久しぶりに自分の二次小説を読み返しましたが、すっごい直したい……
プロローグ
ワタシには自慢の姉がいた。
綺麗で優しくて何時も笑顔だった姉は、ワタシにとってこの糞みたいな世界で生きる為の唯一の光だった。
だけど、姉は違った。
姉は……子供たちの未来こそがこの世界の……ワタシたちの光だと考えていた。
子供たちが笑顔で暮らせる世の中にしたいと姉は何時も言っていた。
ワタシたちの様な化物がいる限り、そんな事は不可能だとワタシはその度に言ったが、姉は自分の考えを変えることはせず、ワタシの反対も振り切って保育園に勤めるようになった。
「色々大変だけど、子供の笑顔が見れるだけで幸せっ!!」
(そう……良かったね)
「もぉー! 何で何時もそんな冷めてんのよ!」
(何時もその話だから)
姉が子供達の為に頑張っているのは知っている。
姉の事が心配で、ワタシは近くで様子を見ているから……。
姉が幸せなら、ワタシはそれで良かった。
姉の為なら、ワタシは消えてもいいと思ったのに……あの事件が起きた。
捜査官に追われていた喰種の親子が、姉の勤めている保育園に逃げてきたのだ。
ワタシは、成り行きを黙って見ていた。
喰種の親子を助けようとする人間の子供たちや先生、痺れを切らした捜査官による強行突破。
飛び交う怒声に、子供たちの泣き声。
飛び散る肉片に、増幅する憎悪……哀しみ。
何時の間にか、ワタシは朱色に染まった部屋に一人立っていた。
それから、姉はワタシの前から消えてしまった。
ワタシは姉を必死に探したが、どこにも姉は存在しない。
(どうして……どうして見つからないの……ユキお姉ちゃん)
ワタシは姉を探すのを諦めた。
諦めた代わりに、自分が姉になろうと決めた。
何時だったか……姉と遊んだごっこ遊びと同じように、その役になりきるんだ。
髪を白髪にして、綺麗な顔にして、子供に優しい姉になろうと頑張った。
でも駄目だった。
結局ワタシはワタシだ。外見をどんなに変えても、姉にはなれない。人と付き合ったことがないワタシは上手く笑えない。会話もできない――そもそも、ヒトが嫌いだ。
特に子供は苦手……喜怒哀楽が激しすぎてついていけない。
こんなのが未来の光だなんて――ワタシは認めない。
ヒトは愚かで、貪欲で、醜い生き物だ。同じ種同士で貶し、傷つけ、殺し合う。
それは喰種にも言える。ヒトの血肉でしか生きることができず。同じ種同士で傷つけ、殺し合う。
もう、ワタシには何が正しいのかもわからない。
お姉ちゃんがいれば。お姉ちゃんがいれば。お姉ちゃんがいれば。
ワタシには何もいらない。
お姉ちゃんがいないこんな世の中は――。