鬼殺のソリティア   作:ディヴァ子

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※そんな大層な物ではありません。


九十九なる神の鎧

 如月邸の奥間、茶室にて。

 

『粗茶ですが……』

 

 私――――――ソリテールは、賽之目(さいのめ) 泰斗(たいと)くんに用意した湯呑を出した。うん、茶柱も立ってるし、幸先が良さそうねぇ♪

 

「いや、真っ赤っかなんですけど……」

『淹れたて新鮮ですからね~♪』

搾りたて(・・・・)の間違いでは!? つーか、これ茶柱じゃなくて、小指の骨だよね!? しかも乳幼児の!」

『何なら母乳(ミルク)もセットで付けましょうか? さっきオッ○イ(きゅうす)も取り外したばっかりだから、まだ――――――』

「要らねぇよ、引っ込めてろ! ……ってか、人に人を食わせるな! クール-の呪いとか知らんのか貴様!」

『極東の庶民が、海向こう(パプアニューギニア)の風土病を知っている事に突っ込みを入れるのは無し……?』

 

 この子、本当に日本人なのかしら?

 

『ちなみに、私たち魔族の間では、「クルーガー病」って呼ばれてたわ。人を食べ過ぎると、「速さが足りない」と叫びながら走り続けるの』

「それ本当に病気か? 馬鹿が速さに狂っただけじゃないの? まぁ良いや……」

 

 そう言うと、泰斗は茶室を見渡す。先ずは高が漁村の網元とは思えない、まるで室町時代にタイムスリップしたかのような内装が目に入り、次いでそこに立つ者々を一人一人映像として脳内フォルダに刻んでいく。顔と名前を一致させて覚えるのって、大事よね。

 

「――――――改めましてだが、俺は賽之目(さいのめ) 泰斗(たいと)だ」

世良(せいら) ゾリテールです、はい」

水尾根(みずおね) 大地(だいち)、です……」

 

 とりあえず、最初に泰斗たちが自己紹介してきた。全員見知った顔だけど、こうして改めて紹介されると壮観というか、色物集団だわ。

 ならば、こちらも答えねば不作法という物(CV:巌勝くん)。

 

『ソリテールよ。苗字とかは無いわ。偽名ならいっぱいあるけど』

『アウラ・フォン・フォルシュトレッカーよ。由緒正しき「真祖吸血鬼(トゥルー・ヴァンパイア)」にして、「七崩星(グロセ・ベーア)」に座する選ばれし七柱の一柱よ。……本当よ?』

『……リーニエ・フォン・ヘレロコースト。人間だった頃の名前、そのまま使ってる』

 

 リーニエ、あなたそんな名前だったのね。何かいずれ何処かの宗派に虐殺をかましそうな名前だわ。将来が楽しみね。

 

「楽しそうだね、君たち」

『ええ、とっても愉しいわ。そんな事より、これからもっと愉しい「お話」をしてくれるんでしょう?』

「………………」

 

 私の言葉に、泰斗が何とも言えない表情でこちらを見てきた。表情豊かな子だわ。

 

『それで、あの鎧は何なの?』

 

 とりあえず、泰斗くんを座らせて、私も正面に胡坐を掻く。

 

「……汚ぇ物見せんな。せめて正座しろ」

『ノーパン健康法って知ってる?』

「知るか穿け」

『だが断る!』

「それを断る」

『というか、誰のアソコが臭くて汚いって?』

「そこまで言ってないよ!?」

 

 う~ん、話が進まないわねぇ。愉しいから良いんだけど。

 

「正座! 正座しろ!」

『仕方ないわねぇ……』

「まったく……」

 

 私が座り直すと、泰斗が漸く「お話」し始めてくれた。

 

「――――――あれは、俺が独自に開発した「強化外骨格」だ」

『外骨格? 鎧じゃなくて?』

「鎧として運用しているだけで、実態はそこの人造生物(ホムンクルス)と一緒だよ」

 

 ふと、泰斗がリーニエを見遣る。なるほど(・・・・)よく分かってる(・・・・・・・)じゃない(・・・・)

 

『彼女が何なのかしら?』

「そいつ、あの真祖(・・・・)が扱う黄金を使ってるんだろ? 前に四国を急襲した奴も、同じ骨を使ってる筈だ」

そうだとしたら(・・・・・・・)?』

「別に隠さなくても良いぞ? 俺たちも(・・・・)持ってるから(・・・・・・)見れば分かる(・・・・・・)

『へぇ、回収してたんだ』

『……あいつ、本当に詰めが甘いわね』

 

 泰斗の明かした衝撃の真実ゥ!

