伊達男
「
奥州……つまりは陸奥国で名を轟かせる若き武将で、「伊達家」の十七代目当主に当たる。そう言えば、ちょっと前に拉致られた父親を敵ごと射殺したんだっけ。小出森城で成し遂げた千人斬りを、ムカつく伯父に自慢したりもしてるし、やりたい放題のエキセントリック少年
だけど、その分敵を作り易く、周囲は親戚と言う名の邪魔者だらけだし、何より実弟の「
とは言え、やっぱり頭のネジが外れた行動の数々にドン引きする者が多数居るのも確かで、今は「
『……って言うか、あなた米沢城に居るんじゃなかったっけ? 何時の間に牡鹿くんだりまで来たのよ?』
「もちろん、大分前だ。お前らが本格的に動き出した頃には、既に移動を始めていたのさ」
『なるほど、話も足も早いって訳ね』
そんな伊達男と、私は座敷を交えている。座敷は座敷でも、地下の座敷牢だけどね。先住の可哀想な子は、しっかりと食べてあげたわ。周りには元より居た面子に加えて、後から馳せ参じたユンや小十郎も控えている。ある意味、ここが戦場会議と言えるわね。
『それで、あなたは何が目的なのかしら? こんな人食いの化け物と「お話」したいだなんて、よっぽどの事なんでしょうね?』
「ヘイヘイ、そう慌てなさんな。先ずは一杯やろうや?」
と、政宗が徐に瓢箪を出して、盃に酒を注ぎ始めた。血のように真っ赤な酒だ。いや、“ような”じゃないわね。本当に血が混じっている。誰の物なのかしら?
「こういうの、好きなんだろう? 安心しろ、毒なんぞ盛っちゃいねぇよ」
『分かってるじゃない。気に入ったわ』
例え盛られた所で効かないだろうし、仮に効果があっても魔法で解毒するまでだけどね。
「政宗様」
「分かってるよ。良いじゃねぇか、堅苦しい奴だな」
すると、後ろから小十郎が政宗をせっつく。彼の言う通り、堅苦しい性格なんでしょう。
「――――――大崎の連中を滅ぼしたい」
『大崎? それって、「
「そうだ。奴らは今、家中騒動で揺らいでいる。重臣の「
『ふ~ん……』
確か大崎氏って、伊達家の家督相続の時のごたごたで離反した連中の一つじゃなかったけ。そんな裏切者の重臣が主君を裏切って、元上司に泣き付くとか、色々と終わってるわねぇ~。
『それが私に何の関係があるわけ?』
そう、そこが問題である。私たち人食いの化け物からすれば、土地にのさばる人間が誰になろうが、心底どうでも良い。食料の生き様なんて、捕食する側にとっては関係の無い事だ。重要なのは取って食い易いかどうか、それだけ。現にアウラたちも興味無さそうにしている。唯一面白そうにしているのはユンだけか。
もちろん、私個人としては興味あるわよ。それとこれとは別の話ってだけの事。
「
『………………』
減らず口を貫き手で塞いでやろうとしたら、素手で受け止められちゃった。結構やるじゃないの。
「なぁに、悪い話じゃないさ。「万世極楽教」とやらの布教にも協力するし、
『それの何処が悪い話じゃないの?』
「仕入れた情報によれば、義広の野郎はオレだけじゃなく、お前らも疎ましいみたいでな。最上のジジイもそうだぜ。……ま、穀潰しや不穏分子を増やし兼ねない異国の宗教なんぞ、何処へ行っても除け者にされるもんさ」
『あなたは違うって事?』
「おうよ。見ろよ、オレの恰好を!」
そう言って、政宗は私の手を払い除けつつ、自身の派手派手な服装を見せびらかす。良い度胸してるわね、こいつ。
『つまり、魔女狩りに遭いたくなければ、庇護下に入って協力し合う方が得だぞ、という事ですね!?』
と、ユンがわくわくとしながら身を乗り出した。完全に新しい玩具を見付けた子供である。彼は元を辿れば公家の出身だし、何だかんだで興味はそそられるんでしょうね。
「それに連中は豊臣の野郎と繋がっている。あのきな臭い狸爺と何をやらかすつもりなんだか……」
『だから?』
「関係無いとは言わせないぜ?
『………………!』
あの妖怪軍団を派遣したのが「
なるほど、それなら確かに無関係とは行かないわね。何せ相手も化け物の総大将なんだから。
『……良いわ。少しくらい「お話」してあげる』
「よぉし、そうと決まれば、
そして、私たちは伊達男と派手に手を組む事となった。
◆伊達もの
そのまんま、「伊達 政宗」みたいな物や人の事。何処ぞの音柱が如く派手派手でノリノリな彼はリスペクトし易く、オマージュやパクリをしたがる輩は多かった。