ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~ 作:SIS
「お、トーナメントの続報が来てる」
ネットを確認すると、予選終了後しばらくは情報が無かったトーナメントについてのお知らせが入っていた。
どうやら、予選結果から選出した上位メンバーによるトーナメント本戦が近々行われるらしい。ただそれでもまだまだ人数が膨大なので、これをさらに振るいにかけて、決勝トーナメントという形でビルドロボオンライン最強を決める、という流れになるようだ。
「んー。本戦はスコア稼ぎで勝負、か」
そして試合形式は、いわゆるサドンデス? スコアアタック?
前線基地は抜きで、プレイヤー最大三名で1チームを結成し、続々と押し寄せるメタルインセクトの群れを撃破しながら最高スコアを目指す、というものらしい。最終ウェーブを乗り越えるかプレイヤーが全滅した時点でスコアを計算し、そこから上位16チームが本戦トーナメントに進出、となるようだ。
ちなみに細かいスコアの計算式は内緒。連続撃破をはじめとする特殊ボーナスもあって、なかなか一筋縄ではいかない感じの様だ。
「ふーんむ。まあ、オンラインモードは勢力同士の団体戦がメインみたいだからな。こういう変化球で来るのは別におかしくはないか」
それにエネミー戦ならばオフライン勢である私にもノウハウがあるし。これでもし、総当たり個人戦です、とかやられたら大分勝ち目はない。
予選でタイマンになった途端にやられたみたいに、私ゲームそのものは特別上手じゃないからね!
「っと、そもそも予選突破の通知が来てないかどうか確認しないと。あれだけ暴れたんだから大丈夫だと思うけど……大丈夫だよね?」
はっとしてメールボックスを確認する。
そわそわドキドキしながら確認した結果はというと……。
『まあ! それじゃ、本戦に進めそうなんですね!』
「うん。これもまあ、テレサが手伝ってくれたおかげだね。いつもありがとう」
『いえいえ、これも私の御役目ですから。でも、えへへ。そうですか、お役に立てていますかー』
気恥ずかしそうに頭の上に手を置いて、テレリコテレリコ照れ笑いをする金髪美女。うーん、眼福。可愛いよね。
そう、無事トーナメント予選突破の通知はメールボックスに届いていた。これもあれも全てテレサのおかげである。あの機動要塞はほぼテレサが設計したようなもんだからね、私はアイディアを与えただけ。
ちなみにテレサの認識だと、トーナメントは「ショウさんのお知り合いが集まってなんか腕を競っている」という認識になるらしい。それだと予選の際に戦った相手は機動要塞ギガントタイタンに遺伝子の欠片も残らないレベルで消し飛ばされているのだが、テレサの死生観だとそれは問題にならないらしい。
怖いね。
『それじゃあ、次の試合に向けて新しい機体を組まないといけませんね!』
「ああ。それで、なんか見せたいものがあるっていってなかった?」
『あ、そうでした! これを見て欲しいんですよ!』
私の問いかけに、はっと我に返るテレサ。
ログイン時に呼びかけてきたのは彼女の方である。それに答えてコンソールに向かうまでの世間話で、トーナメントの話を私が切り出したので脱線してたんだったな。
カタカタ、とテレサがコンソールを操作し、何かの映像をUPする。と同時に、ハンガーにも何かが運ばれてくる。
ええと、何々。これは……ワイヤー?
『ショウさんからお話を聞いた、遠隔誘導端末の制御方法を参考にしてですね。私の方で作ってみました! これは一件、ただのワイヤーのように見えるんですけど、拡大すると実は……』
「あっ。菱型のユニットが噛み合ってワイヤーみたいになってるのか。どっちかというと鎖に近い?」
『そうなんです! そしてこのユニット一つ一つに駆動系と制御系が仕込まれていて、互いをひっぱりあう事で、こんな風に動く事ができるんです! ほら!』
テレサの操作に従って、一人でにウネウネっとした感じで動き出すワイヤー。その動きはさながら、生きた蛇のようだ。なるほどなあ。一つ一つのユニットは小さく非力でも、それらをいくつか連動させてさながら筋線維のように有機的に動かす事で、ワイヤー全体を自由自在に動かせるって訳か。
凄いね!
