D-WAVE!ーチルアウト☆ヘレティックー   作:太刀黄泉

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ま、マルチャーナ先生!?


♪ウィンドショッピング♪‐SeCToR-A【クジラ見っけ☆】

まだ(ぬし)のいない待機画面では、浮遊感のあるレトロなシンセポップが流れていた。

画面の右端には、二人のピンクのシルエット。

歩くリヴェラと、その後ろをふわふわとついていくちぃエニだ。

どこか切なくも心地いい電子ビートのテンポに合わせ、地上のさまざまな情景が一定時間ごとに切り替わっていく。

 

:待機

:わこつ

:このBGMめっちゃいいね。初めて聴いたわ

:配信3回目にしてやっと待機画面できたかwww

:こうして見ると、地上って意外と自然残ってるんだな……

:あ!今の鹿じゃね!?戻して!!!

:ネキの配信、待機画面すら貴重な資料で草。

 

それまでは懐かしい雰囲気だったシンセポップが、サビに入った瞬間、現代的なフューチャー・ベースへと姿を変える。重低音を響かせながら、エモーショナルな電子音が広がっていった。

歩いていたリヴェラが立ち止まり、後ろのちぃエニに何かを伝える仕草をする。

画面の左を指さすと、そのまま何かに向かって走っていくリヴェラのシルエット。

残されたちぃエニは呆れたように肩をすくめ、後を追うようにして飛び去っていった。

 

徐々に小さくなっていくBGMと、フェードアウトして暗転する画面。

しかし、リスナーたちの耳は、別のノイズを捉えていた。

 

:お。始まる?

:今日も楽しみにしてるぞ、ネキ!

:ん?

:……何の音?

:ゴーゴーいってない??

 

 

「よっす~☆ あなぐらのみんな~☆ リヴェラこと煮卵ネキだよ~☆」

 

 

リスナーたちの意識は、配信主の溌溂とした声――よりも先に、画面いっぱいに飛び込んできた褐色の谷間へと完全に吸い寄せられていた。

 

 

:うおおおおおおお!!!!!!!!

:いっぱいおっぱい!!!!

:RECRECRECREC

:でっか♡

:ごっつぁん!!

:サンキューネキ

 

「ちょい、バズ玉ー?☆ あーしの顔映してもろて☆」

 

「コンコン☆」と軽い音が鳴ると、画面が上を向き、今度は至近距離で見下ろすリヴェラの顔が映る。

 

:ふぉおおおおおおお!!!!!!

:急なガチ恋距離

:心臓に悪い……!

:まつ毛長!ビジュ良!

:サンキューネキ

 

「あっは☆ 今日も盛れてるっしょ?☆……さて、問題です☆ あーしは今、ドコに居るでしょーか☆ ヒントは、コメ欄にもあった音――”風”の音でーす☆」

 

:地上

:いつもいるだろwww

:……髪が靡いてるから風が強い所じゃね?

:というと、高い所か

:ビルや塔のてっぺんとか?

:それより「わかるかな~☆」って頭揺らすネキカワイイ

 

リスナーたちの解答で流れていくコメント欄。

ある程度の答えが出揃ったところで、髪を直しながらリヴェラは口を開いた。

 

「はい、シンキングタイムしゅ~りょ~☆ 正解者はゼロ!☆ ってことで、答え合わせです☆」

 

画面に映るリヴェラは、ピンクルビーの瞳を細めてニンマリと笑う。

 

「それじゃ……いってこーい!☆

 

次の瞬間、激しい風切り音と共に画面がめちゃくちゃに動き、リスナーたちは混乱の渦中に叩き込まれた。

 

:うおおおお!?!?画面回る回る!!!

:酔う酔う酔うwwwwヴォエ

:おいカメラ投げるなwwwwww

:カメラの耐久度どうなってんだよ!

 

『正解は~……☆』

 

真上に投げられた水晶玉(カメラ)が頂点で動きを緩め、リヴェラの声を辿るようにして画角を調整する。

 

 

『空飛ぶクジラの上、でしたー!☆』

 

 

――M U U U U U U U U U U U N

 

 

タイラント級、超巨大飛行型ラプチャー”マザーホエール”が画面を占領した。

 

 

地鳴りのような、空間そのものを震わせるハミングと共に、悠々と空を泳ぐ漆黒の巨躯にリスナーたちは驚嘆する。

 

:でけえええええええええええ!!!!

