ブルムンド王国を離れ、ジュラの森に入り数日がたった。
ブルムンド王国の近郊に比べ、魔物の危険度や量が桁違いであり三馬鹿たちも疲れ切っていた。
だからだろうか、カバルが近くの穴を見て
「お!こんなところに変な穴があるぞ!よーし、剣で少し突っついてみるか!」
なんてことを言いだした。
ロードランで学んだことだが、明らかによくわからないものに手を出すと待っているのは大体が即死なのである。
何度不用意に宝箱に触れ、ミミックに食い殺されたかわからない。
あいつのせいで、宝箱を見るたびに武器を叩き込んでからではないと開けられなくなってしまった。
とにかく不用意な行動は身を亡ぼすということだがこいつらにはそのような注意深さがあるはずもない。
『『『!!!!!!!!』』』
カバルがつついた穴は魔物の巣だったようで、中からおびただしい数の
赤い甲殻に身を包んだ大きい蟻が、不死たちを巣を襲う襲撃者だとして食いちぎらんと襲い掛かってくる。
そしてさらなる問題が現れた。
「なにやってんのよう!バカ!バカバル!」
「しょうがないだろ!?あの穴、突っつきまわすのにちょうどいい感じというか、すごく突きたくなったんだよ!」
「なにいってるでやすか?!」
「あなたたち、いいかげんにして!!」
「「「はいっ!!!」」」
「あの蟻たち、様子がおかしいのが何匹か混じってる。頭に白い何かかがくっついてるようだけど...。いままであんなもの見たことない。」
シズは三馬鹿に一喝すると、すぐさま蟻たちに向き直る。
そして頭につく謎の物体に疑念を抱いているようだった。
しかし、不死にはあの白いものに見覚えがあった。
それは地底深くにある鐘を鳴らすとき、混沌の魔女の住処の近くにいた己と同じ不死が背負っていたものとひどく類似していた。
それが何なのかを思い出すまでの間、三馬鹿たちはすでに動き始めていた。
「と、とにかく!くらえ!《
エレンの魔法が様子のおかしい蟻に直撃すると同時に、不死もあれが何なのかを思い出した。
そう、あの白いものは、
「「「ぎゃああああああ!中から気持ち悪い虫があああああああ!」」」
虫の卵である。
より正確に言うと、
今ここにいる五人のうち、ソウルを間違いなく持つのは不死のみ。
そして、この幼虫どもを見てもう一つの確信があった。
この世界にもソウルはある、ということである。
あの幼虫どもはソウルを吸い取ることで成長する。
裏を返せば、幼虫どもはソウルがないと生きていけない。
この世界でも己がやることは変わらないと理解し不死は剣を構える。
「グウィンさんも戦えるね。とにかくこいつらをなんとかしないと。」
シズもそう言い剣を構える。
シズは剣に炎を纏わせ、蟻の軍団を易々と切り裂いていく。
不死も鍛え上げられたクレイモアを一度片手に持ち、杖をとりだす。
「え?!グウィンさんも魔法を使うの?!あたしの唯一の取り柄がぁ...。」
「姉さん、シズさんが来た段階であっしらは圧倒的格下みたいなもんでやしたよ...。」
三馬鹿の危機感のなさに少々いらだちをおぼえつつ、杖を剣にあてて魔法を行使する。
《強い魔法の武器》
その魔法は、ソウルで剣を覆いその力を増すという単純なものではあるものの、蟻を切り裂くのに不自由することのない程度には剣を強化してくれる。
クレイモアを再び両手で持ち、いまにも嚙みつかんとする蟻に一突きする。
蟻の硬い甲殻をものともせず、蟻の体を一撃で刺し貫いた。
「
「おりゃあああああ!!」
「《デコイ》!」
三馬鹿たちも連携して蟻を倒しているが、体力が持たなそうである。
三馬鹿たちのほうの均衡がいつ崩れるか、というとき、
「大丈夫ですか!」
狼に乗るゴブリンたちがその場に現れたのであった。