当然だろう。
「あの~……お2人とも、その辺で……。」
ジョゼットもカノーネも飛び道具で戦うため周囲の人間、特に同じハンターであるはずのクローゼにまで迷惑をかけている。
「……こ、これは今のうちに……」
エステル、ヨシュア、リシャールはこっそり後ずさる。しかし、クローゼはそれを見逃さなかった。
「万物の根源たる七耀を司る
「――まずい!」
「ちょっと、嘘でしょ!?」
クローゼは詠唱を始める。
「その妙なる輝きを以って我らの脅威を退けたまえ…光よ!我に集いて魔を討つ陣となれ!――サンクタスノヴァ!」
エステル達のいる場所に光の塊が出来て、そして激しく光る。エステル達はかなりのダメージを与えられた!
小競り合いをしていたジョゼット、カノーネもエステル達の方へ向かって来た。
「さて……。」
「これでおしまいですわ。」
「いつの間にケンカを終えた!?」
「目的は一緒みたいですし……。」
「今
ジョゼットが言葉の一部を不自然に強調して言った。
「あら、不本意なのはこちらもですわ、この野良猫。」
「うるさいよ、小ジワの年増雌ギツネ!」
「そこまでにしてくださいね?」
またケンカが始まりそうだったため、クローゼがにっこりと微笑んで無理やり止めた。
「「…は、はい……。」」
その気迫に呑まれて、ジョゼットもカノーネも黙り込んだ。
「さて……エステルさん、ヨシュアさん、リシャールさん。ここで降伏してくださるなら戦闘はしません。」
「クローゼも、面白い冗談言うようになったわね。」
「冗談ではありません。」
エステルとクローゼが共ににっこりと笑いながら会話する。その後ろでヨシュア、リシャール、ジョゼット、カノーネがオーブメントを駆動させる。
「(……エステル、駆動が完了したら、『アレ』をやろう。)」
「(!!『アレ』ね!分かった!)」
エステルとヨシュアがアイコンタクトで会話する。やがてリシャール、ジョゼット、ヨシュア、カノーネの順に駆動が完了した。
「アークプロミネンス!」
「ジオカタストロフ!」
「アビスフォール!」
「シルバーソーン!」
それぞれがかなり強力なアーツを使う。辺りはもうメチャメチャである。これを修繕する費用は一体どこから出るのか。
「行くわよ、ヨシュア!」
「分かった、エステル!」
アーツの詠唱が終わると、エステルとヨシュアが互いに声を掛け合った。
「えっ!?」
「何!?」
思いも寄らない事態に、ハンター達の動きが止まった。
「そこだっ!」
まずヨシュアが3人に斬りこむ。
「はあああっ!」
続いて、エステルが
最後にヨシュアの姿が幾つにも分かれて、
「「奥義・太極無双撃!」」
本人たち以外誰も知らない連携技を披露した。
「くっ……」
カノーネが膝をついた。とうとう戦えなくなったようだ。クローゼとジョゼットもしばらくは動けないだろう。
エステル達はこの隙に南街区まで逃げた。
――ハンター、カノーネ・アマルティア、戦闘不能――
南街区まで走って来てしばらくすると、ビーコンが鳴った。エステル達はビーコンのディスプレイを見る。
《怪盗Bからの第二ミッション:飛び猫たちを退治せよ!》
メッセージによると、
「あ、危なかったわね~……。」
「エステル、下の方に追加予定のハンターも書いてあるよ。」
ヨシュアの言葉で、ハンターを見た。
「まぁ、教授も出るのね。」
「よく見たら、《
「……ギルバートって誰だ?」
「…一応身内の奴だろ……」
「………………ああ、カンパネルラの手下の『あわび』か。」
「……あわび?」
「このメンバーは……エステル、リシャールさん。」
「うん、行かないとまずいわ。」
「そうだな。しかし、《面白》のワイスマンとは……?」
「「………《面白》じゃなくて《白面》だってば(ですよ)……。」」
追加予定のハンターは4人。まず、結社の使徒第三柱《面白》……《白面》のワイスマン。執行者№0、《道化師》カンパネルラ。執行者№Ⅷ、《痩せ狼》ヴァルター。そして、強化猟兵隊の中隊長、ギルバートだ。
「これ以上ハンターが増えても厄介だから、行きましょ。」
「ええ、そうね。」
西街区のレンとルシオラがようやく動き出し、
「あわb……ギルバートはともかく、残りの3人は増えられたらこちらに不利だ。飛び猫を倒しに行くぞ。」
「何でお前が仕切ってんだよ!?そしてあわびって何だよ!」
レーヴェが謎の言葉を放ちつつ、すぐ隣にある競技場に向かい、
「これは、倒しに行かなきゃ!」
エステル達も競技場に向かう。これで、生き残っている逃走者全員がミッションに参加することになった。
――残り時間:69分――
次回から、いよいよ後半戦に入ります!