ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~ 作:SIS
AIの実装に当たってトラブルに見舞われたが、それを解決しても開発部は次なるスケジュールの達成にむけててんてこまいが続いていた。
プレイヤー間のトーナメント。本来ならハーフアニバーサリーで行いたかったが、根幹システムのトラブルが解決しなかった為延期になっていたそれを今度こそ予定通りに実行するべく、日夜スタッフは会社に監禁状態で仕事に励んでいた。
が、それも終わりが見えてくる。苦節2週間、ついにトーナメントシステムの実装と調整が終わった。
「おわったーー!!」
「帰れるぅーー!!」
それぞれのデスクで拳を突き上げ快哉を叫び、そのまま気絶するように眠り込む開発スタッフ達。開発部はまさに死屍累々。結局彼らが家に帰れたのは翌日の事である。
そしてトーナメント開催日。
心血を注ぎ込んで調整したトーナメント周りのシステムに不具合はなく、あとはただ開始時刻を待つのみである。当然スタッフ達はビールを片手に開発室に詰めて、特大スクリーンを前に観戦の構えをとっていた。
気分はほとんどワールドカップの観客である。
「いやあ一時はどうなる事かと思いましたけどなんとかなりましたねー」
「ああ、全くだ。まあおかげで通常業務どこまで進めたかさっぱり覚えてないが……」
「直前まで何してましたっけ俺ら……」
どんな苦労も終わってみればよい思い出と言わんばかりに、よもやま話に花を咲かせるスタッフ達。
と、見ている前でカウントダウンが始まり、早速最初の試合が始まった。
動き出すプレイヤー達の様子を見ながら、ああそうだ、とスタッフの一人が思い出したように口にする。
「そういえば、何か変なレイドボスが現れるって話、あれどうなったんでしたっけ」
「ああん? あれはあくまで一プレイヤーがそう誤認されてたってだけの話で……そういえば何でそんな事になってたんだっけ?」
「確か、ビームの応用というか変な挙動が……」
そこまでスタッフ達が思い出した、まさにその時だった。
(画面が切り替わる)
(映しだされる機動要塞のスタンディングオペレーション)
(トンデモ兵器に粉砕される他プレイヤーの皆さん)
「「「(ブゥーーーーッ)」」」
衝撃映像にビールを吹き出すスタッフの皆さん。
「げほっ、げほっ、な、なんじゃありゃあ!?」
「チートか!? 監視AIは何やってる!?」
慌ててデスクに飛びつくスタッフ達。だが……。
「ち、違います、あれ、あくまで仕様範囲内の代物です! 監視システムからは何の報告も……」
「あれのどこが仕様範囲内だよ!? あんな巨大構造物を動かすようなモーターもシャフトもアクチュエーターも実装してないぞ俺らは!? どうやって動いてんだよあれ!?」
「あ、爆速で一試合終わった。んで、次のブロックに接続されて……あ、あれ?」
調べるにつれて、どんどんスタッフの顔が青ざめていく。無理からぬことだった。
「こ、コイツ……外部推進装置で無理やり動かしてる!? いやそもそも、こんな複雑な制御プログラムをプレイヤーが組めるはずが……敵対会社の妨害工作か!? にしたってやる事が豪快すぎるだろ!?」
「ちょ、ブロックの編成がおかしい! 試合があまりにも早く終わりすぎたんで抽選プログラムがバグってる!? このままだとトーナメントの組み合わせが無茶苦茶になるぅ!?」
「ヤバイって! コイツのせいで得点ゼロのプレイヤーが続出してる!? どうすんのこれ、放置しておいたら大変な事になるよ!?」
スタッフはもうてんやわんやである。
しかしあくまで正規のプレイヤー、そして正規のゲームシステムにのっとった代物なら、運営が介入する事は許されない訳で。
どうにか、トーナメント参加プレイヤーが勝利する事を願うしかない。しかしそんなスタッフの希望を踏みにじるように、また一つのブロック、四つのチームが巨大要塞によって消し飛ばされた。
あまりにも無慈悲。
どうしようもない暴虐。
それはまさに、破滅の化身であった。
「「「だ、誰か、誰かあの化け物を止めてくれーーー!!」」」
その、スタッフ達の切なる願いに応えるように、一つのチームが三位一体、基地から飛び出したのはその直後の事であった。
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