「さてさて、もう個人戦みたいになっちゃってるから、
それぞれのカードでも観ていこうか」
モニターを眺めながら、悟さんが間延びした声を出す。
そんな様子を横目に、
俺はモニターを一つ一つ順に確認していった。
「じゃあまずは....パンダとメカ丸先輩のとこから行きましょうか」
言った直後だった。
眩い光が、画面いっぱいに炸裂する。
「――っ!?」
直撃。
パンダの巨体が、
白熱したビームに正面から飲み込まれた。
「うっわ……」
歌姫さんが思わず声を漏らす。
でも。
「……スーパービーム!!」
俺は、思わず身を乗り出していた。
「おぉ~」
悟さんが、楽しそうに声を上げる。
「いきなり飛ばすねぇ」
画面の中では、
白い煙がまだ晴れきらない。
(あれは、相当効いたでしょ...パンダ大丈夫かな)
俺がそう思った次の瞬間だった。
煙の奥から、
明らかに"サイズ感がおかしい"影が立ち上がる。
「……あれ?」
思わず、声が漏れた。
次の瞬間、
カメラが寄る。
映し出されたのは――
腕が太く、肩幅が異様に広がったパンダ。
「……は?」
画面いっぱいに映る、
ゴリラのような体躯。
「…………」
一瞬、
観戦席が静まり返った
「ちょっと待って」
頭が追いつかない。
「……何あれ」
悟さんが、
完全に面白がった声で言う。
「ゴリラかな?」
「いやいやいやいや!!」
俺は思わず身を乗り出した。
「なにアレ!!
パンダ、あんなのあった!?
俺、知らないんだけど!!」
歌姫さんも、
目を丸くしてモニターを見る。
「……え、なにそれ。聞いてない」
「もう十年近くの付き合いなのに初めて見た...」
「……あぁ~」
悟さんが、
笑いながら声を出した。
「なるほどね。
それ"第三形態"だ」
「第三!?
第二どこ行きました!?!?」
「君の心の中に」
「ないですよ!!」
思わず叫びながら、
視線をモニターに戻した。
……戻した、その瞬間だった。
「――ん?」
画面の中。
ゴリラみたいに膨れ上がったパンダが、
片腕で機体を掴み――
次の瞬間には、頭をぶん殴っていた
「……あ」
「……終わった?」
悟さんが、あっけらかんと呟く。
腕がちぎれ、仰向けに倒れているメカ丸先輩
さすがに機能停止だろう
「決着、つきましたね」
俺は、若干虚を突かれた気分で言った。
画面の中ではしゅるしゅるとパンダモードへ戻っていくパンダ。
「ま、こっちはこれで終わりだね」
悟さんが、あっさりとまとめる。
そしてそのまま、指先で別のモニターを示した。
「あっちの方もさ。
結構いい感じだよ」
視線を移す。
映っていたのは――
「……真希先輩と、霞先輩ですね」
モニターの中では、
長物を構えた真希先輩が途切れぬ連撃を繰り出している。
対する霞先輩は、
迫る連撃を受けながら、なかなか踏み込めずにいた。
「霞先輩は距離を詰めたいけど、
真希先輩強すぎて防戦一方って感じですね」
「うん。そうだね」
悟さんが軽く頷く。
「まあこればっかりは相手が悪いね。
真希、めっちゃ強いし」
モニターの中で、
霞先輩は一歩、また一歩と間合いを探っている。
そして――
霞先輩が、足を止めた。
深く腰を落とし、
刀を納めるような体勢。
次の瞬間。
「簡易領域……!」
「なるほど」
俺は思わず頷く。
「とりあえず、
あの長物をはたき落としたいって感じですね。
正面から当てにいくより合理的です」
「そうだね」
悟さんも同意する。
「とりあえず真希の武器をどうにかしないと、話にならない」
――が。
真希先輩は、
踏み込まなかった。
代わりに。
「……は?」
次の瞬間、
自分の腿で――
長物を、真っ二つに折った。
「えっ」
思わず声が出る。
折れた片方を、
霞先輩に向かってぶん投げた
「……っ!」
領域内に入った飛来物へ領域が反応しカウンター
「うわ、IQたっか」
俺がそう言った直後。
次々に暗器を投げて距離を詰めていく
距離は瞬く間に縮まり、残った穂先側で鍔迫り合い
霞先輩が耐えた、その直後。
――投げ。
霞先輩が宙を舞い体制を立て直したころには、
どういうわけか刀が真希先輩の手に収まっていた
「合気に太刀取り....
