鬼殺のソリティア   作:ディヴァ子

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物理的に突き刺す


渇いた叫び

『ギュルァアアアァァッ!』

「ぎゃあっ!」「うぎぃ!?」

「おっとう、おっかあっ!」

 

 【青眼の白龍】が口から疾風炸裂弾を放ち、民家を一つ吹き飛ばす、中に居た夫婦は塵も残さず吹き飛んだが、唯一息子一人だけが助かった。二人が咄嗟に彼を突き飛ばして、疾風炸裂弾の効果範囲から逃れさせたのだ。

 しかし、所詮は時間稼ぎ。空から一方的に滅びを齎す破壊の権化を前に、生き延びる事など出来ない。【青眼の白龍】が直ぐ様次の攻撃に移る。

 

「【霜の呼吸・漆ノ型 ()(ぐもり)】」

『ガァヴヴヴ!?』

 

 すると、息子を包み込むように冷気の白いウェールが掛かり、【青眼の白龍】から姿を隠す。

 

「弱い者虐めとは良い趣味してんな、雑魚モンスター! 【霜の呼吸・伍ノ型 結晶ノ御子(けっしょうのみこ)】!」

『ガァヴァアアアッ!』

 

 さらに、氷の結晶ノ御子を伴い、賽之目(さいのめ) 泰斗(たいと)が現れ、【青眼の白龍】へ戦いを挑む。日輪刀から強烈な冷気を噴出し、疑似的に空を飛びながら、猛然と斬り掛かった。その機動力と攻撃力は凄まじく、蠅のように飛びアシダカグモのように襲撃する。【青眼の白龍】はその素早さに対抗出来ず、次々と切り刻まれ、冷気に命を吸われて行き、

 

『死ねっ、双○(スゴ○ク)の亡霊め!』

『ギィキャアアアアアッ!?』

 

 拡散する無数の氷刃で八つ裂きとなり、破壊された。……○六(ス○ロク)って誰だよ。

 

「あ、あの……」

「なぁに、礼は要らないぜ?」

「……さむいです」

「何かごめん」

 

 締まらない男だった。

 

『ギギュィィィヴヴヴッ!』『バモヴォオッ!』

 

 一方、別の場所では【真紅眼の黒竜】が【メテオ・ドラゴン】を侍らせて、破壊の限りを尽くしていた。その瞳に映る全てを黒炎弾で焼き尽くす姿は、まさに邪悪な竜そのものである。

 

『……暴れ過ぎ』

 

 そんな邪悪竜たちの前に降り立つは、更に邪悪な生き物リーニエ。既に口火を滾らせており、何時でも地獄の業火を吐き出せる状態だ。

 

『ギャヴォオオッ!』『ブモォォァッ!』

 

 早速、【真紅眼の黒竜】が黒炎弾を放って来た。【メテオ・ドラゴン】もそれに続いて火球を吐き出す。

 

 

 ――――――バヴォオオオオオオオオッ!

 

 

『『………………!』』

 

 だが、リーニエの火力は二匹のそれを完全に上回っていて、蒼い炎が全てを飲み込み、洪水が如く【真紅眼の黒竜】たちに押し寄せる。

 

『ブルァッ!』『ヴァヴヴヴヴッ!』

 

 と、危機を察した【メテオ・ドラゴン】と【真紅眼の黒竜】は攻撃を中断、空中へ退避しつつ、二匹で一つに融合。【メテオ・ブラック・ドラゴン】となって、「メテオ・ダイブ」を仕掛けて来た。

 

『それがどうした』

『ゴバァアアッ!?』

 

 しかし、リーニエは体内放射を背中と翼に集中させる事で、イオンジェットの勢いで飛翔。隕石が如く降って来る【メテオ・ブラック・ドラゴン】をドロップキックで迎撃する。

 

『炎ってのは、こう吐くんだよ』

『ゴフゥ……!?』

 

 しかも、墜落した【メテオ・ブラック・ドラゴン】の口を力尽くでこじ開け、蒼い炎を直接流し込み、内部から爆砕した。遣り方がエグい……。

 

『……焼き林檎も悪くない』

 

 そして、偶々美味しく焼け落ちていた焼き林檎を一つ拾い、ジャクジャクと齧るのだった。

 

