東京喰種【赤鬼】   作:マツユキソウ

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息子

喰種対策局十一区支部。喰種捜査官と呼ばれる彼等は、喰種から人命を守る為に日々喰種の情報や被害状況の整理、喰種の捜査などを行っている。

俺、久土正人も喰種捜査官としてある事件を起こした喰種を捜査するために本部からこの十一区支部へとやって来たわけだが……

 

「赤鬼らしき喰種と接触するも澤戸上等及び井土二等捜査官、死亡」

 

俺の机の上には二人の捜査官の死亡通知書が置かれていた。

喰種捜査官が殺されるのはこれで何人目だ。いい加減尻尾を掴ませてくれよ……

頭を抱えながら、俺は一向に進まない調査書へと目を移した。

 

SS級駆逐対象【赤鬼】、去年の冬に十区の○△保育園を襲撃。

園児並びに職員全員が死亡。現場に駆けつけた喰種捜査官十六名、全員死亡。

その後、赤鬼は姿を消すが一週間後の大晦日に十一区で喰種捜査官二名を襲撃。

今日まで、赤鬼らしき喰種と喰種捜査官が何回か交戦するも駆逐には至らず。

赤鬼の性別及び赫子の特徴は不明……現在調査中である。

 

「はぁ……」

 

ため息をつくと幸せが逃げると言うがこれはつきたくなる。

何せ、赤鬼について何も分かっていないからだ。

性別も不明、赫子も不明……唯一分かっていることと言えばヤツが付けているマスクが般若の面という事だけだ。

 

……殆ど何も分かっていない喰種だが、これだけはわかることがある。

コイツは絶対に狩らねばならん存在だ。

何の罪もない子供達の未来を壊したクズの中のクズだ。

 

「久土さん、何だか怖い顔してますけど大丈夫ですか?」

 

「あ…いや…」

 

どうやら気持ちが顔に表れていたらしい。

隣の机で赤鬼の目撃情報を整理していた俺の相方の広野一等捜査官に声をかけられた。

 

「はぁ…どうせまた、赤鬼について考えてたんでしょ」

 

「う…そんなところだ」

 

何故かはわからんが、広野は俺の考えていることが分かるらしい。

エスパーかコイツは……それなら赤鬼についての情報も知っていても……

っと、冗談はさておき。

今の様に、広野は観察力に優れている。顔の表情や些細な変化などで相手がどんな人物なのか、何を思っているのかが分かるらしい……意味がわからん。

まぁ、広野の観察力は喰種にも通用するのでかなり助かっている。

 

「久土さん、僕のことを考えているでしょ」

 

「何故わかった…」

 

うむ、やはりコイツはエスパーだ。

 

「いや、久土さん僕の方をジーっと見てたじゃないですか、そんなに見られたら嫌でもわかりますよ」

 

「む…そうだったのか」

 

「そうですよ! 集中するとそこしか見なくなる、久土さんの悪い癖です」

 

「はは、治すように努力するよ」

 

そう言いながら広野の肩をポンポンと叩く。

叩き終えるのと同時に鐘の音が響き、俺は立て掛けてあった時計を見るといつの間にか夕方の六時になっていた。

 

「もうこんな時間か…」

 

「久土さん、あとは僕がやっておきますから早く帰って創多(そうた)君と遊んであげて下さい」

 

「いつもすまんな広野、また今度飯でも奢るよ」

 

「いいってことですよ。創多くんにまた遊ぼうなって言っておいて下さい」

 

「あぁ、言っておくよ。ありがとうな広野」

 

俺は帰り支度をして広野に「お疲れ様」と言った後、支部を後にした。

 

創多は、俺の一人息子だ。

妻が病気で亡くなった後、男手一つで育ててきた大切な……大切な息子だ。

来年で小学生になる創多は、外で遊ぶことが大好きでよく広野とかくれんぼや缶蹴りなんかをして遊ぶ。

…いつも明るくて元気な創多だが、一人の時に見せる悲しそうな顔が俺には耐えられない。

なるべく、早く帰って一人でいる時間を減らしてやりたいんだが…難しいんだよなぁ…

 

そんなことを考えながら歩くこと数分、いつもの帰り道で通る公園に見覚えのある影がって…

 

「創多!?」

 

「あ、パパだ~」

 

家で待っていると思っていた創多が支部の近くの公園にいて大きな声を挙げてしまった。

こちらに走ってきた創多を抱き上げたが、俺の頭はかなり混乱していた。

 

「そっ創多、どうしてお前がこんな所に」

 

「えーとね、パパが帰って来るのをこの公園で待ってたの」

 

「一人でか?」

 

「ううん~、真っ白なお姉ちゃんと一緒に待ってたの」

 

創多が一人で居なくてホッとしたが、気になったことがある。

 

「創多、真っ白なお姉ちゃんってどういうことだ?」

 

「んー、真っ白なお姉ちゃんは真っ白なお姉ちゃんだよ」

 

「そ、そうか」

 

創多の曖昧な答えに納得はいかないが、どうやら真っ白なお姉ちゃんに世話になったらしい。

なら、父親として息子が世話になったのだからお礼は言わないとな。

俺は真っ白なお姉ちゃんを探そうと辺りを見渡すが、真っ白な服又は白い何かを付けている人物は見当たらなかった。

っていうか人が誰もいなかった。

 

「その真っ白なお姉ちゃんはどこに行ったんだ?」

 

「さっきまで、居たんだけど…あれー居なくなっちゃった」

 

どうやら創多も分からないらしい。

仕方ない、また今度会えるだろう……

 

「まぁ…帰るか」

 

「うん!」

 

俺と創多は手を繋ぎながら家への帰り道を歩いて行った。

 

 

 




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