準一級としての生活にも、
ようやく慣れてきた頃だった。
任務と学校を行き来する日々。
忙しいけど、まあ悪くない。
準一級になってから、
単独での見回り任務が増えた。
今日もそのひとつだ。
夜の川沿いは、
昼間とはまったく違う顔をしている。
街灯の光が水面に揺れて、
風が吹くたびに波紋が歪む。
(……静かだな)
呪霊の気配はない。
ただの見回りで終わりそうだ。
そう思っていた、その時だった。
橋のほうに、
ぽつんと"人影"が立っているのが見えた。
(……人?
こんな時間に、こんなところで?)
距離があるのに、
その姿だけが妙に浮いて見えた。
近づくにつれて、
その人影が"欄干の外側"に立っていることに気づく。
(……ほっとくわけにはいかないよね?)
足を速めて、橋の方へ急ぐ。
夜風が吹くたびに、
その細い体がふらりと揺れた。
「すとーっぷ!!」
声をかけた瞬間、
少女の肩がびくっと震えた。
その一瞬の隙に、
俺は欄干の内側から腕を伸ばし、
彼女の手首を掴んだ。
冷たい。
細い。
力が入っていない。
そのまま引き寄せると、
少女は抵抗もせず、
ふらりと俺の胸元に倒れ込んできた。
「……離して」
小さな声。
震えている。
「だめ。落ちたら死んじゃう」
「……それでいいのに」
その言葉が、
夜の空気より冷たく感じた。
俺は少女を欄干の内側に戻し、
そっと距離を取った。
逃げられないようにじゃない。
威圧しないように。
ただ、
"話せる距離"に。
街灯の光が、
少女の制服を照らす。
見覚えのない校章。
うちの学校じゃない。
少し離れた中学のやつだ。
(……なんでこんなところに)
「……どうしたの?こんなとこで」
少女は答えない。
俯いたまま、
肩だけが小さく震えている。
(聞くのは無理っぽい)
「名前とか事情とか全部無理は聞かない」
「俺のエゴでごめんだけど、
見ちゃった以上、死なせるわけにはいかない」
川の音だけが流れる。
しばらくして、
かすれるような声が落ちた。
「……もう、疲れたの」
その言葉が、
川の流れよりも重く沈んだ。
俺はしばらく黙っていた。
軽い言葉を返すのは違う気がしたから。
少し間を置いて、
できるだけ柔らかい声で言う。
「……疲れたって
――生きることに?」
少女の指先が、
ぴくりと震えた。
顔は上げない。
でも、その反応だけで十分だった。
図星なんだろう。
夜風が吹いて、
少女の髪が揺れた。
「……うん」
蚊の鳴くような声だった。
「生きるの、もう……無理なの。
頑張っても……何も変わらないし……
誰も、私のことなんて……」
言葉が途中で途切れる。
喉が詰まって、
声にならないみたいだった。
俺は口を挟まなかった。
否定も、励ましも、まだ早い。
少女は俯いたまま、
ぽつりぽつりと続ける。
「……家も、学校も……全部、苦しいの。
どこにいても……息が詰まるみたいで……」
(つまり、この子は.....)
