鬼殺のソリティア   作:ディヴァ子

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???:「闘争は嫌いだ」


平穏な心と生活

 リーニエとお化け蛤がどデカいバトルをおっ始めようとしている傍で、

 

「おいおい、大怪獣決戦(バトル)とか聞いてないぞ」

 

 賽之目(さいのめ) 泰斗(たいと)は数少ない森の木陰から出歯亀を決め込んでいた。海難法師対策なのか、自前のサングラスを用意している。こいつだけ時代を先取りし過ぎである。

 

『だから何よ? さっさと突っ込みなさい』

 

 その真後ろにはアウラが居て、泰斗の後頭部に黄金銃を突き付けていた。今直ぐ華々しく散れと言わんばかりに、ゴリゴリと。何時も肉壁にされてばかりのアウラだが、今宵だけは督戦隊だ。

 

「……あのな、俺がお前に撃たせる暇を与えると思うか?」

『あのね、零距離で外すと思ってるの? 舐め過ぎでしょ』

「うん、滅茶苦茶舐めてる」

『ふざけ――――――』

「ほらね」

『なぁ~んでぇ~?』

 

 どうやら気のせいだったようである。銃口を押し付けているという圧倒的有利にも関わらず、アウラは泰斗に腕を斬り飛ばされ、ついでに脳天を串刺しにされた。よ、弱過ぎる……。

 

『クソッ、何でこんなモブキャラなんかに……!』

「黙れ雑魚。お前は再生力しか取り柄の無い、ば○きんまんみたいな奴なんだ」

『いや、誰よそいつ!?』

「知らん。つーか、調子こくのもいい加減にしろ」

 

 はぁ~と溜息を吐くと、泰斗は日輪刀を引っ込めた。このまま刺していてもめり込んだままだし、真面に離せそうに無い。体力だけ無限大のレイドザコを相手にしている暇など無いのだ。

 

『にんぷです~』『またにてぃ~です~』『ぼて○らです~』

 

 何せ気絶した大地が妖精さんたちに運ばれて来たからである。

 

『ソリテールも、こんな女を生かしておくなんて、どういうつもりなのかしらねぇ?』

 

 もう直ぐ産まれて来そうな程に大きなお腹をした大地を見下ろし、アウラが訳が分からないよと言わんばかりに首を傾げる。事実、大地を生かしておいた所で、精々ユンが悦ぶだけだ。

 しかし、泰斗に……否、「鬼殺隊」にとっては違う。

 

「こいつには旗印になって貰う。俺の(・・)鬼殺隊(・・・)を再結成(・・・・)する為のな(・・・・・)

 

 鬼殺隊にとって、産屋敷の血筋という物は絶対的な物。どんなに権力が低下し、上層部が腐敗し実質的に組織を支配しようとも、現場の鬼殺隊士には関係ない。命を賭して鬼を狩る彼らにとって、心の拠り所となる存在(かみ)は必要不可欠なのである。癖の強過ぎる面々を纏め上げるという意味でも、指導者は居た方が良い。

 その在り方は、何処か宗教染みていると言えよう。

 

「それから、「万世教」と「極楽教」を合併する事で、確かな後ろ盾と戦力の向上を図り、より盤石な物としたいのさ。そして、俺は新宗教の神となる」

 

 さらに、そこへ「万世教」と「極楽教」を一纏めにした本物の宗教を併せる事で、名実共に「鬼殺隊」は宗教となる。泰斗は両者を支配する神に成りたいのだ。

 

『神とは随分大きく出たわね、人間風情が』

「それ、一度膾切りにされた奴が言っても滑稽なだけだぞ」

『お黙り! ……そもそも、本気で成れると思ってる訳? ソリテールがそんなの許すとでも?』

「許すさ。何せあいつが(・・・・・・)求めているのは(・・・・・・・)平穏なんだからな(・・・・・・・・)

『………………』

 

 泰斗の発言に、アウラは内心驚いていた。ここへ移動するまでの間、自分からの又聞きだけでそこまでソリテールを理解している、この男に。今頃はソリテールもゾリテールと接触している筈だし、持ち掛ける「お話」も滅茶苦茶な物である。こいつらは人間の筈なのに、人間性を大分捨てている。

 

『――――――あの剣士が知ったら、怒るんじゃない?』

 

 だからなのか、僅かばかりの意趣返しとして、アウラは泰斗を煽った。

 だが、泰斗は気にも留めず言い切る。

 

「今この場に居ない奴の事なんか知るかよ」

 

 人間って、面白っ!




◆ソリテールの求める物

 それは植物のように平穏で静かな暮らし。
 つまり、「一方的に「お話」相手になった上で搾取されるのが人間の幸せであり、自分の幸福」という事。「黙って美味しく食われろ豚共」「逆らうな煩わせるな意志を持つな」とも言う。
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