 鬼殺隊、既に【万物を黄金に変える魔法】の黄金を手に入れてました~。

 まぁ、あの黄金って加工出来ないだけで、大きさによっては持ち運べるし、解析も不可能という訳でも無い。事実、葬送のフリーレンは解いていたし、この世界ではアウラも部分的には扱えている。人間でも死ぬ気で頑張れば「呪い」を「魔法」にする事も出来るのかも。時間さえあれば……と言いたい所だけど、どうやら私は人間を侮り過ぎていたようね。

 

「そう、鬼殺隊はあの大戦後、黄金を回収して解析を試みた。日輪刀に替わる新たな武器として利用出来ないかと。ま、結果は知っての通り。金に目が眩んで自分を省みる事さえ出来ない連中に、真実の扉なんて開けやしないのさ」

『でも、あなたは違ったんでしょ?』

「そうだ。遠目とは言え、お前らの戦いは観させて貰った。実を言うと(・・・・・)俺は目がとても(・・・・・・・)良くてね(・・・・)。見れば、それがどういう物なのか分かるんだよ。後は時間を掛ければ、物に出来るのさ。……頭も良いからねぇ?」

 

 そう言う泰斗の瞳は、虹色に変化していた。リーニエと同様の眼をお持ちのようで何より。確かに黄金(・・・・・)単体だと一切(・・・・・・)変化しないから(・・・・・・・)戦いの最中で(・・・・・・)観察するしか(・・・・・・)ないわよねぇ(・・・・・・)

 

『そうかもしれないけど、自分で言っちゃう?』

「事実だからね」

『まぁ、否定はしないわ』

 

 と、ここで気になっていた本題に入る。

 

『それで手に入れていた黄金を、どうやってあそこまで魔改造したのかしら?』

「何て事は無い。今まで回収していた「妖怪」や「鬼」……それから、お前ら「吸血鬼」の血肉を培養し、混ぜ合わせつつ「付喪神(つくもがみ)」に変えただけさ」

『「付喪神」……』

 

 確か長年使われた物に念が宿り、やがて魂を持つに至った、ゴーレムと同じ類の妖怪よね?

 

「参考にしたのは、「川蛍(カワボタル)」と「槐の邪神」。カワボタルは「大神(おおかみ)」に力を貸す事で天敵から身を守り、槐の邪神は……言わなくても分かるよな? 指令一つで(・・・・・)集合し主を守る(・・・・・・・)半金属生命体(・・・・・・)。それがあの鎧の正体だよ」

なるほど(・・・・)生き物だから(・・・・・・)御し切れて(・・・・・)ない訳ね(・・・・)

「まぁ、否定はしないさ」

 

 リーニエを追い詰めた後、止めを刺すでも無く、さっさと装着を解除していた事を鑑みるに、少なくとも時間制限があるのは確かである。おそらく、経過と共にカワボタルとやらの本能が目覚めて拒絶反応を示し、鎧に食われてしまうのだろう。まだまだ改良の余地はありそうだけど、この子なら何とか出来そうね~。

 

『ま、良いでしょう。リーニエだけじゃない。あなたも合格だわ。手と手を取り合いましょう』

 

 だからこそ、私も誠実に対応しなきゃねぇ?

 

『この日、「万世教」と「極楽教」は一つとなり――――――「万世極楽教」と改名するわ』

「フン……」

 

 鼻を鳴らす泰斗の瞳は、虹々(こうこう)と輝いていた。




◆付喪神

 物が変化した妖怪の総称。長年使われた物には魂が宿り、新たな命として動き出すと言われている。その為、「九十九神」とも書く。
 泰斗くんの召喚する鎧は、彼が人工的に発生させた付喪神であり、自律行動型のゴーレムのような物である。
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