ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~   作:SIS

103 / 103
第九十九話 チルドレンズ

 

 さて。家に戻ったらお楽しみの時間である。

 

 家事を片付けてログインすると、文字通りテレサがすっ飛んでくる。

 

『お帰りなさい、ショウさん!!』

 

「はいはい、ただいま。準備はできてる?」

 

『もちのロンです!!』

 

 喜色満面のテレサの勢いに思わず押される。なんか、見えない尻尾がぶんぶん振り回されているのが見えるようだ。

 

「そんなに専用機が嬉しかったの?」

 

『そりゃあもう! 合体前提とはいっても、私の専用機ですから! うふふふ、わったしの、せんよう、き~』

 

 感極まる挙句、妙な鼻歌を歌いながらステップを刻んでくるくる回り始めるテレサ。

 

 テンション上がりすぎてキャラが変わってる……。

 

「まあいっか、よーし出撃だ」

 

『はい!!』

 

 そして早速、実戦テストだ。今回は工業地帯ではなく、地底湖のホームから出撃する。いい加減そろそろ先に進みたいしね。

 

 まず出撃するのは、私の担当する一号機。黒鉄色の機体に、黄色と黒のコーションマークを書き込んだカラーリング。構造としては、アズールブレイカー1と似ている。

 

 両手に、現状装備できる最大出力のフォトンビーム砲を一つずつ。流石にこのクラスだと色々厳しいので、本体スラスターやサブエネルギータンクはかなり妥協しているので、本体性能はかなり低い。手数も少なくて、単体ではメタルインセクトの群れを相手にするにはこころもとない。

 

 だからこそ、2号機が必要である。

 

『お待たせしました!』

 

 意気揚々とリフトから降りてくる2号機は、一言でいえばロボの形状をしていない。

 

 メガフレーム胴体をベースにキャタピラ、というのはいつぞやの1号機と変わらないが、こいつはさらに増加装甲等によって胴体のサイズを大きくしている。どちらかというと、でっかいコンテナにキャタピラと頭が生えている感じだろうか?

 

 武装はフォトンビーム砲と頭部バルカン。火力が無い訳ではないが……この2号機の本領はそこにはない。

 

「よし、テスト運用を開始する。まずは私が敵に攻撃をしかけるから、それを合図にオペレーション開始だ」

 

『先に始めなくていいんですか?』

 

「常にこっちが有利な状況とは限らないだろう? よーいどん、でも有利過ぎるぐらいだ」

 

 言って、ビーム砲の照準を定める。こちらには気が付いているが、照明が気になって物陰に潜んでいる兵隊蟻達。彼らに向けて、最大出力のフォトンビームを放つ。

 

 迸るピンク色の奔流。流石にこの出力だと反動も大きく、踏ん張った足元の岩がピシシ、と罅割れた。関節にもある程度の負荷がかかり、ステータスが黄色くなる。

 

 それだけの出力なのだから、破壊力も一入だ。迸るビームは数匹の兵隊蟻を一瞬で蒸発させ、なおも伸び続けた。それを無理やり振り回すと、扇状の範囲が根こそぎ消し飛ばされる。射線上に存在したものは、メタルインセクトも岩盤も道路も一切の区別なく、圧倒的なエネルギーの奔流に消し飛ばされた。

 

 ひゅぅ。

 

 いいねいいね、どう考えてもその場しのぎのやっつけ調整とはいえ、ダメージがある程度伴うようになると爽快極まりない。

 

 私はこれがやりたかったんだよー!!

 

 ただまあ、それだけの威力があれば冷却時間もそれ相応。最大出力でぶっ放した片腕は、かなりの時間チャージングに時間がかかりそうだ。

 

 それに対し、敵の数は際限がない。号砲代わりの一撃に反応した大量の敵が、洞窟の奥から次から次へと押し寄せてくる。

 

 一応、もう一本で対応する事もできるが多分焼け石に水だ。

 

 であるならば。

 

 数には数で対抗である。

 

「テレサさん、どう!?」

 

『生産ライン、軌道に乗りました。第一ロット、もうじき生産完了です!』

 

 背後で控える巨大なコンテナのような機体。その内部から、バヂバヂ、ガシャガシャ、とせわしない音が響いている。搭載していたフォトンビーム砲の姿は無く、代わりにその残骸らしきものだけが、傍らに転がっていた。

 

 それが何を意味するのか。

 

 応えは、バジャン、と音を立てて解放されたバックパック、その内部から伸びるベルトコンベアが示している。

 

 機体の内部は、ぽっかりと空洞になっている。メガフレームの大サイズボディ、それをさらに増加装甲で拡張した内部には、何も入っていない。代わりにその空虚の奥から、ガシャガシャと音を立てて何かが這い出てきた。

 

『ピキキ』

 

 それは一言で言うと、随分と粗末な歩行機械だった。

 

 脚は四本と最小限、それも駆動部のない、“く”の字に曲げただけの鉄の棒だ。アクチュエーターは胴体部分にあるだけで、それが脚を動かす玩具のような構造になっている。手は愚か頭もなく、胴体前面に赤く光る開口部があるだけで、それはもはやロボットというより歩く玩具、メタルインセクトの同類に近しいものである。

 

 頼りないように見えるが、それでもこれが今回、私達が用意した自律兵器。その第一号である。

 

 高度な生産システムが使えない為に本来戦場で応急処置を行う為の修復装置を使って、素材インゴットを雑に加工して、それにテレサの作った制御コアとサーボモーターを組み込んだだけの単純な造り。

 

 武装は小口径ビーム砲。これに関しては、武装として持ち込んだ大口径ビーム砲を現地で解体し、砲身内部の触媒マテリアルを取り出して転用している。アイテムとして、それらのマテリアルが存在しないからこその力技だ。

