「・・・退屈。」
ふとあたりを見渡すと寂れた商店街にいた。確か町はずれにあったっけ?
「なんでこんなとこに」
「ま、いっか。こんなとこめったに来ないし探検しよ~っと」
「ん~?あっちの方はなんか面白いことがある気がする」
確証はない。ただの勘。でも...
「こういうときの勘ってよく当たるんだよな~♪」
期待をにじませつぶやいた途端、意識が途絶えた
***
ふと意識覚醒すると、暗闇。無音。それだけが支配する空間に、ぼんやりとした輪郭だけが浮かび上がる。
「...どこ、ここ?」
最初に視界に入ったのは、何もない真っ白な空間だった
「お目覚めになられましたか。月影うみさん」
ふと、聞いたことのない透き通るような声で呼ばれ振り返るとそこには...
端正な顔をとても申し訳なさそうゆがませている女性が立っていた
「...だれ?」
「私はあなたたちの世界でいうところの神様です」
俺の問いに女性はそう答えた
「・・・」
(神様?普通に怪しいけど、状況的にありえない話ではないか)
「...ずいぶんと納得するのが早いんですね」
突然そういわれる
「・・・?」
(もしかして今の口に出てたのかな?)
「いいえ。私は心が読めるんです。神様ですから♪」
自称女神は自慢げな様子でそう語る
「あぁなるほど(信憑性がめっちゃ上がったなぁ。自称女神から女神にランクアップだ)」
などと考えていると、女神は再度申し訳なさそうな表情になったかと思うと...
「申し訳ありません。こちらの不手際により、うみさんは死んでしまいました」
と言葉をつづけた
「死んだ?・・・そっか、死んだのか」
言われて思い出した。いつも通りふらふらと探索をしているとき、
すさまじい衝撃と共に意識が途絶えたことを
「ん?不手際というのは?」
「実は...」
と、女神は俺の問いに答え、語りだす。
「...ということなんです」
女神の話をまとめると、生物には『命の灯』なるものが存在し、
それが消えることで『死』という現象としておこるらしい
その灯は神の間で管理されているらしく、
今回は俺の灯が神たちの不手際により消えてしまった結果、
雷に打たれて死んでしまったらしい
「・・・」
あの衝撃の正体と命が意外とシステムチックだった現実に
情報を整理しようと意識を思考の海へと潜らせていると
「本当に申し訳ありませんでした!!」
と、かなり大きな声が聞こえる
突然の出来事に意識が戻る
なんなんだと思ってそちらを見やると女神が頭を下げていた
(ああ、反応がなかったから俺が怒ってると思ったのか)
「ん?いいよ、別に」
「え...?」
あまりに平然と答える俺に困惑したのか声を漏らす
「・・・?どしたの?」
「え...いえ、あの怒ってないんですか?」
「怒ってないけど...」
「何でですか....!?
まだ本来は死ぬはずじゃなかったんですよ!
なのに、どうしてそんな...「間違えちゃったんでしょ、なら仕方ない」...!?」
「神様であれ人間であれ、ミスはあるもんでしょ?
これで俺が一切ミスしない完璧超人だったら怒ってたかもね~」
「そんで、俺はこの後どうなるの?地獄行き?」
そう聞くと女神は慌てた様子で、
「地獄行き!?ただでさえ申し訳ないのにことしませんよ!」
と、首を横に振る。ふむ、じゃあ天国か
「その...別の世界で生きていただこうかと思っておりまして」
「生きる?別の世界?」
「はい、
もう一度、同じ世界に生き返らせることは規則上できません。
ですから、せめてもと思いまして」
「償いと言っていいかはわかりませんが、
うみさんの望む力もお付けさせていただきます」
「ん~、あれだね。
俗にいうテンプレ転生ってやつだ」
(まあ、退屈してたとこだしちょうどいいか)
「うん。いいね。それで行こう
ちょうど生活にも退屈してたとこだし」
「......ありがとうございます。」
女神はほっとしたように息を吐き、柔らかく微笑んだ。
「では、改めてお聞きしますね。
転生に際して、何か望むことはありますか?」
「力でも資源でもいくらでも、
と言いたいところなのですが
あなたの魂の格では...3つが限界といったところですね」
「ん、3つね。ちょっと考える時間ちょーだい」
(ん~こういう時、小説とかだと漫画やら
アニメからとってくるのが王道だよね~)
「じゃあ、1つ目は『呪術廻戦』の五条悟が持ってるあの格好いい目!」
「五条悟の...ああ"六眼"ですね。大丈夫ですよ」
「ん、ありがと。じゃあ次は~」
(どうしようかな?
あ、そういえば"六眼"ってなんか特殊なんだっけ
じゃあ一つはおんなじジャンルにした方がいいかな?
せっかくなら有効活用したいし)
「力って自分で考えたやつでもいいの?」
「はい、よほどのものでなければ大丈夫です」
「じゃあ、"対象の呪術を理解することでコピーする"
みたいなそんな感じの呪術が欲しい」
「わかりました。そのように」
(あと一個....