器用すぎでしょ、真希先輩」
思わず、素で声が出た。
「そうだね」
振り向くと、
冥さんが腕を組んでモニターを眺めている。
「……面白い子じゃないか」
淡々とした口調。
でも、明らかに評価している声音だった。
「これだけの動きができるなら、
さっさと二級にでも上げてやればいいのに」
「僕もそう思うんだけどねぇ...
なーんか、禪院家が邪魔してるみたいでさぁ
さっさと手のひら返して認めてやりゃいいのに」
悟さんは心底面倒くさそうにつぶやく
「ふふっ。金以外のしがらみは理解できないねぇ」
「さっすが守銭奴」
冗談めかして言うと、
冥さんは小さく肩をすくめた。
「……でさ」
声音が、少しだけ変わる。
「ここで話は変わるんだけどさぁ」
俺と歌姫さん、冥さんの視線が一斉に悟さんへ向く。
悟さんは、
何でもないことのようにモニターを指した。
「さっきからさ、
虎杖のとこ、映像よく途切れない?」
「動物は気まぐれだからね
それに視覚を共有するのは疲れるし」
冥さんは、
本当に何でもないことのようにそう言った。
「えぇ~、本当?」
悟さんが、
わざとらしく間延びした声を出した。
「ぶっちゃけさ、冥さんって――どっち側?」
その問いに、
冥さんは一瞬も迷わなかった。
「私は常に――金の味方だよ」
あまりにも即答だった。
「金に換えられないものに、価値はないからね」
「なんせ、金に換えられないのだから」
歌姫さんが、
小さくため息をついた。
「……清々しいほど守銭奴ね」
「褒め言葉だよ」
そのやり取りを聞きながら、
悟さんはふっと視線を横にずらした。
――楽巌寺学長の方へ。
そして、
誰にも聞こえないくらいの音量で呟く。
「……いくら積んだんだか」
楽巌寺学長は、
何も答えない。
ただ、
杖を軽く鳴らしただけだった。
(あぁ...やっぱりそういう感じなのね)
そんな微妙な空気を、
悟さんがぱちん、と手で払う。
「と・こ・ろ・で~」
間延びした声。
「うみくんや」
「……なんですか」
返事をしながらも、
だいたいろくな話じゃない気はしている。
悟さんは、
さっきまで映っていた真希先輩のモニターを、
もう一度だけちらっと見る。
「さっきの真希の距離の詰め方なんだけどさぁ」
「僕、すっごい見覚えがあるんだよねぇ」
一拍。
「……奇遇ですね」
俺は、少しだけ間を置いてから答えた。
「俺も、なぜだか見覚えがあるんですよね」
「うんうん」
悟さんは満足そうに頷く。
「そうだよねぇ」
そして、
さらっと爆弾を落とす。
「だってあれ、
うみが真希相手にやったことあるもんねぇ」
「……」
一瞬、
言葉に詰まる。
歌姫さんが、ぴくっと反応する。
「は?」
冥さんも、
初めてこちらにちゃんと視線を向けた。
「へぇ……?」
悟さんは、にこにこと続ける。
「ほら、前にさ。
真希と初対面の時だったかなぁ」
「……そーですね」
俺は、小さく息を吐いてから続けた。
「よーく覚えてますよ、えぇ。
どう仕掛けても反応してくるから、
正攻法じゃ無理だなって思って」
モニターの中の真希先輩にも、
一瞬だけ視線をやる。
「まさかここで出てくるとは思いませんでしたよ」
その時――
ボッ
と、壁に貼られていた呪符が燃えた
「おー、動いたね
これで1対1。みんなゲームに興味なさすぎない?」
「ほんとよ」
歌姫さんが、
