逃走中@グランセル   作:紅波

8 / 13
section6

~北街区:残り時間80分

 

「そうはいきませんわ、閣下。」

 

 そのセリフとともに現われたのは、リシャールが経営しているR&Aリサーチの助手にして元情報部のカノーネだった。

 

「カノーネ君!?」

 

「あーっ!年増雌ギツネ!」

 

「とっ……なんですってぇ!?」

 

「あーあー、そんなに怒ると小ジワが……。」

 

 ジョゼットとカノーネ、徹底的に相性が悪いようである。ジョゼットからしてみれば、騙されたようなものだから、当然だろう。

 

「あの~……お2人とも、その辺で……。」

 

 ジョゼットもカノーネも飛び道具で戦うため周囲の人間、特に同じハンターであるはずのクローゼにまで迷惑をかけている。

 

「……こ、これは今のうちに……」

 

 エステル、ヨシュア、リシャールはこっそり後ずさる。しかし、クローゼはそれを見逃さなかった。

 

「万物の根源たる七耀を司る空の女神(エイドス)よ……」

 

「――まずい!」

 

「ちょっと、嘘でしょ!?」

 

 クローゼは詠唱を始める。

 

「その妙なる輝きを以って我らの脅威を退けたまえ…光よ!我に集いて魔を討つ陣となれ!――サンクタスノヴァ!」

 

 エステル達のいる場所に光の塊が出来て、そして激しく光る。エステル達はかなりのダメージを与えられた!

 

 小競り合いをしていたジョゼット、カノーネもエステル達の方へ向かって来た。

 

「さて……。」

 

「これでおしまいですわ。」

 

「いつの間にケンカを終えた!?」

 

「目的は一緒みたいですし……。」

 

「今だけ(・・)は共闘することになったんだ。」

 

 ジョゼットが言葉の一部を不自然に強調して言った。

 

「あら、不本意なのはこちらもですわ、この野良猫。」

 

「うるさいよ、小ジワの年増雌ギツネ!」

 

「そこまでにしてくださいね?」

 

 またケンカが始まりそうだったため、クローゼがにっこりと微笑んで無理やり止めた。

 

「「…は、はい……。」」

 

 その気迫に呑まれて、ジョゼットもカノーネも黙り込んだ。

 

「さて……エステルさん、ヨシュアさん、リシャールさん。ここで降伏してくださるなら戦闘はしません。」

 

「クローゼも、面白い冗談言うようになったわね。」

 

「冗談ではありません。」

 

 エステルとクローゼが共ににっこりと笑いながら会話する。その後ろでヨシュア、リシャール、ジョゼット、カノーネがオーブメントを駆動させる。

 

「(……エステル、駆動が完了したら、『アレ』をやろう。)」

 

「(!!『アレ』ね!分かった!)」

 

 エステルとヨシュアがアイコンタクトで会話する。やがてリシャール、ジョゼット、ヨシュア、カノーネの順に駆動が完了した。

 

「アークプロミネンス!」

 

「ジオカタストロフ!」

 

「アビスフォール!」

 

「シルバーソーン!」

 

 それぞれがかなり強力なアーツを使う。辺りはもうメチャメチャである。これを修繕する費用は一体どこから出るのか。

 

「行くわよ、ヨシュア!」

 

「分かった、エステル!」

 

 アーツの詠唱が終わると、エステルとヨシュアが互いに声を掛け合った。

 

「えっ!?」

 

「何!?」

 

 思いも寄らない事態に、ハンター達の動きが止まった。

 

「そこだっ!」

 

 まずヨシュアが3人に斬りこむ。

 

「はあああっ!」

 

 続いて、エステルが棒術具(スタッフ)で連打を食らわせる。

 

 最後にヨシュアの姿が幾つにも分かれて、

 

「「奥義・太極無双撃!」」

 

 本人たち以外誰も知らない連携技を披露した。

 

「くっ……」

 

 カノーネが膝をついた。とうとう戦えなくなったようだ。クローゼとジョゼットもしばらくは動けないだろう。

 

 エステル達はこの隙に南街区まで逃げた。

 

――ハンター、カノーネ・アマルティア、戦闘不能――

 

 

 

 

 

 南街区まで走って来てしばらくすると、ビーコンが鳴った。エステル達はビーコンのディスプレイを見る。

 

《怪盗Bからの第二ミッション:飛び猫たちを退治せよ!》

 

 メッセージによると、王立競技場(グランアリーナ)に50匹の飛び猫が出たので今から20分の間――残り時間50分になるまでに退治しろとのことらしい。また、ミッション開始時――つまり今から、地下水路、西街区の港、北街区には立ち入り禁止になるようだ。

 

「あ、危なかったわね~……。」

 

「エステル、下の方に追加予定のハンターも書いてあるよ。」

 

 ヨシュアの言葉で、ハンターを見た。

 

 

 

 

 

「まぁ、教授も出るのね。」

 

「よく見たら、《身喰らう蛇(ウロボロス)》のメンバーばかりじゃない。」

 

 

 

 

 

「……ギルバートって誰だ?」

 

「…一応身内の奴だろ……」

 

「………………ああ、カンパネルラの手下の『あわび』か。」

 

「……あわび?」

 

 

 

 

 

「このメンバーは……エステル、リシャールさん。」

 

「うん、行かないとまずいわ。」

 

「そうだな。しかし、《面白》のワイスマンとは……?」

 

「「………《面白》じゃなくて《白面》だってば(ですよ)……。」」

 

 

 

 

 

 追加予定のハンターは4人。まず、結社の使徒第三柱《面白》……《白面》のワイスマン。執行者№0、《道化師》カンパネルラ。執行者№Ⅷ、《痩せ狼》ヴァルター。そして、強化猟兵隊の中隊長、ギルバートだ。

 

 

 

 

 

「これ以上ハンターが増えても厄介だから、行きましょ。」

 

「ええ、そうね。」

 

 西街区のレンとルシオラがようやく動き出し、

 

 

 

 

 

「あわb……ギルバートはともかく、残りの3人は増えられたらこちらに不利だ。飛び猫を倒しに行くぞ。」

 

「何でお前が仕切ってんだよ!?そしてあわびって何だよ!」

 

 レーヴェが謎の言葉を放ちつつ、すぐ隣にある競技場に向かい、

 

 

 

 

 

「これは、倒しに行かなきゃ!」

 

 エステル達も競技場に向かう。これで、生き残っている逃走者全員がミッションに参加することになった。

 

 

 

 

 

――残り時間:69分――




次回から、いよいよ後半戦に入ります!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。