鬼殺のソリティア   作:ディヴァ子

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男も女も一皮剥けばそんな物。


美女も野獣

『ぐぬぬぬぬぬ、ユンが来るとは……!』

 

 現れたユンに、リーニエがぐぬぬぬする。唯でさえ縊鬼に苦戦して、槐の邪神にも決定打を与えられていない中、最初の成功者にして先駆者に横槍を入れられては、気が気じゃないでしょうね。

 まぁ、運用方法が全然違うんだから、私としてはどうでも良いんだけどね、その葛藤。

 それにしても、リーニエは運が悪いなぁ。こんな相性の悪い奴にばっかり当たって。……いや、私が悪いのかな、これ?

 別に忖度した訳じゃ無いんだけど、こうも星の巡りが悪いと、ちょっと可哀想ではある。この不憫、アウラ(おや)に似たのかしらねぇ。今度はもうちょっと考えて依頼を熟さないと。

 とりあえず、今は目の前の敵ね。この堅物をどうにかしないと、話にならないわ。頼むわよ、ユン。私とアウラの最高傑作!

 

『ピンチは仲間にアピール出来る良いチャンスです!』

 

 

 ――――――キィイイイイイインッ!

 

 

 と、ユンが光陰矢の如く飛んで行く。標的は引っ繰り返った槐の邪神。

 

『――――――グヴァォオオオオッ!』

『ぬんっ!?』

 

 だが、そこは槐の邪神様。手傷を負っていてもまだまだ動けるようで、普通に跳び起きてユンを掴むと、力尽くで投げ飛ばした。

 

『グゥゥゥ……!』

 

 否、やはりダメージは蓄積しているらしい。ユンをぶん投げた勢いで蹈鞴を踏む。人間で言う三半規管に当たる眼帯が破壊された影響で、バランスが保てないみたい。これは大チャンスよ、殺っておしまい、ユン!

 

『せいっ! てぇい!』

『グヴルルル……ッ!』

『――――――だりゃぁあああああっ!』

『ゴキヴヴヴッ!?』

 

 一打、二打とユンの翼槍が放たれ、槐の邪神はそれらを両腕で防いだものの、ユンもそれは想定済みだったみたいで、弾かれた翼槍を引っ込めないまま、両側から槐の邪神を挟み込み、天高く跳躍して、その直後に急転直下、槐の邪神で地盤を叩き割った。硬くて重くて力強いなら、それ以上のフォースで分からせれば良い。力こそパワー、力こそジャスティスである。

 

『………………』

 

 槐の邪神も、これは流石に受け切れなかったようであり、五体投地でユンを見上げ、

 

 

 ――――――パシュンッ!

 

 

『………………!』

『ゑ? 何それ、どういう事?』

 

 何故か装甲を脱ぎ捨て、宇宙人染みた四体を晒した。まるで、「良いわよ、来て!」と言わんばかりに。……どうして?

 

『どうやら、こんいんのちぎりがせいりつしたみたいですね』

 

 すると、熊と戯れる零余子が、とんでもない事を言い出す。婚姻の契りって、まさか――――――、

 

『「槐の邪神」はたがいにころしあいをして、つよいおすがめすをくっぷくさせることで、はじめてこうびをするけんりをえられるようです』

『零余子ちゃん、少しで良いから、自分の発言に疑問を持とう?』

『いや、でもそれしかかんがえられないですし……』

『う~ん、確かにそうなのかもしれないけどさ……』

 

 それなら、今の状況にも説明が付く。ようするに(・・・・・)槐の邪神は(・・・・・)ユンを雄(・・・・)と勘違い(・・・・)しているのだ(・・・・・・)。ユンは身体の殆どが金属なので、同じような構造をした彼を交尾相手と思うのも無理ない……のかなぁ?

 ま、良いわ。これはこれで面白そうだし。

 

『ユンちゃん』

『な、何ですか、ソリテール様?』

『ヤッチマイナー』

『そんな馬鹿な!?』

『ほら、物は試しって事で。何事も挑戦よ』

『いや、挑戦者過ぎるでしょ!? ……そっちもその気にならないで!』

 

 そして、戸惑うユンを槐の邪神がグイっと抱き寄せ、

 

『……ソリテール』

『なぁに、アウラ?』

『何を見せられてるの、これ?』

『濡れ場』

『言い切るなぁ!』

 

 ※この後、ユンと槐の邪神は滅茶苦茶セッ○スした。

 

『ユン……良き!』

『君は何を言ってるんですか、リーニ……あぁ~ん♪』

 

 リーニエはムッツリスケベであった。

 

『――――――クォギィィィン……!』

 

 ヤる事をヤッた槐の邪神はユンと別れ、夜明け前の森へと消えて行く。おそらく、産卵の為だろう。女はこれから母に成るのだ。何とも素晴らしい美談ね。

 

『うんうん、これで一件落着ね!』

『何処がよ?』

『倒せない奴を無理に相手取るより、今は別の経験を積むべきよ。リーニエの自信をこれ以上失わせる訳にはいかないわ』

『物は言い様ね……』

 

 物言いが多いわね、アウラ。溜まってるなら(・・・・・・・)私も宜しく(・・・・・)しても良いのよ(・・・・・・・)

 

『えい♪』

『ちょっ……何すんのよ!?』

『ユンやリーニエとはする癖に、私とは嫌な訳~?』

『そういう訳じゃ――――――』

なら(・・)そういう事よ(・・・・・・)

 

 私たちは人語を介するだけの猛獣。ならば、偶にはこうして野獣になるのも一興じゃないかしら?

 零余子(こども)に不健全? そんなの知らないわ!

 

『さぁ、アウラ……お姉さんが、た~っぷりと可愛がって、あ・げ・る♪』

『いやーっ!? このケダモノ~!』

 

 ※この後、野外で色々やりました♪




◆殺し愛

 そのまんまの意味。互いを殺し合う勢いで愛を語らい、強い者が負けた方を攻められる。ここまで攻撃的かつ前衛的なシチュエーション、他にあるだろうか?
 槐の邪神もこれを採用しており、貴金属を巻き上げるのも、この一大事の時に相手を負かせて自分は負けない為。
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