火が弱り人々にダークリングが現れ始めた地、『ロードラン』。
ある時、その地に一人の不死人が現れた。
その者は【天高くにある鐘】と【地底深くにある鐘】を鳴らし、捨てられた神々の都『アノールロンド』へと降り立った。
やがて残った神を守る二人の守護者をも打ち倒し、王の器を手に入れる。
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王の器を手に入れ『火継ぎの祭祀場』へとその身を転送したはずだった。
しかしその目に映るのは過去の遺跡のような構造物ではなく、暗い暗い洞窟の岩肌であった。
一筋の光も入らぬその洞窟は、篝火によってほのかに照らされてはいるものの周囲にあるものなどは見えない。
これまで戦いに身を投じてきた不死であってもこの暗さではどうしようもなく、懐から〈魔術師の杖〉を取り出し、はるか昔に滅んだ都の魔術《照らす光》を唱える。
しかし照らすことで見えた先にあるものも岩肌であり、かろうじて緑の草が見えるのみである。
とにかくここがどこなのかを突き止めようと動き出したその時であった。
「!!!???」
普通の人間程度であれば丸呑みしてしまいそうな大蜘蛛と目が合ってしまった。
そのような恐ろしい存在を見ても不死は動ずることなく、背に持っていた剣を抜き果敢に立ち向かう。
大蜘蛛はその鋭い前足をもってして、目の前に立つ餌となるだろうものを貫かんとした。
しかし不死は横に転がりその攻撃を避け、そのまま地面に刺さったままの脚に向かって剣を振り下ろした。
特に抵抗もなく脚はきれいに切断され、硬い甲殻を持つ自身の脚がなくなるのを見た大蜘蛛は、いつもなら餌となるようなものの一人にそこまでやられたことに怒り口から糸を吐き出す。
だが糸が不死をからめとる前に不死はその手に爛々と光る炎を生み出していた。
その力は《呪術:大火球》と呼ばれる呪術の火の一つであった。
「!!!!!!」
大蜘蛛はその力を見て自身の勝てる相手ではないと悟り一目散に逃げだす。
ところで、ロードランの不死たちには一つの共通点とも呼べるものがある。
それは、
背 を 見 せ た も の に は 致 命 の 一 撃 を
というものである。
不死はその手の中の火を持ち大きく振りかぶり大火球を放り投げる。
爛々とした火はきれいな放物線を描き、
「!!??……………」
大蜘蛛に命中した。
大蜘蛛の肉体は燃え、目からは光が失われる。
不死は何事もなかったように篝火へ戻り火のそばで座り始める。
とにかくこの洞窟から出ようと決心し、不死は持ち物を整え始めるのであった。
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「おいおい、なんだよあれ...。どうみても滅茶苦茶強いやつですやん...。」
大蜘蛛vs不死の戦いを隠れてみていたリムルは一言、そうこぼす。
リムルは先ほど、ヴェルドラに名付けをされた影響で並の人間より強い力を手に入れていた。
しかしそれでもあの人間(?)には今の状態ではどうあがいても勝てないことを悟らせるようなオーラがあった。
「なあなあ《大賢者》、さっきのあの炎って俺も使えたりするのか?」
《解。あの炎には魔術などに含まれる“魔素”が含まれていませんでした。あの炎を直接解析しない限りは使用することはできません。》
「まじかぁ...。というか、魔素を含んでないってことはあの炎はこの世界で作られたものじゃない可能性もあるし、もしかしたら俺と同じ異世界人なのかも!」
リムルはわずかな希望に胸を膨らませ、洞窟の出口へと向かうのであった。