鬼殺のソリティア   作:ディヴァ子

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死線は林檎しか食べない

 タッタラ~♪ 私、ソリテールぅ~♪

 ……という事でソリテールよ。

 さて、禰々子ちゃんの妙薬の力も借りて創った人造魔族(ホムンクルス)だけど、どうやら上手く出来たみたいね。魔力の乱れは無いし、崩壊している部位も無い。やはりユンという成功例があったからこそだろう。

 ちなみに、今回の人造魔族はより“生物らしさ”をコンセプトにしているわ。ユンは正直機械的(メカニカル)過ぎたからね。確かに機動力と火力を両立し、盾としても申し分ないけれど、機械的故に「0」か「100」でしか動けないから、今度はもっと柔軟性のある子にしたかったのよ。

 そういう訳で、この子は【万物を黄金に変える魔法(ディーアゴルゼ)】の黄金を骨格に使っている以外は、全て有機物で構成されているの。肉体まで有機超合金である「日緋色金(ヒヒイロノカネ)」や「魔法の銀(ミスリル)」で構成された“動く金属塊”とでも言うべきユンとは、明確に差別化しているわ。彼には魔力切れ=生命活動の停止を意味する弱点もあるしね。

 それで今回の細胞組織だけれど、私とアウラは勿論、継国兄弟や幾つかの妖怪の物も使っている。血液に関しては、「魔薬(液化させた魔素)」を赤血球、「河童の妙薬」を組織液、ユンの体組織を免疫系として利用しているわ。これにより、硬度はそこまでだけど靭性に優れた身体を手に入れられたのよ。あと、身体構造がより人間に近いおかげで、かなり柔軟に動けるようになったわ。

 それこそ(・・・・)純粋な戦士の(・・・・・・)動きと重さを(・・・・・・)見様見真似でも(・・・・・・・)再現出来る(・・・・・)くらいにね(・・・・・)

 そう、この人造魔族は、私もアウラも良く知る“あの子”にそっくりである。角がトナカイというか、東洋龍のような形をしているけど、その程度の差しかない。

 

『ア~ン、会いたかったわ、「リーニエ」!』

『……私は「リーニエ」でも「リュグナー」でも「ドラート」でもない。私はお前を倒す者だ』

『いや、何で!?』

『……冗談です。お久し振りです、アウラ様。あなたの知っている私とは少し違うけど、また会えて嬉しいです。あと林檎下さい。禁断症状で身体が捩れそうです』

『何やこの子、面白いわ~』

 

 彼女の名前は「リーニエ」。アウラが先んじて派遣していた「首切り役人」の一人であり、今は色々と混じり合った「合成魔族(ディアブル・シメイル)」だ。見た所、魂のベースはリーニエで、嘘吐きなリュグナーと短絡的なドラートの性格が付随している感じね。この世界における「首切り役人」とアウラの関係がどういう物だったは知らないが、少なくともリーニエが一番関りが深かったんでしょう。【服従させる魔法(アゼリューゼ)】の特性上、死後も彷徨わずアウラの傍に居続けたに違いないのだから。

 なら、名前も改めるべきかしら。皆合わせて「リーニエ・リュグドラーナ」とでもしておきましょうか。適当でゴメンね♪

 

『そんで、この子はどんな事が出来るん?』

『そうですね、僕もそれが気になって夜しか眠れません!』

『健康的やないか』

 

 禰々子とユンは、リーニエの能力が気になって仕方ないみたい。

 だけど、こんなど田舎とは言え、ユンの馬火力を世間にお披露目する訳にもいかないし、リーニエと模擬戦なんてしよう物なら、目立つ云々の前に大崎一円が壊滅する。流石に折角見付けた隠れ家ごと蒸発させるのは偲びないわ。だって面倒臭そうだもの。せめて拠点をもう少し増やすまでは大人しくしているべきね。四国の拠点は結界で隠しているけど、再利用の目途は今の所無いし。

 それに鳴女や謎の勢力の目もある。何処で見ているか分かった物じゃないけど、それにビクビクしているのも癪に障るわ。どうした物かしらね……。

 

『――――――そうね(・・・)なら舞台から(・・・・・・)用意しましょうか(・・・・・・・・)

『『『はい?』』』

 

 良い事思い付いちゃったわ~♪

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 出羽国(でわのくに)置賜郡(おきたまぐん)米沢藩(よねざわはん)、「米沢城(よねざわじょう)」。

 

「……ご覧の通り、父君の死後に大崎の方で不穏な動きが出ています。おそらく、離反する腹積もりかと」

「大崎もか……」

 

 十七代目当主「伊達(だて) 政宗(まさむね)」は、腹心である初代「片倉(かたくら) 小十郎(こじゅうろう)」こと「片倉(かたくら) 景綱(かげつな)」の報告に片眉を顰めた。今の伊達領は周りを親類という名の敵に囲まれた状態にある。先代当主の「伊達(だて) 輝宗(てるむね)」の時点でも纏め切れてはいなかったが、「粟ノ巣の変」で彼が亡くなって以降は離反の嵐となっていた。元々一枚岩では無かったし、代替わりの隙を虎視眈々と狙っていたのであろう。

 

「しかも、陸奥国全体で怪し気な噂が流れています」

「噂?」

「はい……こちらを」

 

 と、景綱が別の書状を取り出し、政宗に見せる。そこには、このような事が書かれていた。

 

 

 

“怪奇なお悩みは「ことりばこ」まで。必ず解決致します”




◆リーニエ

 アウラの忠実な部下「首切り役人」の一人。相手の魔力の流れから動きを模倣する【模倣する魔法(エアフアーゼン)】の使い手で、魔法使いでありながら戦士としての適性が高い魔族の少女。かなり異質でチートな能力だが、あくまで動きを真似るだけなので、攻撃の重さまではコピー出来ない為、本物の戦士(ばけもの)であるシュタルクにその弱点を突かれて討伐された。
 今作では吸血鬼であり、「首切り役人」の中では一番最初にアウラに接触、爛れた関係となった末に、忠実かつ愛人のようなポジションを確立した。しかし、日本遠征時に鳴女の放った使い魔に取り殺されてしまい、その魂は無念のままアウラの傍に居続けた。
 そして、ユンの実験成功と戦力の更なる増強の為に、合成魔族として復活。半ば消えかかっていたリュグナーやドラートの魂すら取り込み、ユンとは別ベクトルでヤバい奴として再誕した。
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