「逃げたかったの?」
俺がそう言うと、
少女の肩がびくりと揺れた。
図星なんだろう。
でも、否定する気力も残っていないみたいだった。
「……うん。
逃げたかった。
どこでもいいから……
ここじゃない場所に行きたかったの」
その声は、
風に消えそうなくらい弱かった。
俺はその言葉を聞きながら、
胸の奥がざわつくのを感じた。
──ただの同情じゃない。
もっと、術師としての"嫌な予感"だ。
(……この子の状態、やばいな)
心が限界まで擦り切れて、
自分の存在を否定して、
死を選ぼうとしている。
こういう"負の感情"は、
呪霊にとって最高の餌だ。
いや、餌どころか──
(……ほっといたら、厄介な呪いになりそうだ)
死んだ瞬間、
その絶望が呪いに変わる可能性は高い。
しかも、
この子の抱えてる"重さ"は尋常じゃない。
もし呪いになったら、
ただの一級じゃ済まないかもしれない。
(……だから助けたのは、正解だったな)
もちろん、
人として見捨てる気はなかった。
でも同時に、
術師としての本能が警鐘を鳴らしていた。
"この子を死なせたら、もっと悪いことが起きる"って。
少女はまだ俯いたまま、
ぽつりと続けた。
「……逃げても、意味ないのにね。
どこに行っても……苦しいのは同じで……
だから……もう、いいかなって……」
その言葉に、
俺は小さく息を吐いた。
(……この子、限界ギリギリだ)
呪霊より厄介な"人の呪い"が、
すぐそこまで迫っている。
だからこそ──
ここで放すわけにはいかない。
「逃げれさえすれば.....死ぬこと以外でもいい?」
少女は、
俺の問いにすぐには答えなかった。
俯いたまま、
肩が小さく震えている。
何か言おうとして、
でも言葉にならない──
そんな呼吸の乱れが伝わってくる。
その"揺れ"を見た瞬間、
俺の中でひとつの確信が生まれた。
(……やっぱり、この子は
本気で死にたいわけじゃない)
"死にたい"じゃなくて、
"ここから消えたい"だけ。
少女は、
かすれる声でようやく言葉を絞り出した。
「……分かんない……
逃げたいのかどうかも……
もう、自分でも……」
その声は弱くて、
でも確かに“揺れていた”。
俺はゆっくり息を吸って、
静かに言った。
「……やっぱり気が変わった」
少女が、
驚いたように顔を上げる。
街灯の光が、
涙の跡を淡く照らした。
「全部話して。
名前でも事情でも……言える範囲でいい」
少女は戸惑ったように視線を揺らす。
俺は続けた。
「俺が君を逃がしてあげる。
"死ぬ"以外の方法で」
(俺は呪術師として、この子を死なせちゃいけない)
少女は、
俺の言葉を聞いてもしばらく黙っていた。
俯いたまま、
指先だけがぎゅっと握られている。
迷っている。
揺れている。
でも──逃げ道を探している。
少女は、
小さく息を吸い込んだ。
そして、
震える声でぽつりと落とす。
「……私……
中村、恵理……」
名前を名乗る声は弱かったけど、
その一言に“覚悟”が滲んでいた。
俺は静かに頷く。
「ん。恵理さんね。
話せるところからでいい」
恵理さんは、
ぽつりぽつりと断片的に話し始めた。
言葉は途切れ途切れで、
全部を説明できる状態じゃない。
でも──
十分だった。
(不慮の事故への自責に母親からの虐待、義父からの暴行未遂....
挙句の果てに性格の変化....というよりは精神防御か
それによって、学校でも周りと距離ができて孤立....
正直、今までよく持ったなって感じだよ。役満何てレベルじゃない)
夜風が吹いて、
川の水面が揺れる。
恵理は俯いたまま、
自分の指先をぎゅっと握りしめている。
その姿を見て、
俺はゆっくりと息を吐いた。
(さて、方法は.....って言っても一つしかないか
とりあえず確認しないと)
「……恵理さん」
恵理が顔を上げる。
涙の跡が光に反射していた。
「逃げる方法はあるよ。
ちゃんとした、現実的なやつ」
恵理の目が、
ほんの少しだけ揺れた。
希望というより、
"信じていいのか分からない"という揺れ。
「ただまぁ、今のが全部ほんとで、
俺の考えた手段をとるなら、
大人たちが動くことになる」
恵理さんの呼吸が止まる。
俺は淡々と、
でもできるだけ優しく言った。
「つまりは、
君を苦しめてきた人たちは……
多分、捕まっちゃう」
恵理さんの目が大きく開く。
驚き、恐怖、混乱。
いろんな感情が一瞬で浮かんでは消えた。
俺はその反応を見て、
静かに言葉を重ねる。
「でもね。
それは"君のせい"じゃない」
恵理さんの肩が震える。
「君が悪いんじゃない。
悪いことをした人が、
その責任を取るだけ」
夜風が吹いて、
恵理さんの髪が揺れた。
俺は続ける。
「君は逃げていい。
守られていい。
助けを求めていい」
恵理さんは唇を噛んで、
小さく震える声で言った。
「……そんなこと……
してもらっていいの……?」
俺は頷いた。
「うん。
君はもう十分頑張った。
これ以上ひとりで背負う必要はない」
「だから──
まずは安全な場所に行こう。
一週間以内には何とかする」
恵理さんは、
俺の言葉を聞いてもしばらく動かなかった。
夜風だけが吹いている。
やがて、
ぎゅっと握られていた指先の力が、
少しだけ抜けた。
「……安全な場所って……」
かすれる声が落ちる。
「本当に……
あの家じゃない、どこか……?」
「うん」
即答すると、
恵理さんの喉が小さく鳴った。
(.....一旦は、大丈夫そうかな?)
