「
『はい、チィ~ッス♪』『『チィ~ッス』』
そうしたらほら、私たちの凄惨な笑顔がバッチリ写ってるわ。とっても素敵。後で寝室に飾らなきゃ♪
ちなみに、私の脚は数日前に漸く元通りになった。
こうなると、アウラの再生力が羨ましく感じるわ。だって、細切れにされようがチタタプになろうが、時間を巻き戻したかのように再生してしまうんだもの。そう言えば、彼女は回復魔法とか使えないのかしら?
『……って、何で急に写真なんて撮り始めたのよ?』
手乗りサイズの小さなホムンクルスの群に撮影機を片付けさせながら、アウラが呟く。この子たちは最近襲撃した、
だので、こうしてちっちゃくて可愛い
だが、唯のゆるキャラという訳でも無い。一体一体だとお手伝いさんでしかないが、【
『まぁ良いわ。そろそろお風呂に入るわよ』
『前から思っていたけど、入り過ぎじゃないかしら?』
『あんたたちが無頓着過ぎるのよ』
『でも、一日三回は多いと思うわよ?』
『風呂は入るだけ良い物だわ』
こんな風にね。ずっとお貴族様の暮らしをして来たから、ではあるまい。なるべく臭いを残さないようにする為だろう。まるで被食側の習慣だが、だからこそ今まで生き残って来れたのかもしれない。アウラは最弱にして最古の「
『わ~い、お風呂だお風呂だ~♪』
お風呂の時間と聞いて、ユンが子供のようにはしゃいでいる。私と違って、この子はお風呂が結構好きみたい。……臭いのせいもあるでしょうけど。
ユンには村を襲う時は、
まぁ、そういう訳で、ユンも物凄い数の人間を殺している為、私の死臭と同じく、
さぁ、サービスのお時間よ!
『おふくをぬぐです!』『おせんたくもするです!』『まずはあたまとからだをあらうです!』
私たちが脱衣所に入ると、ホムンクルスたち――――――もう面倒臭いから「妖精さん」って呼ぶわ。彼らがテキパキと服を脱がせ、洗濯に回し、身体まで洗ってくれる。アウラは自分でやるのが好きみたいだけど、私やユンはすっかり任せ切りにしてるわ。実際、作業の全てが丁寧だし、自分でやるよりも確かね。
……それにしても、皮肉な光景だわ。
さっきも言ったように、
何が言いたいのかというと、魂には元となった人間の自意識がしっかりと残っているが、魔族に近い肉体のせいで、その本能に引っ張られ、今のように可愛らしい妖精さんを演じざるを得ないのだ。魔族は強い者に巻かれ、息を吐くように欺く生き物だからね。妖精さんと私たちの関係を端的に表すなら、
だからこそ、見ていて面白いのよ。だってほら、
――――――殺してやる苦しい許さない助けてふざけるなもう嫌だ死にたくないもう殺して!
むろん、伊達や酔狂だけで、“お姉さん”を虐めている訳ではない。向こうの世界では私は末期の言葉を大切にしていたけど、今の妖精さんは謂わば“死んだ後も苦しんでいる”状態。だから、こうして私への恨みつらみと恐怖を吐露しているのだけど、これが一体何時まで持つ物なのか。それが気になって仕方ないのよ。
怒りや憎しみ、それに伴う恐怖心は、動物にとって負担が大きい。火事場の馬鹿力程では無いが、目の前のストレス源に対抗する為に軽くリミッターを外している状態である。「全集中の呼吸」は、それを意図的に起こしているのかもしれないわね。長く続けば、それだけ呼吸器や循環器に負荷が掛かり、寿命を削る。だからこそ持続性は無いし、してはいけない。
ならば、妖精さんの怒りと恐怖は、何時絶望に変わり、虚無になってしまうのかしらね。愉しみでしょうがないわ~♪
それにしても、
『ユンちゃん、綺麗な身体してるわよねぇ』
『そうですか? お世辞でも嬉しいです!』
『嘘じゃないわよ? お人形さんみたいで、とっても可愛い♪』
蕾は小さく、まだまだ幼い身体付きだが、滑らかな素肌と、可愛らしい童顔が、それを補って余りある。髪の毛も猫のように触り心地が良いし、一日中撫でくり回しても飽きないわ。妖精さんにワチャワチャされているのも、また可愛い♪
『そう言うあんたは、面白みの無い身体してるわね』
『あら、ジェラシーかしら、アウラ? あなたももちろん、可愛いわよ♪』
アウラはアウラで、ユンには無い大人びた身体付きをしていて、素晴らしいわ。特に鎖骨の辺りが絶妙にエロいわね。お胸も大きいし、お尻も柔らかいわ。遊郭に差し出したら、とんでもない値段が付きそうね。堪能して良いのは、私とユンだけだから、売るつもりは更々無いけど♪
『『『ふぅ~♪』』』
まぁ、何だかんだ言って、温かい湯船に足を伸ばして沈めるのは、やっぱり気持ちが良いわ。これなら毎日とは言わないけど、週に何度かは入っても良いのかも。
『……ちゃんと毎日入るのよ』
『『は~い、お母さん』』
『あんたたちね……』
さぁて、お風呂上りは何をしようかしらね?
◆妖精さん
「人類は衰退しました」に登場する、不思議な小人。ファンシーな見た目をしているが、その技術力はファンタジーの能力であり、刹那的かつ抽象的に人類を手助けしてくれる。「楽しさ」というフワッとした感情をエネルギーにして増殖するが、記憶力が壊滅的なので飽きるのも早く、急にいっぱい現れて魔法チックな超常現象を楽しそうに引き起こした挙句、急にスンとなって去っていくという、割と迷惑な習性を持っている。
今作に登場するのはあくまで見た目が似ただけの別物であり、怒りや憎しみ、恐怖心と言った負の感情を原動力にしている。元々は生物兵器として開発された代物なので、一定の条件下で複数体が合体して戦闘モードになる、何処ぞの超ドラゴン怪獣みたいな機能が加えられている。