『羽虫みたいに次々と……本当に鬱陶しいわねぇ!』

『あら、親戚を悪く言う物じゃ無いわよ?』

『誰が虫けらよ! 巌勝(みちかつ)か、お前は!』

 

 その頃、アウラとソリテールは【人造人間-サイコ・ショッカー】【ハーピィーズ・ペット・ドラゴン】【ハーピィ・レディ三姉妹】【ブラック・マジシャン】の集中砲火を浴びていた。他のモンスターたちが襲われぬよう足止めしているのだろう。罠サーチ能力の応用で魔法の出鼻を挫かれ、「トライアングル・X(エクスタシー)・スパーク」と「セイント・ファイヤー・ギガ」の大火力、【マジカル・シルクハット】や【千本ナイフ】などのトリッキーな奇襲に晒されているので、予想以上にやり難い。

 

『ハァッ!』

『あぅん!?』

 

 ほら、今もまた【ディメンション・マジック】でアウラが破壊され、代わりに【ブラック・マジシャン・ガール】が出現して、【黒・魔・導・連・弾(ブラックツインバースト)】の師弟攻撃をソリテールに仕掛けようとしている。

 

『舐めんじゃないわよ! 【六部殺し(ゼクスカリバー)】!』

 

 だが、怒りの復活を遂げたアウラの【六部殺し】で逆に仲良く葬られた。

 

『オォォォッ!』

『エスパータイプはかくとうタイプに弱いのよ~♪』

『グォオオオッ!?』

 

 そこへ【人造人間-サイコ・ショッカー】が穴埋めに向かうも、ソリテールの純然たる暴力によって黙らされる。魔法が駄目なら拳で語ろうじゃない。「電脳エナジーショック」を殴り飛ばし、回し蹴りで胴体を切断する様は、悪鬼羅刹その物だった。【ブラック・マジシャン】の横槍が無くなったおかげで、伸び伸びと拳を振るっている。

 

『『『キャアアアッ!』』』『シャアアアッ!』

 

 すると、一瞬の隙で追い詰められてしまった【ハーピィ・レディ三姉妹】と【ハーピィーズ・ペット・ドラゴン】が、最大火力で勝負を仕掛けようとする。

 

 

 ――――――ィィィンッ!

 

 

『【天魔開焉星(デェア・フェアファル)】』

 

 しかし、その直前に何となくやって来たユンによって、何もかもが吹っ飛ばされた。

 

『……って、何すんのよあんた!』

『もちろん、八つ当たりです! ムラムラしてやりました!』

『ハッキリ言うなや、このムッツリスケベ!』

 

 理由も有って無いような物。槐の邪神の一件で溜まったフラストレーションを発散する為の、単なる腹癒せであった。

 

『他のモンスターも皆斃されたようね』

『ですです~♪』『みなごろしです~♪』『だいかっさいです~♪』

 

 さらに、妖精さんたちが一仕事終えて帰って来た。きっと、人造魔族になって殲滅したのだろう。相変わらず見た目に反して恐ろしい連中である。

 

「……ブラボ~♪」

 

 そんなソリテール一派に、パチパチパチと拍手を送る者が一人。中々に派手な甲冑に身を包んだ、眼帯の大男――――――。

 

『あらあら、陸奥の風雲児、伊達(だて) 政宗(まさむね)様が、一体何の用かしら?』

「そんな物、決まってんだろ。……「お話」だよ。好きなんだろう、そういうの?」

 

 独眼竜・「伊達(だて) 政宗(まさむね)」その人だった。




◆伊達 政宗

 ご存じ「独眼竜」にして、十七代目伊達家当主様。五歳で天然痘によって片目を失明し、周囲は親戚と言う名の敵だらけという、中々に酷いハンデを背負うも、十八歳で元服した後はやりたい放題しており、小出森城を攻め落とした際に千人切りを成し遂げて自慢したり、敵に捕まった父親を仕方ないとは言え敵ごと射殺したりと大暴れしつつ、隙あらば天下取りを目論むエキセントリックな人物。
 今作では戦国末期の陸奥国で暗躍するソリテール一派と接触、忌々しい豊臣政権を打倒し日ノ本を支配する為の「お話」を持ち掛けた。
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