しばらく沈黙が続いたあと、
恵理は小さく息を吸い込んだ。
そして──
震える声で、ぽつりと呟く。
「……お願い、しても……いい?」
顔は俯いたまま。
でも、その声には
さっきまでなかった"必死さ"が滲んでいた。
「何を?」
俺がそう促すと、
恵理は唇を噛んで、
それでも言葉を絞り出した。
「……今日のこと、
全部……"私のせい"にしないでほしい」
思っていたのと、
少しだけ違うお願いだった。
「お母さんが捕まっても……
あの人が責められても……
"私が言ったからだ"って……
私、自分で自分を責めそうで……」
声が震える。
「また……
"私が壊したんだ"って……
きっと、思っちゃうから……」
(...ほんとうに、なんで今日まで生きてこられたのか不思議なくらいだ)
「いーよ」
恵理さんの肩が、びくっと揺れる。
「約束する。
これから、何が起きても
"恵理さんのせい"にはしないよ」
(これから起きること全部、俺の責任。
話を聞いて、気に入らないって思った。
だから、この子に許可を得て好き勝手にやる
うん。完璧だね)
恵理さんは、俺の言葉を聞いたあともしばらく震えていた。
でも──
その震えは、さっきまでの"絶望の震え"じゃない。
逃げ道を見つけた人間が、
それを掴んでいいのか迷っている時の震えだ。
やがて、恵理さんは小さく息を吸い込んだ。
「……じゃあ……」
声は弱いけど、確かに前へ進もうとしていた。
「……私を……逃がして……」
その一言は、弱々しいのに、
どこか"生きたい"と叫んでいるように聞こえた。
(はぁ....何とかなりそう)
俺は迷わず頷いた。
「うん。任せて」
「じゃあ行こう」
俺は立ち上がり、手を差し出す。
「安全な場所に」
恵理さんは一瞬だけ迷ったけど──
ゆっくりと俺の手を取った。
その手は冷たくて、細くて、
でも確かに“生きようとしている”温度があった。
孤児院の門をくぐると、
夜の空気が少しだけ柔らかく感じた。
街灯の光に照らされた建物は、
昔と変わらず温かい色をしている。
恵理さんは、
その前で立ち止まって小さく震えた。
「……ここが……?」
「うん。大丈夫。
俺が"初めて安心した場所"だから」
そう言うと、恵理さんは
ほんの少しだけ肩の力を抜いた。
俺は玄関のインターホンを押す。
夜遅い時間だから、
しばらくしてから足音が近づいてきた。
扉が開き、
優しい顔の院長先生が姿を見せる。
「……うみくん?こんな時間にどうしたのですか?」
俺は深く頭を下げた。
「ごめんなさい。院長さん、こんな遅くに。
どうしても、お願いがあって」
院長先生は驚いたように目を瞬かせたが、
すぐに恵理さんの存在に気づいた。
「その子は……?」
恵理さんは、
俺の後ろに隠れるようにして立っていた。
怯えているというより、
“どうしていいか分からない”という感じだ。
俺は静かに言った。
「いろいろと事情があって……
院長さんは何かを察したのか柔らかい声で言った。
「.....分かりました。
まずは中に入りなさい」
恵理さんの肩が、
その言葉にわずかに揺れた。
俺は恵理さんの背中を軽く押す。
「大丈夫。ここは安全だよ」
---
孤児院に入って、今は事情説明のために俺と院長さんだけ。
恵理さんは春に別室へ連れてってもらった。思い出させるだけになるし。
院長さんは、
湯気の立つカップを二つテーブルに置きながら、
静かに俺の方へ向き直った。
「.....それで?何があったのかを聞いても?」
俺は深く息を吸って、
言葉を選びながら口を開いた。
「実は――」
――――
「――と、言うわけなんです」
話し終えると、
院長先生はしばらく黙っていた。
「なのでまぁ、お願いというのはあの子の受け入れですね
この問題解決すると、あの子の保護者いなくなっちゃうんで」
「なるほど...