少し呆れたように息を吐く。
「連携もなければ、フォローもない。
完全に各自で好き勝手やってるじゃない」
「なんで仲良くできないのかしら」
と、半ば本気でぼやいた。
すると悟さんが、
間髪入れずに口を挟む。
「歌姫に似たんでしょ」
「私のはあんた限定よ!!」
「はいはい、次次」
完全スルー。
歌姫さんが何か言い返そうとして――
やめた。
その労力が無駄だと悟ったらしい。
「で」
悟さんは指先でモニターを指す。
「次はここね」
「....野薔薇先輩と桃先輩ですか
なんか一番殺伐としてるんですけど、
何かあったんですかね」
二人は何か言い合いながら戦っている
野薔薇先輩が釘を打ち出し、桃先輩が躱して突風。
野薔薇先輩を吹っ飛ばす
そのたび、野薔薇先輩はなんてことないように立ち上がる
(パンダに投げられまくってたもんなぁ...)
そんなことを考えている間にも、
モニターの中ではまた突風が吹く。
桃先輩の操る風が、
容赦なく野薔薇先輩を弾き飛ばした。
「……主導権は完全に西宮ね」
「だねぇ」
悟さんも軽く頷く。
「近づかせないっていうのを徹底してる」
モニターの中で、
野薔薇先輩が地面を転がり――
すぐに、何事もなかったかのように立ち上がる。
その手には、もう釘。
「……でも」
俺は、画面から目を離さずに言った。
「野薔薇先輩も、
闇雲ってわけじゃなさそうですよ?」
「ほう?」
悟さんが、楽しそうにこちらを見る。
「どういう意味?」
俺はモニターを指さしたまま答えた。
「野薔薇先輩が打った釘、
ぜーんぶ……おんなじ“木”に刺さってるんですよねぇ」
モニターの中で、
幹の太い一本の木に、複数の釘が深々と打ち込まれているのが映る。
「……へぇ」
悟さんが、感心したように声を漏らす。
「ちゃんと"仕込み"じゃん」
その瞬間だった。
パチン、と野薔薇先輩が、指を鳴らした。
「――芻霊呪法【簪】」
次の瞬間、
木に打ち込まれていた釘すべてから、
一斉に呪力が炸裂した。
「……っ!?」
木が、内側から叩き割られるように軋み、
そのまま大きく傾ぐ。
「くっ……!」
桃先輩は即座に高度を下げて回避する。
――その瞬間を、野薔薇先輩は待っていた。
一気に距離を詰め、
伸ばした手で――
「……取った!」
箒の枝先を、
掠めるように掴み取る。
着地し、かすめ取った枝をその場で藁人形にたたきつける
「芻霊呪法【共鳴り】」
刹那。
「――っ!!」
桃先輩の動きが、完全に止まった。
箒の制御が効かなくなり、落下していく。
「……来たね」
悟さんが、愉快そうに呟く。
野薔薇先輩は容赦しない。
落下した桃先輩に駆け寄り、懐から――
ピコピコハンマーを取り出した
一拍。
観戦席が、静まり返る。
「……え?」
思わず声が漏れた。
「なにあれ」
歌姫さんが目を瞬かせる。
「……ピコハン?」
「ははっ」
悟さんが、吹き出した。
「最高。
そう来るとは思わなかった」
「....まぁトンカチでぶん殴るわけにはいきませんからね」
俺が半ば呆然としながら言うと、
「それもそうだね」
悟さんが可笑しそうに笑った。
画面の中では野薔薇先輩がピコハンの連撃を浴びせている
野薔薇先輩は一歩踏み込み、
最後の一撃のために振りかぶる。
「これで――」
その瞬間。
野薔薇先輩の足元が跳ね、
体勢が大きく崩れる。
ピコピコハンマーが、