:デカすぎんだろ……

:じゃあ、ネキは空の上ってことぉ!?

:これが空の上か……

:すげえ。地上の景色が豆粒や

 

『えっと、中央政府が付けたコードネームは”マザーホエール”☆ 全長ざっくり2kmで、タイラント級の飛行型ラプチャーやね☆ この子の役割は輸送に特化してるカンジかな☆ 体内でラプチャー作れて、でっぷりしたお腹から鬼のように降らせて来るから☆』

 

:2km!?

:空飛ぶラプチャー工場ってことぉ!?

:工場というか、もはや要塞

:納得の見た目だわ

 

『 てか聞いてー? コイツマジ害悪だから! まず硬いでしょ? で、横っ腹にある”つくし”から無限にザコ吐き出してくるしさぁ! それにお腹のコンテナからも! こっちはハイドして待ってたら消えるんだけど、こんなん遅延行為だから! ……あ!あと、バリアね! ザコ処理しないと消えないとか、ウザ過ぎ!!! マジ”硬い・ウザい・ダルい”のトリプル役満のクソクジラだから!!!』

 

:どうした急に

:いきなり早口で草

:なんで戦ったことある口ぶりなのwww

:そりゃクソボスだわwww

 

溌溂とした声から一転、捲し立てるように恨み言が止まらないリヴェラ。

愚痴をBGMに水晶玉(カメラ)は、マザーホエールを静かに映していく。

 

程なくして、リヴェラが口にした”つくし”を水晶玉(カメラ)が捉えた。

マザーホエールの横腹、左右三対の、先端に凹凸がある円柱が突き出している。

 

『これがさっき言ってた”つくし”!ザコの召喚ポート!開幕ミサイルブッパ、ウザかったなー……。……あ、ここ壊すとダメージ稼げるから、みんなも狙った方がいいよ☆ ザコの湧き防止も出来て、一石二鳥だから☆』

 

:No thank you(AA略

:まず戦わないです

:地上で出くわしたら絶望する自信あるわ

:逃げるに決まってるだろwww

 

水晶玉(カメラ)は、マザーホエールの背中へと移動していく。

鈍く光るダークメタリックの外殻には、太い配管や機械の突起が立体的に走り、巨大なハッチの蓋や装甲の起伏がゴツゴツと並んでいた。

 

まるで戦艦の甲板のような巨鯨の背中、その端にある欄干に寄りかかり、暢気に手を振るリヴェラが見え―――。

 

 

「はい☆ クジラの見学ツアー、おつかr……ぶぇっくしょん!!!!

 

盛大なくしゃみでオチがついた。

 

:このくしゃみは助からない

:そら(その服装じゃ)そうよ

:俺みたいなクシャミで草

 

【……高度一万メートル上空。普通なら低気圧と酸欠、そしてマイナス五十度の極寒で、生身なら消し飛んでいるハズなのですが。くしゃみだけで済んでいるのも大概にしてください】

 

リヴェラがピンクルビーの渦(クローゼット)からハンカチを取り出し、ズズッと鼻を拭っていると、ちぃエニの呆れを含んだ冷静な声が響いた。

 

「……ふぃー☆ ま、あーしがヘレティックだから平気ってのもあるけど、ココ意外と暖かくて空気もあるんだよね☆」

 

【……なるほど。全長2kmもの巨躯が高度一万メートルを巡航すれば、機体表面には非常に大きな『境界層』――つまり、機体の移動に引きずられる分厚い空気の層が形成されます】

 

「きょーかいそー? なにそれ、おいしいの?☆」

 

【おいしくありません。要するに、マザーホエールの周りには『引きずられて一緒に移動している空気の膜』があるということです。体内の生産工場から出る膨大な廃熱が、その境界層に閉じ込められ、滞留している……。だからその背中には、局所的な熱と空気の層が維持されている、と推測できますね】

 

:お、ちぃエニやん

:そういや姿見なかったな

:マイナス五十度!?

:空の上って凍るのか……

:お天道様に近づくんだから、むしろ暑くなるんじゃないの?

 

画面の向こうから飛んでくる素朴な疑問の数々に、水晶玉(カメラ)の奥から、ちぃエニの少し考えるような声が響いた。

 

【……ああ、そうでしたね。アークの疑似太陽は熱源そのものが天井にありますから、近づくほど熱くなるのが彼らの常識でした。……地上における『高度と気温の関係』が一般層の知識から抜け落ちていたことを、失念していました】

 

「……なーほーね☆ あなぐらじゃ、お空の知識は必要ないか☆」

 

【はい。アークに航空力学や高層気象学の有用性はありませんから。……いいですか、皆さんが見上げている本物の太陽は、空気を直接温めているわけではありません。太陽光がまず『大地面』を温め、その反射熱が下から空気へと伝わっているのです】

 

:へぇー!