分かりました。あの子はうちの"家族"として迎えましょう」
「ただ、どうするつもりですか?
一人で解決できる問題ではなさそうですが」
「そこは悟さんに手伝ってもらおうかと」
院長先生は、まるで悟さんの顔を思い浮かべたかのように苦笑した。
「……あの人なら、やってくれるでしょうね。
多少、やりすぎるかもしれませんが」
「……まぁ、そこは……はい」
二人で小さく笑った。
院長先生は立ち上がり、別室の方へ視線を向けた。
「では、あの子にはまず休んでもらいましょう。
ここなら安全です。
うみくんも、今日はもう遅いでしょう?」
「はい。
でも……一週間以内に全部終わらせます」
院長先生は頷いた。
「ええ。あなたならできるでしょう。
そして、何かあればいつでも頼りなさい」
その言葉に、俺は深く頭を下げた。
「ありがとうございます。
ほんとに……助かります」
院長先生は優しく微笑んだ。
「うみくん。
ここはあなたの"家"でもあるのですから」
その言葉が、夜の静けさの中でやけに温かく響いた。
---
翌朝。
孤児院の廊下には、朝の光が静かに差し込んでいた。
早速動き出そうと準備していると、院長さんに声を掛けられた。
俺は院長さんに案内されて、
恵理さんが休んでいる部屋の前に立った。
「起きていると思いますよ。声をかけてあげてください」
院長さんがそう言って去っていく。
俺は軽くノックした。
「……恵理さん、起きてる?」
少し間があって──
扉の向こうから、かすかに返事が返ってきた。
「……うん」
扉を開けると、
恵理さんはベッドの上で膝を抱え、
昨夜よりは少しだけ血色の戻った顔でこちらを見ていた。
目の下には疲れが残っているけど、
“もう落ちる寸前の人間の目”ではなかった。
「……おはようございます」
小さな声だけど、ちゃんとした挨拶だった。
「おはよう。眠れた?」
「……少しだけ。でも……昨日よりは……」
言葉を探しながらも、
"生きる側に戻ってきた人間の声"だった。
俺は頷いた。
「そっか。ならよかった」
恵理さんは視線を落とし、
指先をぎゅっと握りしめながら言った。
「……本当に、行くの……?
その……私の家のこと……」
「うん。今日から動くよ」
恵理さんの肩が小さく震えた。
不安。
罪悪感。
恐怖。
全部まだ残ってる。
でも──
逃げるのをやめてはいない。
俺が今しなきゃいけないのは、
そういうの全部吹っ飛ばして、安心させてあげること
"絶対に大丈夫だ"と伝わる言葉。
"この人に任せていい"と思わせる言葉。
ふと頭に浮かんだのは、
あの人――五条悟。軽くて調子のいいあの人の言葉。
"僕、最強だから"
あれほど雑で、
あれほど根拠なんてなさそうな言葉は他にない。
でも、あの言葉を聞いた時の安心感は、
俺もよく知っている。
(なんだかんだで、あの人のこと信用してるんだなぁ、俺)
だから──
(あの言葉を借りよう。
でも借りるだけじゃダメ.....