地面を転がった。
「...矢じゃないので真依先輩ですね」
「いやぁ」
悟さんが軽く息を吐いた。
「野薔薇、ほぼ勝ってたんだけどねぇ」
「まぁ、これが正しい形だと思いますよ
タイマンやってる人たちがおかしいんです」
俺がそう言うと、
「ははっ」
悟さんが、心底楽しそうに笑った。
「冷静だねぇ。でも正論」
「ほんとよ」
歌姫さんも肩をすくめる。
「横槍も、援護も、状況判断も込みでしょ。
交流会なんだから」
「まぁ、これでだいたい片付いたかな」
悟さんがモニターを見渡す
「残ってるのは……」
指先が止まった。
「恵と、加茂くんのところだね」
視線を移す。
モニターの中では、
伏黒先輩と憲紀先輩が、一定の距離を保ったまま対峙していた。
憲紀先輩が弓を射り、恵先輩が叩き落す
モニターの中で、
憲紀先輩が矢をつがえる。
放たれた一射。
「……っ」
伏黒先輩は、迷いなくそれを叩き落とした。
矢羽が散り、
弓弦がわずかに揺れる。
「……」
次の矢は、来ない。
「憲紀先輩、
あれでストック最後ですね」
「だね」
悟さんが頷く。
「さて、どう出るかな」
モニターの中で、
憲紀先輩は一瞬だけ視線を上にやった。
次の瞬間。
天井へと向けて、
最後の矢を放つ。
直後。
バン、と乾いた音。
天井の構造物が砕け、
破片が雨のように落ちてくる。
そして一気に接近し掌打を一発。
恵先輩はぎりぎり反応して防ぐも呪具がたたきおられる
「なるほど」
悟さんが楽しそうに言った。
「弓捨てて、殴り合いね」
「赤燐躍動でのドーピング....
あれ、結構負担あるんですよね。短期決戦かぁ」
「へぇ。
そんなにキツいの?」
悟さんが、興味深そうに聞いてくる。
俺は、モニターから目を離さずに答えた。
「ええ。
やってること自体は。心臓のポンプ機能を、
無理やり加速させてるみたいなものですから」
「俺も全開で使ったら5分持てばいい方ですかね」と付け加える
「……え?」
少し間を置いて、
歌姫さんが俺の方を見る。
「あれ?
うみくんも――
赤血操術を使えるの?」
俺は肩をすくめて答えた。
「まあ……
赤血操術自体は、
そこまで複雑な術式じゃないので」
「いつの間にやらコピーしてました」
さらっと言うと、
「……」
一瞬、
観戦席が静まり返った。
そして。
「いやいやいやいや」
悟さんが、指を立てて笑う。
「それさぁ。
加茂家にバレたら、
めっちゃうるさいやつだよ?」
「でしょうね
でも十種もコピーしてるんで今更ですよ」
俺がそう返すと、
「あぁ~……」
悟さんが、納得したように手を打った。
「それもそっかぁ。
十種影法術まで行ってるなら、
赤血操術くらい誤差だよね」
「……その"誤差"の感覚が」
歌姫さんはため息交じりだが、
「一周回って、
もう何も言うことないわ」
諦めたようだ
画面の中では二人の近接戦闘が激化していた
掌打。
蹴り。
「……っ」
モニター越しでも分かるほど、
恵先輩と憲紀先輩の動きは速い。
「激しくなってきましたね」
俺は、目を細めた。
「だね」
悟さんも楽しそうだ。
掌底。
伏黒先輩は受け流し、距離ができる
二人は何かを話しているようだ
その、ほんの一瞬。
視界の端で、
別のモニターがふっと明滅した。
「……ん?」
何気なく、
そちらに視線をやる。
映っていたのは、
森の中。