 

 正直力技もいい所である。これまでやってきた合体ロボとか、合成ビームだとか、イーグルドローンだとか、テンプレ無視して好き勝手やって来た成果というか、なんというか。

 

 まあだいたいテレサのおかげである。

 

「よしよし、よろしく頼むぞ」

 

『ピキィ』

 

 生産された自律兵器をよしよし、と撫でると、まるで答えるように小さく鳴いた。

 

 あれ、おかしいな。テレサの話だとめちゃくちゃ簡単なプログラムで動いてるって話なんだが……。

 

「まあいいや、いくぞぅ」

 

『ピピ!』

 

 合図をすると、カサカサ前線に向かっていく自律兵器。

 

 とはいえ単体で比較しても戦力差は圧倒的だ。兵隊蟻と比較しても、サイズは半分以下、まともにやりあったら勝ち目はない。この程度の戦力が一機追加されたところで、本来ならば何の足しにもならないが……。

 

 そう、一機ならば。だ。

 

『ピキィ』

 

『ピキキ』

 

『ピィー』

 

 賑やかに声を上げながら、1号機に続いて進んでいく自律兵器。その数は一機、2機、3機……どんどん増えながら、1号機の足元を埋め尽くしていく。

 

 それらの出元は、今も製造に励む2号機だ。

 

 そう、2号機は自律兵器を生産する移動工廠そのものなのである。アイテムとして持ち込んだ制御コアとサーボモーターを消費し、インゴットを素材に自律兵器を作り続ける。それらのアイテムは素材アイテムなので、アイテム欄を圧迫せずに多数持ち込める。唯一消費するのは、製造ラインに使っている修復装置の稼働に必要なサブエネルギーだが、これは減ったら1号機が合体する事である程度回復が可能だ。

 

 ふふふ、ビルドロボオンラインの多様性様々である! 運営有難う、多分こういう使い方は想定してないと思うけど!

 

 そうしている間にも増え続ける自律兵器。

 

 圧倒的な数を頼りに迫ってきていたはずの兵隊蟻達が、戸惑ったように足を止める。

 

 そりゃそうだ。

 

 システム的に考えても、プレイヤー機の反応が“その場で増える”なんて想定していないだろう。

 

「よし、お前ら、やっておしまい!」

 

『『『ピキキィ!』』』

 

 私の合図とともに自律兵器達が一斉にビームを放ち、地下空間での大激闘が始まった。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす(作者:オタリオン)(オリジナル現代/冒険・バトル)

底辺Vtuberの根黒万太郎。▼十年前にやり込んでいたロボゲーの続編やったら動きが変態過ぎて大バズり!▼闘争を求めてやって来る強き変態たちに万太郎は更なるバズりを求める。▼果たして、万太郎は底辺を卒業しトップVtuberとなれるのか?▼(☆):他者視点有りのマークです。▼※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。


総合評価:1387/評価:7.75/連載:78話/更新日時:2026年07月26日(日) 18:52 小説情報

(ガワだけ)胡乱なカードゲームおじさん(作者:十田心也)(オリジナル現代/冒険・バトル)

【バトルワールド】▼それはただのカードゲームに非ず▼それは世界中の人々を熱狂に導き、いまだ醒まさせない▼ある国では1枚のカードを手に入れるため、世界有数の富豪が一文無しになり都市が壊滅した▼またある国では、そのカードゲームが最も強い者が皆を率いるリーダーとなった▼長年争っていた両国が、1回のカードゲームの勝負で終戦に合意したこともある▼カードゲームの枠を超え…


総合評価:3578/評価:8.21/連載:24話/更新日時:2026年07月22日(水) 18:30 小説情報

【完結&3章リメイク中】VRMMOで【食屍姫】になった無職だけど、現代ダンジョンでも化け物扱いされ始めて嬉しいです!   (作者:ちんこ良い肉)(オリジナル現代/冒険・バトル)

「働かずに食う飯は美味いか?」「めちゃくちゃ美味いに決まってるわよね?」▼親の小言に白米を頬張りながら満面の笑みでそう返してしまった玉織紬(たまおりつむぎ)は鉄拳制裁と共に毎食をもやしに変えられた。▼大学を中退し、実家で生もやしを主食に生きる無職の玉織紬は、日雇いバイトすらまともにこなせない社会不適合者だった。▼だが、胡散臭いVRMMO【エリュシオン・オンラ…


総合評価:4145/評価:8.51/完結:84話/更新日時:2026年06月09日(火) 23:32 小説情報

ロボゲーっぽいギャルゲーに転生したが整備科になってしまった(作者:なんちゃってメカニック)(オリジナルSF/コメディ)

転生したが整備科になってしまった俺、幼馴染の主人公にクソ振り回される模様。▼頼むから、整備士俺一人なのに機体を増やさないでください。


総合評価:5829/評価:7.82/連載:114話/更新日時:2026年07月26日(日) 08:00 小説情報

ディストピアのネット友達が優秀すぎる(作者:名無しのペロリスト)(オリジナルSF/文芸)

ディストピア世界に転生した、元オタクOLは絶望した。▼飯がクソ不味いだけでなく、前世にあったサブカルチャーが絶滅していたのだ。▼それに都市に貢献しない者を生かしておくほど、アバシリシティは甘くない。▼だからと言って過酷な労働はしたくはないので、せめて身の回りの環境を改善するために仮想空間で色々していると、何故か上級市民のお嬢様がログインしてきて──。


総合評価:4306/評価:8.56/完結:28話/更新日時:2026年06月07日(日) 00:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>