『(早く終わってくんないかしらねぇ、この茶番……)』
目の前で繰り広げられる
だって、どう考えても夜行とかいう鬼じゃあ、ソリテールには勝ち目無いもの。こいつの能力は、おそらく“ルールを敷く事で強制力を引き上げる魔法”みたいな物。詳細は分からないけれど、結果的に敗者へ罰ゲームと言う名の破滅を齎すのだとしたら、私の【
つまり、夜行は一度破られた事のあるスキルでソリテールへ挑んでいる、という事。初見殺しの嵌め技をリバイバルした所で、対策されて終わりである。
そもそも、研究者気質なソリテールにゲームで挑戦するとか、死亡フラグ以外の何物でも無い。もちろん、カードゲームという性質上絶対は無いが、こういう小細工って本物の上位者には通じないのよね。どんなにズルをしようとも、圧倒的な実力差は埋められないのよ。
まぁ良いわ。少しでもソリテールが痛い目に遭うのなら気分が良いし、強者ぶった雑魚がまな板の上で跳ね踊るのを見るのも一興ね。精々愉しませて貰いましょ。
『先ずはカードをドローし……スタンバイフェイズに【スカイオニヒトクイエイ】は異次元より帰還する!』
ターンがソリテールに移って、【スカイオニヒトクイエイ】が異空間から舞い戻る。ステータスに反して馬鹿デカい緑色のエイが場を席巻する様は目がバグって来るわ。ソリテールはエイの頭に頂いてるし、まるで魔法の絨毯みたい。
『メインフェイズ、手札から永続魔法【一点着地】を発動し、【
『………………!』『ピキュゥァァヴッ!』
『ホグワァァアアアツッ!?』
さらに、氷結晶の意匠が施されたアイスブルーのローブを纏った、可愛らしい目隠れ女子が召喚され、【スカイオニヒトクイエイ】と共に攻撃を仕掛けた。【水月のアデュラリア】が手に持つ杖先から水色の氷長石を吹雪のように放ち、【スカイオニヒトクイエイ】が夜行に直接食らい付く。アデュラリアはソリテールの場に舞い戻り、エイは時空の彼方に逃亡した。魔法使いのアデュラリアはともかく、触手を伸ばして夜行を縛り上げて頭から食らい付くエイの姿は、まさに人食いのモンスターだ。ソリテールにはお似合いね。
『メイン2、カードを一枚伏せ、永続魔法【ご隠居の大釜】を発動! LPを500回復し、ターンエンド!』
その上、バーンと回復を兼ね備える【ご隠居の大釜】を発動してからターンを明け渡した。何かさっきから絶妙にイライラするカードばっかり使うわね。エイを中心にしたロックバーンデッキなのかしら?
『……アナタのエンドフェイズ時に、罠カード【トゥーン・マスク】を発動! デッキから【トゥーン・ヂェミナイ・エルフ】を特殊召喚しマ~ス!』
と、ここで夜行が反撃に出る。罠効果でデッキから【トゥーン・ヂェミナイ・エルフ】を特殊召喚したのだ。メインデッキに入るトゥーンモンスターはほぼ全員が召喚酔いのデメリットがあるので、相手ターン中に特殊召喚出来るのは大きい。
『ワタシのターン! ドロー! 魔法カード【コミックハンド】デ~ス! アナタの【水月のアデュラリア】のコントロールを奪いマ~ス!』
そして、手番が夜行に移り、いきなりコントロール奪取カードを発動してきた。まるで主人公みたいだわ。
『ワタシが主人公デ~ス! 二体で攻撃!』
自分でも言ってるし。
さて、場ががら空きだけど、どうするつもりなの、ソリテール?