:太陽が直接空気温めてるんじゃないんだ!?

:地面がストーブの熱を吸収して広げてる感じ?

 

:断熱圧縮による温度変化を除けば、対流圏は基本100m上昇で約0.6度下がる。基礎教養だぞ

:アーク中央政府が航空関連の特許と論文を全部「非公開」に一元化して久しいからな。一般が知らないのも無理はない

:太陽光が直接空気を温めないのは大気の透過率の関係。アークの疑似太陽ドームとは放射スペクトルが根本的に違う

 

【概ねその認識で合っています。コメント欄にも一部、正確な理解を示している方がいるようですね。そのため、熱源である地面から離れれば離れるほど――つまり高度が上がれば上がるほど、空気は冷たくなっていきます】

 

:なんか急に有識者湧いてて草

:さてはミシリスだな?

:……今日の社長はご機嫌だったぞ

:語るに落ちたなwww

:アークの教科書に載ってないぞこれ。ためになる

 

【加えて、気圧も地上の3分の1以下になります。生身の人間であれば、数分ともたずに意識を失い、凍りつく環境です。……これほどの極限環境を『少し寒い』程度で済ませられるのは、ヘレティックのフレーム構造ならでは、ですね】

 

「まーね☆ ってことで、クジラの頭に到着~☆」

 

うーん、と大きく腕を伸ばすリヴェラ。

ちぃエニの解説を聞き流しながら、いつの間にかマザーホエールの頭上まで移動してきていた。

 

そこから見渡す景色には、遮るものが何もない。

どこまでも果てしなく続く、深淵のような藍色の空。そして眼下に広がる、純白の雲海の境界線。

前を見つめたままのリヴェラは、わざとらしく頭の後ろで手を組むと、これまたわざとらしい口調で言った。

 

「そろそろクジラちゃんからオイトマしようと思うんだけどー☆ ココから飛び降りたら……やばいかなー☆」

 

:は?

:なんて??

:何考えてんだwww

:ヤバいよ!

:普通にヤバいよ!?

 

リスナーたちが大困惑のコメントを流す中、リヴェラは迷いのない足取りで、マザーホエールの外縁へと進んでいく。

 

【では、こちらも合流予測地点へ移動します。地上で会いましょう、皆様】

 

:ふむ。高度10,000m、初期流速をゼロ(自由落下)と仮定。空気抵抗による終端速度は時速約200km。地上激突まで約3分か

:いや、ニケのフレーム重量(約200〜300kg)と流線型姿勢を考慮すると、終端速度は時速300kmを超えるぞ

:位置エネルギーがすべて運動エネルギーに変換される。激突時の衝撃は並のニケならフレーム大破、コア直撃で即死コースだな

 

:ちょっと待て、有識者ニキたち急に不吉な計算するな

:3分間ずっと落ちるの!?

:時速300kmで激突とか消し飛ぶわ!!!

:ネキがマジで縁に立ってるんだが

:止めろよ!?

 

 

「やば……やば……」

 

 

リヴェラは頭の後ろで両手を組んだまま、上半身をひねってこちらを振り向き――。

 

 

「やばくねーよっ☆」

 

 

いたずらっぽくウインクをして、そのまま背中から空中に身を投げた。

 

:うわあああああああああ!?

:飛んだああああああああ!!!

:きがくるっとる

:って、カメラが

:え?俺らも!?

 

身投げしたぶっ飛びギャルを追うように、水晶玉(カメラ)も真っ逆さまへと動き出す。

次の瞬間、リスナーたちの目に飛び込んできたのは、予想だにしない光景だった。

 

 

「WOOOOOOOOOOOOOOO-HOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!☆☆☆」

 

 

ものすごい風圧で銀髪を逆立てながら、自由落下を全身で楽しんでいるリヴェラの姿。

ピンクルビーの瞳を爛々と輝かせ、どんどん加速しながら、真っ白な雲海を突き抜けていく!

 

:はしゃいでて草

:狂気すぎるwwww

:……なんかネキ見てたら怖くなくなってきたかも

:それな。楽しそう

:雲を抜けるとき画面の端でカツカツ弾けてるの何これ?

