『ふぅ……』
『賢者タイムやめて?』
『私が賢者なら襲われる側じゃない?』
『それもそうね……』
と、意味☆不明★な会話をしつつ、私たちは移動する。目指すは
『アウラ様アウラ様』
『なぁに、リーニエ』
『海にも葡萄やパイナップルがあるって本当?』
『……たぶんそれ、甘くもへったくれも無いわよ。だって、それ海藻とホヤの事だもの』
『なんだぁ~……』
リーニエは相変わらず果物に目が無いわねぇ。下手すると
ちなみに、ユンは泣きながら帰ったわ。「折角颯爽登場したのに、もうお嫁に行けないじゃないですか……」とか言ってたけど、君の半分は男の子でしょ?
『……ここではどんないらいをうけていて、なにをするんですか?』
すると、
『バウッ!』
見覚えのある熊に跨って。
『……そう言えばこの子、何で昼間も歩けるの?』
さらに、この熊は種族で言えば「吸血鬼」になっているにも関わず、何故か昼間も歩けている。例えアウラの生み出した使い魔であっても陽光が弱点である事に変わり無いので、この熊の異常性が窺えるだろう。イコールで零余子の特異性も浮き彫りになったと言える。帰った時の愉しみが増えたわ~♪
『熊、ほら林檎林檎』
『そのこのなまえは「ポーラスター」。「ポラちゃん」ってよんであげて』
『ポラちゃん、林檎林檎』『ガウガウ』
『『かわいい~』』
……可愛いのか、これ?
まぁ良いわ。現状戦闘能力に期待出来ない零余子を持ち運ぶのに便利だからね。そんな事よりも今は、依頼の方を熟すとしましょうか。
『それで、ここではなにがおこってるんです?』
『よくある話よ。人が次々と消えているみたい』
『……なら、なんでここをえらんだんですか?』
『
零余子の質問にとびっきりの笑顔で応える。
そう、今回の依頼は今までの妖怪と違って、
『まぁ、聞くより読む方が、読むより見る方が早いわ』
さぁ、着いたわ。依頼主の待つ目的地にね……。
◆◆◆◆◆◆
牡鹿郡遠島、「
牡鹿半島の先端に位置する地域であり、「
「さてと……」
「着きましたわね、ご主人様!」
「ここに“彼女ら”が……」
そんな鮎川に、三人の男女がやって来た。一人は隻腕の剣士、一人は銃で武装した修道女、一人は身重の女剣士。彼らは「鬼殺隊」と「ソリティア教」の生き残りにして、現在は「
そう、
彼らの目的は、言うまでもなく「鬼狩り」だが、本命は違う。最近、「
「――――――でも、何で鮎川なんですか、ご主人様?」
ふと、ゾリテールが己のご主人様たる泰斗に尋ねる。「万世教」……いや、ソリテール一派が関わったと思われる事件は内陸部の方であり、海岸沿いではまだ何も起こしていない。事件を追うのではなく、何の由縁もない鮎川に訪れたのか。
「“女の勘”です」
すると、泰斗の代わりに大地が素っ頓狂な事を言い出した。
「はぁ? 何ですか、それは。そんなあやふやな理由で鮎川下んだりまで来たのですか? ご主人様も、何故そんな曖昧な方針で来られたのです?」
「それが当てにならない勘だったらな。
当然、ゾリテールはまるで意味が分からん言い分に物申すが、泰斗が制する。お目付け役の関係者である彼にとって、産屋敷家の「勘」は馬鹿に出来ない物だった。
「………………」
当の大地としては全く嬉しくない事実だが、最早お腹の子に八つ当たりする気は失せており、むしろ依存しているような状態である。能力の便利さは然る事ながら、変わり果てたユンとの邂逅を経て、お腹の子供を自分の気持ちだけで死なせたく無くなったのだ。完全に精神疾患だけど、気にしたら負け。
「さてさて、一体何が出て来るのやら……」
憂いてばかりの大地を呆れ半分で見遣りつつ、泰斗は歩き出す。この地に根付くナニカを求めて。
その先に待っている物とは、果たして――――――。
◆極楽教
世良 ゾリテールが自らを教祖として新たに立ち上げた、「ソリティア教」の後継宗教。「つらいことや苦しいことはしなくていい」という部分はそのままに、「償いの血を注ぐ事で極楽へと至る」という血生臭い部分だけを削って、代わりに「全ての善行は極楽へと通ずる」という教義を付け加えている。これは表向きこそ「一日一善」みたいなほんのりした物だが、裏の顔は「それを邪魔する悪しき者々は地獄に落として良い」という、結構物騒な思想だったりする。側近かつ実動隊として賽之目 泰斗と水尾根 大地が居る時点でお察し下さい。
当座の目標は「万世教」との接触、及び吸収。