鬼殺のソリティア   作:ディヴァ子

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出遭い頭に脳天唐竹割をかます奴が真面な筈も無い。


無間の殺戮者

 無限城、大広間。

 

『何だあれは!?』

『「バルファルク」じゃないですか?』

『何だそれは!?』

『古龍種ですよ。「天彗龍極の破傀玉」を二つも落としてくれました』

『何の話だぁ!?』

稀血(さけ)に酔った日に見た夢ですよ。……大分語彙力を失ってますねぇ、無惨様』

 

 喚き散らし焦りまくる鬼舞辻(きぶつじ) 無惨(むざん)に、鳴女(なきめ)がケラケラとツッコミを入れた。これが鬼の始祖だと言われても、誰一人として信用しないだろう。

 まぁ、無惨がこうなるのも無理はない。何せ過去(まえ)のトラウマと現在(いま)のトラウマが激突しているのだから。

 

なるほど(・・・・)閃光と衝撃(・・・・・)の正体は(・・・・)アレですか(・・・・・)

 

 逆に鳴女の方は、実に愉しそうに獰猛な笑みを浮かべた。まるで最高の獲物(ごちそう)を見付けた獣である。

 

『(クソッ、そんな目であれらを見るな……!)』

 

 そんな鳴女の様子に、無惨は心の中で辟易する。鳴女は正しく(・・・・・・)最強の鬼だ(・・・・・)玉壺や黒死牟(・・・・・・)はおろか(・・・・)単純な戦闘能力(・・・・・・・)だけなら(・・・・)自分よりも(・・・・・)。呪いという首輪が無ければ、今直ぐにでも飛び出した事であろう。

 その呪いさえ(・・・・・・)実はあまり意味を(・・・・・・・・)為していないと(・・・・・・・)言えば(・・・)その恐ろしさが(・・・・・・・)分かって貰える(・・・・・・・)だろうか(・・・・)

 

『(一応反逆するつもりは無いようだが、この馬鹿を呪い殺すなら、瀕死の時でなければ効果が無い……!)』

 

 無惨が弱っていたせいか、それとも焦りと恐怖で血を与え過ぎたか。

 ともかく、普通なら細胞すらも残らず死滅してしまう程の血に、鳴女は適応した。異常な進化を遂げた、と言っても良いかもしれない。無限城という反則級の血鬼術に加えて、誰一鬼として勝ち目の無い身体能力を持っているのだから。

 さらに、その精神性も常軌を逸している。無惨は己を人食いの鬼だと自覚しているし、他人の命など何とも思っていないが、あくまで食料と見做している。他の鬼も、それは変わらない。あっても性癖を拗らせたかどうかのレベルである。

 しかし(・・・)鳴女は違う(・・・・・)彼女は人間を(・・・・・・)もっと言えば(・・・・・・)他の生命体全てを(・・・・・・・・)殺す対象と(・・・・・)考えている(・・・・・)誰かを(・・・)何かを(・・・)殺したくて(・・・・・)しょうがないのだ(・・・・・・・・)

 

 鬼は捕食者で、鳴女は殺戮者。食う為に殺すのではなく、殺す為にぶち殺す。心身共に無惨たち他の鬼とは一線を画す、本物の化け物なのである。

 

『(唯でさえ化け物同士が戦っているのに、こいつまで加わったら、どうなるか分かった物ではない!)』

 

 無惨は心中で舌打ちし、冷や汗を隠しながら映像を見る。現地に派遣した玉壺を通じて視るそれは、まさに天変地異そのものであった。集落一つを(・・・・・)軽々と灰燼に(・・・・・・)帰しているのは(・・・・・・・)知っていたが(・・・・・・)まさか肉体強度と(・・・・・・・・)音を置き去り(・・・・・・)にする速度で(・・・・・・)物理的に引き(・・・・・・)起こしている(・・・・・・)とは思わなんだ(・・・・・・・)。それに対抗出来てしまう縁壱も、やっぱり化け物なのだろう。人類とは?

 ここに鳴女を投入したら、それこそ集落と言わず、島一つが容易に滅んでしまうかもしれない。こいつらは食糧事情なんて常識的な概念など、持ち合わせていないのだから。何故もっと真面に生活する事が出来ないのか。

 

『(だから頼むぞ……本当に!)』

 

 無惨はここに居ない()に祈るしかないのであった……。




◆シリアルキラー

 他者への共感性を持たない「サイコパス」の中でも、殺人行為に走ってしまった異常者。他者を加害し命を奪う事に生き甲斐を感じており、最早殺す為に生きていると言っても過言では無い。
 ちなみに、今作のサイコパスは無惨様で、シリアルキラーが鳴女さん。

鳴女:『ぶはははっ、友達同士で殺し合ってるんですケド~♪ 早く混ざりに行かなきゃ!』
無惨:『ええぇ……放っておけよ、あんな異常者たち……』

 これくらいの温度差はある。
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