どうしようか。なんか便利なやつがいいんだけど)
あ、アレにしよーっと)
「じゃあ、最後は、
『ワールドトリガー』の村上鋼が持ってる
あのサイドエフェクトでお願い」
「...確か"強化睡眠記憶"でしたね。
それでは確認です。
"六眼"、"呪術の複製術式"、"強化睡眠記憶"で大丈夫ですね?」
「うん、お願いね♪」
「承知しました」
女神は丁寧にお辞儀をしながら告げる。
「これらの能力は必ずうみさんのお役に立てるでしょう」
「そっか。ありがとね」
軽く手を振る俺を見て、女神は少し困ったように笑う。
「……あの、本当にこれで良かったのですか?」
突然の問いかけに首を傾げる。
「なにが?」
「もっと強い力や富を求めても良かったのですよ?神の威光を借りて……」
「いいのいいの。
あんまり凄すぎたりしてもつまんないしね。
というかこれでも十分すごいし」
女神はしばらく黙っていたが、やがて小さく頷いた。
「……分かりました。そろそろ時間ですね」
彼女の手がゆっくりと俺の額に触れる。
「また会えるといいねぇ」
なんとなくそう言ってみると、女神は柔らかく微笑んだ。
「もし再び会うことがあれば……その時は、あなたが死んでしまった時ですよ」
「ありゃ、それじゃあんまり早いのは困っちゃうね」
その言葉を最後に、視界が白く溶けていった。
意識が深く沈んでいく感覚。まるで眠りに落ちるように……
***
「ん」
瞼を開けると、目に飛び込んできたのは白っぽい天井だった。
薄い木材が縦横に走り、素朴な雰囲気を醸し出している。
(これは...あれを言うチャンスか?)
「……知らない天井だ」
いまだ少しぼやけた思考の中で体を起こす。
首を巡らせると、少し大きめの部屋であることがわかる
(ベッドが複数。医務室かな?)
ベッドからおりて立ち上がる。
....違和感。
「なんか...目線が低い?」
あたりを見回すと、大きな姿見が目に入る
姿見のところまで行き前に立ってみると...そこに映ったのは___
──子供だった。
「……子供?」
思わず呟いた一言が、誰もいない部屋に吸い込まれていく。
鏡の前に立ったら映ったのだから、"これ"が"自分"なのは疑いようもない
首を傾げると、鏡の中の幼い顔も同じように動く。うん、これは"俺"だ
顔立ちは中性的で、ぱっと見では女の子と錯覚しそうなほど幼い。
頬のラインも柔らかく丸みを帯びていて、
この年齢でなければ「童顔」と評されるレベルだろう。
ここまでなら、子供のころの自分でまだ納得できる。
だが、それ以外は別人と言ってもいい。
プラチナブルーの髪。光が当たる角度によって、白に近い淡い青みがかって見える。
髪型は短髪より僅かに長めといったところだが、
特に整えられた痕跡はない。無造作に流れているだけだ。
そして──目。
アイスブルーの瞳が、幼い顔立ちの中で異彩を放っていた。
まるで、吸い込まれてしまうかのような雰囲気を醸し出している
(そういえば、六眼所持者の視界は普通の人と違うんだったっけ?)
あたりを見回してみるが、特に依然と変わらない
(まだ、機能してないってことかな...?)
もう一度鏡の中の自分に目を戻す
体のバランスは、あくまで幼児体型の範囲内だった。
手足は細く、全身の色素も薄い。肌は白めで、
“儚げ”という形容がしっくりくる。
(とりあえず、情報がいる。
現状じゃ自分のことすら容姿以外何もわからない)
近くにあった粗末な机の引き出しを開けてみるが、何も入っていない。
壁際に置かれた棚には何冊か本があったので手に取ってみたが、
どれも簡単な絵本ばかり
(文字は俺のいた世界と同じなんだ...よかった~
じゃあつぎは...)
「とりあえず部屋から出ればなんかわかるでしょ」
ドアの前に立ちドアノブに手を伸ばす
「........高い」
(ドアノブに手が届かない...子供の体は不便だな~)
あたりを見回すと、近くに木箱が積まれていた。
試しにひとつ動かしてみると、簡単に持ち上げられる
。それを踏み台にしてやっとドアノブに届いた
「よっと....」
(ドアも重いし、これから大変そう)
ドアを開けると、細長い廊下に出た
(適当に歩いてみるかね)
動かないことには情報がないので歩き出す
(板張りの床に、照明は蛍光灯...
そして、壁には子供が書いたであろう絵
極めつけは少し遠くから響く複数の子供の声)
「孤児院...かな」
(それに、大人や子供たちの容姿からして日本か)
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探索をつづけることしばらく
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(大体、必要な情報は集まったかな?)
いったん最初の部屋に戻り建物内の探索の成果を簡単にまとめる
(まず、この場所は予想通り日本にある孤児院であることが分かった。規模はそこそこ。
次は、自分について、名前は前世と同じく"月影うみ"のまま
年齢は3歳で、孤児である...と、
これは院長室にあった名簿に載ってたから確定でいい)
(窓から、見た景色と新聞や絵本、聞こえてくる会話内容からして
ここは俺が生前暮らしてた世界とあまり変わらないとみていいかな)
「みなさーん。ご飯ですよ~」
情報を整理していると職員の女性の声が聞こえてきた
「まぁ今はこれだけわかってれば十分、
後のことは、生きながら考えよう」
(今度の人生は、前より面白いといいな)
そう思いながら、俺はもう一度部屋をでた。
孤児院生活を詳しく書くつもりはないので次の話の時は結構一気に時間を飛ばします