ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~   作:SIS

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第五十二話 夢とロマンの尾を掴め

 

 爆発に包まれるボスの姿。

 

 それでも一応警戒は続ける。中から小柄な第三形態もとい本体が出てくる、とか全然ありえるからね。

 

 銃口を突きつけ不意打ちに備える前で、少しずつ晴れていく黒い煙。

 

 それが完全に消え去った後に残されているのは真っ黒に焦げた床だけだった。

 

 遅れて、システムメッセージが表示される。

 

『“デス・フィアー”を撃破しました』

 

「……ふぅ。今回も何とか勝利できたな」

 

 ボスの完全消滅を確認し、一息つく。

 

 まさかの連戦だったが、武器の相性がよくて助かった。まあ、本来はここで手に入らない武器を使ってるのだからインチキみたいなもんだが、まあMMOではよくある事だ。新入りに倉庫で埃を被ってる武器を渡して即席強化とか、しない方がおかしい。

 

「さって、と。ボスを倒して、じゃあどうなるのかな?」

 

 ステージの変化を待って、その場でじっと待つ。

 

 ……。

 

 …………。

 

 ………………。

 

「?」

 

 何も起きない。

 

 破壊された天井を見上げるも、何か出てくるとか、そういう様子もない。フロアの床を見ても、中央がせり上がるような前兆もない。

 

 なんだ?

 

 これまでは、ボスを倒したらすぐ近くにホームがあって…………。

 

「あ゛っ」

 

 私は振り返り、背後にある小さなドアと、反対側にある大きなドアに目を向ける。大きなドアは、私が入ってきた扉……すなわち、ホームに続くドアだ。

 

 じゃあ、こっちの小さな扉は……。

 

「……もしかして」

 

 ボス戦が終わってロックが解除された扉。

 

 その向こうには、薄暗い通路がずっと続いていた。見れば、道中をメタルインセクトが徘徊している模様。マップを開いて照らし合わせると、この通路は火山地帯の方向に……つまり工業地帯の入口近くと繋がっているようだ。

 

 もしかしなくても、これは。

 

「……こっちから来るのが正規ルートで……じゃあつまり、私がボスの部屋に来たのは……裏口??」

 

 恐らく本来は、地上かこの地下通路どちらかを通って、ボスのいる工業地区中心部にやってくるのが正規ルートなのだろう。そこで地上では飛行型のボス、地下では多脚のボスと戦い、それを撃破すると無事な方が地形を破壊して合流。ボス同士が合体して二戦目……それを撃破する事でホームへの扉が開く、という仕様なのだろう。地下から地上に上がれないのは、後半戦が地下で行われるようになっているからだ。

 

 が、私は爆発で地形を破壊し、ベルトコンベアのラインを通って先にホームの方に入ってしまった。本来、ボスを倒して得られる報酬を先取りしてしまったという事なのだろう。

 

「……考えてみたら、ホームに辿り着いたのにテレサが合流してこなかったな。正規の順番でホームを開放した訳じゃないからなんか処置がバグったのか……?」

 

 困惑しつつ道を引き返して、ホームに繋がる扉を開く。

 

 果たして、そこには。

 

『あ、ショウさん、お疲れ様でした! 何だか行ける所が広がったみたいなので、テレポーターでお待ちしておりました!』

 

「ああ、うん……。どうも……」

 

 元気よく手を振ってくるNPCの姿に、私はとりあえず苦笑いするのだった。

 

 ……真実は胸に秘めておく事にしよう。

 

 

 

◆◆

 

 

 

 まあ何にせよ、ボスは倒したので問題はない。

 

 そろそろ良い時間だと、機体をハンガーに預けてコクピットから降りる。

 

 幸いというかなんというか、ボスを撃破した事で資金も大量に入った。

 

 アセンブリはしたものの建造はしなかった、メガフレーム採用機体を建造して、今日は終わりにする事にしよう。

 

 そう思って端末に近づく私に、ててて、とテレサが駆け寄ってきた。

 

 その顔は何やら言いたげだ。表情の表現力凄いね。

 

「どうした、なにかあった?」

 

『え、えっと。そのですね……実はご提案がありまして』

 

「提案?」

 

 こちらも大仰に首を傾けてリアクションを返すと、テレサは頬を赤くしてコクコクと頷いた。

 

『あの、ですね。前にご一緒した時に、プラズマ配管とフォトンビームが反応して大爆発を起こしたですよね。あの現象を検証してみたいと考えているんです』

 

「ふむふむ。別に構わないけど」

 

『それでですね、イコンの中で実験して、失敗して大爆発したら大変なので、実験そのものは外に出てやりたいと思うんです。ですが、今、私には動かせる機体がありませんので……よろしければ、私にも使える機体とハンガーを用意してくれないでしょうか?』

 

 ん? NPCは別にハンガーがあるんじゃないの?

 

 困惑していると、視界の中にメッセージが。どれどれ。

 

《課金して増やした予備ハンガーは、NPCに使わせる事もできます。NPC機体は僚機として戦場に連れていける他にも、プレイヤーがログインしていない状態でもNPCは与えられた機体で独自に出撃し、敵を撃破してパーツや資金を回収してきてくれる事があります》

 

 なるほど。

 

 ある意味課金要素らしいっちゃらしい。放置している間にも自動的に資金その他を集めてくれる訳か。

 

 ……ん? まてよ?

 

 これ……もしかして使えるのでは?

 

「わかった。じゃあ、準備するから少しだけまっていてくれ。それでちょっと一つ聞きたいんだけど……」

 

『? はい、なんでしょうか?』

 

「君が用意したサブ機体で出撃した後、パイロットの君だけホームに戻るって、出来る?」

 

 私の質問に、テレサは「変な事聞きますね?」とでも言いたげに片眉をひそめた変顔で困惑を見せたが、すぐにコクリと頷いた。

 

『それは問題ありませんが……ああ、戦場で機体が大破した時、私の機体に乗り換えたい、という事ですね? それなら問題ありませんよ、ただ私は歩いて戻るのは大変なので、ちゃんと処理してほしい所です。出来ればあまり痛いのはやめてほしいですけども……』

 

「しないよそんな事!?」

 

 発想が怖いよ!!

 

 デスルーラってそういう意味じゃないから!!

 

「そうじゃなくて、ちょっと手伝ってほしい事があるの! まあ、その話はまた今度でいいか……。そうだね、次に来るときにはテレサさんの機体が置けるハンガーを用意しておくから、今回は私の機体を使っていいよ」

 

『いいんですか?』

 

「うん。新しく機体を組もうと思ってたけど、また別のアイディアを思いついたからね。時間をとってゆっくりと設計し直したい」

 

 まずそもそも、そのアイディアが実現可能かどうか、という所から実証が必要だしね。

 

『わかりました! 大切な機体、大事に扱わせて頂きます!』

 

「まあ、ほどほどにねー」

 

 ふふふ。

 

 いやあ、楽しくなってきたぞ。

 

 悪い事思いついた時が、ゲームって一番楽しいよね!

 

 さて、明日仕事の帰りにコンビニいってプリペイド買ってこなきゃ。財布にどのぐらいあったっけな、お金。

 

 

 

◆◆

 

 

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