【仮題】ドリジャ男性観破壊RTA   作:花火師

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結局初投稿です
後半は読み飛ばして良いです


第12話+"ジャーニーちゃんのトレーナーメモ"

 結果から言えば、朝日杯FSをジャーニーは勝ったらしい。しかしまぁ、残念な事に、自宅で目が覚めた僕にはその記憶が無かった。

 

 記録が取られたノートを見返して、ビデオを見返して、出て来た感想と言えば危な気が無いレースだったなという事。メイクデビューと同じような展開を、今度は一切の憂慮無くやり終えただけ、故にそこに黄金は無く、僕の記憶に焼き付くことも無かったんだろう。

 

 メイクデビューの最終直線の光景を再び見ることは結局のところ叶わなかった訳だ。でもまぁ、ジャーニーが目指す場所へと一歩近付けたのはとても嬉しい。第一目標はクリアしたわけだしね、ダメで元々、”俺”の方は努力目標に過ぎない。

 

「ま、葉巻吸うか」

 

 とりあえず良い事があったから吸おう。せっかく久々に自宅に帰って来たし。最後にここに帰って来たのって何時だっけ? 2年前とか? いやでも僕の事だからメイクデビュー終わった後とかに帰って来て吸ってそう。

 

 確か南米のどこかで傭兵だと名乗る男から譲り受けたこの葉巻。残りの本数もかなり少ない。この頻度でジャーニーが勝ち続ければ、来年には無くなってしまうだろう。そしたら数少ない由来を覚えている物品がまた一つ減ることになる。

 

 喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか。なんともだなぁ。

 

 

 


 

 

 

 結果から言えば、私は朝日杯FSを勝利した。しかし、トレーナーさんの記憶に私を焼き付けることには失敗した。1着でゴールを走り抜け、半ば無意識で探したトレーナーさんの姿、目に入った彼の表情、心の底から嬉しそうな顔――その目は、寸分の違いも無く、私を映していた。

 

 アネゴのレースで見たあの目でも、メイクデビューで見たあの目でも無い。確かに笑っていて、嬉しそうな顔。けれどそこにあるのは、“担当が勝ったことを喜ぶトレーナーの視線”でしかない。

 

 違う。ダメだ。

 

 彼の目に、瞳に、私が映っているようではダメなのだ。

 

 それでは足りない。ただ認識されているだけでは意味がない。私が欲しいのはそんなものではない。忘れようとしても忘れられないほどに、彼に焼き付いて離れない何か。

 

 あの時、アネゴに向けられていたもの。メイクデビューで一瞬だけ、確かに私にも向けられた、あの光。彼の見た黄金。

 

 ――あれでなければ、意味がない。

 

 恐らく重要なのは、勝ち負けではない。結局の所、旅路の果てを見るためにと嵐を望んだ私は、自分よりも強大な嵐を切り開くようなレースでなければ、トレーナーさんに私を刻めない。

 

 要するに、勝つか負けるか誰にも解らない。ナカヤマさん風に言えば、“ヒリつく”レースが必要なのだろう。

 

「となればやはり、クラシック三冠路線……」

 

 十中八九、望み通りの厳しい戦いになる。

 

 まず、周囲の本格化が進む。ジュニア級ではフィジカル差で押し切れていた部分も、クラシック級に入ればそうはいかない。完成度の差は急速に埋まり、私の“小柄”という欠点は、今まで以上に重くのしかかる。

 

 さらに成長曲線から考えても、今後は周囲のレベルが私に追いついてくる。今のように鍛え上げたスタミナやスピードを押し付けるだけでは、いずれ通じなくなるだろう。

 

 トレーナーさんも、その点については随分と悩んでいる様子だった。ノートには連日、調整案と修正点が増え続けている。恐らく、彼の中では既に“勝つため”ではなく、“どうすれば私の才能を潰さずに三冠へ届かせられるか”という段階に入っている。

 

「私の方でも、何か考えなければ」

 

 幸いにも、ライスシャワーさんという頼れる先輩が居る。コバエも相変わらず湧く。データや併走相手には困らない。トレーニングに関しても、トレーナーさんに任せていれば120点のものを出してくれる。

 

 となれば、私が一人で鍛えるべきものは、やはり頭だろう。

 

