ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~   作:SIS

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第百八話 大神、轟く

 

 

 

 

 そしてそこからは破竹の快進撃。

 

 じゃんじゃか渓流地帯を攻略していく。

 

 狼型をはじめとして、途中でクマっぽい奴とかタヌキっぽいメタルインセクトにも遭遇したが、“マーナガルム2”の敵ではなかった。

 

 特に、高威力のビーム砲をドローン経由で射線を読ませないやり方が強力だった。本来、直進する事しか出来ないビームを任意の位置で曲げる事が出来るというのがこれほど強力だとは想定だにしていなかった。

 

 狼型に回避させないというのもあるが、耐久力ありそうな敵のガードをかいくぐって命中させる、というやり方も強力だった。クマ型なんかは両手にいかにも、といった感じの装甲を持っていてそれでガードしてくるのだが、正面から撃ったビームが曲がって横や背後から撃ち込む事ができるので殆ど問題にならなかったほどである。

 

 これまで指ビームだとか、要塞砲の収束だとか変な事にしか使ってなかったけど、これを機にこの偏向スキルをもっと深堀するべきだなとあらためて思ったほどだ。

 

 ただ一方で、自由に動かせる自律ドローンは便利ではあるが、やはり耐久性に難があるというのも確かだった。

 

 今も、クマ型との戦闘で消耗した自律ドローンを本体に収納して修理中である。

 

 サブエネルギーはビームの発射や戦闘時の高速移動で徐々に回復しているとはいえ、こう頻繁に修理を強いられるとカツカツであり、他の事に利用できそうにない。

 

「うーん。本体から距離を取れるというのは便利なんだけど、強度がね……」

 

『そうですねえ。とはいえ、これ以上のものはちょっと……』

 

 修理をまっている間に、テレサと二人で今後について相談する。

 

「やっぱり完全に独立して動かせる代物、ってなると、リソースとかがかなり限定されるか」

 

『そうですね。そもそも、あまり高性能にすると数が確保できませんし……それに高性能にした所で、イーグルドローンぐらいが関の山で、やっぱり一対一で適正レベル帯のメタルインセクトに勝てるほどにはなりません』

 

 それは確かに。

 

 工業地帯の相手には一対一なら有利を採れたけど、あれは本来かなり適正レベルから下の相手だったからだ。今後、適正レベルとなるとここの狼やカエル、なんならこの先の雪山に出る猿とかになってくる。

 

 現状でも戦えているのは、数が揃っている事で損害を分散出来ているからだ。数が減ればその分、運用が難しくなる。

 

 私がシュミレーションが上手いタイプの人間だったらそれでも問題ないのだろうが、残念ながら私はそんなに才能あふれる人間という訳ではない。

 

 となると……。

 

「完全自律は諦めて、本体の延長線上にとどめて性能と強度を確保する、か?」

 

『そうですね……以前試作した、有線アンカー式のビーム砲がありましたよね。ああいった感じで、先端だけ自在に動かせるとか……』

 

「でも流石に手持ちの素材じゃ無理だったよなあ。この先で何か面白いものがあればいいんだけど……」

 

 結局、そういう事になってしまう。

 

 ビルドロボオンラインの可能性は無限大だが、可能性を形にするには先立つものが必要だ。

 

 今後に期待、という訳である。

 

『……あの、ショウさん』

 

「ん?」

 

『参考なまでに聞きたいんですけど。出来るかどうかを別にしたら、どういった形式の方法があると思います?』

 

 お、テレサのアイディア拝借タイムか。もうちょっと修理に時間がかかりそうだし、付き合ってあげるか。

 

「そうだな。先端の子機にスラスターや虫の足みたいなのを装備して独自に行動させるのもあるけど、私が知ってる範囲だとワイヤーそのものに干渉するのが多いな」

 

『ワイヤーに、ですか?』

 

