ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~   作:SIS

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第百十四話 谷底の激闘

 

 テレサに怒られつつも、メタルインセクトとの激闘は続く。

 

 ぶん殴った衝撃で右手のステータスがイエローになりつつも、ダメージそのものはしっかり入った。たじろぐように突進の勢いを弱めるメタルインセクトめがけて、左手のクローからレーザーを連射。

 

 本来ビームの観測射撃用だが、この距離で防弾繊維が焼け落ちた後ならそれなりのダメージになるはず。

 

『バオオオッ!』

 

「効いてる、効いてる! 駄目押しのキックを食らえ!」

 

 ズン、ズン、とその場で脚を踏みかえて、全力のヤクザキックを叩き込む。凄まじい衝撃にメタルインセクトの巨体が一瞬浮かび上がって、背後に向けてふっとばされる。そして後ろに続いていた他の敵に衝突して、諸共まとめて倒れ込む。

 

 ストラーイク、ってね。

 

 まあ代償に関節が嫌な音を立てた気がするけど。

 

『……まあ、うん。もういいです……』

 

「あはは、いや、ちょっと余裕なかったから……。少し後ろに下がるね」

 

 げんなりとしたテレサの顔に誤魔化し笑いを浮かべつつ、マシンガンを連射しながら後ろに下がる。その間にも、修復装置はバチバチと音を立ててワイヤーの修復に勤しんでいた。

 

 一方、狭い渓谷内でもみくちゃになっていたメタルインセクト達も、えっちらおっちら身を起こす。先頭の奴はキックだのマシンガンだのクローアタックだので随分HPが削れているが、後ろにまだ無傷の奴らが3体も居る。

 

 流石にちょっときつくなってきたか……。早計だったか?

 

『ショウさん、ワイヤーの修理完了しました。いつでもいけます』

 

「あ、おっけい。了解」

 

『でもさっきと同じような事したら駄目ですからね!』

 

「はい、反省してます……」

 

 怒られてしまった。

 

 とりあえず、あの巨体相手にワイヤーで力比べをするのはこちらが不利、というのは分かった。パワーそのものでは勝てなくもないが、こっちの機体が持たない。

 

 となると……。

 

「テレサさん、クローの攻撃手段をこちらから指示する事は出来る?」

 

『出来ますよ、問題ありません。セレクターを切り替えて、攻撃コマンドを選択してください』

 

「セレクター……ああ、これか。よし」

 

 説明に従って、自動攻撃モードの選択肢をビームとレーザーに限定。

 

 中列の敵目掛けて再びワイヤーを飛ばす。

 

「やれ!」

 

 射出された有線ビームクローが、隊列の上を取る。くぃ、と下を向いたクローから再びビームが放たれた。真上からの攻撃に、隊列の中央の敵が被弾する。

 

『パオオオ!?』

 

 突然の攻撃に、逃れようともがくゾウ型。だが前は満身創痍で動きの鈍い個体に阻まれ、後ろからはどんどんやってくる敵に挟まれ。逃げ場はない。それどころか互いに押し合いへしあいしている内に牙や足がぶつかってさらにHPが削れる。

 

 考えてみれば何か戦術的優位性があるからじゃなくて、地形のせいでああやって行列にならざるを得ない訳で。それを飛び越えて攻撃されたらこうなるに決まっているか。とはいえ、この狭い渓谷で飛び上がって上を取るのはそれなりにテクニックがいるし、前でターゲットを取る役も必要だ。本来複数人がかりでやる事を一人でやれてる、と考えれば、ふむ。

 

 なかなかいい感じなのではないか?

 

 すっかり進むも下がるも意思が統一できずにひたすら揉みくちゃになってるメタルインセクトの群れに上からレーザーを降り注がせる。いい感じにHPを削ってきたところで、私は大口径ビーム砲のトリガーに指をかけた。

 

 これで一気にトドメを刺す。

 

「発射!」

 

 再び渓谷を満たす膨大なビームの奔流。それに飲み込まれたゾウ型メタルインセクトが、パリン、パリンと次々に砕け散っていく。迸った粒子が消失した頃には、何体も居たゾウ型メタルインセクトの群れは、最後尾の数体を残して完全に消滅していた。

 

「んでもって、とどめっと」

 

 そしてその数体もHPは瀕死。モードを切り替え、近接攻撃を許可した有線ビームクローでトドメを刺す。唸りを上げて飛来した爪が、次々にその巨体を貫いて撃破する。

 

 そして、伸ばしたクローを回収。

 

 高速で巻き取られたクローが、ガッチャンと火花を散らしてアームにドッキングした。

 

「さて、と。おかわりはいるかな?」

 

 念のため、周囲に敵の姿がないが索敵するが……どうやら、今ので一旦打ち止めらしい。経験値調整が働いたのかもしれない。

 

 安全を確認し、私はコクピットで快哉を上げた。

 

「……よーし! 一時はどうなるかと思ったが、大勝利! いえーい!」

 

『パチパチパチーッ』

 

 ガッツポーズに、隣のテレサも手を叩いて喝采である。ありがとうー、どーもありがとうー。

 

「えへへー。いやあ、思った以上にいい感じの機体に仕上がったね。有線ビームクローの扱いはもうちょっと注意がいるけど、機体本体のバランスも悪くないし。これならトーナメント頑張れそうだ」

 

『そうですね! 敢えて言うなら、やっぱり二つだけだと手数が少ないかもしれませんね。クローを増やします?』

 

「そうだなー。いっそ、脚と腕を共通規格にして、手足で四つ、有線ビームクローを射出できるようにしない? 合体時は変形するんだし」

 

 確か某機動戦士のシリーズの中にそういう感じの構造の奴がいた筈だ。そういえば胴体からビームをぶっ放すのも同じだし、参考にしていいかもしれない。

 

『なるほど……? 腕と足を……ロボットは足が肝要で腕はオマケみたいなものだと思っていましたけど、確かにそういうのもありですね。大分フレームが異形になりますけど、見た目を整えるのはどうとでもなりますし!』

 

「まあそもそも八頭身どころか20頭身ぐらいある妙なバランスだしね、合体後の形態。つり合い取れるように『アイン』の機体ボリュームもっと増やしてもいいかもしれない」

 

 そもそも『アインソフオウル』は試作機なので、まだまだ改良発展の余地を残してある。具体的に言えば積載量も消費ENもまだたっぷり余っている訳で。

 

 今回の結果を踏まえれば、とりあえず攻撃力というか手数の強化は最優先だ。

 

「よぉーし、じゃあさっそく戻って改修開始と行こう!」

 

『はーい!!』

 

 ふふふ、楽しくなってきたぞぉ。

 

 まってろよまだ見ぬライバル達! 思わぬナーフを食らったけど、お前達を吃驚させるような機体を必ず仕上げてやるからな!

 

 ふははははははは!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ところで、この崖をどうやって上るんです?』

 

「………………」

 

 考えて なかった。

 

 結局、三機に分離して機体を軽くし、オマケ程度についているスラスターでひーこらいいながら崖をよじのぼって期間したのであった。なお、谷底に残してきた『オウル』にパイロットを乗せる関係で、『アイン』だけ2往復しました。

 

『大変でした……』

 

「そうだね……」

 

 なんとか回収作業を終えて、げっそりする私達であった。

 

 

 

 

 

 

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