ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~   作:SIS

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第五十五話 超・ロマン合体

 

 工業地帯のホームの出入口は、メガフレーム機体の残骸の後ろにあった。

 

 最初来た時は気が付かなかった出入口から外に出ると、搬入口だろうか、だだっ広いスペースに出る。

 

 配管もない、アスファルトを張った四角いエリア。後ろを振り返ると、大きな工場の壁とベルトコンベアが見える。

 

 あれだね、トラックの荷台と高さを合わせて荷物運びをしやすくする工夫だ。最も、全長10mのロボットから見てこのサイズだから、ここに運び込まれるのは化け物みたいなサイズのトラックなんだろうけど。戦艦より大きいぞ。

 

「まあいいか。機体の調子は、っと」

 

 乗り込んだキャタピラ機体の動作確認をする。

 

 スロットルを上げると履帯がキュラララ、と音を立ててスムーズに機体を前に進ませる。意外と速度が出ているが、旋回動作に癖がある感じ。試しに超信地旋回をしてみると、脚部のステータスが少しずつ黄色くなった。

 

 これが真っ赤になると履帯が外れるんだろうな。タンク機体ってのは頑丈なのが相場だが、このゲームの場合はリアリティ重視で繊細な操作が要求されるようだ。

 

 初めてのタンク機体の乗り心地をチェックしていると、無人のリフトがひとりでに動きだし、もう一機の機体を運び出してきた。

 

 二脚型のメガフレーム機体。えっちら、おっちらといった感じでぎこちなくリフトから降りてくる機体を操作しているのはテレサだ。

 

 なんか動きが危なっかしい。私は様子を確認するべく、通信を繋いだ。

 

「どう、テレサさん?」

 

『ショウさん! え、えっと、問題はない、ですが……』

 

「ですが?」

 

 通信の向こうで眉をわざとらしく顰めるテレサ。何かあるのかな。

 

『その……ちょっと重心位置が高すぎて乗り辛くて……。ショウさんは簡単そうに乗りこなしていましたけど、こんなに難しいなんて』

 

「あー」

 

 そうか。ある程度経験からバランスは調整したけど、基本的にはラプトルと同じ足長機体だしな。慣れてないと乗り辛いか。

 

「あれ、でもラプトルで実験してなかったっけ?」

 

『あれは武器を構えて立ったまま、タイミングを図って引き金を引くだけでしたので。リフトの上から動かずにやっていたものですから……』

 

「ああー」

 

 そりゃそうか。

 

 留守の間の雑魚狩りを頼んだ訳じゃなかったもんね。

 

 まあ問題は無い。テレサにお願いしたいのは基本的に外まで機体を運び出す事で、戦闘はそもそも期待していない。

 

「まあいいや、話はわかってるよね? リフトからちょっと離れた所で機体を停めて。あとはこっちでやる」

 

『お願いします』

 

 ガッション、ガッション、とふらふらしながら広場に進み出たメガフレーム二脚が、そこで足を止める。軽く歩幅を開いて直立不動のまま停止する機体の背後に、私は自分の機体をキュラキュラと進ませた。

 

 さて。

 

 ここからが本番だ。

 

「レッツ、ドッキング!」

 

 ぽちぽち、とコクピットのスイッチを跳ね上げる。

 

 機体に取り付けられたロケットブースターが点火、その膨大な反作用エネルギーで重量級の機体を宙に浮かび上がらせた。

 

 飛び上がった機体をコントロールして、レーダー上でテレサの2号機に反応が重なるように移動する。

 

「いくぞー」

 

『了解です!』

 

 合図をしてタイミングを合わせる。

 

 数秒の噴射が終わり、機体がゆっくりと落下を始める。そしてそのまま、2号機の上に着地。

 

 ガァン、という衝撃と共に機体が激しく揺れる。コクピットでゆさゆさされながら、私はずり落ちそうになる機体のバランスをなんとか取った。

 

「おっととと……そっちは大丈夫か?」

 

『一時的に脚部ステータスがイエローになりましたが、なんとか。でもぶつかった衝撃でダメージが……』

 

「うーむ。合体といえば空中に飛び上がるもの、ではあるが、あまりこの方式は現実的ではないか」

 

 まあいいや、それはまたあとで考えよう。

 

 確認してみるが、どうやらジョイント位置はまだ大分ずれているらしい。キャタピラを回したり、機体の腕でひっぱったりして、こちらの胴体前部にある腰部接続ジョイントと、あちらの胴体接続ジョイントの位置を合わせる。

 

「うーん、イマイチ位置が合わないな」

 

『えっと、あと少し、ちょっと前に……あ、そこそこ。もう少し、こう、ぐっと』

 

「ここかな? えっと、角度をもうちょっと上げて……ん」

 

 試行錯誤の末、ようやくジョイント同士がカチリと嵌った。

 

 ぐっ、と押し込むと、内部でガチンとパーツ同士が噛み合って接続される音。

 

《エラー。不正なパーツの接続を認識しました》

 

「はいはい。ちょっとまってね」

 

 ブブーとなる警告音に苦笑しつつ、機体コントロールにアクセス。キャタピラ脚部をパージする。

 

 一瞬、複数のエラー表示が画面に表示されるが、数秒立つと下半身を認識したコクピットの表示が変化する。

 

 ステータスモニタには、メガフレーム脚部と胴体を持った巨大な機体のシルエット。各部から送られてくるステータスはオールグリーン……という訳ではないが、すぐさま行動不能になるような深刻な不具合は確認できない。

 

 つまりは……。

 

 成功だ。

 

「合体完了!」

 

『やりましたね!』

 

 コクピットの中、二人で快哉を上げる。

 

 やはり私の発想は正しかった!

 

 あくまで、ガレージ内でのカスタマイズでメガフレーム二つを選択できないというだけで、この二つがもともと組み合わせる事を前提にしているというなら、別々に機体を用意して外で組み合わせてしまえばいいのだ! それこそ、ボスがやっていたように!

 

 まあ多少強引な事をしたが、あくまでこれは実験だ。戦場でスムーズに合体が出来るように、これから色々改良を加えていけばいい。

 

 とにかく、概念実証は成功だ!

 

 操縦桿を手繰り、機体を動かす。

 

 巨大な脚部だが、それに釣り合った胴体を搭載している事で変な竹馬感は薄れている。下半身に大型のバランサーを搭載しているのもあるだろう。

 

 そして歩幅が大きいという事は機動性も高い。軽く広場を走ってみるが、まるでブースターで加速していた時のような速度が出ている。

 

 でかいは早い、でかいは硬い。そして合体はロマン!

 

 うっひょー(語彙消失。

 

「ふふふふ、だがこれはまだまだ前座だ。本番はこれからだ!」

 

 

 

◆◆

 

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