「うん。先端の端末に搭載しておいた中継端末を任意の点でワイヤーに噛ませる事で角度を変更してジグザグに軌道を変えるとか、あるいはワイヤーを電気信号か何かで収縮する性質のものを複数寄り合わせて任意の部分で収縮を起こさせて軌道を変えるとか。そういうアイディアを聞いたことがある」

 

 まあ全部某超巨大IPで使われてるアイディアだけどね。イ〇コムとか、天使な暴走兵器の尻尾とか、曲がるビームとかがそういう原理だ。

 

 流石に前提が違いすぎてテレサでも一朝一夕には実現できないだろうけど。

 

 ただ、日中の暇な時間があれば機体を3回ぐらい組み直す時間があるはずだ。試行回数の暴力で、なんか面白い物を作ってくれたら面白いよね。

 

『なるほど……』

 

「ま、気になるなら私が寝てる間にある程度好きにカスタマイズ弄っておいていいよ。戻ったら許可出しておこう」

 

『いいんですか!?』

 

 よっぽど嬉しいのか声が跳ねあがるテレサ。

 

 まあ、彼女にはあくまで設定任せてるだけで、機体を好きに弄らせた事はなかったからなあ。でもなんだかんだ付き合いも長くなったし、AIだからとかそういうのは抜きにして、彼女の好きにやらせてもいいだろう。

 

「いいよいいよ。あ、でも最終的にそれを採用するかどうかは別だからね?」

 

『全然かまいません! ふふふ、実は色々考えてたアイディアがあるんです! そうと決まったら早速戻って実験を……』

 

「こらこら。ここまで来て帰るつもりか?」

 

 マップを見れば、もう大分奥地まで来ている。

 

 恐らく、そろそろボスとご対面だ。

 

「せっかくここまで来たんだ。ボスを倒して、堂々とソイツが守っているホームに帰還してやろうよ」

 

『そ、それもそうですね。先走りました……』

 

「まあやる気があるのは良い事だ」

 

 と、お喋りしている間に子機の修復も完了した。

 

 サブエネルギーはほぼ底をついたが、ミサイルは半分残っているし、ビーム砲の状態もまだまだ大丈夫。関節部には多少負担が溜まっているが……うん、一戦ぐらいならいけるはずだ。

 

「よぉし、じゃあいっちょう頑張りますか!」

 

『はい!』

 

 休憩を終えて先に進む。

 

 と、ずっと続いていた大木の森林が少しずつ開けていき、目に見える風景が変わっていく。ゴツゴツとした黒い岩がむき出しの地面……その表面には薄く雪が積もったままだ。

 

 雪山の麓に差し掛かったのだろう。緑は極端に減り、傍らを流れる流れは薄く氷が張っている。

 

 びゅうびゅうと寒そうな風が吹きすさぶ斜面を登っていくと、あからさまに拓けた場所に出た。

 

 周囲を切り立った岩に覆われた平坦な広場。登り口からまっすぐ正面奥には、天を貫くような鋭く伸びた岩山がある。

 

 うっすらと白く染まったその岩山の向こうに、巨大な影がゆっくりと姿を見せた。

 

「でかい……ボス狼か」

 

 思わずつぶやいた通り、姿を現したのは純白の装甲を持つ狼型のメタルインセクト。ギラリと光るオレンジ色の視線でこちらを見下ろしたボスが、天高く遠吠えを上げる。

 

 同時にその背中が激しくスパークし、周辺の岩山に電撃を落とす。

 

 それに呼応するように、周囲の岩山の陰から一斉に姿を現す雑魚狼の群れ。

 

 なるほど。今回はそういう趣向か。

 

「集団戦だ、テレサ頼むぞ!」

 

『は、はい!! 頑張ります!』

 

 ボス戦を示すメタルなBGMが鳴り響き始めると同時に、雑魚狼達の群れが岩山を滑り降りてくる。

 

 こうして渓流における最後の戦いが始まったのだった。

 

 

 

◆◆

 

 

 

 

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