モンスターバース:キングギドラの逆襲   作:よよよーよ・だーだだ

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ポストクレジット

 

(エンドロール後、画面が一度、暗転する。)

(BGMが流れ始める。『MOGERA Ready to Go』のオルゴールアレンジ。軽やかで、子供部屋のような音色。けれど旋律の裏に、何かが軋んでいる。)

(明かりが戻ると、そこは映画館のスクリーンではなく、Zoom会議の画面だった。)

 

 

 

 グリッド表示、四分割。

 左上。白髪、大柄、建設的な肩幅。背後の壁には大型機械の設計図が額装されている。ネームプレートに「C. タルバーグ/重工業総合商社 会長」。

 右上。細身、銀髪、サイバネティックな印象を抱かせる無表情。背後は夜景。「J. パターソン/防衛システム社 CTO」。

 左下。短い金髪、鋭い目、背後には稼働中の工場ライン。「T-X インダストリーズ/製造総括 K. ロケーン」。

 右下。黒髪、肩幅のある体格、背後には防衛データのモニター群。「S. コナー・グループ/戦略分析部門 S. コナー」。

 タルバーグ会長が、最初に口を開く。

 

「東京の戦績、全員確認したな」

 

 アメリカ英語。字幕が出る。

 

「MOGERA単機出撃、バトラ四十二体撃墜。残り一体──鎧個体撃破時に機体喪失。タイタン本体の拘束に成功、最終決着はゴジラ」

 

 パターソンが続けた。

 

「機体喪失率、一〇〇パーセント」

「その代わり、世界は無事だ」

 

 ロケーンが工場のラインを背に、タブレットを持ち上げた。

 

「量産モデルの試算、出ました。初号機データを基に、一機あたりの製造コストはメカゴジラ初号機の三分の一。量産効果でさらに下がる」

 

 コナーが、モニターを指した。

 

「パイロットが問題です。あの機体の性能を、新城浩二レベルの人間が一機に一人、必要だとしたら、量産の意味がない」

「だから編隊運用にする」

 

 タルバーグが即答した。

 

「単機で新城レベルを要求しない。十機で互いを補完する。凡庸なパイロットでも、編隊の中で役割を持たせれば、結果は出る。コードネームは決めた」

 

 四人の視線が、揃った。

 

「MOGERAフリート」

 

 

 その時、五つ目のウィンドウが、会議に参加した。

 若い男。三十代後半、浅黒い肌、整えられた無精髭、仕立ての良いジャケット。背後は、窓の外にホロウアースの景観──反転した青空と、浮かぶ大陸の底面が見える。

 ネームプレートに「ラファエル・サロメ/アペックス・ネオ・ベンチャーズ 代表」。

 タルバーグが、わずかに姿勢を正した。

 

「サロメ氏。お待たせした」

「いえ、ちょうどいい頃合いに入れました」

 

 サロメは柔らかい声で言った。笑顔は穏やかで、敵意というものが一切感じられない。それが、逆に、何かの気配を強めていた。

 

「量産計画、賛同します」

「資金面、問題なく」

「ありません。投資家グループから十分な額を引き出しました」

 

 タルバーグが頷いた。

 

「では、製造開始の──」

「ただ」

 

 サロメが、遮った。

 

「一つ、付け加えたい提案があります」

 

 四人の視線が、集まった。

 サロメは、にこりと笑った。

 

「対タイタン兵器として設計された機体です。それは、その通り。ですが──量産した後、もし、タイタンが出現しない期間が続いたら。どうします」

 

 沈黙。

 

「機体は、遊ばせておくには高価すぎる」

 

 サロメは続けた。穏やかな口調のまま。

 

「タイタンが出ない日々でも、MOGERAが働ける領域は、地球上に、無数にあります。例えば──鉱物採掘。例えば、森林伐採。例えば、海底資源の開発。MOGERAの出力と耐久性があれば、既存の重機の百倍の効率で、地球環境から、資源を引き出せる」

 

 ロケーンの眉が、ほんの少し、動いた。

 

「それは、環境破壊では」

「いいえ」

 

 サロメは即座に答えた。笑顔のまま。

 

「環境保護です。人間が手作業で行えば環境に負荷が大きい作業を、MOGERAが短期間で集中的に行えば、長期的な環境負荷は、むしろ減る。数字で証明できます」

 

 パターソンが、無表情のまま言った。

 

「我々は、対タイタン防衛機構として、MOGERAを開発した」

「そう公表します。対外的には、一切、変わりません」

 

 サロメは頷いた。

 

「対タイタン防衛用。それが公式な名目。ただ、平時の運用として、環境資源開発プロジェクトを並行する。効率的な運用です。機体を遊ばせない。投資を回収する。そして──」

 

 彼は一度、言葉を切った。

 

「地球環境を、人間に奉仕させる」

 

 穏やかな笑顔のまま。

 

「MOGERAフリートは、人類が初めて手にした、タイタンに匹敵する規模の道具です。これを使わない手は、ない」

 

 四つのウィンドウが、沈黙した。

 タルバーグが、長い息を吐いた。何かを飲み込む表情だった。

 パターソンは、何も言わなかった。

 ロケーンは、タブレットを膝に置いた。

 コナーだけが、モニターの方を向いたまま、静かに言った。

 

「……サロメ氏」

「はい」

「我々は、怪獣を止めるために、これを作った」

「そうです」

「今の提案は、怪獣とは別の問題を、これで、作り出そうとしている」

 

 サロメは笑顔のまま、首を傾げた。

 

「違います、コナーさん」

 

 穏やかに、彼は言った。

 

「人間の問題は、人間が解決するんです」

 

 

 

(BGMが、強まる。)

(オルゴールの旋律が、最後の小節に入る。)

(五つのウィンドウが、画面に並んだまま、止まる。)

(暗転。)

 

 

 

タイトルバック。

 

GODZILLA × MECHAGODZILLA: MOGERA RISING

 

─ The Human Problem ─

 

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