「無限城」の一画、お高い茶室の中。
『無惨様、無惨様』
『どうした鳴女よ』
『例の“「月の呼吸」の使い手”が会敵したようです。今、映像を回します』
『ご苦労。高画質で頼むぞ』
無惨と鳴女。二人の悪鬼が、使い魔の送って来た映像を愉し気に観戦していた。むろん、映し出されていたのは、例の偉丈夫のそっくりさん。
『さぁ、これはお前の為のテストだ、「
そう、彼――――――「
さらに、巌勝は縁壱には無い、
だが、いざ巌勝を勧誘しようとした矢先、この国に異物が紛れ込んだ。「吸血鬼」という宗教に便乗して渡来した、新たな病原体が。「真祖」と呼ばれる母体を中心に鼠算式に眷属を増やす繁殖力と、「真祖」には限るが首刈りも陽光すらも通じない意味不明な生命力を持つ、外来的侵略生物群。その侵入は、無惨に大きな衝撃と焦燥感を齎した。例え鬼殺隊を討ち滅ぼしても、次の敵が吸血鬼になるだけである。
そこで無惨は鬼殺隊も巌勝も一旦諦め、初代側近の「
しかし、タイミングが致命的なまでに悪かった。鬼殺隊の方も無惨より先んじて動き出しており、一先ず最大戦力を投入して早期解決を図ろうとしていたのだ。
つまり、縁壱と無惨の不意遭遇戦の勃発である。
結果は無惨の惨敗。縁壱の「日の呼吸」によって文字通り八つ裂きにされ、鬼になってから初めて死の危機に直面した事により、“身体を無数の肉片に変えて爆発四散する”という生き恥を晒してまで潜伏する事を余儀なくされてしまい、吸血鬼も巌勝も有耶無耶になってしまった。
もちろん、当時侵攻していた真祖は悪目立ちし過ぎたせいで、縁壱及び救援に駆け付けた巌勝によって討伐されたのだが、その真祖と敵対していた真祖――――――ようするに、「アウラ・フォン・フォルシュトレッカー」が入れ替わりで侵攻し始めてしまった。彼女はかなり狡猾であり、「首切り役人」という信頼の置ける部下を先遣隊として潜入させ、鬼側に罪を擦り付ける形で日本社会へ浸透し、南蛮貿易によって秘密裏に物資を輸入する事で、僅か数年で九州各地のキリシタン大名の領地に侵略拠点を設けるに至った。
その間、心身共に傷だらけになった無惨は、後の側近となる鳴女と遭遇。出遭い頭に脳天唐竹割を喰らった腹癒せに彼女を部下に迎え、次なるチャンスを掴む為に力を蓄える事となる。
そして、そんな折に新たな脅威が、この世界に生まれ落ちてしまった。鬼殺隊にて痣の発現により寿命を迎え掛けていた女剣士が、凄まじい執念によって無惨と鳴女を捕捉、襲い掛かって来た為、無惨は止む無く応戦、返り討ちにし、ついでとばかりに鬼へ変えようとしたのだ。結末はご存じの通り。「ソリテール」という特級呪物をインストールしてしまったのである。
だが、その異常事態もここまで。世界の修正力が働いているのか、巌勝は再び
はてさて、この神も見放した混沌の坩堝で最後まで嗤っていられるのは、一体誰となるのやら……。
◆鬼殺隊
ご存じ「無惨ぶっ殺し隊」。産屋敷家という貴族の血筋をトップとし、彼らに掛けられた無惨の呪い(子孫代々男も女も早死にする嫌がらせ)を解く為、物理的な排除を目的として結成された。言うなれば、業を背負わされた産屋敷家の無惨に対する復讐の道具であり、平和やら何やらは実は二の次だったりする。だので、“鬼に人生を狂わされた者を復讐鬼に育て上げて戦場へ駆り立てる”という、よく考えれば悪役みたいな事も平気でやってのけている。
今作でも産屋敷をトップとして無惨に数百年単位の執着を見せる異常者集団である事は変わりないが、鬼以外の脅威も割と存在しているので、どちらかと言うと「退魔師」のような側面が強くなっている。