通信端末を耳に当てた、霞先輩が映っていた
次の瞬間。
三輪先輩の身体から、
力が抜けた。
音もなく、
その場に崩れ落ちる。
「……あーあ。寝ちゃったよ」
モニターを見ながら、
悟さんが、どこか軽い調子で言った。
倒れ伏した霞先輩の姿。
完全に、意識を失っている。
「棘先輩ですね」
「だね」
悟さんがあっさり頷く。
「根拠は?」
歌姫さんが、こちらを見る。
「さっき」
俺は、端的に答えた。
「パンダが、
メカ丸先輩から携帯借りてました」
一瞬、沈黙。
「あぁ~……」
悟さんが納得したように声を出す。
「それ、完全に繋がったね」
「というか通信機器越しでも使えるんですね。呪言って」
「あくまで、命令が届きさえすればいいわけだからね
勘違いしやすいけど、音に依存してるわけじゃないんだ」
「なるほど」
俺は小さく息を吐いた。
「まぁいずれにしろ、
呪霊のうろつく森でお昼寝はまずいですね」
そういいながら立ち上がる
「俺は霞先輩を拾ってきます」
「うん。お願い」
悟さんは、軽く頷いた。
その瞬間だった。
ボッ。
背後の壁に貼られていた呪符の一枚が、
音もなく燃え上がった。
「……え?」
歌姫さんが、振り返る。
ボッ、ボボッ――
一枚、また一枚。
まるで伝播するように、呪符が次々と燃え始める。
「ちょ、なにこれ――」
言い終わる前に、
ボォッ!!
貼られていたすべての呪符が、
一斉に炎を上げた。
「ゲーム終了...しかも全部東京校の色ですね」
冥さんが訝しげに声を上げる
「妙だね。烏たちは何も見ていない」
「う~ん。
そこからを正道さんが引き継ぐ
「未登録の呪力でも、札は赤く燃えるようになっている」
歌姫さんが、思わず声を漏らす。
「それって」
一拍置いて、言葉を選ぶ。
「外部からの侵入者がいる、ってこと?」
冥さんが静かに言う
「もしそうだとしたら、
天元様の結界が機能していないということになる」
観戦席の空気が、一段重くなった。
「外部であろうと、内部であろうと」
楽巌寺学長が杖を床に、
コツ、と一度鳴らす。
「イレギュラーには変わるまい」
その言葉を受けて、
正道さんが一歩前に出た。
「俺は天元様のところに行く、悟たちは楽巌寺学長と学生の保護を
冥はここでエリア内の学生の位置を特定し、悟たちに共有してくれ」
「委細承知。賞与、期待してますよ」
(ぶれないなぁ、この人)
「さぁおじいちゃん。散歩の時間ですよ!!
昼ごはんはさっき食べたでしょ!」
悟さんはいつも通りの調子で、
楽巌寺学長の背後に回り込み、
やたらと距離を詰めている。
……緊張感、どこ行った?
楽巌寺学長は完全に無視だ。
その光景を見て、
さすがにため息が出た。
「ほら、悟さん」
俺は半ば呆れながら声を掛ける。
「ふざけてないで、行きますよ」
一瞬だけ、
悟さんがこちらを見る。
それから、
にぃっと笑った。
「はいはーい。
現場指揮官の命令は絶対、だよね」
軽い口調のまま、位置を戻す。
「指揮官は悟さんでしょ」
半分冗談、半分本音でそう言うと、
悟さんは一瞬だけきょとんとした顔をして――
「ん?」
と、間の抜けた声を出したあと、
「ははっ」
と笑った。
「そうだったそうだった。
僕が一番えらいんだったね」
(ほんとに、大丈夫かなぁ……)
そんな小さな不安を胸に残したまま――
俺は次の一歩を踏み出した。