挨拶。ヒトとヒトが出会った時にするもので自分の印象を良くする大切な行動。
だから私はヒトに出会ったらまず挨拶することにしている。
例えそれが殺す相手だとしても……
「……こんにちは」
「ッツ!?」
私が挨拶すると、目の前に立っていた男のヒトは驚いた様子で振り返った。
男のヒトと目線が合うが直ぐに逸らされてしまった。ショックです。
それにしても……この雰囲気。服装。そして右手に持っているアタッシュケース。…このヒト、喰種捜査官。
喰種捜査官。彼等のことを白鳩って呼ぶ喰種もいるけど呼び方なんてどうでもいい。
喰種捜査官なら殺す。それ以外の選択肢はない。
「君はもしかして昨日、
男のヒトがいきなりそんな事を言ってきて少し驚いたが、創多という名前には聞き覚えがあった。
昨日の夕方、男の子が一人で道を歩いているのに気づいた私は、いてもたってもいられず声をかけた。その声をかけた子の名前が創多だった気がする。
「一緒にいた」
「おぉ!やっぱりそうか、昨日は息子が世話になったな。ありがとう」
「…気にしない」
……そっか。創多君はこのヒトの息子なんだ。
「俺の名前は、久土正人だ。もし良かったら名前を教えてもらえないか?」
「岸花…雪」
「岸花雪か、じゃあ雪ちゃんだな」
「何でもいい」
少しの会話でわかったけど、このヒト隙が全然ない。
私と話している時でも周囲に目を配らせているし、私の行動一つ一つに反応している。
今まで殺してきた捜査官より強そうだけど……殺せる。
「そっかそっか。じゃあ、もう一つ質問」
先程まで笑顔だった正人さんは真剣な顔つきになり。
「雪ちゃんは、喰種かな?」
「どうして?」
質問の意味がわからなかった。
いえ、質問の内容は理解していますがどうしてそんな事を聞いてくるのかわからなかった。
まだ出会って数分なのに私が喰種だってバレた…いえ、それはないですね。
もしバレたのならこんなことを聞かずに私を殺すはずです。
では、何故こんなことを聞くのか……わからない。
「ごめんごめん。今の質問は忘れてくれ、何となくで聞いただけだからさ」
「……そう」
今の言葉を聞いてわかりました。
正人さんに私が喰種だってバレました。
でも、不思議です…正人さんから殺意が全く感じ取れません。
「俺はそろそろ仕事に戻るよ。またね」
正人さんはそう言うと手を振りながら駆け足で去っていった。
どうして…
☆ ☆ ☆
「岸花雪かぁ」
俺は先程別れた少女のことを思い出していた。
彼女の第一印象はとても綺麗な子だった。
透き通る様に白い肌。腰まである髪は雪の様に美しい白色。顔立ちは整っており、十人彼女とすれ違えば全員が必ず振り向く。と断言できる程の美少女。
しかし、二つ気になったことがあった。
一つ目は彼女の目だ。彼女の目は
光など一切入る余地のない黒。目を合わせた瞬間、引きずり込まれてしまいそうな程だ。
二つ目は表情。彼女は俺との会話中、終始無表情だった。
表情を変えずに話すものだから、まるで機械を相手にしているかの様だった。
そして、わかったことがある。
彼女…岸花雪は喰種だ。
いや、証拠とかないよ。何て言うのかな、長年の勘ってヤツかな。
じゃあ、喰種とわかっているなら何で見逃すんだって話なんだけど……自分でもよくわからん。
だが、今度会った時は狩る。それが俺達喰種捜査官の宿命だからな。
空を見上げると、いつの間にか雪が降っていた。
表現方法とか難しい・・・
執筆のアドバイス、おかしいと思う所を言って下さると助かります。