『【バトル・フェーダー(☆1 闇属性 悪魔族 攻/守=0/0)】を特殊召喚して、バトルフェイズを強制終了するわ』
『NOOOOOOOOOOOOOOOOOO!』
普通に防いじゃった。手札一枚でバトルフェイズを強制終了とかズルいわよ、そのカード。夜行はもう手札も無いし、ターンを終了するしかないでしょう。
『なら私のターンね。あなたのモンスター二体を生贄に捧げて、【溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム】をプレゼントするわ』
『要りまセ~ン! クーリングオフしマ~ス!』
『当店は返品を受け付けておりません』
『詐欺DA☆!』
『知った事じゃないわ。ついでに【拷問車輪】も発動するわよ』
『FOOOOOOOOOOOOOOOOOO!』
さらに、モンスターを一掃された上でデメリット付きの大型モンスターを押し付けられ、しかも攻撃まで封じられちゃった。踏んだり蹴ったりねぇ。
『そして、【救魔の標】で【水月のアデュラリア】を回収し、特殊召喚! 一枚ドローし、【レベル制限B地区】を発動してから、大釜で1000LP回復! それから、【レベル制限B地区】を発動し、【一点着地】と【拷問車輪】をコストとしてアデュラリアの効果を発動、【超電磁タートル】を墓地に送るわ!』
『くっ……!』
『バトルフェイズ! 【スカイオニヒトクイエイ】で
『ぐぼぁぁああああっ!』
その上、もっときつい攻撃制限とバトル強制終了の墓地効果を持つモンスターまで用意され、ターンを渡される夜行。リソースも使い切ってるし、もう駄目でしょ、これ。
『……モ、モンスターを一体伏せて、ターン終了デス』
やっぱ駄目だわ。トゥーンは巻き返しが苦手みたい。
『私のターン、ドロー! 【深海のティーヴァ(☆2 水属性 海竜族 攻/守=200/400)】を召喚して、もう一体の【スカイオニヒトクイエイ】を呼び出すわ! そして、【水月のアデュラリア】と【バトル・フェーダー】に【深海のティーヴァ】をチューニング! シンクロ召喚、【スターダスト・ドラゴン-ヴィクテム・サンクチュアリ(S☆8 風属性 ドラゴン族 攻/守=2500/2000)】!』
『コヴァアアアアッ!』
すると、何か切り札っぽいドラゴンが登場。とは言え、B地区のせいで守備になってしまう為、どちらかと言うとエイ周りを守る為のカードなんでしょう。
ようするに、止めはエイたちで刺すという事ね。
『大釜効果で1200ダメージを受けて貰うわ! そして二体の【スカイオニヒトクイエイ】で直接攻撃! ターンエンド!』
これで夜行の残りLPは700。終わりね。
『これで最後よ。男なら背中で語れ、「マリクビーム」!』
『ぐわばぁあああああっ!』
そして、最後のラヴァゴのデメリットが発動して、夜行は散った。最後の最後までソリテールに振り回されっ放しだったわね~。つまんな~い。
『下らない遊びは終わりよ』
『……まだ終わりではない』
だが、「決闘王国」は解除されず、時の歯車が飛び交う不思議な空間に書き換わる。
『てぇやああああああっ!』
『………………!?』
それ処か、突如カードをかなぐり捨てた夜行がソリテールに襲い掛かった。何してんのこいつ。あと意外と動けてビックリだわ。
『【ラスト・バトル】は、このワタシを、リアル☆ファイトで倒す事デース!』
『決闘者としての矜持は何処へ行ったのかしら?』
『お黙リンボォ! そんな物、最初からありまセーン! カードゲームなんて、所詮はガキの遊びデース! ……ゥヴォオオオオォアアアアアッ!』
さらに、「下弦の肆」としての本性を表し、完全な戦闘態勢へ入った。
……うんうん、そう来なくっちゃねぇ♪
◆鬼の変化
多少なりとも可能ではあるが、身体の極一部だったり、不可逆的な物だったりと難しいらしく、変幻自在に行えるのは始祖たる無惨か、それに匹敵する上位鬼のみ。そういう意味では、夜行は結構才能があると言える。