:高層雲の氷晶(氷の粒)だな。あの落下速度だと、チタン合金の装甲でも表面が削れるレベルの摩擦だぞ

:っていうか、この速度で自由落下しながらアークのネットワークに帯域維持して、高画質映像をラグなし転送してるこの水晶玉(カメラ)の通信スペック、どんな量子暗号使ってんだ……?

 

:有識者たちが機材のオーパーツぶりにざわついてて草

:あ、マザーホエールがあんな小さくなってる!

:じゃあの、クジラ ノシ

:はえー、地上って上から見るとマジで荒れまくってるんやな

:山の方は緑残ってるな。あっちのほうとかさ

:貴重な地上映像、サンキューネキ!

:お前らの適応能力も大概なんだよなぁ

 

落下速度がトップスピードに達する中、リヴェラは空中でぴたりと不自然に姿勢を制御した。

時速300kmの烈風を全身に浴びながら、信じられない体幹の強さで、空中で綺麗に直立姿勢をとる。

 

:姿勢制御どうなってんだよwww

:風圧を完全にいなしてる。あの速度域で手足をどう動かす気だ?

 

次にリヴェラが空中を蹴るようにして、体を限界まで丸めた。

爆風の咆哮を置き去りにしながら、超高速で回転を始める銀の閃光。

 

一回転、二回転、三回転――。

 

さらに体を鋭くひねり、目にも留らぬ速度で空中を舞う。

 

:はやいはやいはやい!!!

:目が回るwwww

:回転軸が一切ブレてない……! ジャイロセンサーでも内蔵されてるのか!?

:いや、四肢の質量バランスをナノ秒単位で微調整して角運動量を制御してる。化け物かよ

 

ピシッ、と音が聞こえそうなほどの鋭さで、リヴェラは両手を頭の上で合わせ、つま先まで一直線に体を伸ばした。

まさにプールへ垂直に入水する、飛び込み選手そのものの美しいフォーム。

そのまま、眼下に迫る灰色の雲の層へと、吸い込まれるように「入水」していった。

 

:おおおおおおおお綺麗!!!

:すげええええええええええ

:今のフォーム、抱え込みから伸身への移行が完璧すぎる。10点(10.0)

:空中での対称性も文句なし。10点(10.0)

:芸術点が高すぎる。10点(10.0)

:有識者ニキたちがガチ採点してて草

:ネキ、今の10点満点だってよ!

 

雲を抜けたリヴェラは、水晶玉(カメラ)に向かってウインクと投げキッスを送った。

 

:……今更だけど、着地どうすんだ?

:あ

:はしゃいでるネキ見て忘れてたわ

:ヤバくない……?

:有識者ニキ!

:残りの高度と速度から逆算。現時点で減速行動に移らなければ、あと1分弱で地上に激突する。この速度なら質量相応のクレーターができるぞ

:ニケのフレームとはいえ、時速300kmのエネルギーをゼロ距離で受け止めたらどうなる?

:衝撃でフレームは大破、最悪の場合はコアが損壊して機能停止する。完全に自殺行為だ

 

:機能停止とか言うなや!!!

:あと1分!?!?

:おいネキ! 冗談抜きで地面見えてるぞ!!!

:誰かブレーキのかけ方教えてやれよ!!!

 

 

ッバゴォォォォーーン!!!

 

 

阿鼻叫喚のリスナーをよそに、まるで落雷や大砲の砲撃のような凄まじい破裂音を響かせ、リヴェラが地上へ激突した。

 

遅れて降りてきた水晶玉(カメラ)は、激突した中心点から、まるで爆弾が炸裂したかのように、土砂や石ころが放射状に四方八方へ吹き飛び、高さ3mにも及ぶ土煙のドームを形成しているのを映し出す。

 

激突から少し遅れて、パラパラパラ……と上空に吹き飛ばされていた小石や砂が雨のように周囲に降り注ぎ、まるでリヴェラの末路を暗示するかのような無情な光景が広がっていた。

 

:……ネキ?

:嘘だよな……?

:衝撃映像すぎる……

:ネキ!返事してくれ!!