「へえ。これは面白い。あ、じゃあもしかして結構パワーもある?」
『はい! 振り回した先端で対象を叩いたり、まきついて締め上げたりもできますよ!』
「そいつは凄い。ほんとに」
『えへへへ……。ちょっと製造に時間が掛かりますけど、必要な資源も凄い多いって訳じゃないです。ショウさんがお休みになってる間に、少しずつ延長しておきました! どうでしょう、使いものになりますか?』
期待に目をキラキラさせながら問いかけてくるテレサに深々と頷く。
思った以上に面白そうなものが出てきた。これなら無理に自律ドローンを運用しなくても、ワイヤーの先端にクローとかビーム砲を搭載すればそのまま攻撃端末として使える。
滅茶滅茶面白いじゃん。
だが……。
「それで、欠点は?」
『えっ』
「凄い物にはそれ相応の難点があるものだ。テレサさんもいくつか自覚してる欠点はあるんじゃない?」
そう、メリットばかり強調されたが、デメリットだってあるはずだ。そもそも今の話を聞いただけでもぱっと三つぐらい問題が予想できる。それがあってるかどうか、テレサ本人に確認するべきである。
私の質問に、ピシリと固まるテレサの笑顔。
ややあって、ちょっと俯いた彼女は人差し指をツンツン突き合わせるあざとい仕草をしながら、上目遣いに私を見上げてきた。
『……え、えと、そのですね』
「うん」
『正直に言いますと……めちゃめちゃエネルギーを喰います。動力ユニットの塊ですので……それこそ、初期のビーム兵器並みに、その、装備負荷が……。あ、あと、それから……その……。伸ばせば伸ばすほど、本体に反動が強く帰ってきます。ワイヤーみたいにしなって力を逃がせないので……先端にかかったモーメントがテコの原理で増幅されて……いやその? あまり過負荷が掛かるとユニット全体が壊れちゃうので? それを逃すようプログラミングしてるんですけど? それでもやっぱり、結構な衝撃が……』
段々地の底にめり込む勢いで低下していくテレサのテンション。
ついには涙目になった彼女は、ガバァ、と床に腹ばいになった。
ごめん寝である。
『ごめんなさぁい!! 正直に言うと、だいぶ欠陥品ですこれ! 資源とかいっぱい使ったのにこの体たらく! あまつさえほぼ失敗作を、すごくいいもののようにセールストークしました! わ、私はいけない女の子です!!! 許してぇー!』
「あと何かにぶつけたりしなくても、長く伸ばしたのをグネグネ曲げると本体のバランスが大変な事になるよね。糸っていうよりながーい棒を持ってるようなもんだから」
『ひぃいぃんご指摘の通りですー!!』
なんか面白くなってきたので追撃してみる。が、やりすぎてしまったのかテレサがちょっとガチ泣き入ってきた。ここら辺でおちょくるのはやめておこう。
「いいよいいよ、顔上げて。欠陥品だなんてとんでもない、なかなか面白いじゃないか、これ」
『……え? ほ、ほんとですか? ほんとにそう思ってくれてます?』
「ほんとほんと。大体初期のビーム兵器に比べればその程度の欠陥なんてあってないようなもんだよ。気にしない気にしない」
いやほんとな。
アップデート入った事で普通の武器として使えるようになったけど初期はほんと酷かったからな……いやまああくどい応用が全部潰されたのも事実なんだけど。
「というかこれで、諦めてたアイディアが形にできるかも。ね、これ今長さどのぐらいある?」
『ええと……2kmぐらい……』
「オケオケ。じゃあ、10kmぐらい伸ばしておいてくれる?」
『そんなに長くしても意味ないですよ!? 自重を支えられるのは精々700mぐらいの長さで、それ以上はへたっちゃいます!』
あ、なんだかんだで700mはいけんの? それは良い事聞いた。
「大丈夫大丈夫、我に秘策あり、だから。ああそうそう、そんでもってハンガーユニットもう一つ増やすから。流石に二つだと足りなさそうだし」
『?????』
私の発言に首を傾げるテレサ。
ふっふっふ、まあいい。どの道彼女には手伝ってもらうんだし、軽く説明と行こうか。
「実はね、こういう感じにしようかなって……」
『…………ええええええええ??!』
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