あの言葉に安心感があるのは、
あの人が誰よりも自信にあふれてるから。
普通に言うだけじゃダメ。
悟さんを超えるくらい自信満々に)
自分を構築する。不安とか弱気とか。
そういうのを全部取っ払って、自信だけの自分を演じる
俺は恵理さんの前にしゃがみ、
できるだけ優しく、でもはっきりと言った。
「大丈夫。
俺、"最強"だから」
恵理さんが、驚いたように目を瞬かせた。
「……最強……?」
「うん。
だから、任せて。
俺が君の"呪い"を祓ってあげる」
恵理さんの目が、
ほんの少しだけ潤んで揺れた。
そして──
かすかに、でも確かに頷いた。
「……分かった。
じゃあ……お願い、します」
その声は弱いけど、
昨日の"死にたい"とはまったく違う。
俺は立ち上がり、扉の方へ向かう。
「じゃ、行ってくるよ」
恵理さんは、胸元で手を握りしめながら言った。
「……気をつけて」
「うん。
すぐ戻るよ」
扉を閉める直前、
恵理さんが小さく呟いた。
「……ありがとう」
その声が、朝の光よりも温かかった。
---
それからは早かった。
悟さんに事情を話した瞬間、
あの人はいつもの調子で「はいはい〜任せといて〜」と笑い、
その数時間後には、関係各所が一斉に動き始めていた。
俺がやったのは──
恵理さんの証言をまとめて、
必要なところに届けただけ。
(……いや、届けただけって言っても大変だったけど)
でも、全部が片付いた頃には、
なんだか胸の奥がスッと軽くなっていた。
恵理さんは孤児院で落ち着いて過ごしていて、
院長さんも「大丈夫ですよ」と言ってくれた。
全部、うまくいった。
......いったんだけどさ。
「悟さん……」
「ん〜?どうしたの、うみ?」
「……俺……
あんなにかっこつけたのに……
やったこと、めっちゃ少なかったぁ……!」
思わずその場にしゃがみ込んだ。
昨日の"最強だから"の自信はどこへやら。
今はただの中学生だ。
悟さんは一瞬きょとんとして──
すぐに吹き出した。
「ははっ、何それ。かわいいんだけど?」
「かわいくないです!!
俺、もっと……なんか……あるじゃないですか!」
「いやいやいやいや」
悟さんは俺の頭をぽん、と軽く叩いた。
「うみ、君まだ中学生だよ?」
「……でも」
「でもじゃないの。
君の"最強だから"は、
ちゃんと最強だったよと思うよ」
「……は?」
悟さんは、いつもの軽い笑顔のまま言った。
「君が言ったから、あの子は生きる方を選んだんでしょ?
それって、術式より強いよ」
「…………」
「それにね?
大人が動くのは当たり前なの。
子どもが全部背負う必要なんてないの」
悟さんは俺の肩を軽く押した。
「うみは"やるべきところ"を完璧にやった。
それ以上は求めなくていいの」
「……ほんとに?」
「ほんとほんと。
むしろよくやった方だよ。
自分で思ってるよりずっとね」
その言葉を聞いた瞬間、
胸の奥がじんわり温かくなった。
(……ああ、やっぱこの人、ずるいな)
軽いのに、雑なのに、
なんでこんなに安心させてくるんだろう。
悟さんはニッと笑った。
「じゃ、帰ろっか。
今日はアイス奢ってあげる」
「……子ども扱いしないでください」
「いやいや、子どもでしょ~?
準一級だけど」
「……それは……そうですけど……」
「ほら、行くよ~。
"最強"の後輩くん」
その言葉に、
少しだけ胸が誇らしくなった。