 

リスナーの誰もが絶望した、その瞬間―――。

 

 

「Enterーーーーーtainmentーーーー!!!!!!!☆☆☆☆」

 

 

爆音BGMが裂いた土煙の向こう、ピンピンしたリヴェラがポーズを決め、クレーターの中心に立っていた。

その背後では、いつの間にか二つの水晶玉(バズファインダー)が浮かんでおり、爆音とともにミラーボールの如くビカビカと派手に明滅を繰り返している。

 

:生きてるうううううううううう!?!?

:嘘だろおいwwwwww

:あの速度で頭から突っ込んでピンピンしてんじゃねえよwww

:何がエンターテインメントだ心臓に悪いわ!!!

:BGMの主張と光り激しくて草

:てかこのBGMってwww

:マスタングじゃんwww

:テレビでマスタング出演時にかかるやつだこれwww

:ネキはテトラ製ってはっきりわかんだね

:これはまぎれもなくテトラwww

 

【予測地点より1mズレてますね。……リスナーの皆様、リヴェラの積極的身投げ(スカイダイビング)にお付き合いいただき、お疲れさまでした。ちなみに、曲の使用許諾はマスタングCEOより頂いておりますのでご安心ください】

 

白いミニドレスと長髪をゆらし、ふわりとちぃエニが画面に映りこむ。

クレーターの中心で踊るリヴェラを一瞥し、ため息まじりに視線を水晶玉(カメラ)に向けると、ちぃエニは口を開いた。

 

【マザーホエールは第一世代ラプチャーであり、その動力は有機物、つまり人や動物が該当します。配信ネタを散策中に、動力回収のため地上に降りてきたのを見掛けたリヴェラが飛び乗り、このような形になりました。……降下手段を聞いて、断って良かったと確信しています】

 

:それはそう

:お疲れちぃエニ

:「いけるっしょ☆」で敢行したんやろなぁ

 

一通り踊って満足したのか、BGMとミラーボールをピンクルビーの渦(クローゼット)に戻したリヴェラは、クレーターから一足飛びでちぃエニのそばに着地した。

テトラの社長を思わせる口調で、ちぃエニの言葉を引き継ぐ。

 

「Oh~☆ それなら、あーしのcleavage(胸の谷間)にinしてくればよかったjan☆ ちぃエニのsizeなら、いけたっshow?☆」

 

【暑苦しそうで嫌です】

 

「That's mean!☆」

 

:肩すくめてため息つくんじゃねぇwww

:ちぃエニ完全拒否で草

:マスタングインストールされてるやんwww

:ええて

 

【……あぁ、音響でラプチャーの接近を懸念されている方が居たらご安心を。周囲のラプチャーは、この水晶玉(バズファインダー)が蹴散らしたのでセーフゾーンとなっています。私のボディガード、ご苦労様でした】

 

ちぃエニの隣に浮かぶ水晶玉が、応えるように空中で一回転を披露する。

役目を果たした水晶玉もピンクルビーの渦(クローゼット)にしまい、満足げに頷くリヴェラ。

 

「OK!☆ じゃ、dive中に見つけた近くのruined cityに行ってみまshow!☆」

 

【……その口調、気に入ったのですか】

 

「Sukoshi☆」

 

【似てませんよ】

 

何故か、つま先立ちで軽快に歩いて行くリヴェラに、呆れながらふよふよと付いていくちぃエニ。

リヴェラが作った爆心地(クレーター)をもう一度映した水晶玉(カメラ)は、荒野を廃墟の街へと向かって進んでいく二人の背を、ゆったり撮影しながら付いていくのだった。

 

 

 

 

:……は? 衝撃減衰率100%……? 慣性制御でも働いたのか……?

:いや、地面のクレーターの深さ(約1m)と土砂の飛散量を見るに、エネルギーはそのまま地面に逃げてる。つまり、純粋に「フレームの硬さ」だけで衝撃を受け止めて弾いたんだ

:地上に激突する寸前、ほんの一瞬だが、ピンクルビーの光が見えた気がするのだが……

:見間違いでは?このプロセスに関係ない事は控えたまえ

:結晶構造の結合密度がアーク製チタン合金の数百倍を超えてるぞこれ……。どんなナノマシンを使えばこんな強度が実現するんだ……? 頼む、その土壌の熱変性データだけでも送ってくれ!!!

 




マザーホエールの全長や航空力学、アークの疑似天井まわりの解説は、Gemini君(AI)とのディスカッションから生まれた本作独自のSF設定(独自解釈)です。堪忍な。

ほな、本官はマルチャーナ先生の水着を拝む作業に戻りますので……。
したらな!
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