リーニエとお化け蛤がどデカいバトルをおっ始めようとしている傍で、
「おいおい、大怪獣
『だから何よ? さっさと突っ込みなさい』
その真後ろにはアウラが居て、泰斗の後頭部に黄金銃を突き付けていた。今直ぐ華々しく散れと言わんばかりに、ゴリゴリと。何時も肉壁にされてばかりのアウラだが、今宵だけは督戦隊だ。
「……あのな、俺がお前に撃たせる暇を与えると思うか?」
『あのね、零距離で外すと思ってるの? 舐め過ぎでしょ』
「うん、滅茶苦茶舐めてる」
『ふざけ――――――』
「ほらね」
『なぁ~んでぇ~?』
どうやら気のせいだったようである。銃口を押し付けているという圧倒的有利にも関わらず、アウラは泰斗に腕を斬り飛ばされ、ついでに脳天を串刺しにされた。よ、弱過ぎる……。
『クソッ、何でこんなモブキャラなんかに……!』
「黙れ雑魚。お前は再生力しか取り柄の無い、ば○きんまんみたいな奴なんだ」
『いや、誰よそいつ!?』
「知らん。つーか、調子こくのもいい加減にしろ」
はぁ~と溜息を吐くと、泰斗は日輪刀を引っ込めた。このまま刺していてもめり込んだままだし、真面に離せそうに無い。体力だけ無限大のレイドザコを相手にしている暇など無いのだ。
『にんぷです~』『またにてぃ~です~』『ぼて○らです~』
何せ気絶した大地が妖精さんたちに運ばれて来たからである。
『ソリテールも、こんな女を生かしておくなんて、どういうつもりなのかしらねぇ?』
もう直ぐ産まれて来そうな程に大きなお腹をした大地を見下ろし、アウラが訳が分からないよと言わんばかりに首を傾げる。事実、大地を生かしておいた所で、精々ユンが悦ぶだけだ。
しかし、泰斗に……否、「鬼殺隊」にとっては違う。
「こいつには旗印になって貰う。
鬼殺隊にとって、産屋敷の血筋という物は絶対的な物。どんなに権力が低下し、上層部が腐敗し実質的に組織を支配しようとも、現場の鬼殺隊士には関係ない。命を賭して鬼を狩る彼らにとって、心の拠り所となる
その在り方は、何処か宗教染みていると言えよう。
「それから、「万世教」と「極楽教」を合併する事で、確かな後ろ盾と戦力の向上を図り、より盤石な物としたいのさ。そして、俺は新宗教の神となる」
さらに、そこへ「万世教」と「極楽教」を一纏めにした本物の宗教を併せる事で、名実共に「鬼殺隊」は宗教となる。泰斗は両者を支配する神に成りたいのだ。
『神とは随分大きく出たわね、人間風情が』
「それ、一度膾切りにされた奴が言っても滑稽なだけだぞ」
『お黙り! ……そもそも、本気で成れると思ってる訳? ソリテールがそんなの許すとでも?』
「許すさ。
『………………』
泰斗の発言に、アウラは内心驚いていた。ここへ移動するまでの間、自分からの又聞きだけでそこまでソリテールを理解している、この男に。今頃はソリテールもゾリテールと接触している筈だし、持ち掛ける「お話」も滅茶苦茶な物である。こいつらは人間の筈なのに、人間性を大分捨てている。
『――――――あの剣士が知ったら、怒るんじゃない?』
だからなのか、僅かばかりの意趣返しとして、アウラは泰斗を煽った。
だが、泰斗は気にも留めず言い切る。
「今この場に居ない奴の事なんか知るかよ」
人間って、面白っ!
◆ソリテールの求める物
それは植物のように平穏で静かな暮らし。
つまり、「一方的に「お話」相手になった上で搾取されるのが人間の幸せであり、自分の幸福」という事。「黙って美味しく食われろ豚共」「逆らうな煩わせるな意志を持つな」とも言う。