 今まで以上に、スパートの位置。進路取り。視線配り。集団の流れ。そういったものを詰める必要がある。

 

 ジュニア級にしてG1ウマ娘という肩書は、今後確実に“包囲される側”へと私を押し上げる。マークされる。囲まれる。前を塞がれる。そういった事態は、これまで以上に増えるはずだ。

 

 ならば必要なのは、それらへの対処。

 

 レースの中で、瞬時に状況を整理し、最適解を選び続ける力。

 

 小柄である以上、力任せには突破できない。だからこそ、考えて、読み切って、切り開くしかない。

 

 とりあえずは、過去のデータを漁ろう。

 

 脚質の近いウマ娘のレース映像を、片っ端から全て。

 

 以前までは、体格や成長率の近いウマ娘を中心に見ていた。だが、今回は違う。体格など関係なく、“追い込み”という脚質で勝負してきたウマ娘達を、徹底的に見る。

 

 練習問題は、多ければ多いほど良い。

 

 失敗例も、成功例も、全部欲しい。

 

 ……少なくとも、三冠のいずれかを彼に捧げたい。

 

 勝利そのものが重要ではないと、頭では理解している。けれど、それでも私はウマ娘なのだ。走る以上、勝ちたい。勝って、彼に見せたい。

 

 記憶に焼き付くような、“黄金”を。

 

「……思えば、随分と歪んでいる」

 

 そう呟いた声は、妙に楽しげだった。

 

 

 


 

 

 

名前:御旅屋

――苗字か名前か、あるいは両方かは不明。少なくとも閲覧可能なトレセン学園のデータベースには存在せず。理事長権限絡み?

 

年齢:推定65歳前後

――本人の発言や古い時代を知っているような口振りから推測。しかし外見との乖離が激しい。冗談の可能性あり。現状、真偽どちらの裏付けも無し。

 

好きなモノ:牛乳、マンガ(特にコロコロコミック)、赤いちゃんちゃんこ、葉巻、俳句・短歌・川柳

――葉巻は“良いことがあった日だけ”吸うらしい。メイクデビュー勝利翌日に確認。恐らく祝い酒に近い感覚。

――五七五、もしくは五七五七七の韻を踏んで、もう二度とやらないと繰り返し言っている。

――他、随時追記予定。

 

嫌いなモノ:ウマ娘

――少なくとも“好き”ではない。関わりの無いウマ娘には極端に興味が薄く、記憶にも残りづらい様子。ただし、嫌悪というよりは距離を置いている感覚に近い。

――担当や関係者にはかなり甘い。

 

交友関係:ライスシャワーさん、そのトレーナーさん、秋川理事長、駿川たづなさん

――本人が覚えていないだけで、恐らくかなり顔が広い。休憩時間や廊下で頻繁に声を掛けられている。

――本人は「覚えてないなぁ」と笑っているが、向こうは普通に親しげ。

 

生活習慣:

――基本的に寝不足。放置すると平気で数十時間単位で起き続ける。

――仕事中、気付くと牛乳を飲んでいる。

――休日でも普通に学園へ来る。本人は“散歩ついで”と言い張る。

――家が遠い。異常なほど遠い。徒歩通勤時間が狂っている。

――ソファ、机、床、どこでも寝る。

 

特記事項:

・記憶力に大きな欠損あり。特に“人物と情報の紐付け”が壊滅的。

・一方で、妙なことを突然覚えている場合がある。基準不明。

・匂いによる認識補助の可能性あり。要検証。

・ノートへの記録量が異常。恐らく記憶の代替手段。

・担当関連の記録だけは執念じみている。走りのフォームをスケッチしていることも。

・褒められるのが苦手。自分の功績をほぼ私へ押し付ける傾向有り。自分の頑張りを覚えていないから?

・意外と素直。押しに弱い。強く出ると大体折れる。御しやすい。

・ただし妙な部分で頑固。譲らない所は本当に譲らない。

・“黄金”に強い執着を持つ節あり。アネゴ関連で特に顕著。私にも見た?

・総評すると、非常に面倒で、非常に厄介で――放っておけない人。




■■■のヒミツ①:複数の国で指名手配されている……らしい。

感想とか諸々、ヨロです。
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